「むすぶ」目次(2026年7・8月号)2026/08/04 08:50

■ 今月を視る / 世界とともにICCを守り、強化する声を高めよう!
■ オピニオン / 地域、自治体のみこむ「戦う自衛隊」   事務局 豆多敏紀
■ 報告 / 事故に真摯に向き合い、活動再開へ一歩踏み出す 
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 上田慶司
■ 沖縄レポート / 戦争準備でなく、平和外交すすめる玉城デニー県政の継続を
元沖縄国際大講師 西岡信之  
■ 図書あんない /『百年の挽歌 原発、戦争、美しい村』 青木 理 著  事務局 湯川 恭                   
■ 読者つうしん / スポーツは、やるのも観るのも、個人のもの  藤枝市 岩倉一郎 
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年7・8月号)2026/08/04 08:48

世界とともにICCを守り、強化する声を高めよう!

弾・ミサイル尽きる?
トランプ大統領は「イランが米兵1人を殺すたびに、その代償を何倍にもして払わせる」とギャングややくざそのもののセリフを口にし、7月7日から2週間にわたりイランに対して大規模攻撃を繰り返した。これは、一方的に「停戦覚書」を破壊する暴挙だ。だが、政権転覆やイランの屈服は全く実現せず、先が見えない状況に陥り、焦りが色濃くなっている。
 トランプが7月24日、米軍に対イラン攻撃の一時中止を命じたと報じられた。米中央軍のクーパー司令官もイランへの攻撃について、ホワイトハウスなどに停止を進言したと報じられている。「一連の攻撃で設定した空爆目標をほぼ破壊するなど成果があったとした一方で、本格的な戦闘に回帰すると決めないまま攻撃を続けても効果は限定的だ」と指摘したという。要は、これ以上攻撃しても意味がなく、無駄に弾薬等を使うだけだと言っているのだ。ニューヨーク・タイムズもトランプ政権が、防空システム「パトリオット」用ミサイルの枯渇を懸念し、当面の間攻撃を停止すると報じている。さすがの軍事強国米国でも、「弾」が尽きるほど無法、無謀な攻撃を繰り返したということだ。
トランプ政権の戦争犯罪は許さない
 米軍の戦争による成果はどうでもいいが、世界がその戦争犯罪を許すことは決してない。国連総会(193カ国)は24日、10月で任期満了となるターク人権高等弁務官を賛成多数で再任した。1993年の創設以来、再任決定は初めてで、今年末で任期満了を迎えるグテレス事務総長がターク氏の再任を提案していた。ターク氏は、ウクライナ侵攻を続けるロシアや、パレスチナ自治区ガザで大勢の市民殺害しているイスラエルを強く非難。米国に対しても、米移民税関捜査局(ICE)の拘束施設での移民が死事例の調査を要求していた。米国やイスラエル、ロシアが強く反対したが、日本や欧州各国、中国を含む144カ国は賛成した。米国はターク氏が再任されたら「(国連への)拠出金を即座に再考する」と警告したが、反対は10カ国にとどまった。米国やイスラエル、ロシアなどの戦争国家は完全に孤立し、異常さを際立たせている。逆に、世界は、今なお「戦争犯罪は許さない」意志を堅持している。
凶暴さ増すトランプ政権
米国のルビオ国務長官は、13日配信の米紙への寄稿で、「我々が持つすべての手段を用いて、国際刑事裁判所(ICC)を解体する」と主張した。国務省も、「ICCは、米国の国益のために働いている米国の軍人や官僚を起訴し、収監する権限があるとしている」、「ICCの脅威を取り除くためには、どんな外交手段も除外しない」と声明。さらに、同盟国にも働きかけてその脅威を取り除くことに着手すると表明した。焦りと孤立がセットになれば、凶暴さを増すのは通常の成り行きだ。
『「法の支配」をこれ以上後退させないためにも、ICCを守らねばならない。特に日本は最大の分担金拠出国で、赤根智子氏が所長を務めている。責任は重い。政府が米国の主張を「懸念を持って注視している」と表明しただけでは不十分だ。トランプ政権への配慮があるにせよ、これでは日本が掲げる「法の支配」重視の外交姿勢に疑問を与えかねない。日本は米国に翻意を促し、ICC支持を改めて示すべきだ』(7/23読売社説)。ICCを守り強化を訴える声は、世界の大多数の声である。恐れず立ち向おう。
市民生活の苦境に関心を示さない極右政権
 高市、吉村の極悪コンビの所業もトランプと大して変わらない。悪法を成立させるために8日間延長し、事実上7月25日に閉幕した第221回国会は史上最悪と言っていい酷い国会であった。
物価高など悪化する一方の市民生活改善の諸課題はそっちのけで、自分たちの特異な極右思想を体現するための法律作りに狂奔した。皇室典範等改正法、国旗損壊罪法、改正国民投票法、副首都法は、戦争国家づくりの悪法そのものである。あまりの強引さと露骨さに、さすがの「高市人気」にも陰りが見え始めた。時事通信の調査では49%と政権発足後の最低を記録し、毎日新聞の調査では不支持率44%が支持率41%を上回った。どの社でも支持率は約10ポイント程度下落しており、傾向に変わりはない。「ようやく」と見るべきか、「それでも」と見るべきかはともかく、今後の動向は、私たちの諦めない持続した取組み、闘いにかかっている。
「もういい加減にしろ」、「直ちに退場しろ」。この気持ちと声を多様な行動で示そう。

「むすぶ」目次(2026年6月号)2026/06/22 16:06

■ 今月を視る / 米・イラン戦争の停戦から中東の平和・安定構築へ前進を!
■ オピニオン/ ホルムズ危機は、再エネへのシフトチェンジの絶好の機会
                                東京 山根昭平
■ アピール / 京都訴訟をご支援下さったみなさまへ   支援する会 奥森祥陽
■ 沖縄レポート / 沖縄から国旗損壊罪を考える  沖縄国際大元講師 西岡信之                     
■ 映像あんない / 台湾映画『霧のごとく』 チェン・ユーシュン監督 堺市 松永直子
■ 読者つうしん / 再開発という「まち壊し」 やさしいまちをつくる会きたく 辻 俊介
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年6月号)2026/06/22 16:05

米・イラン戦争の停戦から中東の平和・安定構築へ前進を!

ようやくの停戦
 「もうこれ以上関わっても大きな得はない」。トランプ大統領の本音がそこにあることが透けて見えるこの間の動きであった。6月16日を前後して、米イラン両政府が戦闘終結に向けた覚書に合意し、署名するとそれぞれ発表した。ようやくにである。ホルムズ海峡問題や核開発問題などは60日程度の間に協議が行われるとのこと。先往きはなお不安定との情報が多いが、しばらくは少なくとも大規模な住民虐殺が止まる。これは何よりも歓迎されるべきことである。
 だが、ありもしない「差し迫った脅威」を口実に、一方的に、しかも停戦協議中に大規模攻撃を行ったトランプとネタニヤフの国際法違反の犯罪行為は決して「無かったこと」にしていい問題ではない。
イラン側の死者は小学校爆撃事件を含め3千人以上、イスラエルは「ヒズボラ殲滅」を叫んでレバノンに侵攻し、3700人以上を虐殺した。いずれの犠牲者もガザと同様に武器を持たない子供を含む住民が大半であった。今後の協議では、これらの人的、経済的被害の回復、正当な補償に加えて、再び今回の戦争のような無法を繰り返させない保障が国際監視のもと話し合われることが求められる。
 イスラエルは覚書合意発表前、レバノンを空爆し、停戦妨害の挙に出たが、イスラエルが、今後も停戦妨害の挑発を繰り返すことも予想できる。ネタニヤフは自らの汚職裁判を引き延ばし、政権を維持するためには、戦争を続ける以外ないからだ。
トランプは失敗した
 イランへの攻撃で体制転覆、中東支配権を強くしたいというのがトランプの本当の狙いであったが、それに失敗し、得るものがなくなったイランから早く手を引きたいと考えたトランプにとって、自分の意向に従わないイスラエルのこの間の動きは、目に余るものになっていた。
 トランプの苛立ちがついに爆発。トランプ米大統領がネタニヤフ首相との電話協議で、「今や誰もがお前を嫌っている」「完全に狂っている」など、ネタニヤフを罵倒したことが報じられた。さらに「俺がいなければ、お前は刑務所に入っていた」と強い不満をあらわにしたとも。
 ネタニヤフは、収賄や背任などの罪で2019年に起訴され公判中。トランプがイスラエルの司法に圧力をかけたのは事実で、米国の庇護がなければ、パレスチナでの蛮行などイスラエルの無法はここまでひどいものにはならなかったのだ。
世界は終わってなんかいない
米国とイスラエルの無法がまかり通っている現状を見て、「世界は終わっている」と感じてしまう人も多い。だが、「世界は終わっていない」と思えるニュースもある。国連安全保障理事会(15カ国)の非常任理事国のうち5カ国を選ぶ選挙が6月3日、国連総会で行われ、ドイツが敗れる波乱があった。 非常任理事国は地域ごとに選出され、西欧その他枠(2カ国)では、ドイツとオーストリア、ポルトガルが立候補。結果はポルトガルとオーストリアが選ばれ、ドイツが落選となった。欧州で国連分担金を最も支払い、安保理の常任理事国入りも狙っているドイツにとって、「異例」の敗北となったという。
敗因の一つに、パレスチナ・ガザへの攻撃で、国際法違反が指摘されるイスラエルを正しく批判しなかったことが、他の欧州諸国からの信頼を失っていたとのこと。ヨーロッパを含む世界の大多数は、米国、イスラエルの行いに一つの正当性もないとみているということだ。不正義を容認する国は、圧倒的に少数派だ。
高市政権の一日も早い崩壊めざして
日本も、米国、イスラエルの無法に口をつぐみ、まともな批判をしない圧倒的少数派の一員でしかない。国際社会で繰り返される無法行為に口をつぐむだけでなく、陰でイスラエルと武器取引を行うなど、無法行為の加担を行っている。日本社会をあらゆる領域で徹底的に軍事化し、ついには、憲法9条の破壊に向けて改憲への道を整備する「国民投票改正案」を可決させた。「公職選挙法に規定をそろえるだけ」だというが、公職選挙(国政選挙や自治体選挙)並みに、改憲のハードルを下げるという危険な狙いを覆い隠した暴挙だ。
 個人の「人権と平和」最優先の社会ではなく、「国家と力」が最優先の社会へと一目散の高市政権の一日も早い崩壊に、あらゆる努力を集中して取り組まなければならない。

「むすぶ」目次(2026年5月号)2026/05/17 22:01

■ 今月を視る /「自衛隊明記」の改憲を阻止する取組みをあらゆる領域で!
■ 報告 / 結成から1年「東大阪でヘイト問題を考える会」 東大阪市 桐生隆文
■ 沖縄レポート / 沖縄恨之(ハンノ)碑(ヒ)建立から20年 読谷村でシンポジウムと追悼会
                     沖縄国際大元講師 西岡信之 
■ 映像あんない / 映画『医の倫理と戦争』 山本草介監督  堺市 桐生一章
■ 読者つうしん / 米大リーグ人気と「いまいち」人気の日本プロ野球
      事務局 豆多敏紀
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年5月号)2026/05/17 21:59

「自衛隊明記」の改憲を阻止する取組みをあらゆる領域で!

改憲発議へスピード・アップ
「時は来た。改憲に向け総力を挙げ、国会で議論を進める。発議に何とか目途が立ったと言える状態で、来年の党大会を迎えたい」。高市首相は、4月12日の自民党大会で改憲への意気込みをこうぶち上げた。ゴールデン・ウイーク中には、小泉防衛相とともに、アジア太平洋地域の国々をそれぞれ歴訪(高市はベトナム、オーストラリア、小泉はインドネシア、フィリピン)し、中国に対抗する軍事的連携強化と、武器供与、売り込みの「トップセールス」を精力的に行った。この歴訪に向けて、政府は、すでに4月21日の閣議と国家安全保障会議(NSC)で、武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定。完成品輸出を非戦闘目的に限る「5類型」を撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出をほぼ全面解禁。「死の商人」国家たることを堂々と宣言している。そして、この歴訪で、フィリピンに海自の中古護衛艦(駆逐艦)を武器輸出解禁第一号として供与することを発表した。
さらに、高市首相は憲法記念日の5月3日、改憲派の集会にビデオメッセージを寄せ、「議論のための議論であってはなりません。私たち政治家が国民の皆様の負託に応えるために行うべきなのは、決断のための議論です」、「憲法は、時代の要請に合わせて本来、定期的な更新が図られるべきだ」など、いつものとおり何の根拠も示さず、説明もなしにさらりと改憲に向けてスピード・アップすることを訴えた。「決断のための議論」とは、条文の改変で社会や市民の生活がどう変わるのかという具体的論議はもはや必要ではなく、どの条文をいつ変えるのかの論議だけでよいということだ。いわば改憲そのものを目的とする論議でよいと言っているに等しい。すでに、高市は来年春までに改憲発議の目途を立てたいと明言し、国会での「決断に向けた議論」のスピード・アップを求めている。
改憲派の集会には、改憲へのアクセル役を自認する日本維新の会の議員や、野党から国民民主党の玉木代表らも出席し、与野党一体となった改憲布陣を整えようとしている。
現状では、「どの条文をいつ」については一様ではないらしい。自民党は9条の1項・2項を維持しつつ自衛隊を明記する案を掲げるが、日本維新の会は9条2項削除と「国防軍」明記を主張。国民民主党は緊急事態条項や合区解消を優先課題とし、参政党は国際情勢を踏まえた改憲(国益や反グローバリズムの観点から一つひとつ判断)を支持するとしている。
何を優先すべきかの多少の違いはあるにせよ、これら改憲派は「9条」の改変と「改憲そのもの」で一致していることは確かだ。

自衛隊を明記しても何も変わらない?
2月の衆議院選挙での自民大勝の結果、衆議院議員の90%が改憲に賛成、反対はわずか4%という恐ろしい状況がつくられ、メディアの世論調査でもあらかた改憲に賛成が反対を上回るという懸念すべき状況も生まれている。「緊急事態条項」は23年、24年の調査とは逆の結果となっているが、「自衛隊明記」に関しては、23年、24年に続いて今回も賛成が反対を大きく上回っており、安定した支持が維持されているとされる(5月3日毎日新聞)。当然、世論誘導も周到に行われているはずだが、中でも「自衛隊明記」で現状がどう変わるのかの具体的論議も見せない中、安倍晋三が主張した「自衛隊を憲法に明記しても、『現状を認める』だけで『何も変わらない』」に世論が大きく誘導されていっていることが調査結果に表れていると考えられる。
事実は大きく異なる。憲法9条に「自衛隊明記」の条項が加えられれば、社会の状況は、『何も変わらない』どころか一変する。そのことを具体的に明らかにし、世論に働きかけることが求められる。

「自衛隊明記」で「徴兵制」も合憲
実際に、憲法に「集団的自衛権行使」や世界中での戦闘を可能にした安保法制を前提とした自衛隊明記が実現した場合、「戦争放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」を内容とした従前の9条は死文化し、自衛隊が世界中で戦闘を行うことも憲法上問題なしとなる可能性は高い。
最も悪影響が懸念されるのは、徴兵制に関する問題である。憲法に自衛隊が明記された場合、「憲法上の組織である自衛隊の維持は政府の憲法上の責務」という理屈で、政府が徴兵制を実施しても、「それは違憲だ」という法理が簡単に排斥される可能性が高くなる。「まさか徴兵制までは」との見方もあるが、ウクライナ戦争などを背景に世界で一旦停止していた徴兵制が次々と復活、再開している世界の実例をみれば、あながち「日本ではありえないこと」とは言えない。リトアニア(2015年再開)、スウェーデン(2018年再開)、オーストリア(2013年の国民投票で継続決定)、ラトビア(2023年再開決定、2024年1月から実施)、ノルウェー(2024年4月、募集人数拡大を発表)、デンマーク(2026年から女性に対象拡大)、ドイツ(2026年1月復活)というのが世界の現実だ。
「憲法9条に自衛隊が明記され、合法化したら徴兵制を導入しやすくなるでしょう」、「かつて私は隊員募集の幹部自衛官から『昔の日本みたいに赤紙1枚で徴兵ができればよいのにな~、いずれ近い将来、隊員不足を補うために徴兵する時代が来る』と聞いたことがあります」と、元自衛隊員の実名での証言もある。
もし自衛隊が実際に戦闘に参加するようになれば、真っ先に取りかかるのは隊員の補充ということになる。命を落とす危険な業務には、補充できる人を使うのが軍隊の常識。お金をかけて、十分な訓練をした隊員は温存しておくというのが軍隊組織の鉄則でもある。実際の訓練でも、自衛隊の車両が走行しているのを見ればわかるように、大抵、曹士隊員(旧軍で言えば軍曹以下の下級兵士)が乗った大型トラックが先頭を走り、幹部が乗った小型車(ジープ等)はその後を走る。これは、危険な場所を走行するときには、まず補充が容易にできる兵士を先に行かせる、つまり曹士隊員を盾にして幹部が生き残れるようにするという軍隊の基本的な作戦である。
また、自衛隊明記の改憲は、民間人(医師・看護師・薬剤師・建築・土木・運送・通信・港湾・空港に関わる民間業者等)の戦地派遣が憲法上も正当化される可能性が高くなる。
社会の軍事化に拍車がかかるのは必至だ。自衛隊が地域行事や学校行事に「普通」に参加するようになるだけでなく、学問の軍事利用が常態化することになる。
すでに、『「戦う」自衛隊』へのアピール活動が頻繁に行われている。2月27日、陸自第32普通科連隊(大宮駐屯地)が埼玉県内(吉川市)で行進訓練を実施。地元自治体がHPで「隊員への激励、声掛け」を促し、保育園での園児とのふれあいを演出。5月30日には、兵庫・加西市で県内初の陸自の市中パレード(陸自青野原駐屯地創設50周年祝福)が予定されるなど、各地で基地外での活動が活発化。
さらに、政府は、自衛隊の階級名の変更(1佐→大佐、2佐→中佐等)や、職種の呼称変更(普通科は「歩兵科」、特科は「砲兵科」、施設科は「工兵科」など)を方針化している。

現場自衛隊員と家族の悲痛な声
世論調査で、自衛隊明記の改憲に賛成が反対を上回るという状況がある一方、当の自衛隊員や家族の切実な声に耳を傾ける必要がある。元海上自衛隊員であった西川末則さんは、「9条があったおかげで、私たち自衛隊は戦争に行かずに済みました。日本は憲法の平和主義に基づき、戦争している国々の調整役になるべきです」、「自衛隊を憲法に明記する憲法改正には反対です」と述べている。幹部自衛隊員以外の実際に戦場に行かされる曹士隊員たちの多くは、「自衛隊の海外派兵」や「自衛隊明記の改憲」に反対しているのが実態ではないだろうか。公然とは声をあげ難いが、高市が首相になったことを悲しんでいる隊員や家族がかなりいることは間違いない。

世界中での自衛隊の武力行使を可能にし、「徴兵制」、「民間人の戦地派遣」なども可能にする「自衛隊明記の改憲」に反対する主権者は、「不断の努力」(憲法12条)でもって、国内外のあらゆる領域に取組みを広げ、「戦争する国」に日本を変える高市自民党の改憲を必ず阻止しよう。

「むすぶ」目次(2026年4月号)2026/04/13 20:09

■ 今月を視る / 停戦遵守こそ、世界に「平和と繁栄をもたらす」第一歩
■ 解説 / 海中に潜む破壊兵器「機雷」      事務局 岡本 誠
■ オピニオン / 核のゴミを無責任に生み出し続ける原子力政策  
サヨナラ原発福井ネットワーク 山崎隆敏  
■ 沖縄レポート / 辺野古沖転覆事故-最大の責任は工事強行する自民党政治
          沖縄国際大元講師 西岡信之  
■ 読者つうしん / 対馬丸と安仁屋宗八    広島市 日南田成志
■ 読者つうしん /「しゃべり」にも役目が    堺市 渕上經子
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年4月号)2026/04/13 20:07

停戦遵守こそ、世界に「平和と繁栄をもたらす」第一歩

イスラエルは停戦破壊に狂奔
昨年10月にガザで停戦発効してから4月10日で半年が経過した。しかし、パレスチナ・ガザでイスラエル軍による住民虐殺、暴力抑圧、占領は止まない。6日には、世界保健機関(WHO)職員だったパレスチナ人男性がイスラエル軍の銃撃で殺害された。医療機関のマークが入った車両を運転してガザを南北に結ぶ幹線道路走行中にイスラエル軍に銃撃され殺されたのだ。イスラエル軍が占領し、居座り続ける「イエローライン」付近での発砲であった。
9日には、小学3年の女児が授業中にイスラエル軍の銃弾を受け殺された。女児はガザ北部の仮設テントで他の児童と共に授業を受けていたところだった。
ガザ保健当局は9日、イスラエル軍の攻撃で過去24時間に2人が死亡し、21人が負傷したと発表。停戦発効後の死者は738人、2023年10月の戦闘開始後の死者は7万2317人になった。
ヨルダン川西岸でも、イスラエルによる暴力と急激な植民地拡大の攻撃が繰り返されている。
昨年3月、ドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』の共同監督の一人ハムダーン・バラールさんが、武装したイスラエル人の入植者数十人に襲撃された後、イスラエル軍に拘束され、一晩中手錠をかけられて軍事基地の中でも暴行されたという事件は記憶に新しい。
今年に入っても、違法な入植者とイスラエル軍によるパレスチナ住民への襲撃は頻発、拡大の一途だ。
3月21日にはユダヤ人入植者の過激派がパレスチナ人の複数の集落を襲撃。住宅や車、農地に火を放った。国連によると、米国とイスラエルがイランを攻撃して以来、ヨルダン川西岸では入植者による暴力が急増しているとのこと。3月1日以降、入植者によって殺害されたパレスチナ人は6人に上る。
欧州連合(EU)とイギリスは、入植者によるパレスチナ人への暴力急増を食い止めるようイスラエルに求めている。また、国連は3月17日、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの急激な入植地拡大を直ちに停止するよう求め、1年間で3万6000人以上のパレスチナ人が避難を強いられたとして、「民族浄化」の懸念を表明した。
パレスチナ保健省の統計に基づくAFPの集計によると、2023年10月のガザ戦争開始以降、西岸地区ではイスラエル軍や入植者によって少なくとも1045人のパレスチナ人が殺害された。国連は調査期間中、死傷者や物的損害をもたらした入植者による暴力行為を1732件記録した。前年の1400件から大幅増となった。報告書は「入植者による暴力は、組織的かつ戦略的で、ほとんど阻止されることなく継続しており、イスラエル当局が中心的な役割を果たしている」と指摘している。
国連のボルカー・ターク人権高等弁務官はイスラエルに対し、「即座に入植地の設置と拡大を完全に停止」し、「すべての入植者を撤退させ、パレスチナ領土の占領を終わらせる」ことを求めた。
さらに3月30日、イスラエル国会(クネセト)は、殺人を伴うテロ攻撃で有罪となったパレスチナ人を原則死刑とする法案を可決。同法は、イスラエルの軍事法廷において、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区のパレスチナ住民がイスラエル人を殺害する「テロ行為」と見なされる攻撃を実行した罪で有罪となった場合、最大90日以内に絞首刑を執行するよう定めている。もはや、ナチス同等の凶悪犯罪国家イスラエルである。

トランプ、ネタニヤフは速やかに退場を
4月8日朝(日本時間)、米国とイランが即時停戦で合意した(イスラエルも合意)にもかかわらず、直後にイスラエルがレバノンに大規模攻撃を行い、多数の市民を殺傷した。ネタニヤフもトランプも、「レバノンは停戦合意の対象外」(仲裁国パキスタン政府はレバノンを含むと明言)とうそぶき、戦争で支配することしか考えない彼ら「戦争屋」の無軌道ぶりを露呈させた。
3月19日、高市首相は日米首脳会談で「平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」とトランプを持ち上げたが、それはすなわち「トランプとネタニヤフが退場するしかない」を意味するとあらためて理解しなければならない。そのように理解できないなら、今後「国論を二分する」政策に狂奔する前に、速やかに退陣してもらうしかない。

「むすぶ」目次(2026年3月号)2026/03/15 20:31

■ 今月を視る / 違法不法のイラン攻撃にNO! 世界の市民は黙らない
■ オピニオン / 発効から5年の「核兵器禁止条約」   
   市民の国際ネットワークに依拠、連帯し、さらなる前進を! 豆多敏紀
■ 沖縄レポート / 1400年前から続く他国侵略の基地はいらない   西岡信之             
■ アピール / 朝鮮半島から動員された戦没者遺骨を家族の元へ   古川雅基 
■ エッセイ / ヘミングウェイ作『清潔で、とても明るいところ』
ゴッホの『夜のカフェテラス』に触発されて    若谷政樹
■ 読者つうしん / 次代を脅かす宝塚のPFAS汚染-より広範な公的検査を!
加納健次 
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年3月号)2026/03/15 20:30

違法不法のイラン攻撃にNO! 世界の市民は黙らない

「悲しい出来事」などではない
米国、イスラエルが「力による現状変更・支配」の軍事力を勝手気ままに、振り回している。米国支援の下、イスラエルによるパレスチナ住民虐殺、植民地支配の攻撃は止まず、米国は1月にベネズエラに軍事侵略し、2月末には米国とイスラエルがイランを大規模に軍事攻撃し、中東全体に戦火を広げている。これらの全てが国際法違反であり、歴史を何世紀も前に巻き戻す「野蛮」以外に言いようのない振る舞いである。
2月28日の攻撃では、イランの最高指導者ハメネイ師ほか多数の政府要人を殺害しただけでなく、女子小学校をミサイル攻撃し、160人以上の児童(教職員含む)を虐殺した。トランプは当初、この攻撃を「イランの仕業」と強弁していたが、事実は米軍による「誤爆」であり「過去数十年で最も壊滅的な軍事的過ち」(ニューヨーク・タイムズ)ということが暴露されている。すでに米国とイスラエルの攻撃により、イラン国内での死者は1332人に上っている(3月6日時点)。
かつて、アフガニスタンやイラクで米軍は同じ「過ち」を何度も繰り返し、イスラエルはガザで「承知の上」でこの「過ち」を今も行っている、自らの犯罪であるにもかかわらず「悲しい出来事」で済ませ、「最小限の必要な犠牲」と居直る傲慢な態度を改めようとはしない。米国やイスラエルのこんな非道な行いに一片の大義も常識もないことは、世界のだれの目にも明らかだ。

黙る世界の「民主主義国家」
ブッシュのイラク攻撃を知るものなら、トランプの今回のイラン攻撃にだれもが「既視感」を感じている。だが、違いもいくつかある。その一つは、欧州の大国、G7などの国々がトランプの国際法違反の暴挙に口を閉ざしていることだ。ブッシュのイラク攻撃の際には、米国は「国連決議による行動」の体裁を目論んだが失敗し、米英を主とした「有志連合」の行動として攻撃を強行した。そのため、フランスやドイツは国際法違反の違法な戦争として厳しく批判した。
今回のイラン攻撃は、「国連での合意」など最初から眼中にない行動であるにもかかわらず、大方の大国は、「国内の米軍地使用に同意しない」と毅然とした態度を示したスペイン政府を除いてほとんどが黙ったままだ。「国際法に反する先制攻撃への批判を棚上げし、激化する戦争の責任をすべてイランに押し付ける。不誠実だと言わざるを得ない」(3/13毎日新聞社説)。
こんな常識すら即座には通用しなくなった世界の「民主主義国家」の現実に、市民の憤りが向かう。

日本はすでにこの戦争に関与している
 日本の高市政権も不誠実さは変わらない。イラク戦争では自衛隊を派遣し、戦争に加担したが、今回も国際法については一切語らない。イランへの攻撃には何も語らないが、イランの反撃についてははっきり非難する。米海軍横須賀基地を母港とするイージス艦ミリアスがホワイトビーチ(うるま市)に寄港した後、イラン攻撃に参加し、巡航ミサイル「トマホーク」を発射していたことが明らかになっても、その事実さえ米軍に確認しようとしない。
日本はこの戦争で石油など経済的影響を受けているのではなく、すでにこの戦争に関与しているのだ。

市民は黙らない
 市民はイラン攻撃に対する高市政権の対応に共感していない。時事通信の世論調査によれば、イラン攻撃を「支持しない」が75%、「支持する」は7%にすぎない。当の米国でも、59%がイラン攻撃の当初の決定に反対し、賛成は41%だった(CNN調査)。世界の市民は、黙っていない。
 「摂津市議会と日野市議会は、米国とイスラエルによるイラン攻撃を国際法違反と非難し、即時中止を求める決議を可決した。いずれも国政与党の自民党、日本維新の会系の会派を含む全会一致」(産経新聞3/10)。
世界から、全国から「国際法違反のイラン攻撃NO!」の声を高め、行動を強めよう!