今月を視る (「むすぶ」2021年10月号より)2021/10/21 10:23

衆議院選挙 -“市民・民衆こそ主人公”の政治に転換を!
国際的な平和軍縮・人権運動で日本を変えるとき!

全米市長会が「核禁条約歓迎」決議
 日本で衆議院選挙が公示され、選挙戦が佳境に入っている。
 米国では人口3万人以上の1400を超える都市で構成する全米市長会議が、米政府に対して「核兵器禁止条約を歓迎し、核廃絶に向けた即時行動を求める決議」を全会一致で採択した(朝日新聞10/17)。8月に採択されたこの決議は米国の核軍拡・近代化計画を中止し、その財源を貧困問題、気候危機などの対応に充てることを求めている。
 決議を推進したアイオワ州デモイン市長のフランク・カウニー氏は「ほとんどの米国人は核禁条約を認識さえしておらず、その脅威を理解しているとは思えない」「市民生活に一番近い地方自治体は新型コロナ対策の闘いでも最前線に立っている。核問題も地方自治体が立ち上がるべきだ」と、朝日新聞のインタビューで述べている。さらに同市長は日本政府の姿勢にも言及、「常に重要な役割を果たしてきた被爆者たちの声を聞くべきだ」と語っている。
 NATO(北大西洋条約機構)主要加盟でも自国の核禁条約参加を支持する人は7割以上、ベルギー、ドイツ、アイスランド、イタリア、オランダ、ノルウエー、スペインの政府、議会では、軍事条約NATO加盟のまま核禁条約参加をめざす動きが強まっている。

日本政府に批准を求める自治体意見書すでに3分の1を超える
 日本の現状はどうか。8月段階の世論調査では「参加すべきだ」が75%を超え、「オブザーバーとして締約国会議には参加すべきだ」が85%に達している。日本政府に参加、批准を求める自治体意見書の採択は615自治体(2021年10月14日現在)に達している。デモイン市を含む世界8000以上の都市とともに核廃絶をめざす「平和市長会議」(会長・松井一美広島市長)は、核保有国やその同盟国を巻き込んだ批准国を増やすため、加盟都市から自国政府への要請を強めている。国内343自治体が加盟する日本非核宣言自治体協議会(会長・田上富久長崎市長)も2017年から毎年、核禁条約への参加を政府に求める決議を採択している。

国際的な平和軍縮運動で政府の姿勢転換へ
 日本政府の態度はどうか。前首相菅は「条約に署名する考えはない」と断じた。一方、初の所信表明演説で岸田新首相は「世界の偉大なリーダーたちが挑戦してきた核廃絶という名の松明を引き継ぎます」と訴えた。しかし代表質問で与野党が求めた核禁条約締約国会議(2022年3月予定)へのオブザーバー参加について岸田は「ご指摘のような対応よりも、核兵器国を関与させるよう努力」と語るにとどめた。従来の「核保有国と非保有国の橋渡し論」への後退である。日本政府をして核禁条約参加・批准へ転換させるのは、前述した国際的な平和軍縮運動にかかっている。今回の総選挙はその一環である。岸田の立候補区、広島1区は爆心地なのだ。広島3区をはじめ安倍、菅以来の懸案が多く存在している。神奈川では横浜市長選挙に勝利した市民運動の熱が持続している。具志堅隆松さんがハンストで訴えた「遺骨土砂を埋め立てに使うな」の地方議会意見書採択は全国に拡大しつつある。

“市民・民衆こそ主人公”
 私たちはこの間、「コロナから命を守ろう」と自治体・政府への要請行動を継続し、“地域”からの運動の力に確信を深めてきた。今回の選挙、「選挙に行っても変わらない」「しようがない。現状追認して我慢するしかないか?」など私たちが今後も何のかかわりも持てなければ選挙に行かないかもしれないこれらの人たちに投票を実行してもらうことが勝負のポイントだ。“お金より命”“命と健康・生活を守ろう”と訴え、対話と協働の場を全国津々浦々に創っていくことによって“みんなで投票に行こう”とのスローガンに血が通う。“市民・民衆こそ主人公”の言葉が真実となる。市民と野党の統一候補は289選挙区の220に達している。ワクワク感をもってこの選挙戦を闘おう。

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