今月を視る(「むすぶ」2017年3月号より)2017/03/28 09:25

「神の国」小学校建設 ― 南スーダン「戦闘」隠ぺい ―
「敵基地先制攻撃」―「共謀罪」-沖縄新基地建設無法強行
戦争国家づくりの本性を曝け出した安倍政権を葬るとき!

暗黒の市民監視社会に道開く「共謀罪」
「共謀罪」法案が3月21日、閣議決定され、国会に提出された。提出された法案は「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案との形をとるが、これまで3度廃案となった「共謀罪」の「凶暴性」、「危険性」に変化はない。捜査機関の勝手な判断による運用で市民監視社会に道を開くという本質は何も変わっていない。まさに、戦前の「治安維持法」と重なるものだ。共謀罪が成立すれば、安倍政権はどんなことをするのか、その具体的なイメージを持って闘う必要がある。
すぐ、頭に浮かぶのは、昨年6月参議院選の直前、大分県の労働組合などが入る建物の敷地に県警の捜査員がビデオカメラ2台を隠して設置していた事件だ。県警は捜査員が無断で敷地に立ち入ったとして「不適切な行為だった」と謝罪したが、捜査の目的は曖昧にされたままだ。「不適切な行為」どころではない。「共謀罪」の成立で、現行法では明らかな違法捜査が合法化され、警察等の人権無視、憲法違反の活動が日常化する。
沖縄では、市民の新基地建設に対する抗議活動に対して、すでに「共謀罪」の「試験適用」を思わせる異常な捜査、逮捕が警察等によって行われ、司法が追認するという事態が作り出されている。山城博治さんらの逮捕、長期勾留は、本来なら立件すら疑わしい事案を公務執行妨害などとして起訴した象徴的な事件だ。また、この過程では、基地反対運動に携わる関係者やメールの送受信記録を警察が手中にしたとみられる。これは、「共謀罪」を先取りするものである。政権批判を封じることが「共謀罪」に込めた安倍政権の目的である以上、今後、米軍基地周辺で行われる抗議活動が「兵器や弾薬などの損壊行為に向けた下見」とでっち上げられ、「共謀罪」の適用対象になるという状況も考えられる。全国で行われる反基地の調査活動や抗議行動も同じだ。沖縄の新基地建設反対運動に対する弾圧を跳ね返すことで、「共謀罪」に立ち向かい、廃案に追い込もう。

ウソと隠ぺいは軍隊と安倍政権の常
 稲田防衛相と自衛隊のウソが次々と暴露された。政府は、南スーダンPKO派遣部隊の撤収を5月に行う方針を決定したが、撤収理由は「南スーダンが戦闘状態にあるからではない」と言い募ることを止めない。「戦闘状態」を認めれば、憲法とPKO法違反(停戦合意の崩壊)を認めることになるからだ。
 防衛省は、昨年9月に日報の情報公開請求を受けた際、派遣部隊と上部部隊の陸自中央即応集団(CRF)で文書を探しつつ、統幕(統合幕僚監部)にも意見照会をした上で「廃棄して不存在」として12月に不開示を決定した。これが最初のウソ。それでも隠し続けることが難しいとみると、稲田防衛相に指示による「再探索」の結果、統幕に日報の電子データが保管されていたと取り繕い、ようやく開示した。新たに暴露されたウソは、「廃棄したので存在しない」としていた陸自内で、日報の電子データが保管されていたことだ。しかも、防衛省は、12月の「再探索」の時点で陸自が保管している事実を把握しながら、統幕の指示で、つじつま合わせのために今年に入ってデータを消去した可能性が高いという。防衛省の組織ぐるみの隠ぺい工作は明らかだ。
もはや、稲田防衛相の責任は重大であり、辞任は必然である。それでも安倍首相が、稲田の辞任を認めないのは、安倍政権崩壊につながるからだ。安倍政権は、PKO部隊の撤収と同様に、「防衛省改革」の「任務完了」の末の「稲田退任」を準備しているのかもしれない。そんな姑息な筋書きを許してはならない。あくまで稲田の辞任を要求し、安倍内閣追及の手を緩めてはならない。
「敵基地攻撃能力」に踏み込む軍拡策動
 「森友疑惑」や南スーダン派遣部隊の「戦闘」記述日報隠ぺいの再発覚などで、安倍政権が窮地に陥る中、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)が弾道ミサイル4発を発射した(3月6日)。いつもそうだが、日本政府は、朝鮮のミサイル発射などを政権への「疑惑そらし」だけでなく、新たな軍拡のための「好材料」として最大限に利用する。ここぞとばかりに「新たな脅威」が宣伝され、「次はICBM(大陸間弾道弾)発射実験か」との宣伝も用意された。
朝鮮政府は、「核ミサイル保有で安全にはならず、武力発動で出口が見つかるわけでもない」(王毅中国外相)という現実に直ちに向き合わなければならない。
 そもそも、米軍の「7日間戦争論」(米軍が朝鮮政権を崩壊させるのにはわずかな日時で可能との見方)に見られるように米軍も自衛隊も朝鮮の軍事力をほとんど問題にしていない。朝鮮の核戦力もその意味では同様であるとされる。それでも、朝鮮に軍事的威嚇や挑発を続けるのは、冷戦後(ソ連崩壊後)の新たな「脅威」が必要だったからである。
 今回の米韓合同演習で、米原子力空母カール・ビンソンや最新鋭ステルス戦闘機F35B(垂直離着陸型)などを投入したのは、朝鮮の軍事的対応を引き出すためと言っても過言ではない。「新たな脅威」としての朝鮮のミサイル発射をも想定した計画的挑発行為と言える。だが、「新たな脅威」に対抗して増強される軍事力の矛先は中国にあることは間違いない。
今回の事態で日米政府は何を狙ったか。米軍にとっては、「高高度防衛ミサイル(THAADサード)」(Xバンドレーダーとのセットで中国やロシアの軍事情報を丸裸にできる)の在韓米軍への配備を早め、韓国の大統領選挙前にも既成事実化することが当面の目的だ。自衛隊にとっては、「敵基地攻撃能力」論に端的な「脱専守防衛」を意味する海外展開能力のステップアップである。精密誘導爆弾を搭載した戦闘機や、弾道ミサイル、巡航ミサイルなどがその兵器にあたる。自衛隊はすでに、2017年度に三沢基地にF35A(最新鋭ステルス戦闘機)の配備を決定している。これに精密誘導爆弾を搭載すれば容易に「敵基地攻撃能力」の一つが備わる。まさに、朝鮮のミサイル発射を口実にした大軍拡である。
 軍拡ではなく軍縮こそが朝鮮半島危機を回避する唯一の道であることを訴える取組みの具体化が求められる。実例は、兵員、装備(兵器)とも半減以上の軍縮を達成したEU諸国の粘り強い交渉経験だ。核兵器禁止条約の交渉を今年3月に開始するとの国連決議採択の力強い動きもある。日米の軍拡に対抗し、世界の潮流は軍縮にあること、この流れを東アジアに反映する必要性を訴えていこう。

国会内外での追及とむすんで辺野古新基地建設阻止の闘いを前進させよう
 沖縄の辺野古新基地建設をめぐる問題は、安倍政権の足元を揺るがし続けている。反対運動の「あきらめ」を狙い無法を際立たせて「海上本体工事着工」を強行した安倍政権への闘いに、怯みは一切ない。
 翁長知事は、「4月以降に無許可の岩礁破砕行為が行われた場合、工事の差し止め訴訟の検討も含めあらゆる法的手段を駆使する」と正式に表明した。3月末に期限を迎える岩礁破砕許可の更新を申請しない政府・防衛局に対し、4月にも対抗措置として無許可の岩礁破砕を確認した上で工事の差し止め訴訟を提起する方針を固め、判決まで工事を停止する仮処分も申し立てることを打ちだした。
 3月25日には「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」が「建設工事再開」に抗議する大規模集会を米軍キャンプ・シュワブのメインゲート前で開催する。3千人規模が目標だ。翁長雄志知事も参加する予定だ。沖縄現地での闘いに応え、全国での闘いを強めよう。

国会内外での安倍政権追及の闘いとむすんで、辺野古新基地建設阻止の闘いを
前進させよう!

「むすぶ」目次(2017年3月号)2017/03/28 09:27

■ 今月を視る/ 「神の国」小学校建設-南スーダン「戦闘」隠ぺい-
           「敵基地先制攻撃」-「共謀罪」- 沖縄新基地建設無法強行
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