「むすぶ」目次(2025年3月号) ― 2025/03/19 17:13

■ 今月を視る / 停戦から平和的解決へ! 真剣な外交が必要だ!
■ 沖縄レポート / 宮古・八重山はすでに戦時体制-市民が戦争止める
沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 寄稿 / 再生可能エネルギー転換で、原発ゼロ達成は可能だ!
東京都足立区 山根昭平
■ 図書あんない /『金正恩の「決断」を読み解く』 鄭 旭湜 著 事務局 豆多敏紀
■ 読者つうしん / 広島に生まれた私が3月1日に思うこと 堺市 白倉和典
■ Information & Editorial Peace Note
■ 沖縄レポート / 宮古・八重山はすでに戦時体制-市民が戦争止める
沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 寄稿 / 再生可能エネルギー転換で、原発ゼロ達成は可能だ!
東京都足立区 山根昭平
■ 図書あんない /『金正恩の「決断」を読み解く』 鄭 旭湜 著 事務局 豆多敏紀
■ 読者つうしん / 広島に生まれた私が3月1日に思うこと 堺市 白倉和典
■ Information & Editorial Peace Note
今月を視る(「むすぶ」2025年3月号) ― 2025/03/19 17:12
停戦から平和的解決へ! 真剣な外交が必要だ!
停戦延長維持から第2段階の交渉を
3月は、戦争と平和をめぐる大きな動きが続いている。まず、ガザ停戦の第1段階(6週間)が終了し、第2段階(イスラエル軍のガザ撤退や恒久停戦に関する交渉)、第3段階(ガザ復興のための交渉)への移行は「棚上げ」にされたままだが、「停戦延長」がかろうじて維持されている。停戦期間中も繰り返し行われるイスラエルの攻撃(とくに西岸地区でのパレスチナ人を狙った攻撃や入植強化)や支援物資の搬入妨害で停戦延長が脅かされており、不安定で予断を許さない状況だが、停戦破壊許さず、第2段階の交渉に入るよう国際的圧力を強めることが求められる。
新たな核軍備管理・削減交渉を米ロに強く要求
米ニューヨークの国連本部で開催された核兵器禁止条約の第3回締約国会議(3月3日~7日)は、「核廃絶は単なる願望ではなく、世界の安全保障と人類の生存に絶対必要」だとする宣言を採択した。
また、新戦略兵器削減条約(新START)の期限を来年2月に控え、新たな核軍備管理・削減交渉を
直ちに始めるよう米ロに強く要求した。核保有国や日本など「核の傘」、「核抑止力」を信奉する多くの国がオブザーバー参加すら拒み、会議を無視する姿勢を装ったが、核禁条約が「核のない世界」を実現する唯一で確かな途であることを、あらためて世界に広く知らせることが大事だ。
トランプは、2月13日、記者団の質問に答える形で、「世界情勢がいったん落ち着いた段階で」と前置きしたうえで、「我々はみな、もっと生産的なことに使えるはずの多額の資金を核兵器に費やしている」と語り、中ロと交渉し、軍事費の半減をめざす意向を表明したという。「そのとおりだ!今すぐ実行を」の声を一層大きく世界から突きつけよう。
もはや軍事的解決はない
2月末のゼレンスキー vs.トランプ、ヴァンスの口論の末、決裂した首脳会談を経て、3月13日、米・ウクライナは「即時かつ暫定的な30日間の停戦」に合意したことが発表された。ロシアの態度はまだ確定的なものは報じられていないが、停戦をめぐるこの動きは注目すべき大きな変化である。トランプ政権の思惑や狙いが、ウクライナ・ロシアの市民の命と人権を守ることにあるのではなく、グローバル資本のための「自国の利益」にあることは間違いない。だが、現時点での停戦への試みは、トランプらの邪悪な狙いを理由に、躊躇したり消極的になったりしてはならない重大問題である。トランプが言うまでもなく、「(武器援助だけでなくNATOの軍事介入・参戦を望む)ゼレンスキーは、第3次世界大戦に賭けようとしている」、「もはや軍事的解決(勝敗をつける)はありえない」ことは一定の真実である。また、メディアはこの停戦の動きの中で、ウクライナ兵士や市民が「こんな(不利な)停戦なら、何のために多くのウクライナ人が戦い、死んでいったのか分からない」と憤る姿を度々映し出す。戦禍に苦しむ民衆の率直な感情であることは理解できる。だが、一方でかつて日米の戦争において「戦争をやめるならどこかで一度でも敵をたたいて、できるだけ有利な条件で」という軍部や政権の「一撃講和論」に民衆も巻き込まれていった事実、そのためにどれだけ多くの命が失われたかを忘れてはならない。
停戦は多くの妥協を伴うが、屈服を意味するものではない。正義は武力以外のあらゆる抵抗、行動によって実現しなければならない。
「この戦争が続けば、ウクライナとロシアでさらに何千人もの命が失われるだろうし、戦争が激化すれば、全世界に影響を及ぼすだろう」、「戦争がさらに激化する前に、米国とウクライナがより現実的な基盤で再び協力することを私たちは期待するが、そのためには真剣な外交が必要となる。ヨーロッパはウクライナに戦い続けるよう奨励するのを止めなければならない。今こそ、どんなに困難であっても、この戦争は交渉の場で解決しなければならないことをすべての関係者が認識しなければならないときだ」(米反戦団体CODEPINK 2月28日緊急発表)との認識を共有する。
日本政府に対しても、和平のための外交交渉に参加し、そのイニシアチブを発揮するよう要求しよう。ウクライナの戦場だけでなく、ガザの戦場も。
停戦延長維持から第2段階の交渉を
3月は、戦争と平和をめぐる大きな動きが続いている。まず、ガザ停戦の第1段階(6週間)が終了し、第2段階(イスラエル軍のガザ撤退や恒久停戦に関する交渉)、第3段階(ガザ復興のための交渉)への移行は「棚上げ」にされたままだが、「停戦延長」がかろうじて維持されている。停戦期間中も繰り返し行われるイスラエルの攻撃(とくに西岸地区でのパレスチナ人を狙った攻撃や入植強化)や支援物資の搬入妨害で停戦延長が脅かされており、不安定で予断を許さない状況だが、停戦破壊許さず、第2段階の交渉に入るよう国際的圧力を強めることが求められる。
新たな核軍備管理・削減交渉を米ロに強く要求
米ニューヨークの国連本部で開催された核兵器禁止条約の第3回締約国会議(3月3日~7日)は、「核廃絶は単なる願望ではなく、世界の安全保障と人類の生存に絶対必要」だとする宣言を採択した。
また、新戦略兵器削減条約(新START)の期限を来年2月に控え、新たな核軍備管理・削減交渉を
直ちに始めるよう米ロに強く要求した。核保有国や日本など「核の傘」、「核抑止力」を信奉する多くの国がオブザーバー参加すら拒み、会議を無視する姿勢を装ったが、核禁条約が「核のない世界」を実現する唯一で確かな途であることを、あらためて世界に広く知らせることが大事だ。
トランプは、2月13日、記者団の質問に答える形で、「世界情勢がいったん落ち着いた段階で」と前置きしたうえで、「我々はみな、もっと生産的なことに使えるはずの多額の資金を核兵器に費やしている」と語り、中ロと交渉し、軍事費の半減をめざす意向を表明したという。「そのとおりだ!今すぐ実行を」の声を一層大きく世界から突きつけよう。
もはや軍事的解決はない
2月末のゼレンスキー vs.トランプ、ヴァンスの口論の末、決裂した首脳会談を経て、3月13日、米・ウクライナは「即時かつ暫定的な30日間の停戦」に合意したことが発表された。ロシアの態度はまだ確定的なものは報じられていないが、停戦をめぐるこの動きは注目すべき大きな変化である。トランプ政権の思惑や狙いが、ウクライナ・ロシアの市民の命と人権を守ることにあるのではなく、グローバル資本のための「自国の利益」にあることは間違いない。だが、現時点での停戦への試みは、トランプらの邪悪な狙いを理由に、躊躇したり消極的になったりしてはならない重大問題である。トランプが言うまでもなく、「(武器援助だけでなくNATOの軍事介入・参戦を望む)ゼレンスキーは、第3次世界大戦に賭けようとしている」、「もはや軍事的解決(勝敗をつける)はありえない」ことは一定の真実である。また、メディアはこの停戦の動きの中で、ウクライナ兵士や市民が「こんな(不利な)停戦なら、何のために多くのウクライナ人が戦い、死んでいったのか分からない」と憤る姿を度々映し出す。戦禍に苦しむ民衆の率直な感情であることは理解できる。だが、一方でかつて日米の戦争において「戦争をやめるならどこかで一度でも敵をたたいて、できるだけ有利な条件で」という軍部や政権の「一撃講和論」に民衆も巻き込まれていった事実、そのためにどれだけ多くの命が失われたかを忘れてはならない。
停戦は多くの妥協を伴うが、屈服を意味するものではない。正義は武力以外のあらゆる抵抗、行動によって実現しなければならない。
「この戦争が続けば、ウクライナとロシアでさらに何千人もの命が失われるだろうし、戦争が激化すれば、全世界に影響を及ぼすだろう」、「戦争がさらに激化する前に、米国とウクライナがより現実的な基盤で再び協力することを私たちは期待するが、そのためには真剣な外交が必要となる。ヨーロッパはウクライナに戦い続けるよう奨励するのを止めなければならない。今こそ、どんなに困難であっても、この戦争は交渉の場で解決しなければならないことをすべての関係者が認識しなければならないときだ」(米反戦団体CODEPINK 2月28日緊急発表)との認識を共有する。
日本政府に対しても、和平のための外交交渉に参加し、そのイニシアチブを発揮するよう要求しよう。ウクライナの戦場だけでなく、ガザの戦場も。
「むすぶ」目次(2025年2月号) ― 2025/02/19 16:16

■ 今月を視る / パレスチナ・ガザ地区における停戦破壊許さず、恒久停戦へ!
■ オピニオン / 核兵器禁止条約・第3回締約国会議にむけて
ZENKO関電前プロジェクト 安井賢二
■ 沖縄レポート / 反転攻勢へ 対中戦争を回避させる市民運動をいまこそ
沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 解説 / ノー!ハプサ(ヤスクニ合祀取り消し)訴訟最高裁判決
ノー!ハプサ 事務局長 山本直好
■ 図書あんない /『パンとペンの事件簿』 柳 広司 著 堺市 松永直子
■ 読者つうしん / ひとりスタンディングを初めて1年3か月 堺市 佐藤美津子
■ Information & Editorial Peace Note
■ オピニオン / 核兵器禁止条約・第3回締約国会議にむけて
ZENKO関電前プロジェクト 安井賢二
■ 沖縄レポート / 反転攻勢へ 対中戦争を回避させる市民運動をいまこそ
沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 解説 / ノー!ハプサ(ヤスクニ合祀取り消し)訴訟最高裁判決
ノー!ハプサ 事務局長 山本直好
■ 図書あんない /『パンとペンの事件簿』 柳 広司 著 堺市 松永直子
■ 読者つうしん / ひとりスタンディングを初めて1年3か月 堺市 佐藤美津子
■ Information & Editorial Peace Note
今月を視る(「むすぶ」2025年2月号) ― 2025/02/19 16:15
パレスチナ・ガザ地区における停戦破壊許さず、恒久停戦へ!
トランプ政権による暴力と強欲の世界支配
トランプ政権の「Make America Great Again(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)」は、暴力と強欲が支配する「ジャングルの掟」を再び世界に押し付けようとするものだ。一方、石破政権は「楽しい日本」を掲げている。安倍政権の軍国主義礼賛でしかない「美しい日本」よりははるかにましだが、「楽しい日本」も中味がともなわないことには、単なる「空文句」でしかない。2025年予算案はこれまでの金持ち優遇、軍事優先の基本姿勢に何の変化もない。「楽しい日本」だけでなく、「楽しい世界」もセットであるべきだ。そのための外交、安保にも今のところ変化はないとしか見えない。トランプとの首脳会談も以前からのスタンスに何の変化もなかった。「楽しい世界」に向けて彼らに託すものはないが、彼らをして動かざるを得ない状況を作り出す国内外の取り組みは一層重要だ。
停戦破壊攻撃を許すな
トランプ米大統領は2月4日、訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相との会談後の記者会見で、パレスチナ・ガザ地区をアメリカが「引き取る」、アメリカが「所有する」と発言。「ガザを更地にして再開発する」、「再建の間はパレスチナ人をガザの域外に移住させる」、「パレスチナ人がガザに帰還する権利はない」というとんでもない「計画」をぶち上げた。このトランプ発言を受けて、イスラエルのカッツ国防相は2月6日、パレスチナ自治区ガザの住民の自主的な退去を可能にする計画を準備するようイスラエル軍に指示したと明らかにし、「退去したガザの住民たちの受け入れ先について、イスラエルのガザへの攻撃を強く非難してきた国に「受け入れる義務がある」と一方的に主張。スペインやアイルランド、ノルウェーを名指しし、「受け入れを拒否すれば偽善だ」とまくしたてている。
さらに、トランプは2月10日、ハマス側がイスラエルの数々の停戦合意違反に抗議する措置として「人質の解放一時延期」を表明すると、ハマスに対し、「パレスチナ・ガザ地区で拘束している人質全員を『土曜日の12時』までに解放せよ」、応じなければ「地獄のようなとんでもない事態」にすると脅迫した。イスラエルは、停戦合意発効後もガザで攻撃を行う、支援物資の円滑な搬入を妨害する、ヨルダン川西岸地区で戦闘を激化、暴力的なユダ人入植を強めるなど、停戦合意の実行を無視してきた。
すでに、停戦交渉は、第2段階(イスラエル人の残りの捕虜とパレスチナ人囚人の交換、イスラエル軍のガザ地区からの完全撤退など)、第3段階(ガザ地区の再建)のための交渉に入っているが、イスラエルとトランプ政権の「ガザ地区の再建」が「ガザ地区からパレスチナ住民を追放する」計画であったことが露呈したといわなければならない。
国際刑事裁判所に制裁の暴挙
この暴虐ともいうべき計画に対し、パレスチナ民衆が「我々の人々と土地の権利は売り物でも交換でも交渉の対象でもない」、「イスラエル政府とネタニヤフ首相は、我々の民に対して行ったジェノサイド、強制移住、併合の犯罪を隠そうとしている」と抗議の声をあげたのは当然であり、正当だ。
トランプ政権はパレスチナ民衆だけでなく、世界の良識に牙を向けている。トランプ大統領は2月6日、米国民やイスラエルなどの同盟国に対する捜査に関わったICC(国際刑事裁判所)の職員らに制裁を課す大統領令に署名し、2月10日、ICCのカーン主任検察官に対し制裁を課した。制裁には、米国やイスラエルなどの捜査に関わったICC職員やその家族の米国内の資産凍結や米国への渡航制限などが含まれる。
イスラエルとトランプ政権によるあからさまな停戦破壊を許さず、パレスチナ民衆、世界の人々と連帯し、停戦維持、恒久停戦に向けて歩をすすめよう。
トランプ政権による暴力と強欲の世界支配
トランプ政権の「Make America Great Again(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)」は、暴力と強欲が支配する「ジャングルの掟」を再び世界に押し付けようとするものだ。一方、石破政権は「楽しい日本」を掲げている。安倍政権の軍国主義礼賛でしかない「美しい日本」よりははるかにましだが、「楽しい日本」も中味がともなわないことには、単なる「空文句」でしかない。2025年予算案はこれまでの金持ち優遇、軍事優先の基本姿勢に何の変化もない。「楽しい日本」だけでなく、「楽しい世界」もセットであるべきだ。そのための外交、安保にも今のところ変化はないとしか見えない。トランプとの首脳会談も以前からのスタンスに何の変化もなかった。「楽しい世界」に向けて彼らに託すものはないが、彼らをして動かざるを得ない状況を作り出す国内外の取り組みは一層重要だ。
停戦破壊攻撃を許すな
トランプ米大統領は2月4日、訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相との会談後の記者会見で、パレスチナ・ガザ地区をアメリカが「引き取る」、アメリカが「所有する」と発言。「ガザを更地にして再開発する」、「再建の間はパレスチナ人をガザの域外に移住させる」、「パレスチナ人がガザに帰還する権利はない」というとんでもない「計画」をぶち上げた。このトランプ発言を受けて、イスラエルのカッツ国防相は2月6日、パレスチナ自治区ガザの住民の自主的な退去を可能にする計画を準備するようイスラエル軍に指示したと明らかにし、「退去したガザの住民たちの受け入れ先について、イスラエルのガザへの攻撃を強く非難してきた国に「受け入れる義務がある」と一方的に主張。スペインやアイルランド、ノルウェーを名指しし、「受け入れを拒否すれば偽善だ」とまくしたてている。
さらに、トランプは2月10日、ハマス側がイスラエルの数々の停戦合意違反に抗議する措置として「人質の解放一時延期」を表明すると、ハマスに対し、「パレスチナ・ガザ地区で拘束している人質全員を『土曜日の12時』までに解放せよ」、応じなければ「地獄のようなとんでもない事態」にすると脅迫した。イスラエルは、停戦合意発効後もガザで攻撃を行う、支援物資の円滑な搬入を妨害する、ヨルダン川西岸地区で戦闘を激化、暴力的なユダ人入植を強めるなど、停戦合意の実行を無視してきた。
すでに、停戦交渉は、第2段階(イスラエル人の残りの捕虜とパレスチナ人囚人の交換、イスラエル軍のガザ地区からの完全撤退など)、第3段階(ガザ地区の再建)のための交渉に入っているが、イスラエルとトランプ政権の「ガザ地区の再建」が「ガザ地区からパレスチナ住民を追放する」計画であったことが露呈したといわなければならない。
国際刑事裁判所に制裁の暴挙
この暴虐ともいうべき計画に対し、パレスチナ民衆が「我々の人々と土地の権利は売り物でも交換でも交渉の対象でもない」、「イスラエル政府とネタニヤフ首相は、我々の民に対して行ったジェノサイド、強制移住、併合の犯罪を隠そうとしている」と抗議の声をあげたのは当然であり、正当だ。
トランプ政権はパレスチナ民衆だけでなく、世界の良識に牙を向けている。トランプ大統領は2月6日、米国民やイスラエルなどの同盟国に対する捜査に関わったICC(国際刑事裁判所)の職員らに制裁を課す大統領令に署名し、2月10日、ICCのカーン主任検察官に対し制裁を課した。制裁には、米国やイスラエルなどの捜査に関わったICC職員やその家族の米国内の資産凍結や米国への渡航制限などが含まれる。
イスラエルとトランプ政権によるあからさまな停戦破壊を許さず、パレスチナ民衆、世界の人々と連帯し、停戦維持、恒久停戦に向けて歩をすすめよう。
「むすぶ」目次(2025年1月号) ― 2025/01/20 10:27

■ 今月を視る / 2025年を軍事・暴力行使停止の新たな出発年に!
■ オピニオン / 原発はGXの切り札ではない 事務局 岡本 誠
■ 沖縄レポート /「否戦」を貫いた反戦地主・有銘政夫の軌跡を記す
沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 寄稿 /「長生炭鉱問題」に本格的に取り組み始めた私の思い
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 上田慶司
■ 図書あんない /『杉並は止まらない』 岸本聡子 著 日野市議会議員 あるが精一
■ 読者つうしん / 山と生きる~リニア工事の村から 長野県大鹿村 北川誠康
■ Information & 2024年会計報告・年会費の改定について
■ オピニオン / 原発はGXの切り札ではない 事務局 岡本 誠
■ 沖縄レポート /「否戦」を貫いた反戦地主・有銘政夫の軌跡を記す
沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 寄稿 /「長生炭鉱問題」に本格的に取り組み始めた私の思い
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 上田慶司
■ 図書あんない /『杉並は止まらない』 岸本聡子 著 日野市議会議員 あるが精一
■ 読者つうしん / 山と生きる~リニア工事の村から 長野県大鹿村 北川誠康
■ Information & 2024年会計報告・年会費の改定について
今月を視る(「むすぶ」2025年1月号) ― 2025/01/20 10:23
2025年を軍事・暴力行使停止の新たな出発年に!
停戦を維持し、恒久停戦へ
あまりに長い時間を要した。やっとの(6週間の期間限定であるにせよ)「停戦」である。2023年10月7日にハマス側が決行した越境奇襲反撃への「報復」として開始されたイスラエルによるガザへの一方的虐殺攻撃から1年3カ月。この間、ガザ保健当局などの公式統計だけでも、約4万7千人のパレスチナ市民が虐殺された(空爆による瓦礫に埋もれたままの死亡者なども含めると7~8万人にも上るとの推計もある)。しかも、その7割は女性・子どもである。さらに、イスラエルがガザへの物資搬入を厳しく制限、妨害することで、人道危機は深刻化している。国連人道問題調整事務所によると、全人口約230万人のうち9割以上が深刻な食料不安に直面。飢餓で死亡する子どもも続出している。ガザでは約9割の家屋が破壊され、約190万人が避難生活を余儀なくされている。これが、ジェノサイド(虐殺)でなくて何なのか。
すでに、昨年11月21日、国際刑事裁判所(ICC)は、「最も重大な」戦争犯罪の疑いで、イスラエルのネタニヤフ首相、ガラント前国防相、ハマスのムハンマド・デイフ軍事部門トップに対する逮捕状を発付している。これら正義の実現は人類史上極めて重要な課題であり、できるだけ早く解決されなければならないのは当然だ。だが、停戦は真っ先に、即刻に実現すべき緊急措置である。これ以上の虐殺を止めるためである、したがって、停戦合意は無条件に歓迎する。
おかしなことに、「停戦合意」の第一報の新聞見出しは「ハマス停戦了承」(毎日新聞1/16)であった。
あたかも、ハマス側が停戦に否定的であったかの印象を与えるものだが、事実は異なる。停戦合意が「間近」と報じられるたびに、さまざまな条件を付け足すことで、停戦を妨害してきたのはイスラエル政府だ。今回も、停戦発効の19日を前に「ハマスが合意の一部を破っている」と難癖をつけ、「承認手続きを見送っている」(17日、閣議承認報道)。この先、何が起こるかはわからない状況だが、今後、いかなる停戦破壊も許さず、恒久停戦につなげていけるよう全力をあげた世界の取り組みが求められる。
一方、ロシア・ウクライナ戦争でも、停戦の機運が醸成されてきている。ゼレンスキー大統領が12月1日、共同通信との単独会見で、「ロシアによる占領地の一部は武力ではなく外交で取り戻す」考えを表明したという。双方の戦傷者をこれ以上増やさないために、まず、停戦が求められる。
韓国市民の勇気ある闘いに連帯し、東アジア平和構築へ
韓国では、昨年12月3日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳を宣言し、軍事クーデターを企むという驚愕する事態が起こったが、暗黒の時代への逆戻りを若者、女性が多く参加する市民の勇気ある行動でこの反動を阻止し、尹錫悦大統領を弾劾、内乱罪による逮捕へと闘いを進めている。
驚くべきことに、この企ては朝鮮人民民主義共和国(以下、朝鮮)との軍事的緊張を利用することでクーデターを実行するものであったことが明らかになっている。非常戒厳事件を捜査する韓国警察は、ノ・サンウォン元情報司令官の手帳に、「NLL(北方限界線)で北朝鮮の攻撃を誘導」という内容を確認したことを明らかにしている(東亜日報)。また、共に民主党の実態調査によれば、朝鮮に潜入する工作部隊である情報司令部の要員35名がソウル近郊で待機していたことが明らかになっており、1)連行した議員らを朝鮮人民軍の軍服を着て殺害する計画、2)朝に出勤する選挙管理委員会の課長30名を拉致し、B1バンカー(戦時地下指揮処)に連行して4月総選挙は不正選挙だったと明らかにする計画なども検討されていたという。1990年代以前の軍事独裁政権の暗黒政治そのものである。韓国市民の勇気ある闘いに学び、連帯し、東アジアの平和構築に前進しなければならない。
東アジアの平和構築に向けて欠かせないのが、辺野古をはじめとした基地撤去の闘いであり、沖縄・南西諸島など全国軍事要塞化に対する闘いである。沖縄の「あきらめない闘い」に学び、地域から平和を構築する取り組みをすすめよう。
停戦を維持し、恒久停戦へ
あまりに長い時間を要した。やっとの(6週間の期間限定であるにせよ)「停戦」である。2023年10月7日にハマス側が決行した越境奇襲反撃への「報復」として開始されたイスラエルによるガザへの一方的虐殺攻撃から1年3カ月。この間、ガザ保健当局などの公式統計だけでも、約4万7千人のパレスチナ市民が虐殺された(空爆による瓦礫に埋もれたままの死亡者なども含めると7~8万人にも上るとの推計もある)。しかも、その7割は女性・子どもである。さらに、イスラエルがガザへの物資搬入を厳しく制限、妨害することで、人道危機は深刻化している。国連人道問題調整事務所によると、全人口約230万人のうち9割以上が深刻な食料不安に直面。飢餓で死亡する子どもも続出している。ガザでは約9割の家屋が破壊され、約190万人が避難生活を余儀なくされている。これが、ジェノサイド(虐殺)でなくて何なのか。
すでに、昨年11月21日、国際刑事裁判所(ICC)は、「最も重大な」戦争犯罪の疑いで、イスラエルのネタニヤフ首相、ガラント前国防相、ハマスのムハンマド・デイフ軍事部門トップに対する逮捕状を発付している。これら正義の実現は人類史上極めて重要な課題であり、できるだけ早く解決されなければならないのは当然だ。だが、停戦は真っ先に、即刻に実現すべき緊急措置である。これ以上の虐殺を止めるためである、したがって、停戦合意は無条件に歓迎する。
おかしなことに、「停戦合意」の第一報の新聞見出しは「ハマス停戦了承」(毎日新聞1/16)であった。
あたかも、ハマス側が停戦に否定的であったかの印象を与えるものだが、事実は異なる。停戦合意が「間近」と報じられるたびに、さまざまな条件を付け足すことで、停戦を妨害してきたのはイスラエル政府だ。今回も、停戦発効の19日を前に「ハマスが合意の一部を破っている」と難癖をつけ、「承認手続きを見送っている」(17日、閣議承認報道)。この先、何が起こるかはわからない状況だが、今後、いかなる停戦破壊も許さず、恒久停戦につなげていけるよう全力をあげた世界の取り組みが求められる。
一方、ロシア・ウクライナ戦争でも、停戦の機運が醸成されてきている。ゼレンスキー大統領が12月1日、共同通信との単独会見で、「ロシアによる占領地の一部は武力ではなく外交で取り戻す」考えを表明したという。双方の戦傷者をこれ以上増やさないために、まず、停戦が求められる。
韓国市民の勇気ある闘いに連帯し、東アジア平和構築へ
韓国では、昨年12月3日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳を宣言し、軍事クーデターを企むという驚愕する事態が起こったが、暗黒の時代への逆戻りを若者、女性が多く参加する市民の勇気ある行動でこの反動を阻止し、尹錫悦大統領を弾劾、内乱罪による逮捕へと闘いを進めている。
驚くべきことに、この企ては朝鮮人民民主義共和国(以下、朝鮮)との軍事的緊張を利用することでクーデターを実行するものであったことが明らかになっている。非常戒厳事件を捜査する韓国警察は、ノ・サンウォン元情報司令官の手帳に、「NLL(北方限界線)で北朝鮮の攻撃を誘導」という内容を確認したことを明らかにしている(東亜日報)。また、共に民主党の実態調査によれば、朝鮮に潜入する工作部隊である情報司令部の要員35名がソウル近郊で待機していたことが明らかになっており、1)連行した議員らを朝鮮人民軍の軍服を着て殺害する計画、2)朝に出勤する選挙管理委員会の課長30名を拉致し、B1バンカー(戦時地下指揮処)に連行して4月総選挙は不正選挙だったと明らかにする計画なども検討されていたという。1990年代以前の軍事独裁政権の暗黒政治そのものである。韓国市民の勇気ある闘いに学び、連帯し、東アジアの平和構築に前進しなければならない。
東アジアの平和構築に向けて欠かせないのが、辺野古をはじめとした基地撤去の闘いであり、沖縄・南西諸島など全国軍事要塞化に対する闘いである。沖縄の「あきらめない闘い」に学び、地域から平和を構築する取り組みをすすめよう。
「むすぶ」目次(2024年11・12月号) ― 2024/11/26 13:58

■ 今月を視る / 住民自治と平和に生きる権利をつなぐ持続的な運動を!
■ オピニオン / 今こそ無防備地域宣言運動の再起動を(その2) 東京 矢野秀喜
■ 沖縄レポート /「台湾有事」に突き進む政府・防衛省・自衛隊
戦争準備より平和外交こそ 沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 報告 / 原発事故・放射能汚染は続いている! 京都・市民放射能測定所 佐藤和利
■ 図書あんない /『ヘイトクライムとは何か』 鵜塚 健 著 東大阪市 桐生佳子
■ 読者つうしん / 僕の“初”ウチナー旅行 堺市 堤 淳雄
■ Information & Editorial Peace Note
■ オピニオン / 今こそ無防備地域宣言運動の再起動を(その2) 東京 矢野秀喜
■ 沖縄レポート /「台湾有事」に突き進む政府・防衛省・自衛隊
戦争準備より平和外交こそ 沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 報告 / 原発事故・放射能汚染は続いている! 京都・市民放射能測定所 佐藤和利
■ 図書あんない /『ヘイトクライムとは何か』 鵜塚 健 著 東大阪市 桐生佳子
■ 読者つうしん / 僕の“初”ウチナー旅行 堺市 堤 淳雄
■ Information & Editorial Peace Note
今月を視る(「むすぶ」2024年11・12月号) ― 2024/11/26 13:56
住民自治と平和に生きる権利をつなぐ持続的な運動を!
兵庫県知事選―驚きの事態
兵庫県知事選の結果には大きな脅威を感じる。世界では、ヨーロッパを中心に極右が台頭し、米国ではトランプが再び権力の座に就いた。国内では、東京都知事選で「石丸現象」が起き、衆議院選では、国民民主党が4倍の議席増など異変が起こった。「斎藤ショック」もこの流れにある。
なぜ、今回、「斎藤は被害者だった」という「物語」が作り上げられ、有権者の少なくない人々が引き寄せられたのか。誰もが語るようにSNSを駆使した巧妙な選挙戦術が「物語」づくりと「既得権勢力とテレビなど既存メディアが結託し、隠し続けた『もう一つの真実』」を人々の脳に届け、一定定着させることに成功した。『もう一つの真実』」とは告発者である人物の「セクハラ、性暴力を繰り返してきたとんでもない非行」(真偽は不明)、「自殺はこの非行がばれるのを恐れたからであり、斎藤はこんなでっちあげの被害者」というものだ。この『もう一つの真実』暴露を担ったのは金で動くごろつきでしかないN党・立花である。斉藤や立花を繰るもっと大きな権力構造は想像するしかないが、いくつかの右派組織やグループの組織的に連携した作戦が成功し、兵庫県政をめぐる状況がとんでもない状況になったことは悔しすぎる現実だ。
勝負はこれから
県知事選挙は終わったが、選挙で明確な争点となるべきだった「斉藤県政のパワハラ体質が許されるか否か」という問題は何一つ解明されていない。告発文書の一つ一つの「パワハラ事例」の真偽解明以上に重要なのは公益通報制度の本質的な意義を無視して、告発者への処分を強行した問題だ。これこそ
斉藤県政のパワハラ体質を象徴する問題だからだ。アンケートで職員の40%が「パワハラ事象を見た、聞いたことがある」と答えた事実は放置されたままでいいはずがない。この問題が放置されたままなら、今後、内部告発は死を覚悟しなければならなくなる。また、阪神、オリックスの優勝パレードで、兵庫県が金融機関向けに補助金を増額し協賛金として還流させた「キックバック」疑惑(担当課長は死亡)もうやむやにさせてはならない。何人かの無責任なテレビコメンテーターは「斉藤勝利」に手のひら返すように「祝意」と「謝罪」を表明し、立花から「すぐに謝罪できる泉房穂さんは素敵な人だ」と褒められる始末である。テレビなど既存メディアも選挙後2~3日でほとんど報道しなくなった。そんな中で、あの橋下徹が「斉藤パワハラ問題」の本質について珍しくまともな主張をしている。「斎藤さんは権力者として不適格」を「主張し続ける」とし、その理由を「権力者の疑惑を告発した者を、権力者自ら組織をあげて探し出して処分する世の中は、僕は絶対嫌だ。権力者自らの疑惑については第三者調査を絶対とする世の中にしたい」と述べている。この観点こそ、住民自治や民主主義政治を語るなら、最低限持っていなければいけない観点であり、この観点を軸に今後の取り組みは進めなければならない。
選挙は終わったが、本当の勝負はこれからである。百条委員会の形骸化、機能不全化を許してはならない。徹底した “パワハラ疑惑” の解明を求める持続的な住民運動をつくり出すことが課題だ。
平和に生きる権利を世界の人々とともに
他方、世界の軍事的緊張がさらに高まり、軍拡に拍車がかかっている。ウクライナ戦争では、ウクライナがロシア領内への長距離ミサイル攻撃に踏み切り、ロシアからは「新型ミサイル」による攻撃が行われた。イスラエル・ネタニヤフ政権は、ガザ完全制圧、殲滅を掲げて凶暴な攻撃を強めている。辺野古新基地建設では、ついに辺野古崎の沿岸海域で新たに埋め立て土砂の投入を強行した(11月13日)。だが、世界の大多数の人々が求めるのは、“平和で人らしく生きる権利” である。世界の大多数の人々のこの声を大きく広げよう。その力で、停戦と平和外交を拒否する者たちに対抗しよう。
住民自治をめぐる足元の課題に向き合いながら、平和に生きる権利を求める運動を世界の人々とともに
兵庫県知事選―驚きの事態
兵庫県知事選の結果には大きな脅威を感じる。世界では、ヨーロッパを中心に極右が台頭し、米国ではトランプが再び権力の座に就いた。国内では、東京都知事選で「石丸現象」が起き、衆議院選では、国民民主党が4倍の議席増など異変が起こった。「斎藤ショック」もこの流れにある。
なぜ、今回、「斎藤は被害者だった」という「物語」が作り上げられ、有権者の少なくない人々が引き寄せられたのか。誰もが語るようにSNSを駆使した巧妙な選挙戦術が「物語」づくりと「既得権勢力とテレビなど既存メディアが結託し、隠し続けた『もう一つの真実』」を人々の脳に届け、一定定着させることに成功した。『もう一つの真実』」とは告発者である人物の「セクハラ、性暴力を繰り返してきたとんでもない非行」(真偽は不明)、「自殺はこの非行がばれるのを恐れたからであり、斎藤はこんなでっちあげの被害者」というものだ。この『もう一つの真実』暴露を担ったのは金で動くごろつきでしかないN党・立花である。斉藤や立花を繰るもっと大きな権力構造は想像するしかないが、いくつかの右派組織やグループの組織的に連携した作戦が成功し、兵庫県政をめぐる状況がとんでもない状況になったことは悔しすぎる現実だ。
勝負はこれから
県知事選挙は終わったが、選挙で明確な争点となるべきだった「斉藤県政のパワハラ体質が許されるか否か」という問題は何一つ解明されていない。告発文書の一つ一つの「パワハラ事例」の真偽解明以上に重要なのは公益通報制度の本質的な意義を無視して、告発者への処分を強行した問題だ。これこそ
斉藤県政のパワハラ体質を象徴する問題だからだ。アンケートで職員の40%が「パワハラ事象を見た、聞いたことがある」と答えた事実は放置されたままでいいはずがない。この問題が放置されたままなら、今後、内部告発は死を覚悟しなければならなくなる。また、阪神、オリックスの優勝パレードで、兵庫県が金融機関向けに補助金を増額し協賛金として還流させた「キックバック」疑惑(担当課長は死亡)もうやむやにさせてはならない。何人かの無責任なテレビコメンテーターは「斉藤勝利」に手のひら返すように「祝意」と「謝罪」を表明し、立花から「すぐに謝罪できる泉房穂さんは素敵な人だ」と褒められる始末である。テレビなど既存メディアも選挙後2~3日でほとんど報道しなくなった。そんな中で、あの橋下徹が「斉藤パワハラ問題」の本質について珍しくまともな主張をしている。「斎藤さんは権力者として不適格」を「主張し続ける」とし、その理由を「権力者の疑惑を告発した者を、権力者自ら組織をあげて探し出して処分する世の中は、僕は絶対嫌だ。権力者自らの疑惑については第三者調査を絶対とする世の中にしたい」と述べている。この観点こそ、住民自治や民主主義政治を語るなら、最低限持っていなければいけない観点であり、この観点を軸に今後の取り組みは進めなければならない。
選挙は終わったが、本当の勝負はこれからである。百条委員会の形骸化、機能不全化を許してはならない。徹底した “パワハラ疑惑” の解明を求める持続的な住民運動をつくり出すことが課題だ。
平和に生きる権利を世界の人々とともに
他方、世界の軍事的緊張がさらに高まり、軍拡に拍車がかかっている。ウクライナ戦争では、ウクライナがロシア領内への長距離ミサイル攻撃に踏み切り、ロシアからは「新型ミサイル」による攻撃が行われた。イスラエル・ネタニヤフ政権は、ガザ完全制圧、殲滅を掲げて凶暴な攻撃を強めている。辺野古新基地建設では、ついに辺野古崎の沿岸海域で新たに埋め立て土砂の投入を強行した(11月13日)。だが、世界の大多数の人々が求めるのは、“平和で人らしく生きる権利” である。世界の大多数の人々のこの声を大きく広げよう。その力で、停戦と平和外交を拒否する者たちに対抗しよう。
住民自治をめぐる足元の課題に向き合いながら、平和に生きる権利を求める運動を世界の人々とともに
「むすぶ」目次(2024年10月号) ― 2024/10/21 17:10

■ 今月を視る /「国防」の名による戦争にNO! 全国の地域から声を!
■ オピニオン / 今こそ無防備地域宣言運動の再起動を(その1) 東京 矢野秀喜
■ 寄稿 / このままでは上関町は破綻するのか? 元 今立町議会議員 山崎隆敏
■ 沖縄レポート / 対中戦争の日米統合演習反対 否戦の思想を今こそ
沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 図書あんない / 東邦定 写真集『ウチナーンチュの貌かお』 事務局 豆多敏紀
■ 読者つうしん / 毎月11日、堺東駅前で続けるウラワーデモ 堺市 前東萩子
■ Information & Editorial Peace Note
■ オピニオン / 今こそ無防備地域宣言運動の再起動を(その1) 東京 矢野秀喜
■ 寄稿 / このままでは上関町は破綻するのか? 元 今立町議会議員 山崎隆敏
■ 沖縄レポート / 対中戦争の日米統合演習反対 否戦の思想を今こそ
沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 図書あんない / 東邦定 写真集『ウチナーンチュの貌かお』 事務局 豆多敏紀
■ 読者つうしん / 毎月11日、堺東駅前で続けるウラワーデモ 堺市 前東萩子
■ Information & Editorial Peace Note
今月を視る(「むすぶ」 2024年10月号) ― 2024/10/21 17:08
「国防」の名による戦争にNO! 全国の地域から声を!
「武力による威嚇」の共同軍事演習
映画「戦雲(いくさふむ)」(三上智恵監督)に登場する「国境の島」与那国の糸数健一町長の言動には嘆息しか出ない。「北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備える」と称して、自衛隊が地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を与那国島へ初めて展開した際、PAC3を「撤収しないでほしい」「常駐を望む」、県に対しては、港湾や空港の「使用許可を速やかに出してほしい」と発言。PAC3「受け入れ」表明をいち早く行った石垣の中山義隆市長と同様に、先島への自衛隊配備、増強の水先案内人として振舞っている。糸数は、東京で開かれた改憲集会に招かれ、声高に「9条廃棄、自衛隊明記」を訴えたり、対中国を念頭に「全国民がいつでも日本国の平和を脅かす国家に対しては、一戦を交える覚悟が今、問われているのではないか」と発言したりしている。「糸数町長と同じ考えの人は与那国に1%もいない」(映画中での同町議の証言)のは確かだろうが、防衛庁・自衛隊にとっては、住民の「安全」「自治」を気にもかけない糸数や中山のような首長の存在は、どれほどありがたい存在なのかは想像に難くない。
防衛省・自衛隊はこんな「とんでも」首長を最大限に利用しながらミサイル基地をはじめ琉球列島全域の軍事要塞化を強引に進めてきた。基地建設と並行して年々強化してきたのが演習(軍事訓練)だ。
特に日米共同統合演習は、回を重ねるごとに大規模化、実戦化させてきた。最近では、仮想敵国を「中国」と明示し、シナリオの柱を「台湾有事」としている。まさに「実戦間近」を想起させる日米共同統合実働演習「キーン・ソード25」が、10月23日~11月1日に実施される。過去最大規模で自衛隊、米軍のみならず全国の空港や港湾など民間施設が、この軍事訓練に動員される。これは、「演習」名目の武力による威嚇に他ならない。明らかに挑発であり、際限のない軍拡と一発触発の緊張激化を招く危険極まりない「演習」である。
沈黙する自治体
この危険な動きについて、大手メディア(新聞、テレビ等)はほとんど報道しない。それ以上に危惧するのは、この「演習」に直接組み込まれている全国の自治体が沈黙していることである。北海道から沖縄まで、日米基地はもとより、空港、港湾など「演習」に使用される民間インフラ施設が所在する自治体はかつてなく多い。自治体は住民の安全と平和な暮らしに直接責任を負っている。にもかかわらず、「防衛、外交は国の専管事項」との政府の「解説」に従うのみかのように、防衛省の「お知らせ」をホームページ等で広報しているだけである。
戦争準備へ突き進む政府の暴走を止めるのは、戦争で最大の犠牲を強いられる住民の声である。全国の地域、自治体から大きく声をあげることが必要だ。与那国、石垣の「とんでも」首長はもちろん、沈黙しかしない首長は、変えなければない。
映画「戦雲」で、与那国に駐屯する自衛隊の幹部が、ミサイル配備に関する説明会で「住民は逃げられない」と懸念することに対して、「沖縄戦の教訓も踏まえ、自衛隊は真っ先に住民を守る」と強調する場面がある。この幹部にとって、その言葉は単なる詭弁ではないかもしれないが、彼個人の「願望」に過ぎない。沖縄戦を深く知り、学ぶなら、軍事作戦と住民保護が決して両立しえないことは明確だ。事実、自衛隊は、沖縄戦当時の旧日本軍の行動が「間違いだった」と公式に認めたことは一度もない。
また、これほど大規模で綿密な共同演習であれば、そのシナリオには、この事態で何人の日米軍人が死に、何人の住民、民間人が死ぬのかを想定しているはずだ。だが、それは決して公表されない。
沖縄戦の実相を多くの全国の市民に知らせること。軍拡と戦争挑発に対抗する確かな手だてである。
「自衛戦争」「防衛のための武力行使」の正体
国連の独立調査委員会は10月10日発表した報告書で、医療従事者や医療機関に「容赦なく意図的な攻撃」を続けるイスラエル軍の行為は、戦争犯罪と特定の集団を絶滅させる人道に対する罪にあたると非難。イスラエル軍はガザの医療関係者を故意に殺害、拘束、拷問しているとも指摘した。
米国など一握りの大国だけが擁護する「テロに対する自衛戦争」の正体がここにある。その米国とともに「国防」の名で戦争が行われることになれば、どれほどの住民の死が待ち受けているのか。世界の人々とむすんで「自衛」戦争も「防衛」戦争も拒否しよう。抵抗の声を強める時だ。
「武力による威嚇」の共同軍事演習
映画「戦雲(いくさふむ)」(三上智恵監督)に登場する「国境の島」与那国の糸数健一町長の言動には嘆息しか出ない。「北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備える」と称して、自衛隊が地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を与那国島へ初めて展開した際、PAC3を「撤収しないでほしい」「常駐を望む」、県に対しては、港湾や空港の「使用許可を速やかに出してほしい」と発言。PAC3「受け入れ」表明をいち早く行った石垣の中山義隆市長と同様に、先島への自衛隊配備、増強の水先案内人として振舞っている。糸数は、東京で開かれた改憲集会に招かれ、声高に「9条廃棄、自衛隊明記」を訴えたり、対中国を念頭に「全国民がいつでも日本国の平和を脅かす国家に対しては、一戦を交える覚悟が今、問われているのではないか」と発言したりしている。「糸数町長と同じ考えの人は与那国に1%もいない」(映画中での同町議の証言)のは確かだろうが、防衛庁・自衛隊にとっては、住民の「安全」「自治」を気にもかけない糸数や中山のような首長の存在は、どれほどありがたい存在なのかは想像に難くない。
防衛省・自衛隊はこんな「とんでも」首長を最大限に利用しながらミサイル基地をはじめ琉球列島全域の軍事要塞化を強引に進めてきた。基地建設と並行して年々強化してきたのが演習(軍事訓練)だ。
特に日米共同統合演習は、回を重ねるごとに大規模化、実戦化させてきた。最近では、仮想敵国を「中国」と明示し、シナリオの柱を「台湾有事」としている。まさに「実戦間近」を想起させる日米共同統合実働演習「キーン・ソード25」が、10月23日~11月1日に実施される。過去最大規模で自衛隊、米軍のみならず全国の空港や港湾など民間施設が、この軍事訓練に動員される。これは、「演習」名目の武力による威嚇に他ならない。明らかに挑発であり、際限のない軍拡と一発触発の緊張激化を招く危険極まりない「演習」である。
沈黙する自治体
この危険な動きについて、大手メディア(新聞、テレビ等)はほとんど報道しない。それ以上に危惧するのは、この「演習」に直接組み込まれている全国の自治体が沈黙していることである。北海道から沖縄まで、日米基地はもとより、空港、港湾など「演習」に使用される民間インフラ施設が所在する自治体はかつてなく多い。自治体は住民の安全と平和な暮らしに直接責任を負っている。にもかかわらず、「防衛、外交は国の専管事項」との政府の「解説」に従うのみかのように、防衛省の「お知らせ」をホームページ等で広報しているだけである。
戦争準備へ突き進む政府の暴走を止めるのは、戦争で最大の犠牲を強いられる住民の声である。全国の地域、自治体から大きく声をあげることが必要だ。与那国、石垣の「とんでも」首長はもちろん、沈黙しかしない首長は、変えなければない。
映画「戦雲」で、与那国に駐屯する自衛隊の幹部が、ミサイル配備に関する説明会で「住民は逃げられない」と懸念することに対して、「沖縄戦の教訓も踏まえ、自衛隊は真っ先に住民を守る」と強調する場面がある。この幹部にとって、その言葉は単なる詭弁ではないかもしれないが、彼個人の「願望」に過ぎない。沖縄戦を深く知り、学ぶなら、軍事作戦と住民保護が決して両立しえないことは明確だ。事実、自衛隊は、沖縄戦当時の旧日本軍の行動が「間違いだった」と公式に認めたことは一度もない。
また、これほど大規模で綿密な共同演習であれば、そのシナリオには、この事態で何人の日米軍人が死に、何人の住民、民間人が死ぬのかを想定しているはずだ。だが、それは決して公表されない。
沖縄戦の実相を多くの全国の市民に知らせること。軍拡と戦争挑発に対抗する確かな手だてである。
「自衛戦争」「防衛のための武力行使」の正体
国連の独立調査委員会は10月10日発表した報告書で、医療従事者や医療機関に「容赦なく意図的な攻撃」を続けるイスラエル軍の行為は、戦争犯罪と特定の集団を絶滅させる人道に対する罪にあたると非難。イスラエル軍はガザの医療関係者を故意に殺害、拘束、拷問しているとも指摘した。
米国など一握りの大国だけが擁護する「テロに対する自衛戦争」の正体がここにある。その米国とともに「国防」の名で戦争が行われることになれば、どれほどの住民の死が待ち受けているのか。世界の人々とむすんで「自衛」戦争も「防衛」戦争も拒否しよう。抵抗の声を強める時だ。