今月を視る(「むすぶ」2015年5・6月号より)2015/06/16 09:26

辺野古新基地建設―戦争法制定          
全国的な市民の声と行動で無謀な計画を断念させよう!

自衛隊の海外での武力行使を可能にする戦争法として「平和安全法制整備法案」(自衛隊法、「PKO法」、周辺事態法、船舶検査活動法、武力攻撃事態法などを一まとめ)とPKO派遣などでの武力行使拡大を目的にした新たな「国際平和支援法案」を国会に提出し、5月26日から審議が始まった。政府は、「平和」「安全」とは真逆のこれらの戦争法案が、憲法解釈の大転換となる法制であるにも関わらず、衆院での審議時間を「80時間程度」とし、今夏までに一気に衆院通過を図ろうとしている。こんな強引かつ無謀な計画は絶対に許すことができない。

安倍首相は、「戦争法案」との批判に「無責任なレッテル貼」だとヒステリックに反論したが、これまでの安倍首相の発言のほとんどが根拠のない決めつけや「レッテル貼」であり、空々しいウソであることが多くの人に知れわたっている。安倍首相は、先の日本の侵略戦争を当然のように「反省」していることを装うが、これこそ真っ赤なウソである。安倍首相は、衆院戦争法制特別委員会でポツダム宣言について、問われ、最初は「つまびらかに読んでいない」と一国の首相としては考えられない浅はかな答弁で逃れようとしたが、さらに追及されると「ポツダム宣言は、第6項の世界征服の部分を含め、当時の連合国側の政治的意図を表明した文書だ。政府としては、同項を含め、ポツダム宣言を受諾し、降伏したということに尽きる」と発言した。宣言の「世界征服」との指摘は政治的意図にすぎず、事実とは限らないと本音を曝け出したのだ。こんな歴史認識の政権の「国民の平和と安全のための最小限の武力行使」という説明を真に受けるものなどどこにもいない。世界は絶対に信用しない。

安倍首相は、「もはやどの国も一国のみで自国の安全を守ることができない」「厳格な歯止めしっかり定めた」「戦争に巻き込まれることは絶対にない」と繰り返しアピールしているが「もはやどの国も武力によっては国民の平和と安全を守ることができない」「一握りの政府首脳の判断で簡単に歯止めは外される」が歴史の真実であり、今回の戦争法は「戦争に巻き込まれる」から危険ではなく、自ら武力を行使し戦争に積極的に加わっていこうとする」から危険なのだ。米国は、体力も金力も低下した自らの現状で、それを補完する自衛隊の「貢献」は当面歓迎し、利用したいのが本音だが、日本はこの米国の思惑を利用し、自衛隊を「一人前の軍隊」として世界の前面に押し出したいというのが戦争法にかける安倍政権の本当の狙いなのだ。

一方、安倍政権の辺野古新基地建設への執念は異常ともいえる。新基地は、単に「米国の意向」というものではない。新基地は安倍政権にとって戦争法制の実態を形づける最も重要な柱の一つである。具体的には辺野古新基地は、自衛隊の武力行使の出撃拠点と位置付けられているのだ。

菅官房長官は、翁長知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した場合でも、「工事を進める」と発言し、辺野古新基地建設阻止の運動に挑戦的構えを示した。また政府筋は「工事を進めながら裁判で争うことになる」と記者団に述べたという。だが、沖縄の人々の「絶対に新基地は作らせない」という決意に決して後戻りはない。そして、沖縄の人々の決意への共感は日本全国、全世界へ大きく広がっている。恐れと焦りを強めているのは政府の側である。

5月末の琉球新報と沖縄テレビの合同世論調査では「埋め立て承認取り消す方針を示している翁長雄志知事の姿勢を77.2%が支持し、県内移設への反対は83.0%となった」。毎日新聞の全国世論調査(5月23、24両日)では「集団的自衛権の行使など自衛隊の海外での活動を広げる安全保障関連法案については「反対」との回答が53%で、「賛成」は34%だった」。

戦争法制は「いつでもどこでも武力行使」が本当の狙いであることを徹底的に、具体的に多くの市民に知らせることで、53%の反対が60%となり70%となる。辺野古新基地建設も戦争法制も葬り去る道筋は確固として存在している。

「むすぶ」目次(2015年5・6月号)2015/06/16 09:27

■ 今月を視る/ 辺野古新基地建設―戦争法制定  
全国的な市民の声と行動で無謀な計画を断念させよう!
■ 報告/ 大阪ガレキ裁判・証人尋問より  広域処理の不当性と非人道性を見事に立証!  
■ Q&A/ 私たちは「戦争する国」への暴走を許さない!
           安倍政権による安保関連法制の根こそぎ改変阻止を!
■ Book Corner/『2015年「子どもたちを戦争へとみちびく教科書」をゼロ採択に!』
                   東大阪の公民教科書を読む会  桐生隆文
■ 読者つうしん/介護福祉HEARTユニオン結成しました! なかまユニオン 松下さとみ
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