今月を視る(「むすぶ」2016年2月号より)2016/02/27 08:36

―「9条改憲」を打ち出した安倍政権―
辺野古新基地建設阻止で安倍政権の野望を砕こう!

改憲を打ち出した安倍政権
「慰安婦」問題をめぐる昨年末の日韓合意で日本政府に全く誠意がないことがあらためて明確になった。2月16日に開かれた国連の女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、日本政府は「強制確認できず」と従来通りの主張を展開。朝日新聞の「吉田清治氏証言に基づく記事」の誤り、撤回(2014年)を引き合いに出し、日本軍「慰安婦」の強制連行は虚偽であるかのごとき主張に終始した。こんな日本政府の不誠実な態度に被害者が納得するはずがないのは当然だ。
 高市早苗総務相は衆院予算委員会(2月9日)で、放送法4条(「政治的に公平であること」)違反を理由に「電波停止を命じる可能性」に言及した。民主党議員の質問と追及に対しても、撤回どころか「私が総務相のときに電波を停止することはないが、将来にわたって罰則規定を一切適用しないことまでは担保できない」と居直り、政権批判を行うジャーナリズムに威嚇を続けた。菅義偉官房長官が「(高市氏は)当たり前のことを答弁したに過ぎない」と述べたとおり、 憲法を敵視し、傲慢極まるこの政治姿勢こそ安倍政権の特徴的な体質である。
 頭目の安倍首相はNHK番組(1月10日)で、一部野党(おおさか維新を念頭に「改憲に前向きな、未来への責任感の強い人たち」と持ち上げた)の協力を得て、参院で憲法改正発議に必要な3分の2の議席を目指すと表明。 さらに、衆院予算委員会(2月3日)で稲田朋美議員(自民党)の「自衛隊を憲法違反としている憲法学者が7割いる。(戦力不保持を定めた)9条2項はこのままでいいのか」との御用質問に対し「自衛隊に疑いを持つ状況をなくすべきではないかという考え方もある」と、憲法9条2項の撤廃、「国防軍」設置へ明確に踏み込む発言を行った。憲法違反の現状を変えるのではなく、現状を合憲とするために憲法を変えるという逆立ちした理屈だ。安倍政権はついに反憲法、反民主主義の本音をむき出しにした専制政治へと突き進みつつある。
 
沖縄の「新基地は作らせない」闘いが、政府の改憲、大軍拡に正面対決
安倍政権の改憲に向けた暴走に世論の後押しがあるわけではない。毎日新聞(1月31日)の全国世論調査では、参院選の結果、改憲勢力が3分の2以上の議席を占めることを「期待しない」との回答は46%で、「期待する」の40%を上回っている。とりわけ、支持政党はないと答えた無党派層では「期待しない」が57%に上った。これは、きちっと安倍政権の危険性を知らせ、闘えば、安倍改憲勢力を孤立させることができる世論が存在していることを示している。
 残念なことに宜野湾市長選挙には敗北したが、辺野古新基地反対の沖縄の民意が変わったわけではない。出口調査で、投票した人のうち辺野古新基地に反対が56~57%、新基地建設を強引にすすめる政府に反対が55%を占めたことに明らかなように、宜野湾市民は辺野古新基地を決して容認していない。選挙結果について、単なる選挙戦術の問題としてではなく、運動の観点から真摯な総括が必要だが、この結果を数少ない口実に工事強行を加速させようとする政府のやり方は絶対許すことはできない。シュワブゲート前の闘いは、予想される政府の工事強行に対し一切怯むことなく粘り強い闘いを繰り広げている。翁長知事も、代執行訴訟等裁判闘争に全力をあげるとともに、その結果にかかわらず、あらゆる手段を駆使して「新基地は絶対につくらせない」ことをあらためて表明した。
 この沖縄の闘いに全国から合流する闘いを築くことこそ、大軍拡、改憲を阻む確実な道である。

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