今月を視る(「むすぶ」2025年1月号) ― 2025/01/20 10:23
2025年を軍事・暴力行使停止の新たな出発年に!
停戦を維持し、恒久停戦へ
あまりに長い時間を要した。やっとの(6週間の期間限定であるにせよ)「停戦」である。2023年10月7日にハマス側が決行した越境奇襲反撃への「報復」として開始されたイスラエルによるガザへの一方的虐殺攻撃から1年3カ月。この間、ガザ保健当局などの公式統計だけでも、約4万7千人のパレスチナ市民が虐殺された(空爆による瓦礫に埋もれたままの死亡者なども含めると7~8万人にも上るとの推計もある)。しかも、その7割は女性・子どもである。さらに、イスラエルがガザへの物資搬入を厳しく制限、妨害することで、人道危機は深刻化している。国連人道問題調整事務所によると、全人口約230万人のうち9割以上が深刻な食料不安に直面。飢餓で死亡する子どもも続出している。ガザでは約9割の家屋が破壊され、約190万人が避難生活を余儀なくされている。これが、ジェノサイド(虐殺)でなくて何なのか。
すでに、昨年11月21日、国際刑事裁判所(ICC)は、「最も重大な」戦争犯罪の疑いで、イスラエルのネタニヤフ首相、ガラント前国防相、ハマスのムハンマド・デイフ軍事部門トップに対する逮捕状を発付している。これら正義の実現は人類史上極めて重要な課題であり、できるだけ早く解決されなければならないのは当然だ。だが、停戦は真っ先に、即刻に実現すべき緊急措置である。これ以上の虐殺を止めるためである、したがって、停戦合意は無条件に歓迎する。
おかしなことに、「停戦合意」の第一報の新聞見出しは「ハマス停戦了承」(毎日新聞1/16)であった。
あたかも、ハマス側が停戦に否定的であったかの印象を与えるものだが、事実は異なる。停戦合意が「間近」と報じられるたびに、さまざまな条件を付け足すことで、停戦を妨害してきたのはイスラエル政府だ。今回も、停戦発効の19日を前に「ハマスが合意の一部を破っている」と難癖をつけ、「承認手続きを見送っている」(17日、閣議承認報道)。この先、何が起こるかはわからない状況だが、今後、いかなる停戦破壊も許さず、恒久停戦につなげていけるよう全力をあげた世界の取り組みが求められる。
一方、ロシア・ウクライナ戦争でも、停戦の機運が醸成されてきている。ゼレンスキー大統領が12月1日、共同通信との単独会見で、「ロシアによる占領地の一部は武力ではなく外交で取り戻す」考えを表明したという。双方の戦傷者をこれ以上増やさないために、まず、停戦が求められる。
韓国市民の勇気ある闘いに連帯し、東アジア平和構築へ
韓国では、昨年12月3日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳を宣言し、軍事クーデターを企むという驚愕する事態が起こったが、暗黒の時代への逆戻りを若者、女性が多く参加する市民の勇気ある行動でこの反動を阻止し、尹錫悦大統領を弾劾、内乱罪による逮捕へと闘いを進めている。
驚くべきことに、この企ては朝鮮人民民主義共和国(以下、朝鮮)との軍事的緊張を利用することでクーデターを実行するものであったことが明らかになっている。非常戒厳事件を捜査する韓国警察は、ノ・サンウォン元情報司令官の手帳に、「NLL(北方限界線)で北朝鮮の攻撃を誘導」という内容を確認したことを明らかにしている(東亜日報)。また、共に民主党の実態調査によれば、朝鮮に潜入する工作部隊である情報司令部の要員35名がソウル近郊で待機していたことが明らかになっており、1)連行した議員らを朝鮮人民軍の軍服を着て殺害する計画、2)朝に出勤する選挙管理委員会の課長30名を拉致し、B1バンカー(戦時地下指揮処)に連行して4月総選挙は不正選挙だったと明らかにする計画なども検討されていたという。1990年代以前の軍事独裁政権の暗黒政治そのものである。韓国市民の勇気ある闘いに学び、連帯し、東アジアの平和構築に前進しなければならない。
東アジアの平和構築に向けて欠かせないのが、辺野古をはじめとした基地撤去の闘いであり、沖縄・南西諸島など全国軍事要塞化に対する闘いである。沖縄の「あきらめない闘い」に学び、地域から平和を構築する取り組みをすすめよう。
停戦を維持し、恒久停戦へ
あまりに長い時間を要した。やっとの(6週間の期間限定であるにせよ)「停戦」である。2023年10月7日にハマス側が決行した越境奇襲反撃への「報復」として開始されたイスラエルによるガザへの一方的虐殺攻撃から1年3カ月。この間、ガザ保健当局などの公式統計だけでも、約4万7千人のパレスチナ市民が虐殺された(空爆による瓦礫に埋もれたままの死亡者なども含めると7~8万人にも上るとの推計もある)。しかも、その7割は女性・子どもである。さらに、イスラエルがガザへの物資搬入を厳しく制限、妨害することで、人道危機は深刻化している。国連人道問題調整事務所によると、全人口約230万人のうち9割以上が深刻な食料不安に直面。飢餓で死亡する子どもも続出している。ガザでは約9割の家屋が破壊され、約190万人が避難生活を余儀なくされている。これが、ジェノサイド(虐殺)でなくて何なのか。
すでに、昨年11月21日、国際刑事裁判所(ICC)は、「最も重大な」戦争犯罪の疑いで、イスラエルのネタニヤフ首相、ガラント前国防相、ハマスのムハンマド・デイフ軍事部門トップに対する逮捕状を発付している。これら正義の実現は人類史上極めて重要な課題であり、できるだけ早く解決されなければならないのは当然だ。だが、停戦は真っ先に、即刻に実現すべき緊急措置である。これ以上の虐殺を止めるためである、したがって、停戦合意は無条件に歓迎する。
おかしなことに、「停戦合意」の第一報の新聞見出しは「ハマス停戦了承」(毎日新聞1/16)であった。
あたかも、ハマス側が停戦に否定的であったかの印象を与えるものだが、事実は異なる。停戦合意が「間近」と報じられるたびに、さまざまな条件を付け足すことで、停戦を妨害してきたのはイスラエル政府だ。今回も、停戦発効の19日を前に「ハマスが合意の一部を破っている」と難癖をつけ、「承認手続きを見送っている」(17日、閣議承認報道)。この先、何が起こるかはわからない状況だが、今後、いかなる停戦破壊も許さず、恒久停戦につなげていけるよう全力をあげた世界の取り組みが求められる。
一方、ロシア・ウクライナ戦争でも、停戦の機運が醸成されてきている。ゼレンスキー大統領が12月1日、共同通信との単独会見で、「ロシアによる占領地の一部は武力ではなく外交で取り戻す」考えを表明したという。双方の戦傷者をこれ以上増やさないために、まず、停戦が求められる。
韓国市民の勇気ある闘いに連帯し、東アジア平和構築へ
韓国では、昨年12月3日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳を宣言し、軍事クーデターを企むという驚愕する事態が起こったが、暗黒の時代への逆戻りを若者、女性が多く参加する市民の勇気ある行動でこの反動を阻止し、尹錫悦大統領を弾劾、内乱罪による逮捕へと闘いを進めている。
驚くべきことに、この企ては朝鮮人民民主義共和国(以下、朝鮮)との軍事的緊張を利用することでクーデターを実行するものであったことが明らかになっている。非常戒厳事件を捜査する韓国警察は、ノ・サンウォン元情報司令官の手帳に、「NLL(北方限界線)で北朝鮮の攻撃を誘導」という内容を確認したことを明らかにしている(東亜日報)。また、共に民主党の実態調査によれば、朝鮮に潜入する工作部隊である情報司令部の要員35名がソウル近郊で待機していたことが明らかになっており、1)連行した議員らを朝鮮人民軍の軍服を着て殺害する計画、2)朝に出勤する選挙管理委員会の課長30名を拉致し、B1バンカー(戦時地下指揮処)に連行して4月総選挙は不正選挙だったと明らかにする計画なども検討されていたという。1990年代以前の軍事独裁政権の暗黒政治そのものである。韓国市民の勇気ある闘いに学び、連帯し、東アジアの平和構築に前進しなければならない。
東アジアの平和構築に向けて欠かせないのが、辺野古をはじめとした基地撤去の闘いであり、沖縄・南西諸島など全国軍事要塞化に対する闘いである。沖縄の「あきらめない闘い」に学び、地域から平和を構築する取り組みをすすめよう。