「むすぶ」目次 (2026年2月号)2026/02/16 15:36

■ 今月を視る /「戦争止めてくるわ」の声合わせ、もう一度踏み出そう!
■ オピニオン / プルトニウム生成保管・核保有に執着-高市政権の原発推進政策  
                           東京 山根昭平
■ 沖縄レポート / 不幸な分裂を乗り越え、高市戦争政権を
         反ファシズム統一戦線で倒そう  沖縄国際大元講師 西岡信之                      
■ 報告 / 自前のBDS運動 in 広島 
イスラエル協力企業への抗議行動の拡大を!  広島 日南田 成志
■ 映像あんない /『在日ミャンマー人 -わたしたちの自由-』 事務局 岡本 誠
■ 読者つうしん / 少女たちの叫び 就学を禁じられたアフガニスタン
子どもの絵画展 in 大阪   RAWAと連帯する会 桐生佳子 
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年2月号)2026/02/16 15:34

「戦争止めてくるわ」の声合わせ、もう一度踏み出そう!

「国論を二分するような改革に挑戦する」
「選挙に勝つ方法:はっきり話せ、しかし何も言うな」(英紙『タイムズ』)。衆議院選挙は自民党単独で3分の2の議席を獲得するなど改憲、軍拡勢力にフリーハンドを与えてしまう悪夢のような結果となった。
具体的内容は語らず「国論を二分するような改革に挑戦する」と謳ってきた高市。大勝後の会見で3点の重点政策を語ったが、「安全保障とインテリジェンスの強化」が本命であることは間違いない。トランプが「“力による平和”という保守的政策の実現において大きな成功を収めることを願っている」とエールを送ったように、高市政権が本当にやりたいことは、「軍事強国日本」である。

「帝国憲法」へのシナリオ
「安全保障とインテリジェンスの強化」とは何か。「安全保障の強化」とは「敵を殲滅できる軍隊」として、自衛隊を現代版「大日本帝国軍隊」にすることである。「インテリジェンスの強化」とは戦争を行うための諜報活動を合法化すること、日本版「CIA」づくり、現代版「特高警察」をつくることである。手始めとして内閣調査室 や公安調査庁を統括する「国家情報局」の創設を打ち出した。さらに現代版「治安維持法」である「スパイ防止法」がセットとして加わる。CIAや「治安維持法」がそうであるように「国家情報局」も「スパイ防止法」も「外国の諜報活動取り締まり」を口実に、国内の言論弾圧を行うことが真の目的である。
フリーハンドを得た高市政権がまず取り掛かるのは、(1)軍事費(「防衛費」)を3.5〜5%に引き上げることで「未来の軍事増税」へレールを敷く。(2)武器輸出を全面解禁して「普通」の「死の商人」国家になる。そのために、「経済成長」の柱の一つとして国内軍需産業への官民の「大胆」な投資を促す。(3)非核三原則の「見直し」(「持ち込ませず」を廃止)から将来的な「独自核武装」への道を形づくる。これらに国会審議は不要である。
法律の制定が必要なのは「スパイ防止法」と「国旗損壊罪」だが、すでに射程に入っているとみていい。並行して、選択的夫婦別姓は投げ捨てられ、外国人排除が当たり前のように行われ、原発推進を加速させる。そして、主権在民・人権第一・平和主義の日本国憲法を、国家第一の「帝国憲法」にとって変えるための国民投票を強行するというシナリオが描かれている。

運動が国会を変える
もはや国会の中ではほとんど期待が持てないことは確かだ。だが、国会の外では、やれること、やらなければならないことが山ほどある。国会のとんでもない状況を変えることができる本当の力は市民運動である。運動の力で与党の政策を変えることは可能だ。
遺骨の収集、DNA鑑定を政府の責任で行うことを求めて一貫して取り組んできた「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」などの市民運動が、長年の粘り強い取り組みによってこれまで拒み続けてきた政府、厚労省の現地調査をついに実現した(1月30日)。運動が政策や国会を変える実例の一つである。
投開票日を間近に控えた2月、SNS空間を「ママ戦争止めてくるわ」という言葉が席巻した。この言葉は瞬く間に「パパも止めてくるわ」「おじさんも止めてくるわ」に加工されたものを含め拡散され、最初の投稿の翌日にはX(旧ツイッター)のトレンド1位を記録。表示回数は数百万回に達したという。
「高市圧勝」を知って「もうこんな国出たい」とつぶやいた青年もいる。彼は3歳の男の子を育てる30代の父親である。「この子が徴兵されて戦争にいくなんて耐えられない」という。彼は、自分で探したガザで殺された小さな子の動画を私に見せながら、自分の子と重ね涙した。「自分で考えようとしない」若者ばかりではない。事実に向き合おうとする若い人も少なくないはずだ。
もう一度、一からのつもりで、草の根の運動に取り組み、広げよう。

「むすぶ」目次 (2026年1月号)2026/01/19 06:43

■ 今月を視る / 弱肉強食の野蛮な社会を拒否する市民の声と行動を!
■ アピール / 東大阪市・大阪市の中学校で「自衛隊職場体験」多数実施  
       学校に再考を迫る運動スタート  大阪市立中学校元教員 松田幹夫
■ 沖縄レポート /「二度と戦場にしないで」県内新聞・声欄の沈痛な訴え
         今こそ武力なき平和を    沖縄国際大元講師 西岡信之                      
■ 読者つうしん / 金儲けしか考えない介護事業所“ビーナス” 
さかいユニオン 美佐田 和之
■ 読者つうしん / 平和な社会を近所から、粘り強い運動で  富田林市 中條千尋 
■ Information / 2025年会計報告 / Editorial Peace Note

今月を視る (「むすぶ」2026年1月号)2026/01/19 06:41

弱肉強食の野蛮な社会を拒否する市民の声と行動を!

周到に準備、計画されたベネズエラ侵攻
年明けから耳を疑うようなことが起こされた。1月3日、トランプの命令で米軍がベネズエラの首都カラカスなどに大規模に空爆などの攻撃をかけ、「電撃的な地上侵攻」によってマドゥロ大統領夫妻を拘束・拉致し、ニューヨークに連行した。この攻撃で、約半数に上る民間人含め100人以上のベネズエラ側の人々が殺された。すでにトランプ政権は9月以降、ベネズエラ周辺で「麻薬運搬船」と勝手に決めつけた船に対する攻撃を繰り返して120人以上を殺害してきた。民間機に偽装して攻撃する国際法違反、戦争犯罪のケースも暴露されている。今回の攻撃は何カ月も周到に準備、計画されたものだと言われる。「反体制派指導者」マリア・コリナ・マチャド(彼女は米軍の介入を叫び、イスラエル支持を公言する)のノーベル平和賞受賞も米トランプ政権の暗躍の結果との疑念も「周到な準備」の一つだろう。
CIA(米中央情報局)などを使って資金をばらまき、対政府批判活動の組織化やスパイ工作も大規模に展開されたことは容易に想像できる。大統領警護支援に派遣されていたキューバの戦闘員がほぼ皆殺しにされたのも、警護隊や軍の一部が買収されていたとの疑いもある。いずれにせよ、今回の侵攻作戦は最初から最後まで謀略そのものであり、国際法違反、戦争犯罪の蛮行である。

中南米での米国による血塗られた歴史
トランプは、ベネズエラの土地も埋蔵量世界一といわれる石油も「開発したのは米国であり、もともと米国のものだ」と当たり前のように言う。ベネズエラでは長年、こうした米国資本とそれに結託した国内の大金持ち勢力が富を独占し、大多数の民衆が貧困に苦しめられてきた。そうした極端な貧富の格差をなくし、石油をはじめとした社会的な富を貧困にあえぐ民衆に取り戻そうと改革を目指す反米左派政府を誕生させた。20数年前から今日に至っている。キューバ革命以来、中南米諸国では同様の改革が多くの国、地域ですすめられた。米国は、利権を失うことを恐れ、嫌い、これら反米左派政権に対しては経済制裁などを通じて経済を混乱させ、社会不安を煽り、時にはクーデターを起こさせ、時には、「低強度紛争」と呼ばれる軍事戦略で内戦を起こさせ社会改革をつぶし、体制の転覆を繰り返してきた。
1954年、米国が画策したクーデターにより、土地改革を進めていたグアテマラのアルベンス政権が崩壊。61年には、CIAが支援した亡命キューバ人部隊がカストロ政権の転覆を試みた「ピッグス湾事件」が発生。70年代以降は左派勢力の台頭を阻止する名目で、アルゼンチンやチリなどで軍事クーデターを起こさせ軍事独裁政権を擁立した。81年、レーガン政権はニカラグアに左派政権が誕生すると、軍事介入。エルサルバドル内戦でも軍事支援を行い、左翼ゲリラの封じ込めを図った。83年のグレナダ侵攻では、東カリブ海諸国軍を従えた米軍部隊が上陸し、短期間で反米政権を崩壊させた。89年、ブッシュ(父)政権はパナマに侵攻し、(米国が麻薬取引の罪で起訴した)最高実力者ノリエガ将軍(米国が育てたとされる)を拘束し、失脚に追い込んだ。
これらいずれの米軍侵攻の背景には、自ら「米国の裏庭」と位置づける中南米での石油やパナマ運河の権益など米国を拠点とする多国籍企業(グローバル資本)の利権を維持する狙いがあったことは明らかである。これらの蛮行に対して、国連総会などで「国際法の著しい違反」と非難する決議を可決したが、米国は、今回のトランプのように口にはしなかったが「国際法は必要ない」という態度に終始してきた。
「第2のキューバ」を阻止し、今やほとんど左派政権となっている状態にくさびを打ち込むこむことが、石油以上に大きな狙いと言える。中南米だけではない。「大量破壊兵器を保有している」(デタラメであったことが後に判明)ことを口実に大規模に軍事介入したイラク戦争は記憶に新しい。そして今また、イランに対する軍事介入を窺っている。
トランプ政権や多国籍企業のこんな好き勝手な振舞いをこのまま放置すれば、世界と「99%」の人々は弱肉強食の野蛮な時代に引き戻される。トランプのこのギャングでしかない強欲な野望と野蛮な行いに反対の声をあげ行動することが緊急に求められている。この当たり前の行動に背を向け、トランプ政権の野蛮な行動に明確に反対しないことは、加担でしかない。プーチンのウクライナへの軍事侵攻や中国の台湾への「圧力」を「力による現状変更」として威勢よく非難してきたものの多くが、トランプのこの行いには黙っている。中には「『力による現状変更』そのもので、中露を非難する論拠と矛盾する」(小野寺五典・安全保障調査会長)と発言するものはいるが、高市首相は「在ベネズエラ日本人の安全確保」を言うだけで黙ったままだ。

「死の商人」国家へまっしぐらの高市政権
その高市政権が、1月23日召集の通常国会冒頭で衆院解散を宣言し、総選挙実施の挙に打って出る意向を示した。「支持率が高い」うちに不安定さを突破しようという党利党略そのものである。高市政権の「成長戦略」の一つは「防衛産業」(武器商売)の成長、拡充である。それを梃に「日本経済を成長させる」というもの、つまり「死の商人」国家づくりである。
与党時代の公明党斉藤鉄夫代表は「死の商人化だけは避けなければいけない」と言ったが、現在の高市政権にとって「死の商人」はそれほど忌み嫌うものではないらしい。それどころか「防衛産業」(軍需産業)こそ「日本経済成長の要」と言って憚らない。
 日本の軍需企業の筆頭は三菱重工や川崎重工だ。防衛省によると24年度の調達品契約実績は、三菱重工が1兆4567億円、川崎重工が6383億円。武器輸出の完全自由化が未だの日本でこの売り上げ実績は相当なものだ。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が今年発表したデーターによれば、24年度の軍事関連販売額のトップ10は、ロッキード・マーチン(米国)を筆頭にBAEシステムズ(英国・4位)、ロステック(露・7位)、中国航空工業集団(8位)、中国電子科技集団(9位)と続く中(他はすべて米国企業)、三菱重工が32位、川崎重工が55位、富士通が64位、三菱電機が76位、NECが83位と百傑入りした。
 つい最近までは大ぴらに営業できなかった「死の商人」たちが、大手を振るうようになった。家電や自動車よりも消耗、消費の激しい兵器の方が儲かるのだ。しかも軍需産業のすそ野は広い。国内では、上記以外に、東芝、IHI(旧石川島播磨)、SUBARU、日立、沖電気、コマツ、ダイキン、ENEOS、出光興産など、多種、多様な業界が群がっている。
 これら日本の軍需業界はさらなる高みを目指す。世界のトップ10はともかく、ドイツなどのヨーロッパの兵器輸出国や最近ポーランドと147億6000万ドル(約2兆470億円)の兵器輸出契約を締結した韓国を意識して、「追いつけ追い越せ」の勢いである。すでに政府は、「防衛費」を国内総生産(GDP)比2%に増額する数値目標を2年早める「前倒し」で、2025年度の「防衛費」と関連費の総額が約11兆円になる補正予算を成立させた。次の一手は「防衛装備移転」の大幅緩和に踏み込んだ5類型(救難、輸送、警戒、監視、掃海に限定)の撤廃だ。5類型が撤廃されれば販路は海外に広がる。すでにオーストラリアなどいくつかの国との間で武器完成品や受注や新たなステルス戦闘機の共同開発を進めている。これら、すでに決まっている武器輸出をスムーズに進め、販路を拡大するために、あっという間に「5類型」も投げ捨てる。また、ウクライナへの武器輸出を念頭に紛争中の国への輸出を禁ずる「3原則」の見直しも口にしだした。中国との軍事を含む緊張激化が止まらない。否、止めようとしない。この緊張状態でこそ武器商売にとって増殖できるもっとも都合の良い環境だからだ。
 死の商人が大手を振るう社会であっていいのか。日本に住む市民の一人ひとりに、問い続けなければならない。総選挙の結果がどうであれ、弱肉強食の野蛮な社会を拒否する市民の声と行動を、間断なく続けよう。ニューヨーク市長選が示したように、『時には「善き者」が勝つ』のだから。

「むすぶ」目次(2025年11・12月号)2025/12/02 08:52

■ 今月を視る / 高市「台湾有事」発言は、「どう考えても」戦争挑発発言だ!
■ アピール / 日韓政府共同でDNA鑑定を実現させたい
GUNGUN裁判の要求実現を支援する会 古川雅基       
■ 沖縄レポート / 最優先課題はPFAS(有機フッ素化合物)汚染除去
元沖縄国際大講師 西岡信之 
■ 図書あんない /『核のゴミと福井の未来を考えよう!』  事務局 岡本 誠 
■ 読者つうしん / 横浜の山下ふ頭再開発を市民の手で    横浜市 高畑宅二                    
■ 読者つうしん / クマ騒動・再野生化の時代    長野県大鹿村 北川誠康 
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2025年11・12月号)2025/12/02 08:51

高市「台湾有事」発言は、「どう考えても」戦争挑発発言だ!

安倍戦争法体制を継承
高市政権は安倍政権が2015年強行成立させた戦争法=「安保法制」(「集団的自衛権」行使など)の実動化をねらう好戦的で危険な政権である。早速、その好戦ぶりを国会で打ち出した。11月7日の衆院予算委員会で高市首相は中国による台湾の海上封鎖が発生した場合、「戦艦を使って武力行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と答弁した。
この答弁の何が重大なのか。事の本質が見えない(見せない)まま、世論が混乱しているように見える。額面どおりではないとしても、新聞等の世論調査で高市政権が高い支持率を維持していること(全体65%、18~29歳74%、30代76%など、<若年層ほど高い支持率>11/24毎日新聞)、「存立危機事態になり得る」答弁にしても「問題があった」としたのは25%にとどまり、「問題があったとは思わない」が50%と大きく上回ったことが、世論の混乱ぶりを反映している。

キーは米軍の軍事介入
だが、実は「台湾有事」をめぐる論点はシンプルである。他国(他地域)で起こった紛争(武力含めて)に武力介入していいのかどうかという問題である。しかも、「台湾有事」をめぐっては米軍の武力介入を前提としているが、米軍の武力介入が許されるのか否かという問題である。米軍の武力介入がなければ、中国が、沖縄、南西諸島はもちろん日本全国に武力行使をする理由は一切ない。「台湾有事」をめぐる問題のキーは米軍の軍事介入であることを忘れてはならない。
高市発言は「中国軍による台湾への海上封鎖」-「米軍が武力介入」-「中国軍による米軍への武力行使」-「集団的自衛権の行使名目による自衛隊参戦」を想定するが、平和と基本的人権の尊重を基調とする日本国憲法を持つ日本がとるべき道は、第一に、中国政府と台湾当局が武力事態に至ることのないよう慎重かつ細やかな外交努力を積み重ねることである。第二に、もし、仮に武力事態に至るようなことがあれば、直ちに武力衝突を停止させるために動き、最大限の外交努力を行うことである。間違っても、武力介入を行わないことである。第三に、「台湾」と中国政府との関係は、住民の自己決定権に基づき話し合いで平和的に解決されなければならないという原則を堅持して対応すべきである。「一つの中国」を認めながら、台湾の「独立」や中国政府との対立を煽るような政治介入は欺瞞そのものであり、国際社会に通用しない。実際、台湾現地では「独立派」が絶対多数ではないし、「現状維持派」との間で拮抗状態にあると報道されている。第四に、軍拡競争に加わることの愚を知ることである。多くの商業メディアは一方的に「中国の軍備増強の脅威」を枕詞のように使うが、相手から見れば、日本の軍備増強や共同演習の強行は威圧であり、脅威であるという視点も忘れてはならない。

「戦争か平和か」「軍拡か軍縮か」
高市首相の「どう考えても存立危機事態になり得る」答弁は、「どう考えても」危険で有害である。高市首相は中国の圧力によってではなく、東アジアの平和を求める全ての声に従って発言を撤回すべきである。そして、軍拡競争から脱し、軍縮に舵を切るべきだ。それができないなら辞任するしかない。
「立民は首相の答弁に『危険性を感じた』として撤回を求めている。だが、しつこく首相に見解をただしたのは立民自身だ。答弁を迫った上で、答弁したら撤回を迫るとは、何が目的なのか」(読売新聞社説)と、高市政権の軍拡政策を追及批判した野党側に攻撃の矛先を向けさせる本末転倒の世論操作に手を貸すメディアも少なくないが、今こそ、武力衝突の回避に全力を尽くすことこそ、政治の最大の使命であり、その使命に背く高市政権を徹底的に追及することが求められる。
「戦争か平和か」、「軍拡か軍縮か」。高市首相の「存立危機事態」答弁をめぐるこのシンプルな論点を鋭く押し出し、広めよう。

「むすぶ」目次(2025年10月号)2025/10/21 06:07

■ 今月を視る / 停戦は、ジェノサイドを終わらせるための最も重要な第一歩
■ オピニオン / 与那国町長選「小さな島の大きな変化」に思うこと 東京 矢野秀喜
■ ドキュメンタリー / 長生炭鉱-ついにご遺骨発見、収集!
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 上田慶司
■ 沖縄レポート / 謀られた宮古島での陰謀     元沖縄国際大講師 西岡信之
■ 映像あんない / 小説『宝島』と映画『宝島』 真藤順丈 作   事務局 豆多敏紀
■ 読者つうしん / 自衛隊を災害救助隊に!   堺市 堤 淳雄
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2025年10月号2025/10/21 06:05

停戦は、ジェノサイドを終わらせるための最も重要な第一歩

原発・軍拡推進の「連立」は許せない
 安倍政治の継承者であり、極右政治家である高市早苗が自民党総裁に選ばれた。公明党が連立解消に踏み切る中、新たな連立をめぐる「政権枠組み協議」なる取引が目まぐるしく行われている。国民民主の玉木代表が言うとおり「基本政策(安保軍事、原発、憲法認識)においては、自民党に近い」国民民主や維新はまぎれもない右派政党である。立憲、民主、維新3党による「政権交代」も「立憲とは基本政策にかなりの隔たりがある」(国民民主・玉木代表)と早くも頓挫の状況だ。自民党との「連立」が維新であれ、国民民主であれ、原発、軍拡推進に変わりなく、到底容認できないものだ。権力の「椅子取りゲーム」にしか興味のない連中は、退陣を余儀なくされた石破首相が意地で出した「戦後80年所感」(歴史認識には全く踏み込まず、「抑止論を否定する立場には立ちえない」など不十分そのものだが、斉藤隆議員の「反軍演説」や「総力戦研究所」が出した「敗戦必死」の研究結果にもかかわらず、「なぜあの戦争を避けることができなかったのか」と問うている)には見向きもしない。世界や国連でパレスチナ虐殺を止め、和平合意を守り、どう発展させるかが論議されているのに、興味すら示さない。「連立」政権がどんな形にせよ、脱原発、軍拡ストップの基本政策を軸に社会保障、賃上げをはじめとした市民の生活改善を求める運動を現場から積み上げていく運動を強めるときである。

停戦を守り、恒久停戦へ ― ここからが闘い
 パレスチナ・ガザの和平計画の「第1段階」となる戦闘停止と人質解放等について合意が成立し10月10日、正式発効した。一刻も早くガザ住民虐殺が止まることを願ってきた世界の大多数の人々にとって、戦闘停止は深い安堵と喜びをもたらした。トランプ主導の「和平計画」がいくつもの重大な問題点を孕んでいる。トランプやネタニヤフの狙いは邪悪であることは間違いないが、今大事なことは、世界中の願いと運動が押し上げた今日の停戦を守り、恒久停戦、恒久平和へ発展させることだ。
 これまでも停戦破りを繰り返してきたイスラエルが、早速停戦破棄の口実探しに動き出した。すでにハマスは人質の生存者20人全員を解放し、イスラエルは拘束しているパレスチナ人2000人近くを釈放した。しかし、イスラエルは「いちゃもん」でしかない無理難題を押しつけている。人質28人の「遺体引き渡しが遅い」という理由で、ガザ境界のすべての検問所を制限し、人道援助の流入を半減させるという暴挙を強行している。白旗を掲げて救出を求めた人質がイスラエル軍に射殺された他、死亡した人質の多くは、ガザ住民もろともイスラエル軍の空爆、攻撃によって殺されたものと思われる。ガザ保健省の発表によれば、確認された死亡者は6万7千人を超え、今なお多くの犠牲者が瓦礫などに埋まったままで、死亡者は大幅に増える可能性が高い。ガザ住民もろとも自国民である人質を無慈悲に殺し、瓦礫に埋もれたままにしている非道で無責任な行為には頬かむりしたまま、人質遺体の「引き渡し遅れ」をハマスの合意違反とこじつけ、攻撃再開の機会を伺うというイスラエルの理不尽な態度を許してはならない。
さらに驚くべきは、イスラエルから引き渡された90体のパレスチナ人の遺体の多くに、拷問の痕が残っていると報じられたことだ。「セル病院の法医学チームは、遺体を調べた結果、身体的暴行を示唆する痕があると説明した。中には足かせを付けられたり、首にロープを巻き付けられたりした状態で搬送されてきた遺体もあったという」(CNN)。イスラエルの戦争犯罪は膨大であり、停戦合意は、戦争犯罪を免罪するものではない。
「停戦は、不法に占領され包囲されているガザ地区における230万人のパレスチナ人に対するジェノサイドを終わらせるための最も重要な第一歩」(BDS全国委員会)である。新たな闘いに合流しよう。

「むすぶ」目次(2025年9月号)2025/09/23 15:13

■ 今月を視る / 大量虐殺を止める闘いは世界中の平和に生きる権利を求める闘い
■ 解説 / 日韓首脳会談-問われているのは日本側の対応 強制連行・全国ネット 矢野秀喜
■ 沖縄レポート / 現場は抗い続ける 前のめりの日米政府の戦争準備を止めよう!
          元沖縄国際大学非常勤講師 西岡信之                     
■ オピニオン / 原子力、未来を奪うエネルギー  ZENKO関電前プロジェクト 八木浩一 
■ 映像あんない / 「木の上の軍隊」 監督・脚本 平 一紘  事務局 豆多敏紀
■ 読者つうしん / 音楽は人を励ます Swing MASAさんとともに  SDCC 松島洋介
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2025年9月号)2025/09/23 15:12

大量虐殺を止める闘いは世界中の平和に生きる権利を求める闘い

今すぐ、パレスチナ国家承認を
イスラエルがジェノサイド(大量虐殺)を止めない。国連の諸機関、加盟国の大多数が非難と即時停戦要求を繰り返しても、さらに、当初は「イスラエルの自衛権」を容認していた英仏などG7の西側大国が次々とパレスチナ国家承認を表明する中にあっても、イスラエル政府は、「反ユダヤ主義」と「ハマスを利するだけの愚かな決定」と徹底的に無視。そんな不遜な態度を続けられるのは、世界の暴君である米トランプ政権がネタニヤフ政権の「後ろ盾」を続けているからである。とはいえ、この両者は確実に孤立し、追い詰められている。さらなる、批判の広がりが求められるが、日本政府は、ニューヨークで開かれるパレスチナに関する首脳級会合で、パレスチナの国家承認表明(すでに150カ国が国家承認)を行わない方針を固めたと報道されている。米政府から「イスラエルを硬化させて逆効果となる」と説得されたという。こんな奇妙な理屈はありえない。「逆効果」というなら、イスラエルを「軟化」させ、ジェノサイドを止めさせる効果的な方策を示せと問わねばならない。それも示さず、パレスチナ国家承認を今行わないのは、ジェノサイドへの加担でしかない。「将来」ではなく、今すぐ、「パレスチナ国家承認を行え」の声を政府にぶつけ、要求しよう。

露骨なICCつぶしの攻撃
ネタニヤフとトランプにとって最大の邪魔者は「法の支配」に基づく戦後の国際秩序であり、国際法に基づいて戦争犯罪者を裁くICC(国際刑事裁判所)である。ICCは昨年11月、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相に戦争犯罪者として逮捕状を発付したが、それに対する報復としてトランプ政権がICCつぶしの本格的な攻撃をしかけている。日本の検事出身で、初のICC所長となった赤根智子さんが6月に出版した著書(「戦争犯罪と闘う 国際刑事裁判所は屈しない」文春新書)で、その攻撃の凄まじい実態を知らせ、「世界中のすべての国に対して、ICCを擁護するために団結してほしい」と訴えている。ロシアのプーチン大統領によって、赤根所長を含む検察局のカーン主任検察官ら職員の何人かはロシア国内での逮捕状が発付されたが、トランプ政権の攻撃はその比ではない。
今年2月6日、トランプ大統領は、ICCへの制裁(特に職員や関係者への制裁)を可能にする大統領令に署名した。ICCの全職員員に対して、アメリカ国内の資産凍結、アメリカへの渡航禁止、アメリ企業との取引禁止を科すことができるだけでなく、近親者、代理人ICCの捜査に協力した者、制裁対象者に商品やサービスを提供した者にまで何らかの制裁を加えることを視野に入れた規定になっている。
「ICCそのものが制裁対象になった場合、世界中のあらゆる銀行や企業がICCとの取引をストップさせる可能性があり、職員に給料が払えなくなり、組織のあらゆる機能がマヒするかもしれない。ウクライナやアフリカに設置している捜査や公判のための事務所にも送金できなくなる。ICCのITCシステムはアメリカ企業によるものだから、これが維持できなくなり、電子データーの保管にも問題が生じかねない。
そうなれば、武装組織などから危害を加えられないようICCで保護している被害者や証人たちの個人情報が洩れ、彼ら・彼女たちの安全を確保できない心配。裁判自体に支障が出るようなことがあれば、拘束している被疑者や受刑者を釈放せざるを得なくなるかもしれない。過去に出した逮捕状も、実質的に意味のないものになる。もはやICCはつぶされたも同然になる。」と、赤根所長は危機感を募らせている。

誰もが、平和に生きる権利を持っている
ICCに象徴される「法の支配」を力づくでねじ伏せようとするトランプ政権。「世界中のすべての国に対して、ICCを擁護するために団結してほしい」との訴えに、世界の隅々から市民が自国政府に正しい選択を迫る闘いで応えよう。
ネタニヤフ政権とトランプ政権の暴虐に怒り、即時停戦を求める世界中の声は、反イスラエルでもなく、親パレスチナでもない。根源にあるのは、誰もが、平和に生きる権利を持っていることへの共感であり、それが今日世界の常識だという信念である。その権利を奪われた人々とともに前進しよう。