「今月を視る」 (「むすぶ」2013年1月号より)2013/01/19 09:50

基地・オスプレイ・放射能ばらまきへの怒りは消えない
    「本家」戦争・原発推進の安倍政権にとことん対決を!

支持を拡げたわけではないのに、民主党の極端な信用失墜と小選挙区制のマジックによって議席をかすめとり、再び権力の座についた安倍政権。「国防強化」や改憲、エネルギー「ベスト・ミックス」が「国民から支持された」との曲解をもとに、かつての政権投げ出しで、やり残した軍備強化計画、原発再稼働に年明け早速着手である。沖縄基地問題も原発問題もまるで何も無かったかのように、「鳩山」以前への「逆走」はハイスピードだ。ほとんど死に体となっていた名護新基地建設は「既定路線」とし、「ていねいな説明」で「地元の理解を」と、「問題だらけ」の閣僚を「沖縄詣」させるという。「ふざけるな!」と思わず声をあげたのは、米空軍が空軍型オスプレイ(CV22オスプレイ)を嘉手納基地に今後10機程度配備していくことを検討しているという報道だ(1/14 毎日)。「日米同盟強化」を掲げる安倍政権誕生を見極めての米軍の対応と言える。さらに、民主党の「約40年後原発ゼロ」さえ白紙にし、3年後に「原発比率をいくらにするのかなどの結論を出す」と事実上の「脱原発」反古、さらには、既存原発の再稼働、安倍の地元・上関原発を含む新規原発のGOサインの口実づくりに躍起になっている。

安倍政権の軍備強化の「当面の目標」は①改憲のための国会手続き(発議)条項改悪(96条)②自衛隊を「国防軍」に「格上げ」③集団的自衛権に関する従来の政府解釈の「見直し」などである。政府は、これらの環境整備として、2013年度当初予算案の概算要求で、今年度当初予算(4兆7138億円)より1000億円を積み増す異例の規模の増額を求めた。これは民主党への政権交代前と同水準で、11年ぶりである。さらに、補正予算案にも防衛費としては過去最大規模の2124億円を計上。「日米同盟強化と中国への対抗」を口実にした安倍政権の軍事強化姿勢は鮮明である。増額分が何に充てられるか具体的に明らかになっていないが、「自衛隊の即応性向上のほか、領土・領海・領空の防衛力整備など…。13年度末の自衛官定数を24万6758人(12年度末比414人減)とした民主党政権の人員削減計画も撤回し、90%前後となっている充足率を高めることで人員の実質増を図ることを盛り込んだ」(1/12毎日新聞)という。安倍政権の「防衛費」優遇は顕著だ。

安倍政権の最優先課題は集団的自衛権の政府解釈の「見直し」である。訪米、首脳会談の「手土産」にしたい安倍の下心は見え見えだ。集団的自衛権は、端的に言えば、軍事同盟によって同盟国の関与する戦闘に参加する「権利」ないしは「義務」のこと。憲法9条を否定する勢力は,国連憲章のいう「自衛権」や「集団的自衛権」を事ある毎に持ち出すが、これらは第二次世界大戦前後の世界の軍事と戦争に関する「平均的」な認識、考え方であり、第二次世界大戦において最も過酷な加害と被害を経験した日本が一切の交戦権を放棄した憲法9条二項を受け入れた歴史的背景を忘れてはいけない。憲法9条二項は「集団的自衛権」はおろか「自衛権」も認めていないことは明白だ。そもそも、近代戦争において「自衛」以外に交戦の理由をあげた国はないからだ。安倍がかつての首相時代に「集団的自衛権」の政府解釈「見直し」に際して、具体的ケースとして例示したのは①公海上で攻撃された米軍艦船の防護②米国を狙った弾道ミサイルの迎撃③国連平和維持活動(PKO)に参加中に攻撃された他国軍の救援④戦闘地域での他国軍への後方支援、である。これらが、海外での自衛隊の武力行使を想定していることは明らかだ。改憲によらずとも自衛隊の海外での武力行使に道を開く「集団的自衛権」の容認は絶対認められない。

新しい衆議院議員の70%以上が「改憲」「集団的自衛権」の政府解釈見直しに賛成というが、国民の世論は「9条改正」に52%が反対(賛成36%)、「集団的自衛権」の政府解釈の変更(集団的自衛権行使容認)に反対が37%(賛成28%)(毎日新聞 12/28)と「軍備強化」や改憲を支持していない。闘いを具体化、継続するなら、安倍政権の大軍拡策動は阻止できる。

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