今月を視る (「むすぶ」2022年1月号より)2022/01/28 09:46

それでも「反対する意志は1ミリもぶれない」
辺野古新基地反対の声を名護、沖縄から全国へ!

「止められる」と沖縄の市民が実感できる全国の闘いを
2022年最初の「むすぶ」で、名護、南城市長選挙の残念な結果を直視しなければならないことは、ほんとうに悲しい。
4年前の名護市長選では、「辺野古新基地建設に反対」の有権者が60%を超えていたにもかかわらず、辺野古の「へ」も語らなかった自公推薦の渡具知候補(当時)に、揺れながらも投票した人が少なくなかったと報道されている。その結果、悔しくも市政を奪われた。投票先を変えた人々の多くは、「辺野古に新基地反対に変わりはない。だが反対の市長や知事であっても国の強行は止められなかったし、これからも止められないのでは」「国がばらまく金がいかに道理のないものであったとしても、市民の暮らしに役立つものであれば許される選択ではないか」と迷いながら投票先を変えたのではないだろうか。
そして、今回、状況に大きな変化がない中で市長選を迎えた。知事や市長が「新基地建設は許さない」と声を大にしても、県民投票で反対の意思をはっきりと示しても、国は「新基地建設工事に影響はない」とうそぶき、強行を続けてきた。新基地建設には口をつぐむ渡具知市政には、年間15億円もの「基地再編交付金」をばらまき、この金で保育、給食、こども医療無料が実現できたと大宣伝してきた。こうした中、市政奪還は必ずしも容易ではない状況で「市長権限の行使や地元から基地反対の声を発信して全国に広げ、新基地建設を止める」「基地の金によってではなく、市民みんなの参加で小さい世界都市名護のまちづくりを!」と訴えて立ち上がったのが、市長候補岸本ようへいさんだ。勝利を得ることはできなかったが、勇気をもって闘い抜いた岸本ようへいさんと名護市民の闘いに、改めて敬意と共感、感謝の意を表したい。
現職が勝ったことで自民県連幹部は「辺野古問題の潮目が変わった。知事選ではもう辺野古を争点に闘うことは無理だ」(沖縄タイムス)と威勢を張る。
だが、名護、沖縄の人々の「辺野古新基地反対」の意思に変化はない。選挙期間中に地元2紙などが合同で実施した電話世論調査でも「どちらかといえば」を含め「反対」が62.1%に上り、「どちらかといえば」を含め「容認」の33.3%を大きく上回った。玉城デニー知事も「相手候補を応援した方の中にも辺野古は反対と思っている方もいる」、「反対する意志は1ミリもぶれない」と述べた。
岸本候補が「地元から基地反対の声を発信して全国に広げ、新基地建設を止める」と訴えたように、名護や沖縄だけでなく、全国に広げることが辺野古新基地を止める確実な展望だ。今回、「新基地はいらない」と思いながらも相手候補を選択せざるを得なかった名護市民にも、はっきりと実感できる「全国への広がり」が早急に求められる。この課題を真っ先に担わなければならないのは、首都圏や関西圏など中央政府の直下に住む私たちだ。あきらめない沖縄からの発信を受けとめ、自分事として自らの地域に「辺野古新基地はいらない」の声を大きく広げ、政府を包囲しよう。

「オブザーバー参加を!」の声を高めるとき
1月22日、核兵器禁止条約が発効して1年を迎えた。核兵器禁止条約に署名・批准・参加した国は86か国になった(21年12月24日現在)。日本国内で核兵器禁止条約に参加するよう求める意見書が採択された自治体議会は627議会となった(22年1月12日現在)。核兵器禁止条約への参加を求める国際世論の持続的な高まりは、核兵器保有国や「核の傘」国への強烈なプレッシャーとして作用し、保有国の行動にも確実に影響を与え始めている。米露英仏中の核保有5大国は、1月3日、核戦争や軍拡競争の防止が重要だとして「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」と確認する共同声明を発表した。再延期されたが1月4日に予定されていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議の前日の声明である。具体的行動が示されていないことなど極めて不十分であり、保有国の核軍縮サボタージュへの批判をかわすという狙いも見えるが、3月に開催予定(オーストリア・ウィーン)の核兵器禁止条約締約国会議を前に、何らかの対応を求められての「声明」であることは間違いない。日本政府は今なお締約国会議へのオブザーバー参加に否定的だ。「橋渡し役」が本気ならオブザーバー参加は絶好のチャンスであり、不可欠だ。ドイツとノルウエーは参加の意向を明らかにしている。「オブザーバー参加を!」の声を高めるときだ。

「むすぶ」目次 (2022年1月号)2022/01/28 09:47

■ 今月を視る / それでも「反対する意思は1ミリもぶれない」
辺野古新基地反対の声を名護、沖縄から全国へ!
■ OPINION / 気候正義の実現へ グローバル・サウスとともに
週刊MDS編集部 浅井健治
■ Q&A <NO.123> / 日米一体の「統合軍事基地」にされる馬毛島
■ Music Corner / 海勢頭 豊さんの歌『トゥーヌー・マーヌー』 印西市 若谷政樹                   
■ 読者つうしん /「意見書可決」からのスタート   松原市 岡部修子
■ おしらせ & 編集後記