今月を視る(「むすぶ」2018年7・8月号より)2018/08/24 10:35

知事の「埋め立て承認」撤回をバネに!
響きあい、ともに歩を進める朝鮮半島と沖縄の闘い

「埋め立て承認」撤回へ
翁長沖縄県知事はいよいよ前知事による埋め立て承認撤回を表明する。すでに知事は工事事業者(沖縄防衛局)に行政指導文書を郵送した。それは埋め立て予定海域の軟弱地盤存在データーを示し、「護岸の倒壊等の危険性を否定できない」とし「殊更にこのことを隠した隠したまま工事を強行してきた」など異例の厳しい文書で国の姿勢を追及しそのうえで工事の即時中止を求めている。行政手続法での「聴聞」などを経て政府防衛省が土砂投入を狙う8月17日以前に「撤回」をつきつけることになる。「撤回」は〝辺野古の海、高江の森を壊すな〟〝戦争につながる基地はいらない〟〝いのちと尊厳を守れ〟といった沖縄民衆の希求が結実したものであり、辺野古新基地建設阻止への重要なテコとせねばならない。諦めない闘いは正念場を迎えた。
 「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8.11県民大会」に向けて各地での支援、連帯をつくり出し、9月名護市議選、11月知事選、さらなる陸上、海上闘争への大きなステップとせねばならない。

緊張緩和の流れを逆行させない!
 この沖縄と連動し響き合いながら東アジアの非核・平和へと歩を進めているのが朝鮮半島である。私たちは南北―米朝首脳会談が、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和構築への大きな一歩であること、そしてこの変革の原動力こそ〝キャンドル革命〟に象徴される韓国朝鮮民衆の平和・民主・統一への闘いであることを確認してきた。
 しかし依然として二つの首脳会談、宣言・共同声明の意義を貶めようとする動き、論調は根強い。あらためて確認しよう。一旦は会議中止を表明しつつ、首脳会談を前にした朝鮮労働党金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長との会談でのトランプ大統領の「それ(非核化)はプロセスだ」との主張は、その非核化アプローチの基調転換を示唆するものであり、「最大限の圧力といった言葉は使いたくない」といった発言は、朝鮮の主張していた「段階別・同時行動の原則」に基本的に応えることを決断していたと読み取ることができる。
 私たちにとって両首脳の思惑等々は分析評価の基本的基準ではない。現に軍事級会談、鉄道道路協力会議、高位級会談等一時的な中断もありながら継続開催され鉄道連結は実現のめどが立つところまで来ており、このような地殻変動ともいえる動きに中国・ロシアをも巻き込む事態を創出していることに注目せねばならない。もう一点。トランプは〝譲歩〟したとの論調が多いが、そうだろうか。「グアムから膨大な費用をかけてB52を米韓演習に参加させるのはばかげている」と言い放つトランプにとって、対話下の合同演習中断、定例の米韓合同演習中止等は軍事費を削減できる有利なディールなのであり、〝世界の警察官〟たる任務を徐々に手放さざるを得ない力の低下を物語るものではないだろうか。

安倍政権打倒は日本の闘いの責務
 安倍政権は、たしかに〝カヤの外〟に置かれた。しかし、「「米朝会談自体意義濃いものがある」と口先では表明しながら「圧力こそが北朝鮮を対話に引き込んだ」とのスタンスを基本的に変えようとはしていない。それどころか「拉致問題」をひっさげて、非核平和とは真逆の方向で、この動きに介入しようと必死である。
 辺野古新基地建設強行、連動する南西諸島への自衛隊配備―島嶼戦略、水陸機動団構築(当面は2個連隊)、イージス・アショア配備、19年度過去最大の軍事予算、〝北朝鮮の脅威認識に変化なし〟との防衛白書原案…。
 この路線と朝鮮半島・東アジアの非核平和とは両立しえないのは明らかである。私たちは日朝対話、日朝国交正常化をおしつけていくことになるのだが、まずは安倍政権打倒、これこそが日本における平和・民主主義・人権の闘いに課せられた責務である。

「むすぶ」目次(2018年7・8月号)2018/08/24 10:37

■ 今月を視る/ 知事の「埋め立て承認」撤回をバネに!
     響きあい、ともに歩を進める朝鮮半島と沖縄の闘い
■ 報告 / 「恨之碑」と「チビチリガマ」をつなぐ!  事務局 豆多敏紀
■ Q & A <NO.93> / 今こそ、東アジアの非核・平和の構築へ! その2
6.12 米朝首脳会談と米韓軍事演習の中止問題     
■ 報告 / 植民地歴史博物館 8月29日に開館!    東京 矢野秀喜               
■ 読者つうしん /「プラスチックごみ問題」を考える  向日市議会議員 杉谷信夫                           
■ おしらせ & 編集後記