今月を視る(「むすぶ」2025年3月号) ― 2025/03/19 17:12
停戦から平和的解決へ! 真剣な外交が必要だ!
停戦延長維持から第2段階の交渉を
3月は、戦争と平和をめぐる大きな動きが続いている。まず、ガザ停戦の第1段階(6週間)が終了し、第2段階(イスラエル軍のガザ撤退や恒久停戦に関する交渉)、第3段階(ガザ復興のための交渉)への移行は「棚上げ」にされたままだが、「停戦延長」がかろうじて維持されている。停戦期間中も繰り返し行われるイスラエルの攻撃(とくに西岸地区でのパレスチナ人を狙った攻撃や入植強化)や支援物資の搬入妨害で停戦延長が脅かされており、不安定で予断を許さない状況だが、停戦破壊許さず、第2段階の交渉に入るよう国際的圧力を強めることが求められる。
新たな核軍備管理・削減交渉を米ロに強く要求
米ニューヨークの国連本部で開催された核兵器禁止条約の第3回締約国会議(3月3日~7日)は、「核廃絶は単なる願望ではなく、世界の安全保障と人類の生存に絶対必要」だとする宣言を採択した。
また、新戦略兵器削減条約(新START)の期限を来年2月に控え、新たな核軍備管理・削減交渉を
直ちに始めるよう米ロに強く要求した。核保有国や日本など「核の傘」、「核抑止力」を信奉する多くの国がオブザーバー参加すら拒み、会議を無視する姿勢を装ったが、核禁条約が「核のない世界」を実現する唯一で確かな途であることを、あらためて世界に広く知らせることが大事だ。
トランプは、2月13日、記者団の質問に答える形で、「世界情勢がいったん落ち着いた段階で」と前置きしたうえで、「我々はみな、もっと生産的なことに使えるはずの多額の資金を核兵器に費やしている」と語り、中ロと交渉し、軍事費の半減をめざす意向を表明したという。「そのとおりだ!今すぐ実行を」の声を一層大きく世界から突きつけよう。
もはや軍事的解決はない
2月末のゼレンスキー vs.トランプ、ヴァンスの口論の末、決裂した首脳会談を経て、3月13日、米・ウクライナは「即時かつ暫定的な30日間の停戦」に合意したことが発表された。ロシアの態度はまだ確定的なものは報じられていないが、停戦をめぐるこの動きは注目すべき大きな変化である。トランプ政権の思惑や狙いが、ウクライナ・ロシアの市民の命と人権を守ることにあるのではなく、グローバル資本のための「自国の利益」にあることは間違いない。だが、現時点での停戦への試みは、トランプらの邪悪な狙いを理由に、躊躇したり消極的になったりしてはならない重大問題である。トランプが言うまでもなく、「(武器援助だけでなくNATOの軍事介入・参戦を望む)ゼレンスキーは、第3次世界大戦に賭けようとしている」、「もはや軍事的解決(勝敗をつける)はありえない」ことは一定の真実である。また、メディアはこの停戦の動きの中で、ウクライナ兵士や市民が「こんな(不利な)停戦なら、何のために多くのウクライナ人が戦い、死んでいったのか分からない」と憤る姿を度々映し出す。戦禍に苦しむ民衆の率直な感情であることは理解できる。だが、一方でかつて日米の戦争において「戦争をやめるならどこかで一度でも敵をたたいて、できるだけ有利な条件で」という軍部や政権の「一撃講和論」に民衆も巻き込まれていった事実、そのためにどれだけ多くの命が失われたかを忘れてはならない。
停戦は多くの妥協を伴うが、屈服を意味するものではない。正義は武力以外のあらゆる抵抗、行動によって実現しなければならない。
「この戦争が続けば、ウクライナとロシアでさらに何千人もの命が失われるだろうし、戦争が激化すれば、全世界に影響を及ぼすだろう」、「戦争がさらに激化する前に、米国とウクライナがより現実的な基盤で再び協力することを私たちは期待するが、そのためには真剣な外交が必要となる。ヨーロッパはウクライナに戦い続けるよう奨励するのを止めなければならない。今こそ、どんなに困難であっても、この戦争は交渉の場で解決しなければならないことをすべての関係者が認識しなければならないときだ」(米反戦団体CODEPINK 2月28日緊急発表)との認識を共有する。
日本政府に対しても、和平のための外交交渉に参加し、そのイニシアチブを発揮するよう要求しよう。ウクライナの戦場だけでなく、ガザの戦場も。
停戦延長維持から第2段階の交渉を
3月は、戦争と平和をめぐる大きな動きが続いている。まず、ガザ停戦の第1段階(6週間)が終了し、第2段階(イスラエル軍のガザ撤退や恒久停戦に関する交渉)、第3段階(ガザ復興のための交渉)への移行は「棚上げ」にされたままだが、「停戦延長」がかろうじて維持されている。停戦期間中も繰り返し行われるイスラエルの攻撃(とくに西岸地区でのパレスチナ人を狙った攻撃や入植強化)や支援物資の搬入妨害で停戦延長が脅かされており、不安定で予断を許さない状況だが、停戦破壊許さず、第2段階の交渉に入るよう国際的圧力を強めることが求められる。
新たな核軍備管理・削減交渉を米ロに強く要求
米ニューヨークの国連本部で開催された核兵器禁止条約の第3回締約国会議(3月3日~7日)は、「核廃絶は単なる願望ではなく、世界の安全保障と人類の生存に絶対必要」だとする宣言を採択した。
また、新戦略兵器削減条約(新START)の期限を来年2月に控え、新たな核軍備管理・削減交渉を
直ちに始めるよう米ロに強く要求した。核保有国や日本など「核の傘」、「核抑止力」を信奉する多くの国がオブザーバー参加すら拒み、会議を無視する姿勢を装ったが、核禁条約が「核のない世界」を実現する唯一で確かな途であることを、あらためて世界に広く知らせることが大事だ。
トランプは、2月13日、記者団の質問に答える形で、「世界情勢がいったん落ち着いた段階で」と前置きしたうえで、「我々はみな、もっと生産的なことに使えるはずの多額の資金を核兵器に費やしている」と語り、中ロと交渉し、軍事費の半減をめざす意向を表明したという。「そのとおりだ!今すぐ実行を」の声を一層大きく世界から突きつけよう。
もはや軍事的解決はない
2月末のゼレンスキー vs.トランプ、ヴァンスの口論の末、決裂した首脳会談を経て、3月13日、米・ウクライナは「即時かつ暫定的な30日間の停戦」に合意したことが発表された。ロシアの態度はまだ確定的なものは報じられていないが、停戦をめぐるこの動きは注目すべき大きな変化である。トランプ政権の思惑や狙いが、ウクライナ・ロシアの市民の命と人権を守ることにあるのではなく、グローバル資本のための「自国の利益」にあることは間違いない。だが、現時点での停戦への試みは、トランプらの邪悪な狙いを理由に、躊躇したり消極的になったりしてはならない重大問題である。トランプが言うまでもなく、「(武器援助だけでなくNATOの軍事介入・参戦を望む)ゼレンスキーは、第3次世界大戦に賭けようとしている」、「もはや軍事的解決(勝敗をつける)はありえない」ことは一定の真実である。また、メディアはこの停戦の動きの中で、ウクライナ兵士や市民が「こんな(不利な)停戦なら、何のために多くのウクライナ人が戦い、死んでいったのか分からない」と憤る姿を度々映し出す。戦禍に苦しむ民衆の率直な感情であることは理解できる。だが、一方でかつて日米の戦争において「戦争をやめるならどこかで一度でも敵をたたいて、できるだけ有利な条件で」という軍部や政権の「一撃講和論」に民衆も巻き込まれていった事実、そのためにどれだけ多くの命が失われたかを忘れてはならない。
停戦は多くの妥協を伴うが、屈服を意味するものではない。正義は武力以外のあらゆる抵抗、行動によって実現しなければならない。
「この戦争が続けば、ウクライナとロシアでさらに何千人もの命が失われるだろうし、戦争が激化すれば、全世界に影響を及ぼすだろう」、「戦争がさらに激化する前に、米国とウクライナがより現実的な基盤で再び協力することを私たちは期待するが、そのためには真剣な外交が必要となる。ヨーロッパはウクライナに戦い続けるよう奨励するのを止めなければならない。今こそ、どんなに困難であっても、この戦争は交渉の場で解決しなければならないことをすべての関係者が認識しなければならないときだ」(米反戦団体CODEPINK 2月28日緊急発表)との認識を共有する。
日本政府に対しても、和平のための外交交渉に参加し、そのイニシアチブを発揮するよう要求しよう。ウクライナの戦場だけでなく、ガザの戦場も。