今月を視る (「むすぶ」2021年2月号より)2021/02/18 11:04

「核の傘」から脱却し、核兵器禁止条約参加につなぐ
「北東アジア非核兵器地帯」は現実的選択肢!

「橋渡し」するなら締約国会議へのオブザーバー参加は必須
1月22日、核兵器禁止条約が発効し、ヒロシマ、ナガサキをはじめ世界の多くの地域で条約のさらなる前進をめざす多様な行動がとり組まれた。発効と同じ日、カンボジアが新たに批准し、現在批准国・地域は52ヵ国になった。着実な前進だ。まだ、批准に至っていない署名済みの20数か国が批准に歩を進め、まだ、条約への態度を明らかにしていない多くの国、地域に態度を明確にする勇気を与え、条約への賛同、支持が大きく広がることが期待される。そのための行動が急がれる。その鍵の一つは、今年末オーストリアの首都ウィーンで開催準備が進められている核禁条約の第1回締約国会議だ。条約に署名していないスイスとスウェーデンの欧州2カ国がオブザーバーとして参加することが明らかになった。スイス政府は核禁止条約に署名しない方針を固めたが、参加を求める議会動議などを受け、再検討を決めた。世論と運動が政府の態度を変えさせた。両国はNATO加盟国ではないが、NATO加盟国にも影響を与え、欧州全体に波及するきっかけとなる可能性がある。日本でも、多方面から「締約国会議に参加を」の声が多くあがっており、締約国会議へのオブザーバー参加を含め核禁条約への賛同、批准を求める自治体意見書は2月15日現在で532団体にのぼっている。私たちの仲間も自分が住む自治体で2月議会での取り組みを進めており、取組みの広がりと強化が求められる。この取組みは、一人からでもできる。まず、核禁条約について議員に思いや意見を聞いてみることから始めてみよう。

新STARTの5年延長合意は核禁条約発効の成果
 一方、米国とロシア両政府は1月26日、2月5日に期限が切れる新戦略兵器削減条約(新START)の5年延長で合意。米ロ間の核軍縮条約が全廃されることを防いだ。今夏に開催予定のNPT(核拡散防止条約)再検討会議に向けても一歩前進である。核禁条約が核保有国に対し、軍縮への圧力を形成していることは間違いなく、NPTでの軍縮への不誠実な対応は許されない状況をつくり出している。

「北東アジア非核兵器地帯」構想は「核なき世界」への現実的展望
 重要なことは、これらの核・軍縮の世界的な流れを地域の平和構築に結びつける努力である。また、コロナ禍や気候危機が世界で深刻化する中、「安全保障とは何か」を問い直す転換点に立っているという認識を国内外で共有することである。
 日本政府に求められることは「核の傘」政策から脱却し、核禁条約加盟への道を探求することである。最も現実的アプローチとして「北東アジア非核兵器地帯」構想が提起されている。
● 核兵器は非人道的な兵器なので禁止すべきであるという核禁条約への原則支持の表明を行うこと
● 核禁条約締約国会議にオブザーバーとして参加すること
● 北東アジアにおける安全保障環境を悪化させる行動をとらないこと
● 2018年に始まった朝鮮半島の非核化・平和プロセスの行き詰まりを打破するため、米国のバイデ ン政権に米朝協議の再開を要請すること、そのために、まずシンガポール共同声明の継承をバイデン政権に求めること
● 「核の傘」政策からの脱却、そして核禁条約への加盟を可能にする「北東アジア非核兵器地帯」構想を真剣に検討すること
ここでの要求事項は以上に端的に集約される。「北東アジア非核兵器地帯」構想こそ「厳しい安全保障環境」を打開しうる現実的な選択肢であることを大胆に訴え、政府に軍縮政策への転換を求めよう。

辺野古新基地建設や南西諸島ミサイル基地建設は北東アジアにおける平和に逆行
 1月17日に行われた宮古島市長選挙では、ミサイル基地建設を強行する現職市長にオール沖縄の候補が勝利。1月31日には、鹿児島県西之表市長選で馬毛島「日米共同基地」建設に同意しない現職市長が勝利した。2月7日の浦添市長選挙では、敗れはしたが、軍港移設問題を焦点化させ「米軍の軍港は本当に必要か」を正面から問い直す意義ある闘いに果敢に挑んだ。これらの闘いは、北東アジアにおける平和構築の重要な闘いである。継続する闘いに自らの地域での取り組み強化で応えよう。

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