今月を視る(「むすぶ」2017年6月号より)2017/07/07 15:18

共謀罪法―無法極まる強行「可決」糾弾!
「2020年改憲」-抑圧と戦争の社会阻止へあらゆる取組みを!

暗黒社会へ度重ねる無法行為
秘密保護法(2013年12月6日)、戦争法(2015年9月17日)に続いて、6月15日、共謀罪法が参議院本会議での強行採決によって三度強行成立させられた。法務委員会での採決を省略する「中間報告」という前代未聞の措置まで繰り出しての強行突破であった。これは、説明不能な法の内実だけでなく、「もり(森友)・かけ(加計)疑惑」に、何としても蓋をしたいがための焦りに焦った無茶苦茶な振る舞いであることは、だれの目にも明らかであった。
「一定の支持率低下は想定内」とうそぶく安倍政権だが、一番の「お友達新聞」である読売新聞でさえ内閣支持率は12ポイントも急落、毎日新聞では不支持が支持を完全に上回るという結果が突きつけられた。アベノミクスの新たな3本の矢が「原発輸出、武器輸出、カジノ」であり、「2020年改憲」に向かう社会が弱肉強食の抑圧と戦争の社会でしかないことをはっきりと浮かび上がらせている。安倍政権への不信と怒りを広め、追及の手を緩めてはならないときだ。

国会外でもすすめられる「抑圧と戦争の社会」の実体化
国会等での無茶な政治運営は少なくともメディアで扱われるが、安倍政権の危険な戦争政策の実体づくりはほとんどメディアにのることなく、すすめられる。沖縄・南西諸島へのミサイル基地建設と陸自衛隊配備大増強は、日本がめざす社会の方向を示す重大な政治動向の一つである。防衛省は8月にも、宮古島の基地建設に着手する方針を明らかにした。「既に駐屯地建設予定地の『千代田カントリークラブ』で測量や設計業務を実施しており、敷地造成など本格的な工事を8月に始めるため、今月中の用地取得に向けた手続きを進めている」(6月6日、琉球新報)。この動きを全国に知らせ、自衛隊配備に反対する宮古島や先島住民と共に、計画にストップをかける取組みをつくり出さなければならない。
他方、南西諸島配備の主力となる西部方面隊普通科連隊などが、6月3日、佐世保中心部の商店街で今年も800人の武装パレードを強行した。今年は初めて米海軍の佐世保基地からも兵士が参加、米軍と自衛隊の共同パレードとなった。「働く自衛隊」ではなく「戦う自衛隊」への鮮明なアピールである。
「2020年改憲」の本質が「戦う自衛隊」の公然化にあることを市民の多くに知らせ、肥大化した自衛隊の縮小を真っ向から訴える取組みを創意工夫して築き上げよう。

韓国新政権の「朝鮮半島の非核平和構想」実現へ 
安倍政権がめざす「抑圧と戦争」社会は北東アジアの非核・平和に全く役立たないだけでなく、極めて有害だ。朝鮮半島危機をめぐって、日米による「圧力強化」の恫喝に朝鮮が「ミサイル発射」で応えるという「不毛な応酬」が止まない。そもそも、安倍にもトランプにもこの危機を除去する気がないことは明らかだ。政権の延命に「脅威」を必要としているからだ。だが、国際社会は、一刻も早くこの危機を取り除く具体的行動を求めている。日本のメディアは、朝鮮半島危機回避の最大のかぎは中国の出方、とくに中国による「強い圧力」にあると言うが、これは全くの見当違いだ。ろうそく革命で韓国の民衆が生み出した文在演政権の対応が現実的展望である。大統領選挙戦中に発表された「朝鮮半島の非核平和構想」(①中国の役割ではなく、韓国の役割が重要である。中国を説得して6カ国協議を再開させ、米国を説得して米朝関係の改善を誘導し、北を説得して対話のテーブルに着かせる。②北の核放棄を先行条件とするのではなく、関連国すべてが同時行動の原則に依拠し、非核化と平和協定締結を包括的に推進すべきである。③南北首脳間の合意などは双方の国会批准を経て法制化する。開城工業団地の一方的な閉鎖など、政権交代による断絶を防止し永続性を保障したい)を具現化するための環境づくりに日米を協力させる取り組みが必要だ。
日本政府やメディアは、韓国新政権を「親北」、「反日」として歓迎していないが、「ろうそく革命」がめざしたものは、「親北」でも「反日」でもない。朝鮮半島に生きる人々の平和と安全であり、抑圧と戦争の除去である。安倍政権がつくり出すありもしない「脅威」に対抗し、「朝鮮半島の非核平和構想」の実現に向けて日本のあらゆる地域に平和の取組みを広げよう。

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