今月を視る(「むすぶ「2017年7・8月号より)2017/08/23 10:28

核兵器禁止条約採択-国際社会のすう勢は軍縮
自衛隊増強・軍拡止めろ! 今こそ軍縮を! 声を上げるとき

世界有数の軍隊としての自衛隊の実態
7月19日の毎日新聞夕刊の1面は、自衛隊に関する記事でほぼ埋まった。トップは、稲田防衛相による南スーダンPKO陸自日報隠蔽を了承していたとするスクープ記事の続報で、「稲田氏に2日前にも報告」との見出し記事。釈明に追われる稲田の写真の下には、「オスプレイ配備延期」「佐賀 工事間に合わず」との記事。「国防に協力する立場にある」(佐賀県知事)と述べさせて佐賀空港への陸自オスプレイ配備を急ぎつつも、スムーズでない現状をとらえた記事。そして、九州北部豪雨の被害に対して捜索活動などのために派遣された自衛隊員が赤谷川(朝倉市)の下流で黙とうする写真を前面に、「犠牲者へ祈り」とした囲み記事。この紙面には、自衛隊の現状をめぐって、強い疑念、懸念と災害派遣を評価する市民の視線の複雑な状況が現れている。
「日報隠蔽」は軍隊である自衛隊の秘密主義を端的に示すもの。陸自オスプレイの佐賀空港配備計画は、自衛隊がもはや「専守防衛の実力組織」などではなく、肥大化と外征軍化(海外で戦争する軍隊)によってすでに世界有数の軍隊であることを表している。災害救援活動は任務の一つになったものの自衛隊の本務は戦闘である。戦闘集団としての自衛隊の肥大化の中で、災害派遣活動はほんの一部に過ぎないが、あたかも戦闘と災害救援活動が肩を並べるかのような印象操作が行われてきた結果、いくつかの世論調査で「自衛隊容認」が大半となっていることは事実だ。だが、市民の多くは、「働く自衛隊」を期待しても、「戦う自衛隊」の肥大化を期待していないことも確かだ。「戦う自衛隊」の肥大化の実態を知らせ、自衛隊は軍縮の対象であること、縮小を求めることを世論に押し上げることが今日の平和運動の重要な課題となっている。

核兵器禁止条約は世界の声
安倍政権の自衛隊増強と軍拡一辺倒に対し、国際社会は軍縮がすう勢だ。それを象徴しているのが、核兵器禁止条約の採択である。7月7日、ニューヨークの国連本部で核兵器禁止条約が大多数(国連加盟国193国中122か国)の賛成で採択され、ついに核兵器を全面的に禁止する世界の法的枠組みが実現した。一握りの核保有国や日本を含む「核の傘下」国による執拗な妨害を撥ね退けてたどり着いた人類史上特筆すべき歴史的到達点である。
今回採択された核兵器禁止条約は核兵器の開発、実験、製造、保有、貯蔵、移譲、使用に加え、「使用の威嚇」なども禁止するものとなった。核保有国や日本など「核の傘下」国が安全保障上正当と主張している「核抑止力」は「使用の威嚇」そのものであり、これを否定したことの意味は大きい。条約は、現在の「威嚇競争」の現実を見据えて、「使用の威嚇」を明確に否定したのであり、この現実の課題に正面から向き合ったものだ。
核兵器禁止条約はスタート台に立ったばかりだが、「核兵器保有国が参加しない交渉や条約制定には意味がない」「非現実的だ」との主張が歴史を見ないデマであることに世界のすべての人々が気づく日はそう遠くはない。対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約も成立過程に保有大国の参加はなかったが、条約が成立すると、国際世論を喚起し、保有国を巻き込んでいった経験がある。また、核拡散防止条約(NPT)もフランスや中国が参加するまでに20年以上かかった。
核兵器禁止条約は、これからの核軍縮体制の重要な一部となって動き出す。核兵器保有国と核の傘下にある「同盟国」は今や一握りの少数派である。彼らが好むと好まざるにかかわらず核兵器禁止条約が既に存在しているという現実を無視することはできない。

安倍政権は国際社会の声を聞け! 辺野古新基地も南西諸島など自衛隊の新ミサイル基地はいらない! 今こそ、禁止条約制定の機運と連動させ、東アジアの平和を具体化する政策を要求し、行動しなければならない。

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