今月を視る(「むすぶ」2025年11・12月号)2025/12/02 08:51

高市「台湾有事」発言は、「どう考えても」戦争挑発発言だ!

安倍戦争法体制を継承
高市政権は安倍政権が2015年強行成立させた戦争法=「安保法制」(「集団的自衛権」行使など)の実動化をねらう好戦的で危険な政権である。早速、その好戦ぶりを国会で打ち出した。11月7日の衆院予算委員会で高市首相は中国による台湾の海上封鎖が発生した場合、「戦艦を使って武力行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と答弁した。
この答弁の何が重大なのか。事の本質が見えない(見せない)まま、世論が混乱しているように見える。額面どおりではないとしても、新聞等の世論調査で高市政権が高い支持率を維持していること(全体65%、18~29歳74%、30代76%など、<若年層ほど高い支持率>11/24毎日新聞)、「存立危機事態になり得る」答弁にしても「問題があった」としたのは25%にとどまり、「問題があったとは思わない」が50%と大きく上回ったことが、世論の混乱ぶりを反映している。

キーは米軍の軍事介入
だが、実は「台湾有事」をめぐる論点はシンプルである。他国(他地域)で起こった紛争(武力含めて)に武力介入していいのかどうかという問題である。しかも、「台湾有事」をめぐっては米軍の武力介入を前提としているが、米軍の武力介入が許されるのか否かという問題である。米軍の武力介入がなければ、中国が、沖縄、南西諸島はもちろん日本全国に武力行使をする理由は一切ない。「台湾有事」をめぐる問題のキーは米軍の軍事介入であることを忘れてはならない。
高市発言は「中国軍による台湾への海上封鎖」-「米軍が武力介入」-「中国軍による米軍への武力行使」-「集団的自衛権の行使名目による自衛隊参戦」を想定するが、平和と基本的人権の尊重を基調とする日本国憲法を持つ日本がとるべき道は、第一に、中国政府と台湾当局が武力事態に至ることのないよう慎重かつ細やかな外交努力を積み重ねることである。第二に、もし、仮に武力事態に至るようなことがあれば、直ちに武力衝突を停止させるために動き、最大限の外交努力を行うことである。間違っても、武力介入を行わないことである。第三に、「台湾」と中国政府との関係は、住民の自己決定権に基づき話し合いで平和的に解決されなければならないという原則を堅持して対応すべきである。「一つの中国」を認めながら、台湾の「独立」や中国政府との対立を煽るような政治介入は欺瞞そのものであり、国際社会に通用しない。実際、台湾現地では「独立派」が絶対多数ではないし、「現状維持派」との間で拮抗状態にあると報道されている。第四に、軍拡競争に加わることの愚を知ることである。多くの商業メディアは一方的に「中国の軍備増強の脅威」を枕詞のように使うが、相手から見れば、日本の軍備増強や共同演習の強行は威圧であり、脅威であるという視点も忘れてはならない。

「戦争か平和か」「軍拡か軍縮か」
高市首相の「どう考えても存立危機事態になり得る」答弁は、「どう考えても」危険で有害である。高市首相は中国の圧力によってではなく、東アジアの平和を求める全ての声に従って発言を撤回すべきである。そして、軍拡競争から脱し、軍縮に舵を切るべきだ。それができないなら辞任するしかない。
「立民は首相の答弁に『危険性を感じた』として撤回を求めている。だが、しつこく首相に見解をただしたのは立民自身だ。答弁を迫った上で、答弁したら撤回を迫るとは、何が目的なのか」(読売新聞社説)と、高市政権の軍拡政策を追及批判した野党側に攻撃の矛先を向けさせる本末転倒の世論操作に手を貸すメディアも少なくないが、今こそ、武力衝突の回避に全力を尽くすことこそ、政治の最大の使命であり、その使命に背く高市政権を徹底的に追及することが求められる。
「戦争か平和か」、「軍拡か軍縮か」。高市首相の「存立危機事態」答弁をめぐるこのシンプルな論点を鋭く押し出し、広めよう。

「むすぶ」目次(2025年11・12月号)2025/12/02 08:52

■ 今月を視る / 高市「台湾有事」発言は、「どう考えても」戦争挑発発言だ!
■ アピール / 日韓政府共同でDNA鑑定を実現させたい
GUNGUN裁判の要求実現を支援する会 古川雅基       
■ 沖縄レポート / 最優先課題はPFAS(有機フッ素化合物)汚染除去
元沖縄国際大講師 西岡信之 
■ 図書あんない /『核のゴミと福井の未来を考えよう!』  事務局 岡本 誠 
■ 読者つうしん / 横浜の山下ふ頭再開発を市民の手で    横浜市 高畑宅二                    
■ 読者つうしん / クマ騒動・再野生化の時代    長野県大鹿村 北川誠康 
■ Information & Editorial Peace Note