今月を視る(「むすぶ」2014年6月号より)2014/07/24 10:36

―武器を売り、原発を輸出し、いつでも、どこでも武力行使する―
     国のあり方根本から変える「閣議決定」許さない!

一握りの連中の金儲けのためなら何でもする。武器を売り、原発の輸出に規制など必要ない。その連中の権益を守るためには、いつでも、どこでも武力行使できるようにする。安倍政権が強引にすすめる集団的自衛権行使容認の「閣議決定」がめざしているものの正体である。安倍政権にとって、この「閣議決定」=解釈改憲は「金儲けのためなら何でもできる」ように、国のあり方を根本から変える道筋の重要な端緒である。

その集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を7月上旬にも行うことで、自民、公明の与党合意がすでにできあがりつつあると報道されている。結局のところ、「国民の利益」や「平和な社会」よりも連立与党であることの方が大切な公明党本部、執行部を最後は屈服させるといういつものパターンでの国会「決着」である。だが、国会議員の数の力だけによる「閣議決定」の強行が、「金儲けのためなら何でもできる」国の形への国民合意とりつけに一歩前進したことを意味するものではない。

安倍政権にとって、無理を重ねた「閣議決定」がこれ以上「危険な安倍政権はいらない」との国内外の警戒世論をいっそう高めることになる。すでに、自民党が「集団的自衛権行使が必要な事例」としてあげた8例(①邦人輸送中の米艦防護、②攻撃を受ける米艦の防護、③武器輸送が疑われる船の公海上での臨検、④米国に向かう弾道ミサイルの迎撃、⑤弾道ミサイル発射を警戒する米イージス艦の防護、⑥米国本土が攻撃された場合に日本付近で行動する米艦の防護、⑦国際的な機雷掃海活動への参加、⑧民間船舶の共同護衛)の全てが、外交・軍事の知識が少しでもあればありえない「非現実的な『事例集』」(毎日新聞)、つくり話の類にすぎないことが、多方面で徹底的に暴露されている。

中央本部が「与党であること」にしがみつく公明党にあっては、国会議員、地方議員、党員、支持団体から執行部に対する批判が高まっている。自民党でも地方支部から本部に対する批判が出だし、岐阜県連のように、県内の市町村議会に「慎重審議を求める」意見書を要請している例もある。全国での「慎重審議を求める意見書」採択は、少なくない自治体議会ですでにあげられている。基地が集中し、集団的自衛権行使による影響の大きい沖縄では、読谷村、那覇市、北中城村で相次いで採択された。

他方で、自民党本部は、集団的自衛権行使容認を後押しするための「憲法改正の早期実現を求める意見書」をあげるよう地方支部に指示し、いくつかの県議会や市町村議会で採択されているが、維新との野合による大阪市議会(5月)での採択に続いて堺市議会でも意表をついて6月議会に議員提案による意見書(大阪市議会のものと一言一句変わらない文)採択を画策したが失敗した(6月24日、本会議)。「無責任極まる与党協議」(毎日新聞社説)への怒りは確実に高まっている。

国会をめぐる状況への対応、行動は極めて重要である。しかし、それ以上に重要なのは、集団的自衛権行使の実態と直結する現地、現場での行動、闘いである。沖縄の普天間基地即時全面返還、名護・辺野古新基地建設を許さない闘いは、その代表である。6月23日、戦後69年の沖縄「慰霊の日」の「沖縄全戦没者追悼式」(沖縄県主催)に昨年に続いて、防衛、外務大臣などを引き連れて出席した安倍首相は、「普天間、辺野古」に一切触れず、抽象的、空疎に「負担軽減に全力で取り組む」を繰り返しただけであった。もはや、見え透いた「県民の苦しみ寄り添う」ポーズなど通用しない。「不信限界」の状態にもかかわらず、政府は、一方で、かつてどの政権も手をつけることができなかった辺野古沖海底ボウリング調査を強行する構えである。地元名護市の質問、要求には一切応えず、作業ヤードをキャンプ・シュワブ内に移す計画など姑息に準備をすすめている。

秋の県知事選を含め、名護・辺野古新基地建設を許さない闘いは、今まで以上に重要な局面を迎える。新基地建設を断念させることができれば、安倍内閣もろとも「金儲けのために、武力行使もする」国家づくりを葬り去ることができる。民主主義を決してあきらめないものたちの「本気の取組み」が求められている。

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