今月を視る (「むすぶ」2023年1月号より)2023/01/17 09:11

軍事(「安保」)3文書は対中国戦争宣言
    2023年を平和と軍縮の新たなスタート年にしよう!

中国とのミサイル戦争計画
ウクライナ戦争を直視すれば現代の国家間戦争がどんなものかが分かる。それはベトナム戦争のようなジャングル戦でもなければ、イラク戦争のような都市ゲリラ戦でもない。お互いの兵士が見えないところでミサイルを撃ち合い、多くの場合住民(今回はウクライナ住民)を巻き込みながら殺傷し合う大規模戦争である。中国との間でこんなミサイル戦争を本気でやろうという計画書が、12月16日、閣議決定された改定軍事(「安保」)3文書(国家安全保障戦略/国家防衛戦略/防衛力整備計画)だ。この間、とってつけたかのように打ち出されてきた「シェルター」建設計画や「住民避難計画」はミサイル戦争の破滅的な実相を住民の目からそらすためのカモフラージュでしかない。防衛省が本当に実現したいのは自衛隊の4施設(陸自の沖縄・那覇駐屯地、与那国駐屯地、熊本・健軍駐屯地、海自の京都・舞鶴地方総監部)で司令部の地下化を実現することだ。アジア太平洋戦争で、強制連行した朝鮮人、中国人などを酷使し、日本軍大本営(司令部)を地下に作ったことと同じことを再びやろうとしているのだ。

「真に戦える自衛隊」
「真に戦える自衛隊」、3文書の全容はこの一点にあり、過去、現在の自衛隊幹部の宿願である。
河野克俊・前統合幕僚長が、3文書について本音で語る。
 真っ先に言及したのは、敵基地攻撃能力(「反撃能力」)である。『注目すべきは、やはり「反撃能力」の保有であろう。「反撃能力」という言葉を使っているが、自衛隊が初めて、敵領土への攻撃力を持つことに踏み込んだ』と高く評価。
 次に挙げたのは、『日米共同の「盾」「矛」時代へ』として「日米同盟の強化」という点だ。「そうした能力(「反撃能力」)は、ただミサイルを持つだけで満たされるものではない。米軍との緊密な連携なくしては、十分な反撃能力を保持したことにはならないのだ」と。
 『「統合司令部」の常設』が続く。「現状では、有事のたびに統合任務部隊を編成し、指揮官もそのたびに任命しなければならなかったが、常設となれば指揮官とスタッフが常態としてひざを突き合わせ、統合作戦を練る態勢を整えることで、より効果的な統合オペレーションを行えることになるだろう。」という。だが、これは戦時体制を常時敷くということを意味する。相手国から見れば戦争を構える国と対峙することになる。このリスクは効率をはるかに上回ることを忘れてはならない。
 さらに、継戦能力が強調される。「防衛費がGDP比1%という実質的な枠がはめられていた時代は、防衛力として絶対に確保しなければならない正面装備、すなわち戦車、護衛艦、潜水艦、航空機などに優先的に予算を投入する必要があった。そのため、継戦能力である弾薬、燃料、整備、修理、部品等の分野には予算が十分に回らなかった。(GDP比2%を確保することになったので)いわゆる継戦能力の分野にも今まで以上の予算を投入できることになる」と高く評価した。
 軍需産業(「防衛産業」)についても、強化する方針が盛り込まれたと評価。「産業面での問題は、利益の上がらない体質になっていることにある。利益の上がらない部門に、民間企業が資源を投入する訳がない。株主に対する説明もできない。その結果、防衛産業から撤退する企業が続出することになる。」 と現状を憂い、抜本的改革の必要性を説く。日本の軍需産業は「03年以降で100社超が撤退したという。最近では21年に住友重機械工業が機関銃の生産、20年にはダイセルが戦闘機の緊急脱出座席の部品生産を、それぞれ取りやめると表明した」(読売新聞12月30日)という実情にある。このため、政府は軍需産業に対し、工場などの製造施設国有化を含め全面的な財政支援方針を打ち出し、法案提出も視野に入れている。かつての「武器輸出三原則」を骨抜きにした現在の「防衛装備移転三原則」すらも取っ払い、武器輸出の全面解禁も狙っている。
日本と英国、イタリアの3カ国は9日、次期戦闘機を共同開発すると発表した。最新鋭ステルス戦闘機のF35など「第5世代」を超える性能を持つ戦闘機とし、3カ国以外の国への輸出も目指すとしている。日本の主力企業は、一貫して「死の商人」である三菱重工業だ。
最後に、3文書には「専守防衛」の考え方が維持されているが、これは破棄すべきだと言い切った。
3文書は戦争宣言という他ない。こんな物騒な作文を、万が一にも現実のものとさせてはならない。すでに、多分野から広範な人びとが声をあげている。軍縮を対置し闘う2023年のスタートだ!

「むすぶ」目次 (2023年1月号)2023/01/17 09:12

■ 今月を視る / 軍事(「安保」)3文書は対中国戦争宣言
2023年を平和と軍縮の新たなスタート年にしよう!
■ 報告 / 11.30院内集会「被害者が生きているうちに解決を!
今こそ謝り、つぐなうとき」 その1  共同行動事務局 矢野秀喜                                 
■ Music Corner / 海勢頭 豊さんの歌 『チルグワー』   印西市 若谷政樹
■ Book Corner /『また「沖縄が戦場になる」って本当ですか?』
           ノーモア沖縄戦・命どう宝の会 編  枚方市民の会 太田幸世
■ 読者つうしん / 隻眼の衛生兵    神戸市 岡本 誠  
■ 新年の詩『月に兔がいない』 / おしらせ