今月を視る(「むすぶ」2019年9月号より)2019/09/16 10:22

ろうそく市民 VS 安倍改憲勢力
植民地支配責任の清算こそ真の解決への道筋だ!

冷戦反共体制の枠組みから脱皮-GSOMIA破棄
 日本製鉄など日本企業に対して元徴用工への賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決に端を発した
日韓両政府による政治的対立が厳しさを増し、戦後最悪という事態に陥っている。日本政府による「輸出手続き優遇措置国」から韓国を除外するという報復措置によって対立はエスカレート。韓国政府は7月22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄することを決定。この決定に対して、日本政府はもちろんのこと米国政府も激しく反撥非難の声をあげている。日本のメディアのほとんども「朝鮮半島の平和と安定を損なう愚かな決定」と声をそろえている。
だが、朝鮮や中国に対する日米韓の軍事的優位こそが東アジアの確かな安全保障とするのは、古い冷戦体制の発想でしかない。そもそも日韓のGSOMIAは韓国市民の強い反対を押し切って、朴槿恵政権が2016年に締結したものである。もともと文在寅大統領は選挙公約にGSOMIAの見直しを掲げていたし、8月15日にソウル光化門広場で開催されたキャンドル市民集会にはGSOMIA破棄のスローガンが掲げられていたように、ろうそく市民の意思は明確にGSOMIA破棄である。今回の韓国政府のGSOMIA破棄の決定は単に日本の輸出管理手続き優遇国から韓国を除外するという報復措置への対抗措置にとどまらず、かつての冷戦反共体制の枠組みから脱皮し、新たな朝鮮半島非核化、東アジア平和構築への新たな枠組みへの第一歩となる可能性がある。米国と日本は軍事的関与ではなく、対話による朝鮮半島非核化と東アジアの平和構築への選択を迫られている。

ろうそく革命が生み出した文在寅政権への敵意
以下は、週刊ポストの韓国ヘイト特集に対する毎日新聞の9月4日付け「週刊ポストの特集 嫌韓におもねるさもしさ」を標題とする社説の一部である。
「徴用工問題や慰安婦合意をめぐる文在寅(ムンジェイン)政権の対応は、確かに国家間の信義にもとる点がある。民主国家だから政治的な批判の自由は、最大限保障されなければならない。
 ただ、その範囲を超えて相手国民への差別につながるような言論は、メディアの責任として排除する必要がある。差別は人間存在の根源を傷つける暴力であるからだ。」
  週刊ポストの特集がヘイト・クライム(憎悪犯罪)であることの指摘、断罪すべきであることは論を待たないが、問題は「徴用工問題や慰安婦合意をめぐる文在寅政権の対応は、確かに国家間の信義にもとる点がある。」と論証もなしにさらりと言ってのけている点である。『悪いのは文在寅政権であり、韓国や韓国人に責任はない』ということか。だが、今回の大法院判決も、「慰安婦合意」の「癒し財団」解散も、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄も、そして、何よりも植民地支配責任の清算を求める要求は韓国のろうそく市民がめざす民主主義運動の過程にある要求であることを忘れてはならない。今日の日韓関係をめぐる対立の本質は、韓国ろうそく市民の行く手を阻もうとする安倍改憲勢力の文在寅政権への攻撃と言っても過言ではない。

「二国間合意が絶対」でなく「人権に勝る国益も公益もない」が世界の常識
反共軍事独裁の朴正煕政権だったから植民地支配責任をあいまいにした「日韓請求権協定」が締結されたのであり、父の軍事独裁を容認し、権力による不正を行ってきた朴槿恵政権だったから、被害者を排除した「慰安婦合意」がなされ、反共冷戦思考の日韓GSOMIAが締結されたのである。文在寅政権は、軍事独裁と対決し、民主化を求めて闘い続けてきた民衆がつくりあげた政権であり、安倍改憲勢力にとって都合のいい政権ではない。文在寅政権を攻撃し、ろうそく革命の行く手を阻むことが彼らの目的だ。
日本政府は、廬武鉉政権下で文在寅氏も参加する政府機関が「元徴用工問題は韓国政府に責任がある」ことを認めていたと攻撃するが、これは事実に反する。2005年4月27の第2次民官共同委員会会議で当時の文在寅民政首席秘書官は“個人の参加や委任のない状態で、国家間の協定によって個人の請求権をどのような法理で消滅させることができるのか検討が必要だ”という意見を提示している。
国家間の協定によって個人の請求権を消滅させることなどできない。「人権に勝る国益も公益もない」が世界の常識だ。

「むすぶ」目次(2019年7・8月号)2019/08/06 14:37

■ 今月を視る / 安倍政権の改憲策動を止める次のステップへ 
朝鮮半島・東アジアの平和時計の針を確実にすすめよう!
■ 解説 /『軍艦島』の真実は?-強制労働問題で巻き返しを図る安部政権
日本製鉄元徴用工裁判を支援する会 中田光信  
■ Q & A <NO.101> / 自衛隊の「有志連合」(対イラン包囲網)参加を許さない!
■ BOOK CORNER / 雑誌「世界」連載『自衛隊と災害救助』 事務局 豆多敏紀                        
■ 読者つうしん / 市民のニーズに応えて、高槻・市民放射能測定所開設6周年
           高槻市 時枝 功
■ おしらせ & 編集後記

今月を視る(「むすぶ2019年7・8月号より)2019/08/06 14:36

安倍政権の改憲策動を止める次のステップへ
朝鮮半島・東アジアの平和時計の針を確実にすすめよう!

着実な成果を次の闘いへ
第25回参議院選挙(7月21日投開票)の結果が出た。改憲勢力による「3分の2」の議席確保は何とか阻止できたものの、与党、改憲勢力の大幅な議席減など顕著な変化をつくり出すことはできなかった。安倍政権は、今後改憲策動をさらに強めてくることは間違いなく、対抗する闘いをあらゆる分野で構築していかなければならない。安倍の「頼りになるお友達」である橋下徹は参議院選報道番組(フジテレビ)で「与党圧勝」「野党共闘失敗」をがなり立て、「衆参同時選をやればよかった」「早いうちの衆議院選挙を」と安倍を激励し、「自民党は必ず国民民主を取り込むことができる」と改憲の展望を喧伝した。一方、市民と野党の共闘は、イージスアショアが最大争点になった秋田県、辺野古新基地建設阻止をあきらめずに闘い続ける沖縄県をはじめ一人区の10県で自民党を制し、勝利した。接戦を制した滋賀県の勝利も大きい。これらの成果は、準備し、隊列を整えて闘えば勝てることを示している。多くの有権者は、政権、権力から押しつけられている「憲法改正」など望んでいない。遠くない時期に仕掛けられるであろう衆議院選挙で、安倍の暴走を止めるため、直ちに今回の成果を活かしながら課題を克服する闘いを準備しよう。

「文在寅憎し」を露わに、韓国に対する脅迫措置
 参議院選挙の公示を前にした7月1日、日本政府が、半導体製造に使われる化学製品の韓国向け輸出手続きを厳格化すると発表、徴用工問題での韓国政府に対する悪質な報復措置を打ち出した。この措置について日本政府は当初「日韓間の信頼が著しく損なわれた」ことを理由に挙げたが、政治問題を経済問題にからめ、「自由貿易の原則を捻じ曲げる」との批判が出ると「韓国に関連する輸出をめぐって不適切な事案が発生した」ことによる「安全保障上の問題」との理由に主張を変えながら韓国政府との交渉を事実上拒否する態度に終始している。G20では唯一、文在寅大統領との首脳会談をはずし、子供じみた”いじわる“を行ったにもかかわらず、30日には、板門店でトランプ・金正恩会談が実現、米朝韓の3首脳会談も行われるという電撃的なニュースが世界を駆け巡ったその翌日の異様な措置である。トランプが保守層の支持を高めるため、あえて常識を疑うような差別とヘイト発言を連発するように、安倍もまた参議院選で保守層の“嫌韓”感情を呼び寄せ、保守層の支持を固め、選挙戦を有利にすすめようとする狙いであることは間違いない。安倍政権は、前回の衆議院選挙でも朝鮮の“ミサイル発射”を最大限に利用し、「国難突破」で一定の支持を集めることに成功した。いずれにしても、安倍政権にとって、文在寅政権は“我慢ならない”存在と映っている。韓国市民がローソク革命で生み出した文在寅政権など普通の隣人としても付き合いたくはないというのだろう。要するに、ローソク革命など目障りなのだ。
12・28慰安婦合意の破棄や海上自衛隊哨戒機のレーダー照準論争で文在寅政権に対する批判と不満は安倍政権のこのスタンスから生じている。元徴用工被害者に対する韓国大法院判決に対しても、日本のメディアや立憲、国民民主など一部野党の無理解と限界に乗じ、「65年韓日請求権協定を守らない韓国」「国と国との約束を守らない韓国」という主張を声高に叫び、「文在寅政権は親北朝鮮・反日政権だ」というレッテル貼りを続けている。今回の輸出規制(経済制裁)はその延長線にあることは間違いない。

それでも朝鮮半島の平和時計は速度を上げている
安倍政権の朝鮮半島に平和を望まない態度に関わらず、朝鮮半島には現在、戦後冷戦構造が崩壊する大変化が生まれようとしている。3度にわたる南北首脳会談と2回の朝米首脳会談開催、6月30日の板門店での事実上の米朝首脳会談の実現により、朝鮮半島は対立の地から平和な地域に変わろうとしている。朝鮮半島の平和時計は確実に動き始めているのだ。
 沖縄辺野古の闘い、南西諸島のミサイル基地建設反対の闘い、そしてイージスアショアを拒否する闘いは、朝鮮半島の平和時計を確実にすすめ、朝鮮半島の平和時計がすすむことで辺野古新基地、南西諸島ミサイル基地、イージスアショアの根拠が一つ一つ消えていく。このことを大胆に訴え、平和時計をすすめる東アジアの動きに合流していこう。

「むすぶ」目次(2019年6月号)2019/06/23 10:00

■ 今月を視る / 好戦勢力による世界的規模の危機醸成と軍事挑発許さず 
中東にも、東アジアにも緊張緩和と平和構築を!
■ 報告 /『朝鮮半島と日本に非核・平和の確立』に向け
新しいプラットフォームを構築    日韓共同行動 矢野秀喜  
■ 「平和と生活をむすぶQ & A」100回を振りかえって   事務局  豆多敏紀 
■ 演劇あんない /「テキスト 闇教育」           堺市 石黒一郎                        
■ 読者つうしん / 記憶の断片(安保法制をめぐって)    神戸市 O
■ むすぶ会 総会・講演会 & 編集後記

「むすぶ」目次(2019年4・5月号)2019/05/27 22:00

■ 今月を視る / 「新時代『令和』」礼賛であふれる日本 
米による世界規模での危機醸成、軍事挑発にNOの声を!
■ 解説 / ベネズエラで起こっている「人道危機」とは?
「裏庭」の復活狙う米国政府  事務局 豆多敏紀
■ Q & A <NO.100> / 自衛隊員募集~自治体による国への個人情報提供にNOを!(続)
■ BOOK CORNER /「私たちの決断-あの日を境に・・・」原発賠償京都訴訟団 編
                             事務局 岡本 誠              
■ 読者つうしん / お隣の国なのに 知らないことがいっぱい  大阪市 中野佳恵
■ 2019年総会・記念講演会 & おしらせ

今月を視る(「むすぶ」2019年4・5月号より)2019/05/27 21:59

~「新時代『令和』」礼賛であふれる日本 ~
 米による世界規模での危機醸成、軍事挑発にNOの声を!

新元号制定発表の前後から10日間のGW。日本社会は「平成ありがとう」と令和フィーバーであふれた。その渦中、その後の報道でも浮かび上がってきたように、それは安倍(政治)の脚本・演出・主演というべきものであった。安倍政権右派勢力はメディアを巻き込みながら、天皇退位代替わりを支持率アップ、支配強化、延命のために徹底的に活用しようとした。このフィーバーは代替わりの一つの区切りとしての即位の礼(10月)、大嘗祭(11月)までは継続されていくであろうが、「連中」はその目的を一定程度達成したと言わざるを得ない。この代替わりがどのようになされ、いかなる政治的意味をもつのかについては様々な論評解説で尽くしている感があるが、週刊MDS 1572号、1573号、1575号(いずれも8面)等の論稿をじっくり読んでほしい。『この「国民統合」イデオロギー装置を通して、現に存在する社会的諸矛盾や階級的対立は濾過されフェード・アウトさせられる(1573号)』。このような攻撃を警戒し、注視し、反撃していかねばならない。
 
トランプ政権によるイラン核合意の破壊
日本での「令和フィーバー」の一方、世界では危険な動きが広がっている。米トランプ政権の世界規模での危機醸成と軍事挑発である(南米ベネズエラへの介入は次ページ<解説>参照)。
もっとも警戒すべきは、極右イスラエル・ネタニアフ政権と結託したパレスチナ人民への攻撃とイランへの恫喝・軍事挑発である。昨年エルサレムへの首都移管を容認し大使館を設置した米は、ゴラン高原のイスラエル支配権を容認し、パレスチナ自治区への空爆を強め入植を強引に継続拡大して共存体制を破壊しパレスチナ人民の生活、生命、権利、尊厳を蹂躙している。この暴挙を許すわけにはいかない。
トランプが「イラン核合意」から離脱を表明してから1年が経過した5月8日、イラン・ロハニ大統領は「合意」の一部には従わないと宣言した。(原油輸出・貿易が60日以内に実現しないならウラン濃縮を始める)。国連常任理事国にドイツを加えた6カ国が多国間交渉によって‘15年にイランとの間で結んだ「合意」(核開発放棄とひきかえに経済制裁を段階的に解消)は存立の危機に直面している。米は4月末には限定的に認めてきたイラン産原油輸入さえ認めない暴挙に転じていたのである(他国の制裁へのまきこみ)。このような一方的圧力・恫喝に対する合意履行の一部停止の発表であったのであり、イランは「合意からの離脱はしない」と表明している。
これに対して米は中東地域(イラク)の駐留米軍が「危険にさらされている」を口実にして、さらにサウジのタンカーが損傷をうけたという情報も流しイラン近海に空母打撃群、爆撃機部隊を派遣した。‘17年夏の朝鮮半島を想起させる一触即発の軍事危機である。トランプ・ネオコンの緊張激化路線に対話と交渉による平和的解決の方向をおしつけていかなければならない。

核兵器禁止条約の発動を求める国際的な運動の再活性化と強化を
朝鮮からの「飛翔体」発射報道のなか訪米、トランプとの会議・ゴルフ三昧の後、帰国した安倍首相は6日、金正恩委員長との首脳会談について前提・条件をつけずに実現をめざす方針を表明した。4日に続いて9日に発射された「飛翔体」を米国防総省が短距離弾道弾ミサイルと断定してからも「無条件会談」のスタンスを維持している。‘17年国連総会で「必要なのは対話ではなく圧力だ」と演説したのは誰だったろうか。米朝首脳会談以降、国連人権理事会で先導してきた「北朝鮮非難決議」提案者から降りたり’19年版外交文書等で「北朝鮮への圧力を最大限まで高めていく」との表現まで削除したり、安倍政権が日朝首脳会談を模索してきたのは事実である。しかし、その企図は見え透いている。その直前の金・プーチン会談が直接的契機であることは、想像に難くない。金委員長と会談していないのは安倍だけになったのである。動機は何にせよ、米朝対話が持久戦に入った今、非核平和の朝鮮半島、東アジアにむけ、私たちには核兵器禁止条約の発動を求める国際的な運動を再活性化し、強化していくことが求められている。さらに韓国大法院判決即時履行、戦時強制労働、戦時性奴隷(「慰安婦」)への謝罪・補償を日韓民衆連帯で安倍政権に迫ろう。
それは辺野古新基地建設阻止に直結する闘いであり、象徴天皇制に対して、戦争責任を問う闘いでもある。

「むすぶ」目次(2019年3月号)2019/04/10 16:58

■ 今月を視る / 沖縄と朝鮮半島、そして東アジア 
軍縮と平和への大きな流れはだれにも止められない!
■ 解説 / 3.1朝鮮独立運動100年-今も植民地主義を清算できない日本 矢野秀喜
■ Q & A <NO.99> / 自衛隊員募集~自治体による国への個人情報提供にNOを!
■ BLOG /「退位する明仁天皇への公開書簡」 久野成章・田中利幸著   湯川 恭              
■ 読者つうしん / 沖縄の人々の思いと闘いを地域で受け止める取組みへ
                             東大阪市 桐生隆文
■ 2018年度会計報告 おしらせ & 編集後記

「むすぶ」目次(2019年2月号)2019/03/14 13:14

■ 今月を視る / 沖縄県民投票が鮮明にしたもの
力強く変わり続ける沖縄! 全国で闘いが続くときだ!
■ 解説 / 馬毛島-種子島の軍事基地化計画の驚くべき全容  事務局 豆多敏紀
■ Q & A <NO.98> / 新防衛大綱・中期防の「多次元統合防衛力」のねらい
■ BOOK CORNER / 「宝島」 真藤順丈 著 講談社  事務局 湯川 恭              
■ 読者つうしん / 今、なにをなすべきか?    河内長野市 小田伸也 
■ 連続学習会・第4回 案内、おしらせ & 編集後記

今月を視る(「むすぶ」2019年2月号より)2019/03/14 13:13

沖縄県民投票が鮮明に示したもの  
力強く変わり続ける沖縄! 全国で闘いが続くときだ! 

県民投票結果は反基地運動の確実な前進を示した
 2月24日、投開票された「辺野古埋め立ての賛否を問う沖縄県民投票」。投票率52%、反対は全投票数の72%にあたる43万強。最多得票として日米両政府に通知される29万(全投票数の4分の1)はもちろん、昨年の県知事選で玉城デニー知事が獲得した史上最多の39万をも上回った。民意を示すうえで、立派な数字である。この結果を受けて、大手新聞社も初めてはっきりと「もはや埋め立てはやめよ」「政府はただちに埋め立てをやめ、沖縄県と真摯(しんし)に解決策を話し合うべきだ。」(毎日新聞)と社説で主張した。極めて常識的と言える評価だ。
 一方、最初から県民投票の意義を認めず、県民投票の結果が及ぼす影響を低く抑えようと必死に策動してきた政府・自民党や御用メディアは、県民投票結果に一斉にケチつけを行っている。「半分が投票しなかった」「反対は全有権者の37%にすぎず、民意とは言えない」「37%以外は反対には投票しない人」等々。自民党は国政選挙において全投票数の3割しか得票していないし、全有権者数の比率でいえば3割の半分以下である。どの口でそんなケチつけが言えるのか。へ理屈にもならない。
 菅官房長官は、期日前投票も始まっていない告示日の2月14日に「結果にかかわらず、工事は進める」と断言、「投票など無駄」と言外に言い放った。自民党は、県民論議の高まりを避けるため、「賛成」や「容認」「仕方ない」を呼びかける運動をほとんどせず、表向き「自主投票」、裏では「投票するな」を指示していたことが暴露されている。それでも、自民党支持者の半数以上が反対票に投じたというのが、今回の県民投票の実態だったのだ。また、「投票に行かなかった全ての人は『反対』ではない」などあり得ず、都合の良すぎる曲解である。むしろ、一切の経済的利害や社会的なしがらみを乗り越えて、確固として反対を意思表示する県民が全有権者の4割弱も存在したことは、現在の「日本社会」では驚異と見るべきではないか。
 辺野古埋め立て反対の民意はいっそう明確になった。これが、県民投票結果をめぐる正確な評価だ。

「沖縄はとても強いところだ」
県民投票は辺野古埋め立て反対の民意をあらためて政府に突きつけただけではない。沖縄が力強く変わり続けていることをこの国の内外に鮮明に照らし出した。
名護市長選挙や県知事選挙で自公候補支援の青年選対の先頭に立った青年(24歳)は、今回の県民投票でも埋立て賛成の投票をしたが、県民投票結果への感想を求められ、「これだけ工事がすすめられ諦めるしか仕方のない状況にもかかわらず、それでも反対が大多数となった。沖縄はとても強いところだと感じた」と感想を述べた(2/24報道ステーション)。彼のあまりにも率直な感想を通して、今回の沖縄県民投票が明らかにしたことは、「沖縄は強く、もはや一切の後戻りはない」という沖縄の前進し続ける姿である。
 この「沖縄の強さ」を芥川賞作家の大城立裕さん(93歳)は「県民は歴史的な大成長を遂げたと感じる」と述べ、「政府に対し県民投票という大げんかを売るまで成長した」と現在の強さを表現した。沖縄反戦、反基地運動の根源的な在り方を熱く提示する琉球大学の新城郁夫教授は、「日本という国家の枠組みから離れつつ、沖縄が自律的な運動体へと変わりつつある」、「(勢いを増していく県民大会や各種デモなど)、それらイヴェントを日常のレベルで下支えし続けている辺野古ゲート前での連日の集会や海上でのカヌー隊による抵抗運動に明らかなように、沖縄において新基地反対の動きの勢いは一過性のものではなく、持続性と拡散性を帯びた流れになりつつある」(世界3月号)と、県民投票を非暴力抵抗運動へつなぎ、さらに強化されると展望している。

「埋め立てやめろ」を全国で圧倒的な声に!
安倍首相は「真摯に受け止め」をはじめ、発する言葉の全てがウソの会見で工事続行を断言し、投票期間中から開票翌日にも工事を強行した。だが、超軟弱地盤問題を含め、辺野古新基地建設の行き詰まり状況はだれの目にも見えるものになった。沖縄では、3月16日に、那覇で県民大会が取り組まれ、新たな闘いが始まる。今こそ、全国で沖縄の闘いに応え、続くときだ。

今月を視る(「むすぶ」2018年11・12月号より)2018/12/10 21:41

SACO合意、日韓請求権協定、「慰安婦」問題合意
人権無視の二国間条約・合意は国際基準ではない!

「二国間条約・合意は最優先」はすでに破たん
10月30日、韓国の元徴用工4人(すでに3名が死亡)が戦時中の強制労働によって受けた被害の損害賠償を求めた裁判で韓国大法院(最高裁)が被告・新日鉄住金の上告を棄却、日本の植民地支配と侵略戦争の遂行過程での日本企業の反人道的行為によって生じた被害の慰謝料を認め、原告勝訴の判決を確定させた。この判決は朝鮮半島の戦争と平和をめぐる問題の根底にある日本の植民地支配の責任と清算は未解決であること、朝鮮半島や東アジアの平和構築をすすめるうえで、植民地支配責任の清算は避けて通ることのできない問題であることを示している。歴史的、画期的判決である。
これに対する日本の対応は全く異常である。政府、大企業、大手メディアが一体となって「国と国の約束を守らない韓国」「韓国は国際常識が通用しない国」など韓国バッシングの大合唱。韓国政府に対して、裁判所の判断に介入すべきかのような対応を求める異常さである。さらに、11月21日、韓国政府が慰安婦問題に関する日韓合意に基づく「和解・癒やし財団」を解散すると発表するとこのバッシングはいっそう激しいものとなっている。大手メディアのほとんども、政府と一体となって「国益擁護」を叫ぶ酷い様相である。「条約・合意を遵守できない韓国は民主主義国家ではない」、「韓国政府(文在寅政権)はおかしい」というイメージを日本社会に植え付けようとしているが、不都合な真実は一切伝えない。
徴用工をめぐる今回の裁判で、朴槿恵政権が判決を出さないよう裁判所に圧力をかけていたことが暴露されている。その朴槿恵政権が安倍政権との間で合意した『「慰安婦」問題合意』と朴槿恵の父親である朴正煕軍事独裁政権が日本との間で締結したのが、日韓基本条約・請求権協定である。これらの条約・合意に共通するのは、被害者の声と人権をほとんど反映することがなかったことだ。日本政府は、「国際司法裁判所に提訴も視野に」とあたかも日本の側に理と勝算があるように「威勢よさ」を強調するが、国連人権規約に示される個人の人権尊重こそが今日のグローバルスタンダードであり、形式的な国家間の約束以上に被害者の人権回復が最優先されなければならない。人権を基礎に新しい日韓の関係を築くときだ。

辺野古新基地はできない!
「国際条約最優先」を政府が辺野古新基地建設強行の最大の根拠とするSACO合意もまた沖縄県民の意思を無視し、人権尊重のかけらもない日米の二国間合意である。沖縄県民の人権も民意も全く考慮する気のない安倍内閣は玉城デニー知事との会談からわずか5日後の10月17日、辺野古新基地建設に伴う沖縄県の埋め立て承認撤回への「法的対抗措置」として、国土交通相に対して行政不服審査法に基づく審査請求と、処分が出るまで撤回の効果を止める執行停止を申し立てるという強権策に打って出た。この「自作自演」の猿芝居によって石井国土交通相は30日、知事の撤回処分の効力を一時停止することを決定。埋立て承認の撤回の効力は停止され、臨時制限区域を示すオイルフェンスと浮具(フロート)設置などの「工事再開」に着手。しかし、土砂搬入については、台風で破損した本部塩川港の復旧に目途が立たないことを理由に本部町が許可を出さないため、土砂搬入は当面不可能との報道も出て、防衛局にとっては極めてピンチな状況にあることは間違いない。
「天の利」も重なって、政府・防衛省は明らかに追い詰められている。それでも、「建設の遅れや停滞はない」ことを示すために、11月15日、キャンプ・シュワブゲートからのダンプによる資材搬入を2ヵ月ぶりに再開した。「粛々と進める」との政治的パフォーマンスだろうが、行き詰まりははっきりしている。
玉城デニー知事が初めて訪米し、米国内にも多くの共感を得るなど確かな成果を手に帰沖した。政府・防衛省が2年間も隠し通し、県の撤回の理由の一つになった大浦湾の「マヨネーズ状態」とも表される超軟弱地盤の問題を米政権の関係者にも明確に説明したことは成果の大きな一つである。
来年2月の『県民投票』に向けた沖縄の新たな闘いが始まっている。持続する沖縄の闘いに全国から応えるときだ。全国の地域から声をあげよう。