今月を視る(2025年4月号)2025/04/24 10:57

赤ちゃん、子ども、女性、年寄りを殺すな! の声を大に

ガザ停戦破壊―攻撃の局限化
イスラエルは、世界中のほとんどの国や人々が切実に望んだ第2段階への移行という停戦合意(恒久停戦、イスラエル軍のガザ撤退、双方の捕虜・人質解放など)がなかったかのように、以前にも増して残虐な攻撃を繰り広げている。ガザ地区の保健当局は、イスラエル軍が3月18日に攻撃を再開してから1542人が死亡し、2023年10月からの死者は5万912人にのぼったと発表した(4月11日時点)。
UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は、イスラエル軍の攻撃を再開からこれまでに推定で40万人がさらなる避難を余儀なくされたと発表し、また、3月2日からイスラエル軍がガザ地区への支援物資の搬入を認めておらず、現地では食料や医薬品などの不足が深刻で人道状況の悪化に拍車がかかっていると警鐘を鳴らした。無法者のネタニヤフやトランプが「地獄を見せてやる!」といった通りの暴虐である。さらに見逃せないのは、「緩衝地帯」と称して、軍事占領地を着々と拡大させていることだ。「装甲ブルドーザーが住宅を次々に破壊し、かつてフル稼働していた工場は、工兵が爆弾を仕掛けて計画的に解体していく。兵士がパレスチナ人住民の立ち入りを禁じて破壊しているのは、かつてその住民たちの生活と生計を支えた肥沃な農地だった」(CNN)。
パレスチナ住民を追放し、ガザ全体を占領地に変えようというおぞましい計画だ。
 だが、こんな戦争犯罪のオンパレードを世界の人々は許してはいない。イスラエル国内においても、空軍の予備役などおよそ1000人や軍の情報部門の予備役など250人が、「戦争の継続は、目的達成の役には立たず、人質や兵士、それに罪のない人々の死をもたらす」などと訴え、ハマスとの戦闘を停止し、交渉を通じて人質の解放を実現するよう求める書簡を発表し、自国民の命も省みず、政権の延命にしがみ付くネタニヤフを追い詰めている。
虐殺、占領、アパルトヘイトを終わらせるために、共同して行動する時だ。

自衛隊統合作戦司令部が始動
 「台湾有事」を回避するための外交的取り組みに全力を集中するのではなく、中国との戦争準備に地道をあげ、戦争体制づくりにつきすすむ日本政府。「自衛隊の南西シフトは、従来、琉球列島のミサイル基地化を軸に進められてきたが、今や新たな、本格的な戦争態勢構築に移行しつつある。本土から南西諸島への全自衛隊の大動員(全師団等の機動展開)、弾薬など継戦能力・兵站の強化、司令部等の地下化、この上に琉球列島・西日本の主要な民間空港・港湾の軍民共用化が決定。つまり、台湾有事のために、沖縄から九州-日本全土への戦時態勢づくりが、文字通り実戦を想定しながら本格化し始めたのだ」(小西誠)。中国との実戦を想定していることは、宮古・八重山の5市町村の島々から住民11万人と観光客約1万人を避難させる計画の概要を公表したことでも明らかだ。全島避難を含めて、住民を戦争協力に動員する対策にも余念はない。2024年4月の「第38回全日本トライアスロン宮古島大会」で陸上自衛隊内部で支援計画文書が作成されていたことが明らかに。大会を「宮古島駐屯地の存在を市民に大々的にアピールできる格好の機会」と捉え、約100人の隊員を動員し、迷彩服を着用しての支援を重視していたという。典型的な「宣撫工作」(占領地において住民に敵対心を持たせず、協力させる目的の軍隊活動)である。
 自衛隊の戦争準備が急ピッチで進む中、防衛省の常設組織「統合作戦司令部」が始動した。陸海空3自衛隊の一元指揮だけでなく、米軍と運用・作戦面でのカウンターパートも担うとする。米側も在日米軍司令部の権限を強化して「統合軍司令部」とする計画を進めているとも。これまで部隊運用を担ってきたのは制服組トップの統合幕僚長だったが、「これからは政治の対応は統幕長に任せ、司令官は部隊運用に集中する」という。実戦に特化した組織である。
 やりたい放題の戦争準備に見えるが、矛盾も露呈してきた。住民無視の戦争準備に、住民の反発も高まってきた。与那国では、8月に任期満了を迎える与那国町長選に向け、「糸数健一現町長は右に寄りすぎて、次の4年間を任せることはできない」と同じ「保守」を名乗る新人が、立候補、出馬すると表明した。
住民の声を大切にし、闘おう。「台湾有事」は阻止できる。

「むすぶ」目次(2025年4月号)2025/04/24 11:00

■ 今月を視る / 赤ちゃん、子ども、女性、年寄りを殺すな! の声を大に
■ 沖縄レポート / 住民避難ではなく、軍事目標(駐屯地・弾薬庫)を撤去せよ!
                       沖縄国際大元講師 西岡信之                      
■ 寄稿 / 強制動員問題の解決、それは今を生きる私たちの問題
             強制動員問題解決と過去清算のための共同行動 矢野秀喜          
■ 読者つうしん / 高校授業料無償化の罠      枚方市 山田光一
■ 読者つうしん / シャノちゃん 良かったね、はっちゃん 頑張ろうね  
                          東大阪市 光永サチ子
■ Information & Editorial Peace Note