今月を視る(「むすぶ」2016年9月号より)2016/09/21 10:16

朝鮮政府の核開発行動に抗議し、ストップにむけて
唯一の答は北東アジアの非核化、軍縮政策の具体化!

朝鮮の「核開発」行動は世界の反核平和に対する重大な背信
 朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)政府の核実験強行は被ばく者をはじめ核廃絶を願い、粘り強く取り組む世界の人々に対する重大な裏切りであり、到底容認することはできない。繰り返される朝鮮政府の核実験やミサイル発射をやめさせることは、喫緊の課題である。そのために最も必要なことは軍縮環境の具体化以外にない。朝鮮の行動が米国などの核・軍事力への対抗を最大の目的としている以上、同じ好戦勢力による「非難声明」や軍事的圧力、制裁には何の意味もない。むしろ、緊張激化は増大する一方となる。

日本政府による軍縮政策への敵対
緊張激化の一方の当事者である米国のオバマ大統領が検討しているとされる核兵器の先制不使用政策は核軍縮への具体的一歩となりえる。とくに、朝鮮との対話の端緒をつくる契機となる可能性があり、北東アジア全体の緊張緩和に有用な政策となるはずであった。
 だが、このオバマ政権の「ささやかな一歩」さえつぶそうと暗躍する勢力が存在する。その代表的存在の一つが日本政府だ。米ワシントン・ポスト紙は「安倍首相は米国が『先制不使用』政策を採用すれば、北朝鮮に対する核抑止力に影響が出ると反対の考えを述べた」と伝えている。ここに、「核兵器廃絶」は口先だけで独自核武装さえ視野に入れ、軍縮政策に背を向ける軍事大国日本の悪質で危険な姿がある。この事実を広く知らせ、安倍政権に対し、「防衛強化」の名による軍拡ではなく、軍縮政策の具体化を迫っていくことが急務だ。

核兵器禁止条約の推進が世界の主流
一方、核軍縮を要求する世界の流れは急速に強まっている。国連欧州本部(ジュネーブ)で開かれていた核軍縮作業部会で核兵器禁止条約の交渉を来年中に開始するよう国連総会に勧告した報告書が8月19日、採択された。賛成68、反対22、棄権13という投票結果だった。同16日の作業部会では、100カ国以上が来年中に核兵器禁止条約の交渉を開始すべきとの立場を表明し、条約推進が世界のすう勢であることを明確に示した。こうした国連での動きは昨年来からの継続した動きであり、この秋の国連総会で動きはいっそう本格化する。
 他方、日本政府は、ここでも「時期尚早」「投票による採択は、核軍縮を巡る国際社会の分断を一層進めることになりかねない」と棄権にまわり、事実上、報告書に反対する立場を示した。
 こうした日本の姿勢に対し、国連参加のNGOは、オバマ政権の核兵器先制不使用政策に日本や韓国が反対の意向を伝えたとの米紙報道を引用し、「核軍縮に反対している真の敵はここ(会議場)にいる」と公然と厳しく批判した。この世界の声に連動し、軍拡一本やりの安倍政権を追いつめ、北東アジア非核化への展望を切り開こう。

辺野古、高江の闘いー全国の地域で支持を広げよう
 沖縄の米軍基地強化は、韓国のTHAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)配備と合わせ、北東アジア全体に新たな緊張激化をもたらす軍拡政策である。日本政府は、米軍基地強化に対して、単に「支持」や「協力」でなく積極的推進の立場に立っている。全国から500名を上回る機動隊を動員し、抗議する市民に襲いかかるのは、米軍基地強化が自らの重要課題と位置付けているからである。これ自体、すでに朝鮮、中国、ロシアなどへの軍事的敵対行動と言っても過言ではない。辺野古、高江など沖縄米軍基地強化をストップさせることは、北東アジア非核化の展望を開くことである。自らの要求として辺野古、高江の問題を地域、自治体に押し上げる取組みをすすめよう。

「むすぶ」目次(2016年9月号)2016/09/21 10:17

■ 今月を視る/ 朝鮮政府の核開発行動に抗議し、ストップにむけて
       唯一の答えは北東アジアの非核化、軍縮政策の具体化!
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