今月を視る(「むすぶ」2011年10月号より)2011/10/16 16:32

日本の国際貢献は、軍隊・原発のない社会を実現すること
原発再稼動・輸出-南スーダン派兵-名護新基地建設にNO!     

個々の人々の認識とは別に、今も組織的に垂れ流される「がんばろう!日本」の欺瞞性は福島第1原発の大事故を含めて日本をまるまるの被害者に仕立て、他国、他地域、環境に対する加害性と責任を完全に覆い隠していることである。

野田内閣は、「弱肉強食」が世の真理とする「新自由主義」を全面に押し出した内閣である。「原発問題」の対応のみに追われた菅内閣に比して、野田内閣は、着任早々、国際舞台で南スーダンPKOへの自衛隊派兵を、日米共同声明(普天間基地の名護辺野古への移設)の「着実な履行」を表明した。グローバル資本、大企業の意向をもろに代弁する内閣であることは間違いない。

なぜ今、南スーダンPKOへの陸自派兵なのか。南スーダンPKOは、正式名称を国連南スーダン派遣団(UNMISS)という。7月にスーダンから分離独立した南スーダンの安定と発展の支援を目的に、市民保護やインフラ整備を担う部隊など軍事部門約7000人に、警官約900人を加えた計8000人規模だという。活動期間は独立した7月9日から1年間で、延長を想定しているとも。政府はすでに第1次調査団(約30人)、第2次調査団(輸送拠点と見込むケニアやウガンダ)を派遣し、年明けに陸自の施設大隊の派兵(年内に陸自の中央即応連隊を先遣隊として派遣する案もある)を計画している。南スーダンが豊富な石油資源を持つことから石油利権や建設分野での参入を狙っていることは間違いない。また、「自衛隊とともに行動する他国軍隊を急迫不正な侵害から防備できるようにする」と武器使用基準の緩和をこの機に実現することも大きな狙いの一つだ。そして、何よりも福島第1原発の大事故で地に落ちた日本の国際的信用、地位をグローバル資本が競い合う舞台で、軍事部門で参入することでも「地位回復」につなげたいとの狙いも隠せない。大きな困難に直面している原発輸出にこれらが有利に働くとの計算が働いているのはまちがいない。

震災、原発報道に隠れてほとんど報道されていないが、3.11以降も、石垣市の中山市長(「つくる会」系教科書採択を画策した張本人の一人)や自衛隊誘致を公言する外間与那国町長と連携し、度々海自のイージス艦(護衛艦)を入港、乗組員の上陸を行ったり、掃海艇を石垣―与那国に寄港させる航空自衛隊が、与那国で「電波調査」を行うなど、南西諸島・沖縄での自衛隊存在の既成事実化を盛んに行っている。これらは、上記の自衛隊派兵の動きと機を一にしたものであることを忘れてはならない。

普天間基地問題では、「辺野古移設もう無理」(前知事稲嶺恵一氏)とかつての「容認派」といわれる沖縄の関係者のほとんどが断念を要求しているにもかかわらず、これを無視するかのように、米政府に「日米合意」を着々とすすめると表明し、「粘り強く地元を説得していく」と新たな振興策(アメ)も準備していると報じられた。

「定期検査などで停止中の原発再稼動についても、安全評価(ストレステスト)による安全性の検証を前提に再稼動を進める」「すでに交渉中の原発輸出については、継続して進める」が野田内閣の基本姿勢であることが明らかになっている。だが、EUが開始した域内のストレステスト(第1段階)で、欧州全原子炉が「合格」となったことが明らかにされている。『原発閉鎖などの措置が必要となる深刻な欠陥の指摘はなく「自己採点は甘くなる」との懸念は裏付けた形だ』(毎日新聞)とある。ストレステストなど名ばかりのアリバイ作りにすぎないことは明らかになった。

核も原発も軍隊もない平和な社会が可能であることを、世界に示すことこそ日本ができる真の国際貢献であることを、大胆に訴え広げていこう。

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