今月を視る(「むすぶ」2012年1月号より)2012/01/11 15:47

   公約破棄で政権奪取の大義すべて失った民主党政権
     2012年を原発と基地廃棄へのスタート年に!

公約の全てを反故にした野田民主党政権は直ちに政権から退くべきである。与野党問わず、野田内閣と変わらぬ原発、基地温存、原発輸出推進、軍事力増強、消費税増税の新自由主義を推進するいかなる勢力の再登場も許してはならない。そのための持続的な取組みが求められている。

現在、全国54基の原発のうち稼動しているのは6基。関西エリアでは、12月7日、関電の美浜原発2号機が原子炉格納容器内にある加圧機の圧力を調整する装置から1次冷却水が漏れるトラブル(事故)を発生させ手動停止、そのまま「延期させていた」定期点検へ。大飯2号機も12月中に定期点検入りし、残る高浜3号機も来年の2月20日には定期点検入りし、関西エリアの14基(「もんじゅ」含む)すべての原発が停止する。九州エリアでは、玄海原発3号機が12月9日、定期点検中に原子炉補助建屋で、放射性物質を含んだ汚染水が漏れ出したにもかかわらず、この事実を公表しなかったことが露呈。変わらぬ無責任で秘密主義の体質に批判が高まる中、12月25日に玄海原発4号機が定検入りし、九電管内の全原発6基のすべてが停止した。現在稼動しているのは、北電・泊3号機(調整運転中)、東電・柏崎刈羽5号、6号機、関電・高浜3号機、中電・島根2号機、四電・伊方2号機の6基であり、4月下旬定検入り予定の北電・泊3号機を最後にすべての原発が停止する。

だが、政府、原発維持推進勢力は、この状況に手をこまねいているはずもない。政府の事故調査・検証委は12月26日、中間報告書を公表し、「津波による電源喪失」や「対応が後手に回るなどの人災」に言及したものの、地震による配管断裂などの根本的問題には全く触れていない。このような分析がすすめば、津波対策やおざなりの「ストレステスト」が意味をなさなくなり、原発の再稼動が不可能になるからだと内外から疑問と批判の声が高まっている。関西エリアでは、全国の先頭を切って、大飯原発3号、4号機の再稼動が狙われていることが明らかになった。これを阻止し、全ての原発停止へ道筋をつける闘いが焦眉の課題だ。すでに、むすぶ会として年末から緊急署名「若狭の大飯原発3、4号の運転再開に反対してください」(福井県と近畿6府県知事宛)に取組んでいる。原発の再稼動を許さない取組みを強化しよう。「汚染がれき問題」(東電の責任放棄を許さないことが根本)など具体的課題に地域から取組み、全原発の停止、廃止への道筋を開いていこう。

野田政権は、基地、軍事力増強を加速させている。政府は、12月27日の安全保障会議で、日本の武器輸出3原則を大幅に緩和する「防衛装備品等の海外移転に関する基準」を決定し、公表した。「3原則」の破壊は、一部大企業の要求に応え、軍事産業を擁護、「死の商人」として世界に跳梁することを合法化するだけでなく、外国での紛争への介入と自衛隊の海外派兵をいっそう大きく推進するものである。

防衛省は12月28日未明、抗議の行動が手薄になった隙をついて、県庁の守衛室に、米軍普天間飛行場の移設問題で、名護市辺野古への移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書を運び込むという姑息な手段に出た。評価書は、「「環境影響評価」とは名ばかりで、「基地建設ありき」のでたらめな代物である。「調査機材」の搬入と称してジュゴンが生息する環境をかく乱し,ジュゴンを追い払っておきながら、「ジュゴンはいないから、影響は少ない」とするとんでもない内容だ。また、「MV22オスプレイ」には全く触れることもなく、単なる機種変更ですまそうとする悪質な内容で、到底許すことはできない。「評価書」は沖縄県に受理されたが、沖縄県民の普天間基地撤去、新基地建設反対の強い要求に揺るぎはない。仲井真知事も、知事意見書に「辺野古移設を事実上不可能」を盛り込み、埋立てを許可しない「見通し」だと報道されている。この「見通し」に狂いを生じさせないために、沖縄の人々の強い基地撤去の思いと闘いに応え、連帯する持続的な闘いを全国の地域に作り出していこう。

原発のない、基地のない社会への闘いを前進させよう。

「むすぶ」目次(2012年1月号)2012/01/11 15:55

stop war
■ 今月を視る/ 2012年を原発と基地廃棄へのスタートの年に!
■ 報告/ 関西の自治体における電力調達と発電実績(その3)
■ 平和と生活をむすぶQ&A/ 子どもたちを戦争国家に誘導する教科書にNOを!    
■ 映像案内/『 THE CHINA SYNDROME チャイナ・シンドローム 』(1979・米)
■ 読者つうしん/ 教育基本条例・・・「自由競争」「自由選択」って本当に自由? 山田光一
■ 報告追加 & お知らせ・年会費変更