今月を視る (「むすぶ」2021年6月号より)2021/06/24 16:00

戦争体制づくりの人権抑圧、民主主義破壊の“悪法”強行成立に抗議!
危険な中身を広く市民に! 取組み継続・強化で無効化を!

反対運動の正念場はこれから!
政府・与党は“改憲手続き法”(「国民投票法改定」、6月11日採決)に続いて、6月18日に “重要土地規制法”の採決を強行、成立させた。5月12日に強行成立させた“デジタル監視法”も含めいずれも人権と平和をめぐる極めて深刻な内容の重大法であるにもかかわらず、内容、時間ともまともな審議もないままのゴリ押し成立である。日本の国会内民主主義はもはや風前の灯火といえる状況となった。
だが、民主主義や政治は、国会内の力関係(議員の数)だけで全てが決まってしまっていいわけではなく、また、そんなことを許してはならない。政府・与党や改憲「野党」が「これは第一歩」と位置付けるように、これから狙っているものに近づけようと本格的な作業が始まる。これから、肉づけしようとする具体的内容を徹底的に知らせることで、「第一歩」を押し戻すことができるのではないか。政府・与党が異常なほどスピード採決に突き進んだのは、法案の中身が広く市民に知られるようになれば、“入管法改正”のように成立が危ぶまれると考えたからだ。残念ながら成立させられた今回の法律は、反対する運動の側から言えば、市民にこれらの法案の危険な内容を広く知らせる十分な取り組みが追いつかなかったということだ。“重要土地規制法”などは、今後具体的中身について国会論議なしに「閣議決定」で決められる可能性が高いが、閣議決定にむけてあげられる内容を逐一暴露し、広く市民に知らせることができるなら法の内実である人権抑圧、弾圧の狙いを阻止し、無効化はできる。その意味で反対運動の正念場は、これからである。

 “国民投票法”は、これまで放置され、やがて「なかったことに」が狙われる“最低投票率”や“CM規制”など本質的問題点の解決ぬきに、「改憲内容」の国会審議、論議が行われることは許されないことを広く市民に訴え、本質的な問題解決を徹底的に要求しよう。
 
“デジタル監視法”は、対決の舞台が自治体に移った。自治体の個人情報保護条例のレベルダウンによる“国並み平準化”を許さず、個人情報コントロール権の確立をめぐる闘いはこれからが勝負だ。“マイナンバーカード”(全住民総背番号化)による住民支配の危険性を知らせ、「たった5000円(マイナポイント)であなたの情報売りますか?」など市民への働きかけも工夫をこらして取り組みを強めることが必要だ。自治体現場の取り組みが今後の行方を決定することは間違いない。

“重要土地規制法”は、そもそも立法事実(この法律が必要となった具体的事例)が全くない。(基地周辺の)土地所有者や住民にとっては、「基地機能を阻害する」具体的事実がなかったにもかかわらず、知らない間に調査されたり、土地使用が規制されたりするなど利益は全くない。今後、中味が詰められていく段階になれば、次々と矛盾と住民にとっての不都合が噴出することになる。戦前の“要塞地帯法”と同様の軍国主義的本質が露出してくる。政府の動きを見過ごさず、危険性の徹底暴露で実質無効へと追い込もう。

沖縄県知事は辺野古新基地設計変更申請に不承認を!
 “重要土地規制法”の先取りともいえる市民弾圧が沖縄で行われた。鳥類研究家・宮城秋乃さんの非暴力抗議行動を「威力業務妨害」とこじつけ、家宅捜査や取り調べなど宮城さんへの嫌がらせと活動への威嚇を繰り返した。だが沖縄の人々の闘いはこんな脅かしに決して怯まない。
 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんらが「遺骨の混じる南部の土砂を辺野古の埋め立てに使うな」「辺野古新基地建設の設計変更申請の不承認」を知事に求める2度目の座り込みを6月20日から開始、21日からは平和祈念公園にハンスト会場を移し、23日の「慰霊の日」に要請書を知事に渡す。この沖縄の人々の叫びと行動に全国から応答しよう。

「むすぶ」目次 (2021年6月号)2021/06/24 16:01

■ 今月を視る / 戦争体制づくりの人権抑圧、民主主義破壊の“悪法”強行成立に抗議!
危険な中身を広く市民に! 取組み継続・強化で無効化を!
■ Q&A <NO.118> / 稀代の悪法「重要土地規制法」は廃案しかない!
■ 寄稿 / 6月20日は「世界難民の日」
      日本の難民受け入れと入管収容の問題について  RAFIQ 田中恵子
■ Music Corner / 海勢頭豊さんの歌 1『コザキチロック』  印西市 若谷政樹
■ 読者つうしん / 大地に根差した現場から  長野県大鹿村 北川誠康
■ おしらせ & 編集後記