今月を視る (「むすぶ」2021年1月号より)2021/01/14 10:45

「核のない世界」にむけて力強くスタート
核兵器禁止条約発効を新たな出発点に軍縮へ転換を!

核禁条約発効-歴史的瞬間を世界とともに
核兵器禁止条約の発効(1月22日)が間近に迫った。50カ国目となった中米ホンジェラスに続いて12月11日には西アフリカのベナンが新たに批准し、批准国・地域は51となった。核兵器禁止条約の採択にあたっては国連加盟193カ国中122ヵ国が賛成し、現在、批准の前段階にあたる署名は86カ国・地域に達し、今後さらに批准国の増加が期待される。「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は、締約国が100を超え、明確に国際社会の半数以上となることを直近の目標とした。
一方、日本政府の態度は頑なままだ。1月7日、「緊急事態」再発令にあたっての記者会見で中国新聞の記者があえてぶつけた質問に対して、菅首相は、「核禁条約の批准はしない」「締約国会議へのオブザーバー参加も慎重に対応せざるを得ない」と事実上の不参加宣言を事務的に答弁した。
世界の動きも目を離せない状況が続く。イランがウランの濃縮度を20%に引き上げたと発表し、2015年の核合意が破たん寸前の危機に直面している。破たん回避へ世界から平和の声を集中しよう。
2月には米露間で唯一残された核軍縮の枠組みである新戦略兵器削減条約(新START)が期限を迎える。8月には、パンデミックを理由に1年延期となっていたNPT再検討会議が開催予定だ。いずれも核禁条約と対立するものでなく、むしろ核禁条約の前進こそが新STARTとNPTの成功を規定する。

 核禁条約の広がりと前進めざし、1月22日には世界で行動が取り組まれる。各地から合流しよう。

日本政府に「慰安婦」賠償責任を問うた歴史的判決
1月8日、韓国ソウル中央地方法院は、日本軍「慰安婦」被害者とその遺族12人が起こした損害賠償請求訴訟で、「日本政府は被害者に1億ウォン(約950万円)ずつ賠償せよ」との判決を下した。『「慰安婦」被害に対して日本政府の損害賠償責任を認めた初の判決であり、国際的な反人道犯罪の責任の所在を法的に明らかにし、被害者に実質的正義回復の道を開いた歴史的意味が大きい。』(ハンギョレ新聞)
 今回の裁判の争点一つは、「主権国家免訴論」(主権国家は他国の裁判には服さない)が適用すべきか否かであったが、ソウル中央地裁は、『慰安婦』は当時の国際法に違反し、第2次世界大戦後に東京裁判所憲章で処罰することに定めた『人道に反する罪』に該当する」として、「主権国家免訴論」を退ける判断を示した。
日本政府は、メディアを総動員し、「立憲」、「国民民主」含む一部野党を巻き込み「国際法違反のありえない判決」キャンペーンを繰り広げているが、人類普遍の人権を規定した世界人権宣言をはじめとする現代の国際法的根拠から導き出した判決は現代の国際司法の進展・基準に沿ったものである。
『慰安婦』問題も『徴用工』問題も、本質は日本と韓国の「外交」問題にあるのではない。すぐれて
今日的人権問題である。加害者を罰し、被害者の人権回復を求めるものだ。メディアはこのシンプルな原点を覆い隠すが、この真実を多くの市民に知らせ、訴えていくことが重要だ。

基地いらない! あきらめない闘い続く
 『「馬毛島に米軍訓練のための施設をつくるのは国策だ。国が決めたことだから、市長がどう考えようと、止められない。沖縄を見ろ」と。これに対し、私はあきらめない。子孫のために、、責任を持って判断し、決断しなければならない。あのとき、こういう状況でこう考えたと、胸を張って言えるようにしたい』。1月31日投開票の西之表市長選で2期目をめざす八板俊輔現市長の言葉である。
 沖縄では1月17日には宮古島市長選挙、2月7日浦添市長選挙、4月25日うるま市長選挙が続く。いずれもオール沖縄候補が基地容認の現職に挑む。あきらめない闘いを続ける人々に注目し、熱いエールを贈るとともに、自らの地域で連帯する取り組みをすすめよう。

「むすぶ」目次 (2020年」11・12月号)2020/12/21 13:33

■ 今月を視る/ 恐るべきは「北朝鮮のミサイル」でなくコロナ「パンデミック」
           軍縮が有効! 危機への環境整備と協力体制に向けて!
■ 報告/ 老朽原発再稼働は「やってはいけない」 ZENKO関電前プロジェクト 八木浩一
■ Q & A <NO,113>/ 戦争へのロードマップ「敵基地攻撃論」に
                         断固としたNO!を
■ Book Corner/「沖縄戦に動員された朝鮮人」沖本富貴子編 事務局 湯川 恭
■ Peace Column/「小説 琉球処分」(大城立裕) 佐藤謙司氏自選集より
■ おしらせ & 編集後記

今月を視る (「むすぶ」2020年11・12月号より)2020/12/21 13:32

備えるべきは「北朝鮮のミサイル」でなくコロナ「パンデミック」だ
軍縮が有効!危機への環境整備と協力体制に向けて!

新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の拡大が止まらない。冬場の感染拡大は多くの関係者が予想、警告していたにもかかわらず、政府はもちろん東京、大阪などの準備、対応策は皆無であった。大阪に至っては、維新が「都構想」に狂奔し、備えるべき時間と予算を食いつぶした。「過去最多」が続き、「医療ひっ迫」状況が現実になっても、当初の繰り返しでしかない「赤信号の点灯」と市民への「自粛要請」という無内容なパフォーマンスしかない。菅や維新、小池には市民の命を守る気もなければ能力もないことは明らかだ。

不要不急の改憲、軍拡政策こそストップ
「韓国国会は12月2日に本会議を開き、前年より5.4%増えた52兆8401億ウォン(約4兆7560億円)の来年度国防予算案を議決したが、軽空母関連予算は研究用とシンポジウム開催のための1億ウォン(約900万円)以外は配分されなかった」(金光男・コリア情報速報)。日本と同様COVID-19の再々拡大(1日の感染者が約500人)に直面する中、この膨大な軍事費は、“ローソク市民”の要求に背を向けるものであり、到底支持できない。だが、海軍の軽空母導入事業の来年度予算が事実上1ウォンも策定されなかったことは注目に値する。韓国防衛事業庁は来年度予算で、軽空母の基本設計費として101億ウォン(約9億円)を要請していたが、企画財政省は“事業妥当性調査などの手続きを踏んでいない”などの理由で全額削減した。単に手続き問題としてでなく、軽空母が本当に必要なのかどうかの公正で透明な論議が必要だ。韓国の市民と社会はそのことを強く要求している。
 他方、韓国の2倍以上の規模で感染拡大に見舞われている日本。政府与党や維新はPCR検査の拡充をはじめ医療の抜本的拡充、生活困窮への支援などはそっちのけで、軍事強化には固執し続けている。費用がかかりすぎるという理由を一つに断念したはずの「イージス・アショア」。政府は計画自体を廃止せず、その代替策と称して、自衛隊の護衛艦2隻に陸上イージスの装備を搭載し、新たな「イージス艦」に仕立てる計画をすすめようとしている。試算では、最新鋭イージス艦2隻を導入した場合の費用が4800億~5千億円以上となる。導入から30年間の経費を盛り込むと、総額は約7千億円に膨らむという。当初の「イージス・アショア」の費用をはるかに超える「代替策」などとんでもない話であり、異常さは際立っている。さらに、「年内に結論」とした敵基地攻撃論は持ち越したが、断念や撤回の様子は全くない。
また、12月5日に閉幕した臨時国会では、衆院の憲法審査会を会期中の国会で初めて開催し、「都構想」の失敗で存在感の薄れる維新を改憲の相棒として担ぎ出し、国民投票法改正案の採決を狙った。そもそも成立時の検討課題として先送りされた「CMの規制」や「最低投票率」の問題を放置したまま、公職選挙法に合わせる形の「改正案」に意味はなく、改憲を「前に一歩進めた」という実績を残したいだけのものである。今回、採決は見送られたが、与党も維新も年明けの通常国会で成立させる構えを見せている。改憲も軍拡政策も直ちにストップの声を高めよう。

核兵器禁止条約批准を!地域から声をあげるとき
 来年1月22日、核兵器禁止条約が発効する。日本政府は、ここに来ても核兵器禁止条約に背を向ける姿勢を崩していない。だが国際世論の高まりを受け、与党である公明党が政府に対して条約締約国会議へのオブザーバー参加検討を求める要望書を提出する動きも出ている。国内の世論調査でも72%が「条約に参加すべき」であり、全国の自治体の4分の1を超える495の地方議会が、政府に署名や批准を求める意見書を採択している(10月現在)。
 核兵器禁止条約の発効を機に、地域・自治体から「条約に参加を」の声を集中する時だ。日本政府を動かすことができるなら、世界を大きく変えることができる。それはまた朝鮮半島の非核化に繋がり、北東アジア非核平和地帯へと確実に発展していく。

今、世界の人々は、COVID-19の拡大をはじめ様々な生活破壊に苦しめられている。世界が共同して脅威にたち向かうために、軍縮こそが有効だ! 声を大にして主張しよう。

「むすぶ」目次 (2020年」9月号)2020/09/12 11:02

■ 今月を視る/ 辺野古「設計変更」NO! 陸自ミサイル基地建設NO!
「軍拡競争でなく軍縮提案を!」の声をぶつけよう
■ 解説/ コロナ後の世界にリニアはいらない   リニア市民ネット・大阪 北川誠康
■ Q & A <NO,111>/ 政府「専守防衛」を捨て「敵基地攻撃」の本格協議へ
■ Book Corner/「アメリカ黒人の歴史 新版」 本田創造 著  事務局 湯川 恭
■ 読者つうしん/ 沖縄・南西諸島へのミサイル基地建設に対する
住民の不安と怒りに思いを寄せて  堺市 木下行就
■ おしらせ & 編集後記

今月を視る (「むすぶ」2020年9月号より)2020/09/12 10:59

辺野古「設計変更」NO! 陸自ミサイル基地建設NO!
「軍拡競争でなく軍縮提案を!」の声をぶつけよう

今、逃げるしかなかった安倍
安倍首相が病気の再発を理由に辞任を表明した。早晩、政権が火だるまになることは目に見えており、今、逃げるしかないというのが実情であろう。
安倍は憲法の人権尊重、国民主権、平和主義の原則を無視し、軍拡と人権破壊の諸政策を推し進めた歴史的犯罪者である。「終わり」の理由を「病気」にする姑息さを許してはならない。首相は辞めても、首相として繰り返して行った犯罪は容赦なく断罪されなくてはならないし、「安倍政権の継承者」には徹底追及が必要だ。
だが、すでに官房長官の菅が安倍の後任として自民党内の談合で準備されている。菅は、総裁に立候補するにあたって、「安倍政権の継承」を謳い、日米軍事同盟の強化を柱に安倍政権下で推し進めてきた辺野古新基地建設など一連の軍拡政策をさらに強化することを公言している。

全国各地から「設計変更NO!」の「意見書」を届けよう
この「安倍亜流政権」に対し、ただちに辺野古新基地建設、自衛隊ミサイル基地建設を中止し、軍拡ではなく軍縮に舵を切れ!の圧倒的な声と要求をぶつけよう。沖縄県では、新型コロナウイルス感染症の拡大で延期されていた辺野古「設計概要変更承認申請書」の告示・縦覧が9月8日から9月28日までの期間で行われる。
『縦覧期間中、利害関係人は知事あてに意見書を提出できます。「利害関係人とは、自らが利害関係人と思う人」(「公有水面埋め立て実務ハンドブック」建設省)で、だれでも意見書を提出できます。知事はこうした意見書なども参考にして、最終的に承認、不承認の判断をします』『知事あてに「変更承認申請書」の問題点を「意見書」で指摘し、辺野古新基地建設に反対する圧倒的な声を県内、全国各地から届けましょう』とデニー知事の「不承認」を後押しする意見書提出運動が「オール沖縄」などから呼びかけられている。3週間の期間中にできるだけ多くの「意見書」を提出しよう。この声と力こそが独立性を失いつつある司法にも少なからぬ影響を与えるに違いない。今、成功させなければならない最も重要な取り組みである

陸自ミサイル基地もNO!
一方で、那覇地裁は、8月27日、石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票を巡る義務付け訴訟で、石垣市長に投票実施を求めた原告の訴えを却下するというあり得ない不当判決を行った。「石垣市自治基本条例」は条例28条で、有権者の4分の1以上の署名があれば市民が直接、市長に住民投票の実施を請求できるとしている。さらに同条4項は、直接請求を受けた市長は「所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければならない」と規定している。この条例を拠り所に、2018年、「自分たちのことは自分たちで決めよう」と若者を先頭に「市住民投票を求める会」を立ち上げ、署名運動が行われた。結果、市の有権者の36.7%にあたる1万4263筆が集まり、条例が求める条件を達成、市議会に投票条例案が提案されたが、住民投票で市民意思が明確になることを恐れた議会(中山市長与党が多数派)が2度にわたってぎりぎり条例案を否決し、住民投票はいまだ実現していない。このため市長に住民投票実施義務があることを求めて裁判提訴を行ったという経過である。
誰が考えても「石垣市自治基本条例」に基づく住民投票は市民の権利である。この当たり前の市民の権利を否定するために、中山石垣市長と市議会多数派は、陸自配備やミサイル基地建設について「国防や安全保障は国の専権事項」という「住民自治制限論」を持ち出している。これは、私たちが全国で取り組んだ「無防備地域宣言運動」に対して戦争勢力が必ず持ち出してきた「理屈」である。彼らにとって「自治基本条例」は単なる「お飾り」であるかぎり容認できても、住民の権利として行使されれば、たちまち「諸悪の根源」となる。市長と与党が「住民投票条例案」を否決した後に、「石垣市自治基本条例」の廃止を議会に提案したのは(最終的には否決)、戦争勢力にとって、民意に基づく住民自治が彼らにとっていかに脅威となっているかを表している。

「むすぶ」目次(2020年7・8月号)2020/08/06 15:40

■ 今月を視る/「終末時計」は「あと100秒」と史上最悪を更新
核・軍拡競争にNO! 核・軍縮への転換が最大課題
■ 解説/ マイナンバー活用はコロナ危機に便乗した国民監視体制づくり  中川哲也
■ Q & A <NO,110>/ 安倍政権 イージス・アショア代替策に「敵基地攻撃」
■ 読者つうしん/「2020国民平和大行進」に参加して 憲法9条の会・関西 堤 淳雄
■ 読者つうしん/ 目の合った機動隊員に「こんにちは」
辺野古ゲート前座り込み  春日部市 川村守正
■ おしらせ & 編集後記

今月を視る(「むすぶ」2020年7・8月号より)2020/08/06 15:38

「終末時計」は「あと100秒」と史上最悪を更新
核・軍拡競争にNO! 核・軍縮への転換が最大課題

被爆75年の緊急課題
コロナ禍が続く中、被爆75年の熱い「ヒロシマ」・「ナガサキ」が巡ってくる。今年は例年と異なり、平和祈念式典含め原水禁大会、国際会議等のほとんどがオンライン方式で行われる。大会等の形態は大きく変わるが、反核平和運動が直面する課題は不変である。それどころか、緊急に解決しなければならない課題が山積している。
2020年の今年、米科学誌「原子力科学者会報」の「終末時計」(核戦争などで地球の終末が訪れる残り時間を示す)が、「あと100秒」と史上最悪を更新した。冷戦終結後の1991年には「17分前」を示していたが、米国のINF(中距離核戦力)全廃条約脱退によるINF全廃条約失効などが原因で核兵器の削減や緊張緩和は待ったなしの状況となった。
米トランプ政権の暴走にストップを
このような最悪の事態に至った責任は米トランプ政権にあることは明らかだ。トランプ政権は、新たな地球温暖化対策であるパリ協定、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、イランとの核合意などからの離脱を次々と強行し、昨年には旧ソ連と1987年に結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱、今年5月には締約国が互いに上空から査察できる「オープンスカイズ(領空開放)」条約からの離脱方針を表明した。さらに2011年2月5日に発効した大陸間弾道ミサイル(ICBM)など戦略核兵器の保有数や配備数を制限する新戦略兵器削減条約(新START)をめぐる米ロ交渉でも延長(5年)しない方向で様々な「難題」を持ち出している(期限は来年2月)。
トランプ米政権は「中国も入れた3カ国の条約にすべきだ」とか現在は条約に含まれていない戦術核兵器も対象に加えるべきだとか一見一理ありそうな主張で交渉を難航させているが、中国が受け入れるはずがないことを見越した主張だ。そもそも、新STARTはICBMなどの戦略核兵器の弾頭数を、以前の条約で定めた6000発ずつから1550発ずつへと大幅に削減することに合意したほか、核弾頭を運搬するミサイルや戦略爆撃機などの保有数や配備数にも上限を設けたが、現状の実態は、今年1月時点で米国は5800発、ロシアは6375発の核兵器を保有する(ストックホルム国際平和研究所)など、ほとんど削減が実行されていない中、近年、増大させているとはいえ、その数約320発と米露の20分の1にとどまっている中国を削減交渉の対等の当事者として入れるなど到底無理な主張である。米トランプ政権の本当の狙いは、米国の核保有の自由を奪う条約をこの際、破棄したいというところにあるのは間違いない。
今年4月にニューヨークで開催予定だったNPT(核拡散防止条約)再検討会議は、新型コロナウイルス感染症の拡大で延期(来年4月までに開催)になったが、核軍縮、不拡散の重要会議であるにもかかわらず、事前協議では、核保有国と日本政府を含む「同盟国」のサボタージュによって合意事項はほとんど作れていない。
核兵器禁止条約への参加を要求しよう
この流れは、新たな核・軍拡競争を生むことは必至であり、直ちにストップをかけなければならない。
トランプの大統領再選阻止はもちろんだが、まず新STARTの5年延長に合意させることは緊急課題だ。そして、条約発効に必要な批准国数50まで残り11カ国となった「核兵器禁止条約」の批准国をさらに広め、未だ被爆国の責任を果たさない日本政府を含め核保有国とその同盟国に条約への参加を求める運動を強めることが何より求められている。
辺野古新基地建設―設計変更に国内外から不承認の声を
 東アジアに軍縮秩序をうちたてるために辺野古新基地建設阻止は特別に重要だ。沖縄防衛局はコロナ禍全国拡大の真最中、混乱に乗じるかのように4月21日、沖縄県に設計変更申請書を提出した。だが、政府の「辺野古が唯一」は、内部から揺らぎ始めている。かつて辺野古推進の先頭に立ったことがある石破、中谷元防衛相らから「再検討が必要」の声が公然化されている。翁長前知事が埋め立て承認撤回に踏み切ったときのように、地方自治の問題として今回の設計変更にNO! の声を全国から上げ、建設を阻むときだ。8月上旬に始まる設計変更の広告縦覧に全国から不承認の声をあげよう(沖縄の海や環境等に関心があればだれでも意見書は出せる)。意見書ハガキもあるので活用を。あらたなチャンスだ。

今月を視る(「むすぶ」2020年6月号より)2020/06/26 17:15

「イージス・アショア」配備「停止」を機に
東アジアの新たな軍縮秩序を築く闘いを!

基地建設は断念させることができる
 6月15日、河野防衛相が秋田、山口両県への陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画について「プロセスの停止」を表明した。河野防衛相は、「停止」の理由について、発射後ミサイルから切り離されるブースターをコントロールして落下させることができない技術的欠陥をあげ、この改修にさらに多額の費用と期間が必要なことから、「配備は合理的ではないと判断した」とした。だが、このような初歩的欠陥は最初から分かっていたはずで、政府にとって、「停止」判断に至る動機の一つは、「イージス・アショア」ではINF(米ロ中距離核戦力廃棄条約)失効(2019年8月2日)後の米中ロを中心とした世界的なミサイル・核軍拡競争に対応できず、「無用の長物」となることが明らかになっていることだ。しかし、このような政府や軍拡推進勢力の思惑が政府の「停止」判断に導いた最大の要因ではない。決定的な要因は、地元住民の揺るぐことのなかった反対の意志と粘り強い闘いであった。配備先とされた新屋演習場の秋田市とむつみ演習場の萩市・阿武町では自治体ぐるみで政府・防衛省のでたらめ計画を追及し、「プロセスの停止」に追い込んだのである。
 奇しくも、今年は「大阪・能勢ナイキ基地建設」計画が打ち出されて50年にあたる。能勢ナイキ基地建設反対闘争は、地元住民を先頭に、周辺自治体や労働組合を巻き込んだ幅広く、粘り強い7年間の
闘いの末に建設計画を断念させ、勝利した。1973年には、「長沼自衛隊違憲判決」も勝ちとられた。今回の「イージス・アショア」配備の「停止」は、「能勢の教訓」である「基地建設は断念させることができる」を見事に証明したのである。

辺野古新基地建設はもっと「合理的ではない」
一方、工事関係者の新型コロナウイルス感染で中断していた辺野古新基地建設工事が6月12日に再
開が強行された。県議選からわずか5日後の暴挙である。そもそも辺野古新基地建設はすべての面で不
合理である。まず、中国のミサイル射程内にある沖縄での米海兵隊基地新設は、軍事的に疑問視されて
いる。さらに辺野古海域には軟弱地盤が広がり、技術的にも不可能である。費用も期間も「イージス・
アショア」の比ではないほど膨大だ。そして、何より沖縄の民意は「新基地建設反対」である。「イー
ジス・アショア」に続いて辺野古新基地建設は断念しなければならないし、断念させることはできる。               

政府の「ミサイル防衛」再構築に抗し、軍縮を対置するとき
 政府は「ミサイル防衛」強化を断念したわけではない。中国を主要なターゲットにした「ミサイル防衛」体制構築・強化が政府の戦略である。この間、新たに設置・建設された京丹後・Xバンドレーダー基地や「南西諸島防衛線」―奄美~宮古~石垣をつらねるミサイル基地群はこの戦略に位置づいている。
一旦はつまずいたものの、「ただでは転ばぬ」政府・防衛省が早速動き始めている。「安保の空白は避けなければならない」を口実に、「敵基地攻撃能力」の保有に乗り出した。「迎撃ミサイルがダメなら」「敵が発射する前に、敵基地を叩く」というわけだ。政府の計画は、「国家安全保障戦略」(2013年策定)を改定し、「敵基地攻撃能力」の保有を可能にするというもの。もはや「専守防衛」などどこにもない。憲法を根底から覆す「構想」だ。もともと秋田と山口の「イージス・アショア」は、いつでも「先制攻撃用中距離ミサイル基地」に変更が可能なものだった。すでに「イージス・アショア」に代わる攻撃用ミサイルシステムが候補として挙がっている。敵の射程圏外から発射できる「スタンド・オフ・ミサイル」や地対地「高速滑空弾」などの射程が長いミサイルだ。これらを導入しようと動き出した。

昨年8月2日、米トランプ政権の一方的な離脱によってINF(米ロ中距離核戦力廃棄条約)が失効した。米国は直ちに新たな中距離ミサイルの開発に着手し、アジア・太平洋に中距離ミサイルを再配備する動きも強まっている。在日米軍基地、自衛隊基地はその有力な候補地であり、INF失効後の新たな核軍拡競争の真っ只中に入ろうとしている。新たなミサイル配備を阻止し、辺野古新基地建設を許さない闘いは、核軍拡競争に抗し、東アジアに緊張緩和と新たな軍縮秩序を築く極めて重要な闘いである。

「むすぶ」目次(2020年」5月号)2020/05/27 15:56

■ 今月を視る/ 軍事費削って、「コロナ対策」に予算回せ
世界共通の言葉と要求で今こそ世界を軍縮へ導こう! 
■ 報告/ 2019年以降の「むすぶ会」活動をふりかえって  事務局 豆多敏紀
■ Q & A <NO,108>/ 防衛省 イージス・アショアの「新屋配備」を断念
           政府は計画自体の白紙撤回をすべきだ (その2)
■ Book Corner/「森アッパの日本語・朝鮮語比較論」 耕文社 医問研 森國悦
■ 読者つうしん/ 松井市長、あなたはどこまでの風景を見て
          「コロナ専門病院化」発言をしたのか 堺市 石黒和代
■ おしらせ & 編集後記

今月を視る(「むすぶ」2020年5月号より)2020/05/27 15:55

軍事費削って、「コロナ対策」に予算回せ
世界共通の言葉と要求で今こそ世界を軍縮へ導こう!

軍事費削減し、緊急災害支援金の財源を捻出した韓国政府
 軍備増強を続けながら、市民のくらしといのちを守ることなどできない。韓国政府は7兆6千億ウォン(約6700億円)規模の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急災害支援金(全世帯に支給)の財源を用意するために、今年の国防予算50兆2千億ウォン(約4兆4000億円)から、9897億ウォン(約850億円)を削減することを決めた。4月16日に国会に提出した第2次補正予算によって明らかになった。F35A戦闘機や海上作戦ヘリなど外国製武器の購買予算の中から、契約や試験運営が遅延している事業の支出を主に減らす方針だという。F35A戦闘機3000億ウォン、海上作戦ヘリコプター2000億ウォン、広開土3イージス艦事業1000億ウォンなど。軍施設と鉄道投資事業も先送りや削減で資金を節約するという。莫大な軍事費からすれば850億円は約2%程度で、しかも来年への「先送り」だが、世界でこうした措置に踏み切るのは、今のところ韓国政府だけである。この措置を韓国の「緊急的例外措置」にとどまらせず、世界の共通する要求として広げることが今極めて重要だ。
韓国政府の動きの背後に市民の声がある。ロウソク革命で大きな役割を果たした韓国最大の市民運動団体・参与連帯は4月8日、「増え続ける国防費を大幅に削減し、新型コロナウイルスの被害克服のために投入すること」を求める声明を発表している。声明は、新型コロナウイルスの世界的拡散という歴史的な事件を前に、「緊急的例外措置」にとどまることなく、「国家の安全保障」と「人間の安全保障」の関係を見直すという世界的で根本的な問題提起をする。さらに「攻撃用」兵器を買うための予算を削減するよう求める。その額は16兆6804億ウォン(約1兆4900億円)である。

世界を軍縮へと導く新たな機会-日本で具体的要求を
「軍事費削って暮らしに」は私たちの一貫した主張だが、残念ながらこれまではキャンペーンの域を超えることはなかった。だが、今こそ、「軍事費削って暮らしに」の要求を具体化し、突き出す時だ。
 辺野古新基地建設の総額2兆5千億円(沖縄県試算)。イージスアショア2基で総額1兆円。F35は147機で6.2兆円。オスプレイ、グローバルホーク、さらに南西諸島への自衛隊基地建設。これらの全てが文字通り〝不要不急〟であるだけでなく、壮大な無駄遣いである。
 「軍事費削って、コロナ対策に」、世界共通の言葉と要求が今リアリティーを持つ。「コロナ禍」の先、世界を軍縮へと導く新たな機会とすることが必要だ。

辺野古新基地建設は撤回を!
玉城デニー沖縄県知事も5月20日、県内外にLINEやTwitterでこう呼びかけた。「現在、コロナ感染で窮地にある県民の生活が第一です!そのような現状の中、本当に今、莫大な予算をかけた辺野古新基地の建設が必要でしょうか? この予算で今、助けるべきは県民の命を守る医療の現場、そして県民の暮らしを守るべき生活の補償ではないでしょうか?」
 続けて「5月19日、世論の強い批判を受けて政府は検察庁法改正案を撤回。総理は『国民の理解なしに進められない』とコメントされたとも。2兆5千億の予算、護岸崩落の恐れがある軟弱地盤、多くの希少種が生息し環境省が重要海域に指定する『辺野古新基地建設埋めたて工事』も国民・県民の理解は得られない。撤回を!」

安倍内閣の支持率は、ついに27%まで落ち込んだ(毎日新聞5/24)。市民のくらしといのちを守るのではなく軍事大国に固執し、「コロナ場泥棒」の所業で乗り切ろうとあがく政府への怒りだ。平和で持続可能な社会へ、率先した軍事費削減を政府に求め、世界を軍縮へと導くよう訴えるときだ。