今月を視る(「むすぶ」2015年9月号より)2015/10/12 18:30

安倍政権と戦争法が映し出す社会の危機に対し
民主主義を問う根本的な闘いが始まった!

戦争法案成立を前提とした自衛隊の編成、運用計画の策定(国会審議前に防衛相が指示して策定させた防衛省統合幕僚監部の内部資料の存在が暴露)を「研究」と言い、沖縄うるま沖での米軍機(米陸軍所属のMH60ヘリ)墜落事件で明らかになった自衛隊参加による事実上の日米合同訓練を「研修」と言い募り、追及を逃れようとする。「丁寧な説明」どころか子供でも首をかしげてしまうごまかしを連発する安倍政権に、元来「反自民」ではない市民層からも「安倍はおかしい」「安倍は危ない」とのまっとうな「感覚」が大きく広がっている。もはや、安倍政権に「今後」はないことがほぼ見えてきた。

さらに、安倍政権は、ほとんどの憲法学者が集団的自衛権行使を可能とする安保法制=戦争法は違憲と表明してきたことに対して、苦しまぎれに「合憲か違憲かを判断するのは学者ではなく最高裁だ」と居直ってきたが、9月1日、山口繁・元最高裁長官が『「少なくとも集団的自衛権の行使を認める立法は違憲だと言わざるを得ない」と述べた。安倍内閣が従来の憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定について、「(解釈変更に)論理的整合性があるというのなら、(政府は)これまでの見解が間違いだったと言うべきだ」と語った。』(朝日新聞)と安保法案を「違憲」とする見解を明快に示した。安倍らが「唯一無二」の最高裁判決として、戦争法の根拠とする1959年の砂川事件最高裁判決についても、「当時の最高裁が集団的自衛権を意識していたとは到底考えられないし、(憲法で)集団的自衛権や個別的自衛権の行使が認められるかを判断する必要もなかった」とはっきりと批判した。安倍政権にはもはや戦争法を正当化する理屈は何一つ残されていない。

一方、名護・辺野古新基地建設をめぐる沖縄県と政府による集中協議が9月7日の第5回会合をもって終了、協議は決裂した。政府は協議期間終了後の9月10日以降に辺野古での工事再開方針を表明したが、翁長知事は、協議後、「全力を挙げて、あらゆる手段で阻止させていただく」と重ねて強調し、国連演説前の「埋め立て承認取り消し」を強く示唆した。翁長知事は、国連人権理事会で「米軍の新基地建設に反対し自己決定権を求める」演説を9月22日に行う。米国内においても全米ではじめて「沖縄と連帯する決議」がカリフォルニア州バークレー市議会で提案され、現地時間9月15日に採決が行われる。舞台は世界に大きく広がっている。この広がりは、安倍政権の暴走を押しとどめる大きな力となるに違いない。

戦争法制を強引にすすめる政府と自衛隊幹部たちの特徴的な手法の一つは、法律と無関係に訓練を行い、既成事実化していこうというものである。参議院での審議中であるにもかかわらず、戦争法の先取りと言える大規模な上陸作戦を想定した日米合同訓練が8月31日から実施されている。カリフォルニア州の海兵隊基地で行われている「ドーン・ブリッツ」、「夜明けの電撃」と名付けられたこの訓練には、3年前から陸海空3自衛隊が1000人規模で参加し、海自の実質空母といえる大型護衛艦「ひゅうが」にオスプレイを着艦させるなど自衛隊は「普通の軍隊」として振舞っている。さらに、今年は、初めて後方支援部隊30人を参加させた。米海兵隊の上陸後というのは、あまりに違法、露骨すぎるということで自衛隊が上陸した後、後方支援部隊が上陸、すでに上陸した部隊の補給等体勢を整えるという「気の使いよう」であったという。文民統制の取り外しに腐心してきた自衛隊。この間の暴走の一端が明確に表れている。

もはや、問われているのは、安保法制=戦争法だけではない。安倍政権の国会審議の無効化、民意無視、立憲主義の否定に対して、市民の側からの「民主主義とは何か」の根本的な問いである。民主主義を問う根本的な闘いは力強く始まっているのであり、国会の状況がどうであれ、事態の進展に具体的に対処し、闘いを継続、前進させる道筋は大きく広がっている。自信をもって前進しよう。

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