今月を視る(「むすぶ」2018年6月号より)2018/07/23 19:19

祝福すべき時! 6.12米朝首脳会談成功
軍縮を実現し、広げよう! 朝鮮半島から北東アジアへ

軍縮に踏み出すことが重要
6月12日、史上初の米朝首脳会談がついに実現した。世界から期待と不安が交錯する中、会談は大きく成功。「朝鮮半島の完全非核化への約束」、「米朝は朝鮮半島で持続的な平和体制を構築するため努力」を柱とする合意事項を確認し、共同声明に両首脳が署名した。紛れもなく画期的な前進である。
「ノーベル平和賞欲しさのパフォーマンス」、「秋の中間選挙に向けた人気取り」のトランプ。「のどから手が出るほど経済援助が欲しい」金正恩。二人の「身勝手な思惑の妥協の産物」とこの首脳会談の意義を貶めようとする動きは相変わらずあるが、二人の思惑がどうであれ、大事なことは、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和構築に、大きな一歩を踏み出したという事実だ。
「朝鮮半島で二度と戦争しない」ことを約束しただけではない。トランプ大統領は、米韓合同軍事演習を「挑発的」「非生産的」とまで言い、対話中の合同軍事演習中断に言及した。そして、実際に6月19日、米韓両国は8月に予定されていた毎年定例の米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」を中止することで合意したと明らかにされた。米朝共同声明発表後の記者会見で「グアムから膨大な費用をかけてB52を米韓合同演習に参加させるのはばかげている」と正直に語ったトランプ大統領は、今回も演習を「戦争ゲーム」と表現し、「高くつく」と費用面の問題をあげ、「非常に挑発的」で実施は不適切と言い切った。全くその通りである。米朝首脳会談の成功が、単なるパフォーマンスに終わらず、具体的行動として、最初の一歩に踏み出したことを高く評価したい。
 すでに、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が、米朝首脳会談を前にした6月11日、シンガポールで記者会見を開き、「会談は米朝2カ国だけでなく世界にとって歴史的な意味がある」と表明。「朝鮮半島の非核化に向け、北朝鮮に核兵器廃絶を求めるとともに、米朝両国にCTBT(包括的核実験禁止条約)の批准を求めることなどを柱とした5項目の提案」を発表。「北朝鮮が脅威と捉える米国の核の傘の下にある日本と韓国にも、核兵器禁止条約の署名と批准をするよう」訴えている。
世界が要求しているのは、軍事に頼らない外交交渉による平和の確立であり、抑止力など要らない世界へ向けた行動である。米韓の合同軍事演習中止はその第一歩であり、けっして後戻りを許さず、確実に前に進めることが求められている。今、この流れを全力で推し進める時だ。

この流れに逆行する安倍政権
 安倍政権は、この軍縮の流れに背を向け、無視する姿勢を変えない。朝鮮に対する「抑止力」を建設の根拠としてきた辺野古新基地建設も、脅威の相互低減という意味から見直しが求められるのは当然だ。
 にもかかわらず、政府、防衛省は、辺野古新基地建設で8月17日から埋め立て工事に着手することを明らかにし、あくまでも新基地建設を強行すると宣言した。これは、沖縄の人々の「新基地いらない」の民意を乱暴に踏みにじる暴挙であるだけでなく、この間の朝鮮半島と北東アジアの緊張緩和、軍縮の流れに対する歴史的背信である。絶対に許すことはできない。
 辺野古現地での決してあきらめない闘いを先頭に、「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」が、那覇市内(奥武山公園陸上競技場)で8月11日に3万人以上の参加を目指し、土砂投入阻止に向けた県民大会を開く。また、2千人以上の参加を目指し、7月7日正午には、辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で「ジュゴン・サンゴを守れ 土砂投入を許さない辺野古新基地建設断念を求める県民集会」を開く。
 さらに、「辺野古新基地建設の是非を問う県民投票」の実施を求める直接請求署名運動も、10分の1(法定数は50分の1)の11万筆をめざして取り組まれ、広範な「辺野古新基地建設反対」の声をあらためて打ち固めようと奮闘している。翁長知事は、病気と闘いながら、「中止命令」や「埋め立て承認撤回」で、「埋め立て阻止」を明確に打ち出してくれると信じる。
 朝鮮半島にも、沖縄にも、軍事による「抑止力」はいらない。この声を地域に広げよう。ローソク革命で「朝鮮半島を戦場にしない」の声を一つにした韓国民衆の闘い、けっしてあきらめず「勝つまで闘う」沖縄の人々の闘いに応え、軍縮を実現する時だ。

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