今月を視る(「むすぶ2019年7・8月号より)2019/08/06 14:36

安倍政権の改憲策動を止める次のステップへ
朝鮮半島・東アジアの平和時計の針を確実にすすめよう!

着実な成果を次の闘いへ
第25回参議院選挙(7月21日投開票)の結果が出た。改憲勢力による「3分の2」の議席確保は何とか阻止できたものの、与党、改憲勢力の大幅な議席減など顕著な変化をつくり出すことはできなかった。安倍政権は、今後改憲策動をさらに強めてくることは間違いなく、対抗する闘いをあらゆる分野で構築していかなければならない。安倍の「頼りになるお友達」である橋下徹は参議院選報道番組(フジテレビ)で「与党圧勝」「野党共闘失敗」をがなり立て、「衆参同時選をやればよかった」「早いうちの衆議院選挙を」と安倍を激励し、「自民党は必ず国民民主を取り込むことができる」と改憲の展望を喧伝した。一方、市民と野党の共闘は、イージスアショアが最大争点になった秋田県、辺野古新基地建設阻止をあきらめずに闘い続ける沖縄県をはじめ一人区の10県で自民党を制し、勝利した。接戦を制した滋賀県の勝利も大きい。これらの成果は、準備し、隊列を整えて闘えば勝てることを示している。多くの有権者は、政権、権力から押しつけられている「憲法改正」など望んでいない。遠くない時期に仕掛けられるであろう衆議院選挙で、安倍の暴走を止めるため、直ちに今回の成果を活かしながら課題を克服する闘いを準備しよう。

「文在寅憎し」を露わに、韓国に対する脅迫措置
 参議院選挙の公示を前にした7月1日、日本政府が、半導体製造に使われる化学製品の韓国向け輸出手続きを厳格化すると発表、徴用工問題での韓国政府に対する悪質な報復措置を打ち出した。この措置について日本政府は当初「日韓間の信頼が著しく損なわれた」ことを理由に挙げたが、政治問題を経済問題にからめ、「自由貿易の原則を捻じ曲げる」との批判が出ると「韓国に関連する輸出をめぐって不適切な事案が発生した」ことによる「安全保障上の問題」との理由に主張を変えながら韓国政府との交渉を事実上拒否する態度に終始している。G20では唯一、文在寅大統領との首脳会談をはずし、子供じみた”いじわる“を行ったにもかかわらず、30日には、板門店でトランプ・金正恩会談が実現、米朝韓の3首脳会談も行われるという電撃的なニュースが世界を駆け巡ったその翌日の異様な措置である。トランプが保守層の支持を高めるため、あえて常識を疑うような差別とヘイト発言を連発するように、安倍もまた参議院選で保守層の“嫌韓”感情を呼び寄せ、保守層の支持を固め、選挙戦を有利にすすめようとする狙いであることは間違いない。安倍政権は、前回の衆議院選挙でも朝鮮の“ミサイル発射”を最大限に利用し、「国難突破」で一定の支持を集めることに成功した。いずれにしても、安倍政権にとって、文在寅政権は“我慢ならない”存在と映っている。韓国市民がローソク革命で生み出した文在寅政権など普通の隣人としても付き合いたくはないというのだろう。要するに、ローソク革命など目障りなのだ。
12・28慰安婦合意の破棄や海上自衛隊哨戒機のレーダー照準論争で文在寅政権に対する批判と不満は安倍政権のこのスタンスから生じている。元徴用工被害者に対する韓国大法院判決に対しても、日本のメディアや立憲、国民民主など一部野党の無理解と限界に乗じ、「65年韓日請求権協定を守らない韓国」「国と国との約束を守らない韓国」という主張を声高に叫び、「文在寅政権は親北朝鮮・反日政権だ」というレッテル貼りを続けている。今回の輸出規制(経済制裁)はその延長線にあることは間違いない。

それでも朝鮮半島の平和時計は速度を上げている
安倍政権の朝鮮半島に平和を望まない態度に関わらず、朝鮮半島には現在、戦後冷戦構造が崩壊する大変化が生まれようとしている。3度にわたる南北首脳会談と2回の朝米首脳会談開催、6月30日の板門店での事実上の米朝首脳会談の実現により、朝鮮半島は対立の地から平和な地域に変わろうとしている。朝鮮半島の平和時計は確実に動き始めているのだ。
 沖縄辺野古の闘い、南西諸島のミサイル基地建設反対の闘い、そしてイージスアショアを拒否する闘いは、朝鮮半島の平和時計を確実にすすめ、朝鮮半島の平和時計がすすむことで辺野古新基地、南西諸島ミサイル基地、イージスアショアの根拠が一つ一つ消えていく。このことを大胆に訴え、平和時計をすすめる東アジアの動きに合流していこう。

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