今月を視る(「むすぶ」2012年7・8月号より)2012/08/10 11:38

原発、そしてオスプレイ
      政府がいう「安全性」などもはやだれも信用しない!

野田内閣の「決める政治」とは、高まる世論と住民の声を無視し、大企業や特定の利益集団にだけ都合のいい政策をごり押しすることを指す。消費税増税、原発再稼動、オスプレイ配備、TPP「参加」と「決める政治」を露骨に推し進めようとしている野田内閣。「決める政治」を歓迎するのは、経団連などの大企業団体と彼らのために働く政治勢力、その一人である橋下大阪市長らである。「決める政治」の連発は、「そのうち疲れて諦めるだろう」との思惑が見て取れる。だが、この間の毎週金曜の「首相官邸前行動」、「7.16さよなら原発集会」、全国各地の集会、行動に参加したかつてない規模の市民の「諦めない姿」を見れば、野田内閣の思惑が全くの計算違いであることが明らかである。

大飯原発再稼動への怒りが冷めるどころか一層高まる中、今度はオスプレイ強行配備で野田内閣は自壊への道へまっしぐらに突き進んでいる。市民、住民の怒りは、広がるばかりだ。この怒りの声と行動は政治の流れを変え、政府の政策変更を実現することにはっきりと向かっている。

米国政府と米軍は自国内では住民の声を無視することは少ない。米国政府も、日本・沖縄への配備を譲らないオスプレイ問題に自国内では住民の要求に柔軟に対応している。「キャノン空軍基地(ニューメキシコ州)で予定されていたオスプレイの低空飛行訓練計画をめぐり住民の反対運動が起き、米空軍が6月に訓練延期や内容の見直しを決めていた」「空軍は昨年8月、簡易な環境評価書案を公表したところ、地元住民から騒音や安全性、自然環境への影響を懸念する意見が約1600件寄せられた」(共同通信)という。日本での反対世論が拡大しているにもかかわらず、米国政府が配備計画を見直さないのは、日本政府が反対しないからである。日本政府は「安全性が証明されないかぎり試験飛行もさせないことで米政府と合意した」と弁明したが、日本政府が保証する「安全性」が全くのデタラメであり、信用できないことは、大飯原発再稼動をめぐって、多くの市民がすでに思い知らされた事実だ。

7月23日、12機のオスプレイが、多くの反対の声と行動を押し切る形で岩国基地に「強襲揚陸」されたが、日米両政府にとって「一山超えた」どころか「奥深い谷底」に落ち込んだことを知らねばならない。これまで、交付金の増額を交換条件に「岩国基地との共存」を謳い政府の基地・安保政策に積極的に協力してきた岩国市長や山口県知事でさえ、「政府に対する不信感」を隠すことなく表明している。さらに、今回の陸揚げは、配備先として、10月に運用を開始するとされる普天間基地がある沖縄にとどまらず、全国から、「人ごとではない」と不満と抗議の声があげられている。オスプレイの低空飛行訓練のルートとされている広島県知事や徳島県知事からも「遺憾」「不満」が公式に表明され、防衛省、地元防衛局への抗議文が提出される。すでに、米側は低空飛行訓練を全国6ルート(「パープル」ルート・沖縄―九州、「グリーン」ルート・東北など)以外にも、中国地方のルート(ブラウンルート)も使用する可能性を日本政府に伝えている。岩国とキャンプ富士は低空飛行訓練の拠点基地とされる。もはや政府が言う「安全性」などないことは全国の誰もが知っている。

原発再稼動反対の闘いに続き、オスプレイ普天間配備を許さない闘いは、全国に広がった。オスプレイは米国内でも「空飛ぶアメリカの恥」と呼ばれている。そんなものを日本に持ち込ませてはならない。「カネより命」。原発も、オスプレイもいらない。8・5沖縄県民大会を先頭に、全国一体の闘いでこの流れを一層大きくしよう。

「むすぶ」目次(2012年7・8月号)2012/08/10 11:43

■ 今月を視る/ 原発、そしてオスプレイ 
           政府がいう「安全性」などもはやだれも信用しない!
■ 寄稿/ 韓国大法院が画期的判決 強制連行被害者の損害賠償請求を認める
日本製鉄元徴用工裁判を支援する会 中田光信
■ Q&A/ 野田政権下、軍事利用ねらい二つの法改悪
            原子力基本法と宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 法  
■ 読書案内/『がれき処理・除染はこれでよいのか』 熊本一規・辻芳徳 著
■ 読者つうしん/ おおい町現地アクションに参加して 
            放射能からイノチを守る南大阪ネットワーク 五十子幸光
■ 2012 ZENKO大会in大阪 & おしらせ