「むすぶ」目次(2019年11・12月号)2019/12/05 17:45

■ 今月を視る/ GSOMIA破棄は実現しなかったが・・・・
「朝鮮半島平和プロセス」を開く闘いは続く! 
■ 寄稿/ アフガニスタンからサラさんがやって来た RAWAと連帯する会 桐生佳子 
■ Q & A/ 東電・原発事故「無罪判決」と関電・原発マネー「不正還流」
■ Book Corner/『パンプキン! 模擬原爆の夏』 令丈ヒロ子 作  堺市 石黒一郎                         
■ 読者つうしん/ 骨裁判を傍聴して 心ゆさぶる意見陳述 大阪府・太子町 湯川 恭
■ おしらせ & 編集後記

今月を視る(「むすぶ」2019年11・12月号より)2019/12/05 17:44

GSOMIA破棄は実現しなかったが…
  「朝鮮半島平和プロセス」を開く闘いは続く!

“ローソク市民”が切り開いた地平に立って
11月22日、韓国政府は「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄を凍結する」ことを失効寸前になって日本政府に通告した。韓国政府は「1年延長ではなく、破棄はいつでもできる」と強調しているが、GSOMIAの破棄が実現しなかったのは東アジアの平和を希求する人々にとって極めて残念なことである。日本のメディアが宣伝する「日韓の安全保障にとって不可欠な協定」とは全く逆にGSOMIAは朝鮮半島のみならず東アジアの平和と安全にとって百害あって一利なしの存在だからである。そもそも日本と韓国のGSOMIAは韓国の進歩勢力や市民が一貫して反対してきたものであり、執拗で威圧的な日米の圧力を背景に朴槿恵政権が妥協して2016年11月に強行成立させた協定である。
現在の韓国世論調査でも51%が破棄を支持し、破棄に反対はわずか28%という民意とかけ離れた軍事協定である。したがって、GSOMIAの破棄、失効は朝鮮半島と東アジアの平和の危機などではなく、平和を築く新たなチャンスであった。米国や日本の介入の余地を極力減らし、朝鮮半島平和プロセスをすすめるうえでGSOMIAは不要であるだけでなく、障害である。本質的には緊張関係を持続させたい日米の勢力がGSOMIAの破棄、失効に強い危機感を持ち、韓国政府に強烈な圧力をかけたことは疑いない。とくに米上院の決議は韓国政府の強い姿勢を怯ませることに効果的となった。
 文在寅政権が米国の圧力を跳ね返すことができず、朝鮮半島平和プロセスが困難につきあたらざるを得ない状況にどう立ち向かうか。被害者の人権回復を軸にした「元徴用工問題」の解決など日本の植民地支配責任の清算を求める闘いと朝鮮半島の非核化、東アジアの平和構築の闘いは一体である。“ローソク市民”の闘いが切り開いたこの地平に立ち、後退することなく、日韓市民の声をよりいっそう強め広げよう。それが文在寅政権に米国や日本の不当な圧力に立ち向かわせる唯一の力となる。

沖縄と朝鮮半島の闘いは一体
 もし、日韓のGSOMIA破棄が実現していれば、在韓米軍や在日、在沖米軍にも少なからぬ影響が及んだと思われる。今回、それは叶わなかったがそれぞれの地での闘いは続く。沖縄では、県の埋め立て承認の撤回を、取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、県が国を相手に裁決取り消しを求める「抗告訴訟」の第1回口頭弁論が11月26日、那覇地裁で始まった。司法の独立がほとんど失われたとはいえ、辺野古現地での埋め立て阻止行動と合わせ、あきらめない闘いの重要性は一段と増している。韓国では、被害者の戦後補償を求める持続した闘いが韓国司法を動かし、大法院の画期的な判決を引き出したことを忘れてはならない。
 
石垣では自治基本条例廃止の動き 
 沖縄・南西諸島での自衛隊ミサイル基地建設強行に対する闘いも力強く展開されている。宮古島では
山城博治沖縄平和運動センター議長も参加し、連日工事強行に抗議し、阻止の座り込みが取り組まれている。
 石垣市では陸上自衛隊配備計画に対し、市住民投票を求める会が昨年12月、有権者の約4割に当たる署名を集め、基本条例を根拠として住民投票の実施を市に直接請求した。市議会は今年2月、市提案の住民投票条例案を否決したが、求める会が市を提訴し係争中となっている。
 石垣市の自治基本条例は2010年、県内で初めて石垣市で施行された。条例には住民投票に関する規定があり、有権者の4分の1以上の連署で市長に住民投票の実施を請求できるとしている。請求があったとき、市長は「所定の手続を経て、住民投票を実施しなければならない」とも明記している。
 今や、安倍応援団と化した中山市長と市議会与党は、住民投票を何としても阻止するために、自治体の憲法ともいうべき自治基本条例を「廃止すべき」とまで言い出したのだ。
 基地推進・容認勢力がいかに民主主義の実現や民意の尊重に恐怖しているかがよくわかる事態だ。
韓国、沖縄、宮古、石垣で力強くすすめられる闘いに注目し、この闘いを自分の住む地域に知らせることから始めよう。それが連帯の第一歩となる。

「むすぶ」目次(2019年10月号)2019/10/29 10:03

■ 今月を視る / 政府が海自護衛艦の中東派兵を決定
自衛隊の本格的外征軍化に反対の声を集中しよう! 
■ ミニ解説 / 危険、東京電力の汚染水海洋放出を許すな!   事務局 岡本 誠 
■ OPINION / 戦争と平和をめぐる情勢 私はこう考える   事務局 湯川 恭
■ 映像あんない /『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最後の日々』 事務局 豆多敏紀                         
■ 読者つうしん / ドキュメンタリー映画『40年 紅どうだんの咲く村で』 東大阪市 藤田なぎ
■ お知らせ

今月を視る(「むすぶ」2019年10月号より)2019/10/29 10:02

 -政府が海自護衛艦の中東派兵を決定-
自衛隊の本格的外征軍化に反対の声を集中しよう!  

「国益は自前の軍事活動で守る」
政府は10月18日の国家安全保障会議(NSC)で、海自の護衛艦を年明けにも中東に派遣することを事実上決定した。菅官房長官が記者会見で「中東海域での日本関連船舶などの安全確保」を目的とした海上自衛隊の独自派遣であることを公表。米トランプ政権が呼びかけた「海洋安全保障イニシアチブ」(有志連合)への参加は見送るとしたが、他の覇権国家の活動が本格化することを見込み、これに負けじと「大国日本」の「安全保障活動」=軍事活動を誇示しようとの狙いが見てとれる。
政府は、派遣先として、①オマーン湾、②アラビア海北部の公海、③イエメン沖のバブルマンデブ海峡東方の公海を挙げ、イランと米国などの間でとくに軍事的緊張が高まるホルムズ海峡への派兵については言及を避けたが、いずれ中東全体を視野に入れた派兵計画であることは間違いない。ジプチの常駐基地を拠点にした自衛隊の活動は恒常化しており、海自は現在、バブルマンデブ海峡に近いアデン湾に、海賊対処法に基づき護衛艦1隻と哨戒機2機を派遣しているが、今回は、これとは別に新たな護衛艦を派遣するという。今回の派遣が、防衛省設置法が定める「調査・研究」を根拠としていることから、「一つの部隊に二つの異なる任務を与えるのは適当ではない」との理由だが、中東で2隻の護衛艦が常時行動することになる。そもそも「中東海域での日本関連船舶などの安全確保」活動がなぜ「調査・研究」なのか、デタラメにもほどがある。これまでの海外派兵には、「イラク特別措置法」や「海賊対処法」などの法制定が伴ったが、今回は、法制定を省くため、既存の防衛省設置法の「調査・研究」を「活用」して乗り切ろうという実にいい加減な手法だ。法制定なら国会審議が必要だが、既存の防衛省設置法の「調査・研究」に基づくとすれば、閣議決定だけですむという専制国家のやり方である。こんなことがまかり通るなら、「いつでもどこでも派兵」はいとも簡単にできる。「専守防衛」に大きく外れるだけでなく、国会無視の専制国家へ導く暴挙であることを広く市民に知らせ、反対の声を高めていこう。
 日本政府はこれまで、米国の「外圧」を 利用する形で、自衛隊の「海外派遣」=派兵を実現してきたが、今回は、他の覇権国家並みに「国益は自前の軍事活動で守る」という安倍政権の「究極の目的」につきすすむ危険なものだ。災害に苦しむ市民を救うのではなく、大資本の海外権益を擁護するために自衛隊を活用するという安倍政権の軍拡政策にストップをかけなければならない。

さらなる沖縄の前線基地化―新型中距離ミサイル配備計画
辺野古新基地建設、宮古、石垣、奄美、与那国など南西諸島への本格自衛隊基地建設強行に加え、琉球列島全体を軍事要塞化する計画がまた明らかになった。
「中距離核戦力(INF)廃棄条約が8月2日に破棄されたことで、条約が製造を禁じていた中距離弾道ミサイルの新型基を、米国が今後2年以内に沖縄はじめ北海道を含む日本本土に大量配備する計画があることが2日までに分かった。…中略…。米国は2020年末から21年にかけての配備を目指し日本側と協議する。配備されれば基地機能が一層強化され、核戦争に巻き込まれる恐れが高まり、沖縄の基地負担が飛躍的に増す。」(10月3日琉球新報)「PAC3が既に配備されている嘉手納基地と、イージス・アショア配備予定の秋田市・新屋演習場、山口県萩市・阿武町のむつみ演習場に追加配備ないし用途変更される可能性を指摘した。神奈川県の横須賀や長崎県の佐世保、うるま市のホワイトビーチに、新型ミサイルを登載した原子力潜水艦が頻繁に寄港することを公にする公算も大きいとした。」(前田哲男さん)。日米両政府のとことん沖縄に犠牲を強いる姿勢。これは植民地主義以外の何物でもない。
 玉城デニー知事が訪米した際に問いただしたところ、米国防総省は沖縄への配備計画は「今のところない」と答えたが「開発には時間がかかる。今の段階でどこに配備するかを発表できる段階ではない」とも説明したという。「直ちにということはないが、今後は可能性がある」という意味だ。
沖縄にこれ以上の軍事基地はいらないし、機能強化もごめんだという民意を支持し、“東アジアの平和の拠点” をめざす沖縄の闘いに、自分の地域から取組みを起こし、力強く合流していこう。

「むすぶ」目次(2019年9月号)2019/09/16 10:23

■ 今月を視る / ろうそく市民 VS 安倍改憲勢力
植民地支配責任の清算こそ真の解決への道筋だ! 
■ OPINION / 中距離核戦力(INF)廃棄条約失効と核兵器禁止条約 東京 高瀬晴久 
■ Q & A <NO.102> / 「イラン核合意」の危機をつくり出したトランプ政権
■ BOOK CORNER / 『漂流するトモダチ アメリカの被ばく裁判』 事務局 岡本 誠                        
■ 読者つうしん / 沖縄一坪反戦地主運動の今     堺市 豆多敏紀
■ おしらせ & 編集後記

今月を視る(「むすぶ」2019年9月号より)2019/09/16 10:22

ろうそく市民 VS 安倍改憲勢力
植民地支配責任の清算こそ真の解決への道筋だ!

冷戦反共体制の枠組みから脱皮-GSOMIA破棄
 日本製鉄など日本企業に対して元徴用工への賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決に端を発した
日韓両政府による政治的対立が厳しさを増し、戦後最悪という事態に陥っている。日本政府による「輸出手続き優遇措置国」から韓国を除外するという報復措置によって対立はエスカレート。韓国政府は7月22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄することを決定。この決定に対して、日本政府はもちろんのこと米国政府も激しく反撥非難の声をあげている。日本のメディアのほとんども「朝鮮半島の平和と安定を損なう愚かな決定」と声をそろえている。
だが、朝鮮や中国に対する日米韓の軍事的優位こそが東アジアの確かな安全保障とするのは、古い冷戦体制の発想でしかない。そもそも日韓のGSOMIAは韓国市民の強い反対を押し切って、朴槿恵政権が2016年に締結したものである。もともと文在寅大統領は選挙公約にGSOMIAの見直しを掲げていたし、8月15日にソウル光化門広場で開催されたキャンドル市民集会にはGSOMIA破棄のスローガンが掲げられていたように、ろうそく市民の意思は明確にGSOMIA破棄である。今回の韓国政府のGSOMIA破棄の決定は単に日本の輸出管理手続き優遇国から韓国を除外するという報復措置への対抗措置にとどまらず、かつての冷戦反共体制の枠組みから脱皮し、新たな朝鮮半島非核化、東アジア平和構築への新たな枠組みへの第一歩となる可能性がある。米国と日本は軍事的関与ではなく、対話による朝鮮半島非核化と東アジアの平和構築への選択を迫られている。

ろうそく革命が生み出した文在寅政権への敵意
以下は、週刊ポストの韓国ヘイト特集に対する毎日新聞の9月4日付け「週刊ポストの特集 嫌韓におもねるさもしさ」を標題とする社説の一部である。
「徴用工問題や慰安婦合意をめぐる文在寅(ムンジェイン)政権の対応は、確かに国家間の信義にもとる点がある。民主国家だから政治的な批判の自由は、最大限保障されなければならない。
 ただ、その範囲を超えて相手国民への差別につながるような言論は、メディアの責任として排除する必要がある。差別は人間存在の根源を傷つける暴力であるからだ。」
  週刊ポストの特集がヘイト・クライム(憎悪犯罪)であることの指摘、断罪すべきであることは論を待たないが、問題は「徴用工問題や慰安婦合意をめぐる文在寅政権の対応は、確かに国家間の信義にもとる点がある。」と論証もなしにさらりと言ってのけている点である。『悪いのは文在寅政権であり、韓国や韓国人に責任はない』ということか。だが、今回の大法院判決も、「慰安婦合意」の「癒し財団」解散も、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄も、そして、何よりも植民地支配責任の清算を求める要求は韓国のろうそく市民がめざす民主主義運動の過程にある要求であることを忘れてはならない。今日の日韓関係をめぐる対立の本質は、韓国ろうそく市民の行く手を阻もうとする安倍改憲勢力の文在寅政権への攻撃と言っても過言ではない。

「二国間合意が絶対」でなく「人権に勝る国益も公益もない」が世界の常識
反共軍事独裁の朴正煕政権だったから植民地支配責任をあいまいにした「日韓請求権協定」が締結されたのであり、父の軍事独裁を容認し、権力による不正を行ってきた朴槿恵政権だったから、被害者を排除した「慰安婦合意」がなされ、反共冷戦思考の日韓GSOMIAが締結されたのである。文在寅政権は、軍事独裁と対決し、民主化を求めて闘い続けてきた民衆がつくりあげた政権であり、安倍改憲勢力にとって都合のいい政権ではない。文在寅政権を攻撃し、ろうそく革命の行く手を阻むことが彼らの目的だ。
日本政府は、廬武鉉政権下で文在寅氏も参加する政府機関が「元徴用工問題は韓国政府に責任がある」ことを認めていたと攻撃するが、これは事実に反する。2005年4月27の第2次民官共同委員会会議で当時の文在寅民政首席秘書官は“個人の参加や委任のない状態で、国家間の協定によって個人の請求権をどのような法理で消滅させることができるのか検討が必要だ”という意見を提示している。
国家間の協定によって個人の請求権を消滅させることなどできない。「人権に勝る国益も公益もない」が世界の常識だ。

「むすぶ」目次(2019年7・8月号)2019/08/06 14:37

■ 今月を視る / 安倍政権の改憲策動を止める次のステップへ 
朝鮮半島・東アジアの平和時計の針を確実にすすめよう!
■ 解説 /『軍艦島』の真実は?-強制労働問題で巻き返しを図る安部政権
日本製鉄元徴用工裁判を支援する会 中田光信  
■ Q & A <NO.101> / 自衛隊の「有志連合」(対イラン包囲網)参加を許さない!
■ BOOK CORNER / 雑誌「世界」連載『自衛隊と災害救助』 事務局 豆多敏紀                        
■ 読者つうしん / 市民のニーズに応えて、高槻・市民放射能測定所開設6周年
           高槻市 時枝 功
■ おしらせ & 編集後記

今月を視る(「むすぶ2019年7・8月号より)2019/08/06 14:36

安倍政権の改憲策動を止める次のステップへ
朝鮮半島・東アジアの平和時計の針を確実にすすめよう!

着実な成果を次の闘いへ
第25回参議院選挙(7月21日投開票)の結果が出た。改憲勢力による「3分の2」の議席確保は何とか阻止できたものの、与党、改憲勢力の大幅な議席減など顕著な変化をつくり出すことはできなかった。安倍政権は、今後改憲策動をさらに強めてくることは間違いなく、対抗する闘いをあらゆる分野で構築していかなければならない。安倍の「頼りになるお友達」である橋下徹は参議院選報道番組(フジテレビ)で「与党圧勝」「野党共闘失敗」をがなり立て、「衆参同時選をやればよかった」「早いうちの衆議院選挙を」と安倍を激励し、「自民党は必ず国民民主を取り込むことができる」と改憲の展望を喧伝した。一方、市民と野党の共闘は、イージスアショアが最大争点になった秋田県、辺野古新基地建設阻止をあきらめずに闘い続ける沖縄県をはじめ一人区の10県で自民党を制し、勝利した。接戦を制した滋賀県の勝利も大きい。これらの成果は、準備し、隊列を整えて闘えば勝てることを示している。多くの有権者は、政権、権力から押しつけられている「憲法改正」など望んでいない。遠くない時期に仕掛けられるであろう衆議院選挙で、安倍の暴走を止めるため、直ちに今回の成果を活かしながら課題を克服する闘いを準備しよう。

「文在寅憎し」を露わに、韓国に対する脅迫措置
 参議院選挙の公示を前にした7月1日、日本政府が、半導体製造に使われる化学製品の韓国向け輸出手続きを厳格化すると発表、徴用工問題での韓国政府に対する悪質な報復措置を打ち出した。この措置について日本政府は当初「日韓間の信頼が著しく損なわれた」ことを理由に挙げたが、政治問題を経済問題にからめ、「自由貿易の原則を捻じ曲げる」との批判が出ると「韓国に関連する輸出をめぐって不適切な事案が発生した」ことによる「安全保障上の問題」との理由に主張を変えながら韓国政府との交渉を事実上拒否する態度に終始している。G20では唯一、文在寅大統領との首脳会談をはずし、子供じみた”いじわる“を行ったにもかかわらず、30日には、板門店でトランプ・金正恩会談が実現、米朝韓の3首脳会談も行われるという電撃的なニュースが世界を駆け巡ったその翌日の異様な措置である。トランプが保守層の支持を高めるため、あえて常識を疑うような差別とヘイト発言を連発するように、安倍もまた参議院選で保守層の“嫌韓”感情を呼び寄せ、保守層の支持を固め、選挙戦を有利にすすめようとする狙いであることは間違いない。安倍政権は、前回の衆議院選挙でも朝鮮の“ミサイル発射”を最大限に利用し、「国難突破」で一定の支持を集めることに成功した。いずれにしても、安倍政権にとって、文在寅政権は“我慢ならない”存在と映っている。韓国市民がローソク革命で生み出した文在寅政権など普通の隣人としても付き合いたくはないというのだろう。要するに、ローソク革命など目障りなのだ。
12・28慰安婦合意の破棄や海上自衛隊哨戒機のレーダー照準論争で文在寅政権に対する批判と不満は安倍政権のこのスタンスから生じている。元徴用工被害者に対する韓国大法院判決に対しても、日本のメディアや立憲、国民民主など一部野党の無理解と限界に乗じ、「65年韓日請求権協定を守らない韓国」「国と国との約束を守らない韓国」という主張を声高に叫び、「文在寅政権は親北朝鮮・反日政権だ」というレッテル貼りを続けている。今回の輸出規制(経済制裁)はその延長線にあることは間違いない。

それでも朝鮮半島の平和時計は速度を上げている
安倍政権の朝鮮半島に平和を望まない態度に関わらず、朝鮮半島には現在、戦後冷戦構造が崩壊する大変化が生まれようとしている。3度にわたる南北首脳会談と2回の朝米首脳会談開催、6月30日の板門店での事実上の米朝首脳会談の実現により、朝鮮半島は対立の地から平和な地域に変わろうとしている。朝鮮半島の平和時計は確実に動き始めているのだ。
 沖縄辺野古の闘い、南西諸島のミサイル基地建設反対の闘い、そしてイージスアショアを拒否する闘いは、朝鮮半島の平和時計を確実にすすめ、朝鮮半島の平和時計がすすむことで辺野古新基地、南西諸島ミサイル基地、イージスアショアの根拠が一つ一つ消えていく。このことを大胆に訴え、平和時計をすすめる東アジアの動きに合流していこう。

「むすぶ」目次(2019年6月号)2019/06/23 10:00

■ 今月を視る / 好戦勢力による世界的規模の危機醸成と軍事挑発許さず 
中東にも、東アジアにも緊張緩和と平和構築を!
■ 報告 /『朝鮮半島と日本に非核・平和の確立』に向け
新しいプラットフォームを構築    日韓共同行動 矢野秀喜  
■ 「平和と生活をむすぶQ & A」100回を振りかえって   事務局  豆多敏紀 
■ 演劇あんない /「テキスト 闇教育」           堺市 石黒一郎                        
■ 読者つうしん / 記憶の断片(安保法制をめぐって)    神戸市 O
■ むすぶ会 総会・講演会 & 編集後記

今月を視る(「むすぶ」2019年6月号より)2019/06/23 09:59

好戦勢力による世界的規模の危機醸成と軍事挑発許さず
中東にも、東アジアにも緊張緩和と平和構築を!

第2の「トンキン湾事件」にさせない!
米トランプ政権に巣くうネオコン勢力の危機醸成と軍事挑発が止まらない。「イラン核合意」からの離脱は、中東和平を破壊し、パレスティナ人民への攻撃と不当な軍事占領を続けるイスラエルの極右ネタニアフ政権との共犯による中東支配の新たな攻撃と一体であることが、ますます鮮明になってきた。ネタニアフ首相は、不当な占領を続け、拡大するゴラン高原の新たな入植地を「トランプ高原」と名付けると発表し、世界を驚かせ、呆れさせている。米政府は5月に米軍1500人の中東への増派を発表しているが、6月17日には、さらに米軍1000人を増派すると発表した。火に油を注ぐやり方であり、緊張激化を望む米政府の魂胆が透けて見える。この軍事行動の口実になったのは、6月13日、中東のホルムズ海峡付近で、日本の海運会社が運航するケミカルタンカーが2回にわたって何者かの攻撃を受け、被弾した事件だ。安倍首相のイラン訪問中に、中東で経済、政治、軍事の全ての側面から注目され、要衝であるホルムズ海峡で起きたこの事件には、誰しもが巧妙かつ複雑の政治的意図を感じざるをえない。だが、だれがどのような方法で攻撃したのか、具体的な事実は何一つ明らかになっていない。
そんな中、米政府は最初から事件が起こることを知っていたかのように「イランの関与」を示す「証拠映像」なるものを持ち出し、イランへの非難と制裁強化を世界に呼びかけている。米政府の「証拠映像」には、イラン革命防衛隊の艦船がタンカーに引っ付いたままの機雷不発弾を取り除いている様子が撮影されていると主張するが、海運会社は「被弾は飛来による砲撃」を明確に証言しており、「証拠映像」の矛盾とうさん臭さが目立っている。トランプ政権による「フェイクニュース」や「やらせ映像」は前科があり(前号で紹介したベネズエラでの「救援物資車両」放火事件もその一つ)、当該の日本政府含め、米政府の呼びかけに即座に応じるものはさすがにほとんどいない。国連の諸機関も「慎重な調査を」と対応している。
 今想起すべきは、ベトナム戦争開戦の名分になった「トンキン湾事件」であり、第1次世界大戦を触発した「サラエボ事件」、日本軍部が日中戦争を行うのに活用された「盧溝橋事件」である。偶発的な局地衝突が、好戦的政治勢力に利用されて大規模戦争に飛び火する口実になった歴史的事実である。
 事実はいまだ明らかではないが、いずれにせよ、米政府や好戦勢力が主導する緊張激化の動きを直ちに止めさせなければならない。

沖縄を軍事拠点でなく軍縮の要に!
「沖縄を軍縮の要に」。東アジアを含む世界的な軍事力強化に対し、沖縄から軍縮を訴える必要性が訴えられている。真っ先にしなければならないのは、辺野古新基地建設を止めること。さらに、沖縄、南西諸島への新たな自衛隊ミサイル基地建設をストップさせることだ。だが、安倍政権はこの歴史的使命に目を向けず、従来の強行路線に固執し続けている。
 総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」は、埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決を不服とする県の審査申し出を2月に続いて再び却下した。またもや門前払いである。係争委は国と自治体の関係を「上下・主従」から「対等・協力」に転換した1999年の地方自治法改正に伴い設置されたにもかかわらず、改正の主旨に則った機能と役割を放棄していると言わざるをえない。だが、県はけっして諦めることなく福岡高裁に提訴して闘いを継続する。軟弱地盤問題、設計変更問題など基地建設は不可能であることが明白だからだ。一方、米議会調査局は日米関係の新たな報告書を公表し、辺野古の新基地建設について、今年2月に実施された県民投票で有権者の72%が反対していることについて「移設問題は引き続き、険しい政治的課題に直面するだろう」と分析したことが報道された(琉球新報6月16日)。
 沖縄の「辺野古に新基地はつくらせない」という固い意志は、東アジアに平和の砦を建設するという固い決意とつながっている。米議会調査局の分析が正しかったことが明らかになる日は遠くない。