今月を視る (「むすぶ」2020年11・12月号より)2020/12/21 13:32

備えるべきは「北朝鮮のミサイル」でなくコロナ「パンデミック」だ
軍縮が有効!危機への環境整備と協力体制に向けて!

新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の拡大が止まらない。冬場の感染拡大は多くの関係者が予想、警告していたにもかかわらず、政府はもちろん東京、大阪などの準備、対応策は皆無であった。大阪に至っては、維新が「都構想」に狂奔し、備えるべき時間と予算を食いつぶした。「過去最多」が続き、「医療ひっ迫」状況が現実になっても、当初の繰り返しでしかない「赤信号の点灯」と市民への「自粛要請」という無内容なパフォーマンスしかない。菅や維新、小池には市民の命を守る気もなければ能力もないことは明らかだ。

不要不急の改憲、軍拡政策こそストップ
「韓国国会は12月2日に本会議を開き、前年より5.4%増えた52兆8401億ウォン(約4兆7560億円)の来年度国防予算案を議決したが、軽空母関連予算は研究用とシンポジウム開催のための1億ウォン(約900万円)以外は配分されなかった」(金光男・コリア情報速報)。日本と同様COVID-19の再々拡大(1日の感染者が約500人)に直面する中、この膨大な軍事費は、“ローソク市民”の要求に背を向けるものであり、到底支持できない。だが、海軍の軽空母導入事業の来年度予算が事実上1ウォンも策定されなかったことは注目に値する。韓国防衛事業庁は来年度予算で、軽空母の基本設計費として101億ウォン(約9億円)を要請していたが、企画財政省は“事業妥当性調査などの手続きを踏んでいない”などの理由で全額削減した。単に手続き問題としてでなく、軽空母が本当に必要なのかどうかの公正で透明な論議が必要だ。韓国の市民と社会はそのことを強く要求している。
 他方、韓国の2倍以上の規模で感染拡大に見舞われている日本。政府与党や維新はPCR検査の拡充をはじめ医療の抜本的拡充、生活困窮への支援などはそっちのけで、軍事強化には固執し続けている。費用がかかりすぎるという理由を一つに断念したはずの「イージス・アショア」。政府は計画自体を廃止せず、その代替策と称して、自衛隊の護衛艦2隻に陸上イージスの装備を搭載し、新たな「イージス艦」に仕立てる計画をすすめようとしている。試算では、最新鋭イージス艦2隻を導入した場合の費用が4800億~5千億円以上となる。導入から30年間の経費を盛り込むと、総額は約7千億円に膨らむという。当初の「イージス・アショア」の費用をはるかに超える「代替策」などとんでもない話であり、異常さは際立っている。さらに、「年内に結論」とした敵基地攻撃論は持ち越したが、断念や撤回の様子は全くない。
また、12月5日に閉幕した臨時国会では、衆院の憲法審査会を会期中の国会で初めて開催し、「都構想」の失敗で存在感の薄れる維新を改憲の相棒として担ぎ出し、国民投票法改正案の採決を狙った。そもそも成立時の検討課題として先送りされた「CMの規制」や「最低投票率」の問題を放置したまま、公職選挙法に合わせる形の「改正案」に意味はなく、改憲を「前に一歩進めた」という実績を残したいだけのものである。今回、採決は見送られたが、与党も維新も年明けの通常国会で成立させる構えを見せている。改憲も軍拡政策も直ちにストップの声を高めよう。

核兵器禁止条約批准を!地域から声をあげるとき
 来年1月22日、核兵器禁止条約が発効する。日本政府は、ここに来ても核兵器禁止条約に背を向ける姿勢を崩していない。だが国際世論の高まりを受け、与党である公明党が政府に対して条約締約国会議へのオブザーバー参加検討を求める要望書を提出する動きも出ている。国内の世論調査でも72%が「条約に参加すべき」であり、全国の自治体の4分の1を超える495の地方議会が、政府に署名や批准を求める意見書を採択している(10月現在)。
 核兵器禁止条約の発効を機に、地域・自治体から「条約に参加を」の声を集中する時だ。日本政府を動かすことができるなら、世界を大きく変えることができる。それはまた朝鮮半島の非核化に繋がり、北東アジア非核平和地帯へと確実に発展していく。

今、世界の人々は、COVID-19の拡大をはじめ様々な生活破壊に苦しめられている。世界が共同して脅威にたち向かうために、軍縮こそが有効だ! 声を大にして主張しよう。

「むすぶ」目次 (2020年」11・12月号)2020/12/21 13:33

■ 今月を視る/ 恐るべきは「北朝鮮のミサイル」でなくコロナ「パンデミック」
           軍縮が有効! 危機への環境整備と協力体制に向けて!
■ 報告/ 老朽原発再稼働は「やってはいけない」 ZENKO関電前プロジェクト 八木浩一
■ Q & A <NO,113>/ 戦争へのロードマップ「敵基地攻撃論」に
                         断固としたNO!を
■ Book Corner/「沖縄戦に動員された朝鮮人」沖本富貴子編 事務局 湯川 恭
■ Peace Column/「小説 琉球処分」(大城立裕) 佐藤謙司氏自選集より
■ おしらせ & 編集後記