今月を視る(「むすぶ」2012年11月号より)2012/12/02 14:25

オスプレイーそして基地に連なる全ての犯罪を許さない!

オスプレイの沖縄・普天間基地への配備が強行され、沖縄県民の怒りが渦巻く中、米本土の海軍航空基地所属の米兵2名(沖縄に任務で滞在中)による集団強姦致傷(レイプ)・強盗事件が引き起こされた。「空には(いつ落ちるかわからない)鉄の塊が飛び、陸では米兵が暴れまわっている。これが沖縄の現実」(TVのニュースでインタビューに答える女性)、「法律を守る気がない人たちが(オスプレイの)操縦もするのかと思うと、沖縄の人の心が全く離れてしまう。基地が成り立たないところに行きかねない」(仲井真沖縄県知事)と県民の怒りが頂点に達する中、今度は、米軍が慌ててアリバイ的に打ち出した「夜間外出禁止令」を無視した米兵が酒に酔った挙句、民家に侵入し、居合わせた中学生に暴行、家財を破壊するという米本土では滅多にない、沖縄特有の米軍犯罪事件が発生した(11月2日未明)。

もはや、オスプレイの問題だけではない。県民の怒りは米軍基地そのものに向いている。「一握りの不心得米兵」の問題ではないことは明らかだ。いつでも、金と力で住民の人権を奪い、黙らせようとしてきた日米両政府の軍事優先の姿勢が、一人ひとりの米兵に「軍隊は地域・住民の生活に優先する存在」という「慢心」を生み出してきたのだ。事件が起こる度に、形だけの「再発防止策」が当局から打ち出されるが、そんなものに納得するものはもはやいない。納得できる「再発防止策」があるとすれば、それは「基地撤去」だけである。「軍隊と住民は共存できない」のである。

沖縄の「基地問題」が解決不可能であることが露呈した状況にもかかわらず、日米両政府は、オスプレイの沖縄・普天間基地配備の方針を変えようとはしない。森本防衛相は、全国知事会議に出席し、沖縄に強行配備したオスプレイについて、キャンプ富士(静岡県)、岩国基地(山口県)などを拠点にした本土での低空飛行や空中給油などの訓練を11月末にも開始されることを明らかにした(11月2日)。さらに、この日の記者会見で、森本防衛相は、米軍が12月中にも本格運用に踏み切る予定であることを明らかにして、配備撤回の圧倒的な世論を無視する構えを見せた。

オスプレイの沖縄での訓練は、「可能なかぎり」の「制限」が全く意味のないものであることを明らかにする実態が続いている。連日の訓練は一層激しさを増し、「危険性が指摘される編隊飛行を夜間にも実施し、最後の機体が普天間に戻ったのは午後10時27分だった。騒音防止協定が制限する午後10時を超えるのは3日連続で、違反が常態化している。激化する訓練の騒音に住民は怒りを募らせている。
オスプレイの訓練地、米軍キャンプ・ハンセンに近い宜野座村城原区では連日、民間地上空での低空飛行、夜間訓練やつり下げ訓練が相次いで実施され、住民生活を脅かしている」「米軍普天間飛行場に強行配備されているオスプレイは6日午後10時28分、同飛行場滑走路南側の上大謝名公民館で99・3デシベルの騒音を記録した。10月1日の県内飛来以降、最大値(速報値)となる。電車通過時の線路わきに相当する100デシベルに近い騒音は6日、夜遅くまで住宅地に鳴り響いた。何度も旋回訓練を繰り返したため、上大謝名公民館では午後6時ごろから断続的に80デシベル以上(地下鉄車内に相当)の騒音が発生。同6時26分には92・6デシベル、同42分には93・6デシベルを記録した」(沖縄タイムス)。

いつ事故が起きても不思議ではない状態が続いている。これまで以上に、沖縄の空は戦場と言っても過言ではない状態になった。住民に襲いかかる悲惨な事故は、絶対に阻止しなければならない。平和な沖縄を取り戻す闘いは、全国の平和をめざす市民の緊急で特別重要な課題である。

「むすぶ」目次(2012年11月号)2012/12/02 14:28

■ 今月を視る/ オスプレイそして基地に連なる全ての犯罪を許さない!
■ OPINION/「防災活動」から市中軍事パレードに踏み出す自衛隊 堺市 豆多敏紀
■ 平和と生活をむすぶ Q&A/「原発事故子ども・被災者支援法」の早急な具体化を! 国の責任逃れを許さない、被災者市民の連帯を!
■ 映像案内/ 復帰40年企画作品 映画 ひまわり
~沖縄は忘れない、あの日の空を~ 寝屋川市 福井 朗
■ 読者つうしん/ 東北被災地ボランティアに参加して  神戸市 岡本 誠                    
■ 11.18 緊急アクション & おしらせ

今月を視る(「むすぶ2012年12月号より)2012/12/27 11:02

9条改悪、原発推進政権の登場に   
地域、現場の闘いのいっそうの強化で正面対決を!

大方のマスメディアの予想通り、第46回衆議院総選挙は原発維持、推進、9条などの平和・人権条項改悪、消費増税、TPP参加などむきだしの新自由主義政策を推進することが明確な自民、維新、みんな、公明などの右派勢力が国会の3分の2を優に超す議席を得る結果となった。「自民が支持を増やしたのではなく、民主が支持を大きく失っただけ」の実態など、詳細な票の分析を踏まえた概括にはもう少し時間が必要だが、平和をめざす人々にとって、この結果に対する率直な気分は「うんざり」「憂鬱」以外にないだろう。すでに、憲法改正発議に必要な3分の2以上の衆議院議員を自民党と維新だけで独占してしまったのだから、警戒を強め、常に身構える必要性は高まった。

新聞社等のアンケート調査によれば、今回当選議員の72%が「9条改正」に賛成、78%が現状では行使が認められていない「集団的自衛権」の政府憲法解釈の「見直し」に賛成と答えている(12/18毎日新聞)。これら民主主義とは無縁の議員に投票した人が、そのまま「9条改正」や「集団的自衛権」行使、原発の維持、推進に賛成というのが虚構であるのは明らかだが、他方で、3・11以降の悲惨な現実を受けても、なお原発問題や「憲法9条」等改悪問題が、自分の生活環境を改善する上での重要課題とはなっていないという深刻な問題が、あらためて浮き彫りになっている事実に目を背けることはできない。この課題を直視し、地域,現場からの闘いをいっそう強力に持続発展させることで、国会での極右議員の暴走を阻止し、戦争、原発推進勢力を政治の舞台から引きずりおろすために、行動を一時も止めることはできない。

この闘いをすすめるにあたって教訓とすべき闘いがある。今回54議席も掠め取った橋下らの「維新」と全く同様に、巧妙に知事の座を奪い取った共和党スコット・ウォーカー知事による公務員の団体交渉制度の解体をはじめとした、人権破壊、民主主義破壊の攻撃と闘った米ウィスコンシン州マディソンの闘いである。

この闘いを紹介した著書のひとつ「市民蜂起 ウォール街占拠前夜のウィスコンシン2011」(ジョン・ニコルス著)には、こう記されている。「民主主義は投票日で終わりではないということだった」「投票日は民主主義を始める日である。市民が公職者を選ぶのは、次の選挙まで自分たちを支配してもらうためにではない」「ウィスコンシンの最も優れた知事であったロバート・ラフォレットは、泥棒貴族が横行した時代に、次のように警告している。『われわれの政府の形態は民主主義的だから、政府は自動的に民主主義的な結果を生み出しているという前提に安住してきた。今では、どんな形態や名前の民主主義的機構も、自動的に機能するような神秘的な力を持っていない。専制、抑圧は民主主義的な形態の下でも、他の形態の下でと同様に起こりうる。われわれは民主主義が生き物であり、継続的な闘いを内包していることを理解するのが遅すぎた。代表制の政府の理想に近いものを実現できるのは、それぞれの世代の民主主義を愛する人たちが、敵による浸食に抵抗するときのみである』」。

(議員の)数だけを見ると絶望的に見える今回の選挙結果も、「投票日は民主主義を始める日」であり、これからの地域、現場での抵抗、闘いが「戦争・原発」推進議員の野望を砕き、民主主義実現への希望
を作り出せるかどうか決定付けることをあらためて確認しよう。ウィスコンシン州をはじめ世界の人々とともに、遠い未来の願いでもなく、4年を待つことなく、民主主義実現が可能であることを証明する行動に今から踏み出そう。

「むすぶ」目次(2012年12月号)2012/12/27 11:06

■ 今月を視る/ 9条改悪、原発推進政権の登場に
           地域、現場の闘いのいっそうの強化で正面対決を!
■ 寄稿/平和な島に、軍事的な緊張は持ち込まないで・・・ 沖縄国大 西岡信之
■ 平和と生活をむすぶ Q&A/「震災がれき広域処理」訴訟の闘いへ
■ 報告/ 大飯・敦賀・東通原発 活断層に関する現地調査状況
■ 読者つうしん/ 弱さの自覚から闘いへ 入れ墨調査不当処分撤回 堺市 石黒和代                         
■ 詩「ガレキの鼓動」(丁章)& おしらせ