今月を視る(「むすぶ」2016年1月号より)2016/02/09 14:29

「日本軍慰安婦」-辺野古新基地建設-高浜原発再稼働
被害者の人権を無視する「解決」など許さない!

人権の尊重や奪われた人権の回復は最優先でなければならない。民主主義の本質はここにある。被害者の人権を後回しにし、「国益」、「公益」を優先させる政治は、民主主義とは無縁である。

日韓政権の都合を最優先した「合意」
昨年12月28日、「日本軍慰安婦」問題について日韓外相会談が開催、政府間合意が発表された。「合意」内容は「当時の軍の関与の下に」、「日本政府は責任を痛感し」、「心からおわびと反省の気持ちを表明し」など、これまでの安倍政権の「日本に責任はない」とする歴史修正主義姿勢からすると一見いく分の「前進」、「少しはまし」との感もあるが、基本的には1993年の「河野談話」の基本的な枠組みと姿勢を越えるものでなく、後退とさえいえる部分が多く含まれる。日本政府の予算で10億円を拠出する「全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒しのための事業」は「アジア女性基金」からすれば「一歩前進」は確かだが、これをもって「不可逆的に解決されることを確認」(これで終わりだ!との通告)し、大使館前に設置された「少女像」などの撤去を要求するに至っては、加害者である日本政府の傲慢な態度が浮き出ており、被害当事者であるオモニたちが「誠実な反省と謝罪」を微塵も感じ取ることができないのは当然である。
韓国では、50年前の1965年、現在の朴・クネ大統領の父親である朴・チョンヒ大統領(当時)が植民地支配被害者を置き去りにし、米国主導の反共冷戦政策にもとづく「国益」のために日本政府と野合して締結した「日韓条約」=「日韓請求権協定」と同じ構図の裏切りと過ちを再び犯そうとしているとの批判が起こっている。
一方、日本では50年前の「日韓条約」に対して、「反共冷戦政策」「朝鮮の分断固定化」を批判する観点での反対運動はあったものの、植民地支配の清算という観点からの反対運動はほとんどなかった。
だが、「慰安婦」被害者をはじめとした植民地支配被害者の闘いは、植民地支配の清算が日本社会の民主化にとって欠かすことのできない重要な課題として押し上げてきた。
被害者が納得しない「解決」などありえない。韓国世論調査でも「少女像」移転反対は66.3%(20代は反対86.8%)に上っており(毎日新聞)、すべての植民地支配被害者とともに真の解決を求める声と取組みを強めなければならない

「沖縄の民意など関係ない」の安倍国会答弁は許さない
安倍首相は12日、衆院予算委員会の基本的質疑で、参院選で改選を迎える沖縄選挙区の島尻沖縄・北方担当相が落選した場合の対応を問われ、「安全保障に関わることは国全体で決める。一地域の選挙によって決めることはない」と強弁した。憲法はおろか地方分権法も無視する安倍のこんな手法は、国際社会で通用しない。
バークレー市に続き12月21日には米北東部マサチューセッツ州のケンブリッジ市議会が、辺野古の新基地建設に反対する決議を可決。1月12日には、ハワイ州ホノルル市議会が公聴会で辺野古新基地建設反対決議について審議され、15日に採決が行われる。米国内でも沖縄の新基地建設反対の訴えが大きく広がっている。
全国で辺野古新基地建設反対の声を大きく広げること。これが県外に住む住民が負うべき責任であり、最も重大な課題である。

被ばく者の声に背く高浜原発再稼働容認の福井地裁異議審決定は許さない
 12月24日、福井地裁は、4月の出された原発運転差し止め仮処分決定をくつがえし、高浜原発3・4号機の再稼働を容認する異議審決定を行った。裁判所人事にも露骨に介入するアベ政治の結果とも言えるものであり、不当極まりない。だが、「原発NO!」の世論に揺るぎはない。原発再稼働反対の声と行動をさらに強めよう。
 戦争法廃止とむすんで、これらの課題を見据え、取組みをしっかりとつくっていこう。

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