今月を視る(「むすぶ」2024年11・12月号) ― 2024/11/26 13:56
住民自治と平和に生きる権利をつなぐ持続的な運動を!
兵庫県知事選―驚きの事態
兵庫県知事選の結果には大きな脅威を感じる。世界では、ヨーロッパを中心に極右が台頭し、米国ではトランプが再び権力の座に就いた。国内では、東京都知事選で「石丸現象」が起き、衆議院選では、国民民主党が4倍の議席増など異変が起こった。「斎藤ショック」もこの流れにある。
なぜ、今回、「斎藤は被害者だった」という「物語」が作り上げられ、有権者の少なくない人々が引き寄せられたのか。誰もが語るようにSNSを駆使した巧妙な選挙戦術が「物語」づくりと「既得権勢力とテレビなど既存メディアが結託し、隠し続けた『もう一つの真実』」を人々の脳に届け、一定定着させることに成功した。『もう一つの真実』」とは告発者である人物の「セクハラ、性暴力を繰り返してきたとんでもない非行」(真偽は不明)、「自殺はこの非行がばれるのを恐れたからであり、斎藤はこんなでっちあげの被害者」というものだ。この『もう一つの真実』暴露を担ったのは金で動くごろつきでしかないN党・立花である。斉藤や立花を繰るもっと大きな権力構造は想像するしかないが、いくつかの右派組織やグループの組織的に連携した作戦が成功し、兵庫県政をめぐる状況がとんでもない状況になったことは悔しすぎる現実だ。
勝負はこれから
県知事選挙は終わったが、選挙で明確な争点となるべきだった「斉藤県政のパワハラ体質が許されるか否か」という問題は何一つ解明されていない。告発文書の一つ一つの「パワハラ事例」の真偽解明以上に重要なのは公益通報制度の本質的な意義を無視して、告発者への処分を強行した問題だ。これこそ
斉藤県政のパワハラ体質を象徴する問題だからだ。アンケートで職員の40%が「パワハラ事象を見た、聞いたことがある」と答えた事実は放置されたままでいいはずがない。この問題が放置されたままなら、今後、内部告発は死を覚悟しなければならなくなる。また、阪神、オリックスの優勝パレードで、兵庫県が金融機関向けに補助金を増額し協賛金として還流させた「キックバック」疑惑(担当課長は死亡)もうやむやにさせてはならない。何人かの無責任なテレビコメンテーターは「斉藤勝利」に手のひら返すように「祝意」と「謝罪」を表明し、立花から「すぐに謝罪できる泉房穂さんは素敵な人だ」と褒められる始末である。テレビなど既存メディアも選挙後2~3日でほとんど報道しなくなった。そんな中で、あの橋下徹が「斉藤パワハラ問題」の本質について珍しくまともな主張をしている。「斎藤さんは権力者として不適格」を「主張し続ける」とし、その理由を「権力者の疑惑を告発した者を、権力者自ら組織をあげて探し出して処分する世の中は、僕は絶対嫌だ。権力者自らの疑惑については第三者調査を絶対とする世の中にしたい」と述べている。この観点こそ、住民自治や民主主義政治を語るなら、最低限持っていなければいけない観点であり、この観点を軸に今後の取り組みは進めなければならない。
選挙は終わったが、本当の勝負はこれからである。百条委員会の形骸化、機能不全化を許してはならない。徹底した “パワハラ疑惑” の解明を求める持続的な住民運動をつくり出すことが課題だ。
平和に生きる権利を世界の人々とともに
他方、世界の軍事的緊張がさらに高まり、軍拡に拍車がかかっている。ウクライナ戦争では、ウクライナがロシア領内への長距離ミサイル攻撃に踏み切り、ロシアからは「新型ミサイル」による攻撃が行われた。イスラエル・ネタニヤフ政権は、ガザ完全制圧、殲滅を掲げて凶暴な攻撃を強めている。辺野古新基地建設では、ついに辺野古崎の沿岸海域で新たに埋め立て土砂の投入を強行した(11月13日)。だが、世界の大多数の人々が求めるのは、“平和で人らしく生きる権利” である。世界の大多数の人々のこの声を大きく広げよう。その力で、停戦と平和外交を拒否する者たちに対抗しよう。
住民自治をめぐる足元の課題に向き合いながら、平和に生きる権利を求める運動を世界の人々とともに
兵庫県知事選―驚きの事態
兵庫県知事選の結果には大きな脅威を感じる。世界では、ヨーロッパを中心に極右が台頭し、米国ではトランプが再び権力の座に就いた。国内では、東京都知事選で「石丸現象」が起き、衆議院選では、国民民主党が4倍の議席増など異変が起こった。「斎藤ショック」もこの流れにある。
なぜ、今回、「斎藤は被害者だった」という「物語」が作り上げられ、有権者の少なくない人々が引き寄せられたのか。誰もが語るようにSNSを駆使した巧妙な選挙戦術が「物語」づくりと「既得権勢力とテレビなど既存メディアが結託し、隠し続けた『もう一つの真実』」を人々の脳に届け、一定定着させることに成功した。『もう一つの真実』」とは告発者である人物の「セクハラ、性暴力を繰り返してきたとんでもない非行」(真偽は不明)、「自殺はこの非行がばれるのを恐れたからであり、斎藤はこんなでっちあげの被害者」というものだ。この『もう一つの真実』暴露を担ったのは金で動くごろつきでしかないN党・立花である。斉藤や立花を繰るもっと大きな権力構造は想像するしかないが、いくつかの右派組織やグループの組織的に連携した作戦が成功し、兵庫県政をめぐる状況がとんでもない状況になったことは悔しすぎる現実だ。
勝負はこれから
県知事選挙は終わったが、選挙で明確な争点となるべきだった「斉藤県政のパワハラ体質が許されるか否か」という問題は何一つ解明されていない。告発文書の一つ一つの「パワハラ事例」の真偽解明以上に重要なのは公益通報制度の本質的な意義を無視して、告発者への処分を強行した問題だ。これこそ
斉藤県政のパワハラ体質を象徴する問題だからだ。アンケートで職員の40%が「パワハラ事象を見た、聞いたことがある」と答えた事実は放置されたままでいいはずがない。この問題が放置されたままなら、今後、内部告発は死を覚悟しなければならなくなる。また、阪神、オリックスの優勝パレードで、兵庫県が金融機関向けに補助金を増額し協賛金として還流させた「キックバック」疑惑(担当課長は死亡)もうやむやにさせてはならない。何人かの無責任なテレビコメンテーターは「斉藤勝利」に手のひら返すように「祝意」と「謝罪」を表明し、立花から「すぐに謝罪できる泉房穂さんは素敵な人だ」と褒められる始末である。テレビなど既存メディアも選挙後2~3日でほとんど報道しなくなった。そんな中で、あの橋下徹が「斉藤パワハラ問題」の本質について珍しくまともな主張をしている。「斎藤さんは権力者として不適格」を「主張し続ける」とし、その理由を「権力者の疑惑を告発した者を、権力者自ら組織をあげて探し出して処分する世の中は、僕は絶対嫌だ。権力者自らの疑惑については第三者調査を絶対とする世の中にしたい」と述べている。この観点こそ、住民自治や民主主義政治を語るなら、最低限持っていなければいけない観点であり、この観点を軸に今後の取り組みは進めなければならない。
選挙は終わったが、本当の勝負はこれからである。百条委員会の形骸化、機能不全化を許してはならない。徹底した “パワハラ疑惑” の解明を求める持続的な住民運動をつくり出すことが課題だ。
平和に生きる権利を世界の人々とともに
他方、世界の軍事的緊張がさらに高まり、軍拡に拍車がかかっている。ウクライナ戦争では、ウクライナがロシア領内への長距離ミサイル攻撃に踏み切り、ロシアからは「新型ミサイル」による攻撃が行われた。イスラエル・ネタニヤフ政権は、ガザ完全制圧、殲滅を掲げて凶暴な攻撃を強めている。辺野古新基地建設では、ついに辺野古崎の沿岸海域で新たに埋め立て土砂の投入を強行した(11月13日)。だが、世界の大多数の人々が求めるのは、“平和で人らしく生きる権利” である。世界の大多数の人々のこの声を大きく広げよう。その力で、停戦と平和外交を拒否する者たちに対抗しよう。
住民自治をめぐる足元の課題に向き合いながら、平和に生きる権利を求める運動を世界の人々とともに
「むすぶ」目次(2024年11・12月号) ― 2024/11/26 13:58

■ 今月を視る / 住民自治と平和に生きる権利をつなぐ持続的な運動を!
■ オピニオン / 今こそ無防備地域宣言運動の再起動を(その2) 東京 矢野秀喜
■ 沖縄レポート /「台湾有事」に突き進む政府・防衛省・自衛隊
戦争準備より平和外交こそ 沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 報告 / 原発事故・放射能汚染は続いている! 京都・市民放射能測定所 佐藤和利
■ 図書あんない /『ヘイトクライムとは何か』 鵜塚 健 著 東大阪市 桐生佳子
■ 読者つうしん / 僕の“初”ウチナー旅行 堺市 堤 淳雄
■ Information & Editorial Peace Note
■ オピニオン / 今こそ無防備地域宣言運動の再起動を(その2) 東京 矢野秀喜
■ 沖縄レポート /「台湾有事」に突き進む政府・防衛省・自衛隊
戦争準備より平和外交こそ 沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 報告 / 原発事故・放射能汚染は続いている! 京都・市民放射能測定所 佐藤和利
■ 図書あんない /『ヘイトクライムとは何か』 鵜塚 健 著 東大阪市 桐生佳子
■ 読者つうしん / 僕の“初”ウチナー旅行 堺市 堤 淳雄
■ Information & Editorial Peace Note