今月を視る(「むすぶ」2019年4・5月号より)2019/05/27 21:59

~「新時代『令和』」礼賛であふれる日本 ~
 米による世界規模での危機醸成、軍事挑発にNOの声を!

新元号制定発表の前後から10日間のGW。日本社会は「平成ありがとう」と令和フィーバーであふれた。その渦中、その後の報道でも浮かび上がってきたように、それは安倍(政治)の脚本・演出・主演というべきものであった。安倍政権右派勢力はメディアを巻き込みながら、天皇退位代替わりを支持率アップ、支配強化、延命のために徹底的に活用しようとした。このフィーバーは代替わりの一つの区切りとしての即位の礼(10月)、大嘗祭(11月)までは継続されていくであろうが、「連中」はその目的を一定程度達成したと言わざるを得ない。この代替わりがどのようになされ、いかなる政治的意味をもつのかについては様々な論評解説で尽くしている感があるが、週刊MDS 1572号、1573号、1575号(いずれも8面)等の論稿をじっくり読んでほしい。『この「国民統合」イデオロギー装置を通して、現に存在する社会的諸矛盾や階級的対立は濾過されフェード・アウトさせられる(1573号)』。このような攻撃を警戒し、注視し、反撃していかねばならない。
 
トランプ政権によるイラン核合意の破壊
日本での「令和フィーバー」の一方、世界では危険な動きが広がっている。米トランプ政権の世界規模での危機醸成と軍事挑発である(南米ベネズエラへの介入は次ページ<解説>参照)。
もっとも警戒すべきは、極右イスラエル・ネタニアフ政権と結託したパレスチナ人民への攻撃とイランへの恫喝・軍事挑発である。昨年エルサレムへの首都移管を容認し大使館を設置した米は、ゴラン高原のイスラエル支配権を容認し、パレスチナ自治区への空爆を強め入植を強引に継続拡大して共存体制を破壊しパレスチナ人民の生活、生命、権利、尊厳を蹂躙している。この暴挙を許すわけにはいかない。
トランプが「イラン核合意」から離脱を表明してから1年が経過した5月8日、イラン・ロハニ大統領は「合意」の一部には従わないと宣言した。(原油輸出・貿易が60日以内に実現しないならウラン濃縮を始める)。国連常任理事国にドイツを加えた6カ国が多国間交渉によって‘15年にイランとの間で結んだ「合意」(核開発放棄とひきかえに経済制裁を段階的に解消)は存立の危機に直面している。米は4月末には限定的に認めてきたイラン産原油輸入さえ認めない暴挙に転じていたのである(他国の制裁へのまきこみ)。このような一方的圧力・恫喝に対する合意履行の一部停止の発表であったのであり、イランは「合意からの離脱はしない」と表明している。
これに対して米は中東地域(イラク)の駐留米軍が「危険にさらされている」を口実にして、さらにサウジのタンカーが損傷をうけたという情報も流しイラン近海に空母打撃群、爆撃機部隊を派遣した。‘17年夏の朝鮮半島を想起させる一触即発の軍事危機である。トランプ・ネオコンの緊張激化路線に対話と交渉による平和的解決の方向をおしつけていかなければならない。

核兵器禁止条約の発動を求める国際的な運動の再活性化と強化を
朝鮮からの「飛翔体」発射報道のなか訪米、トランプとの会議・ゴルフ三昧の後、帰国した安倍首相は6日、金正恩委員長との首脳会談について前提・条件をつけずに実現をめざす方針を表明した。4日に続いて9日に発射された「飛翔体」を米国防総省が短距離弾道弾ミサイルと断定してからも「無条件会談」のスタンスを維持している。‘17年国連総会で「必要なのは対話ではなく圧力だ」と演説したのは誰だったろうか。米朝首脳会談以降、国連人権理事会で先導してきた「北朝鮮非難決議」提案者から降りたり’19年版外交文書等で「北朝鮮への圧力を最大限まで高めていく」との表現まで削除したり、安倍政権が日朝首脳会談を模索してきたのは事実である。しかし、その企図は見え透いている。その直前の金・プーチン会談が直接的契機であることは、想像に難くない。金委員長と会談していないのは安倍だけになったのである。動機は何にせよ、米朝対話が持久戦に入った今、非核平和の朝鮮半島、東アジアにむけ、私たちには核兵器禁止条約の発動を求める国際的な運動を再活性化し、強化していくことが求められている。さらに韓国大法院判決即時履行、戦時強制労働、戦時性奴隷(「慰安婦」)への謝罪・補償を日韓民衆連帯で安倍政権に迫ろう。
それは辺野古新基地建設阻止に直結する闘いであり、象徴天皇制に対して、戦争責任を問う闘いでもある。

「むすぶ」目次(2019年4・5月号)2019/05/27 22:00

■ 今月を視る / 「新時代『令和』」礼賛であふれる日本 
米による世界規模での危機醸成、軍事挑発にNOの声を!
■ 解説 / ベネズエラで起こっている「人道危機」とは?
「裏庭」の復活狙う米国政府  事務局 豆多敏紀
■ Q & A <NO.100> / 自衛隊員募集~自治体による国への個人情報提供にNOを!(続)
■ BOOK CORNER /「私たちの決断-あの日を境に・・・」原発賠償京都訴訟団 編
                             事務局 岡本 誠              
■ 読者つうしん / お隣の国なのに 知らないことがいっぱい  大阪市 中野佳恵
■ 2019年総会・記念講演会 & おしらせ