今月を視る(「むすぶ」2024年9月号)2024/09/19 16:27

「攻撃は最大の防御」という大軍拡政治に対抗する運動を!

自民党の軍拡政治と闘おう
過去異例の9人が立候補した自民党総裁選。ここ連日、メディアはこの総裁選をトップニュースとして扱っているが、結果が日本の政治状況に何らかの変化を与えるものではない。だれが総裁になろうと、特に大軍拡と改憲推進の自民党既定路線には何の変化もないことは明らか。強弱の差が多少あるとはいえ、9人の立候補者のだれもが大軍拡と改憲推進を表明しているからだ。
8月7日、自民党憲法改正実現本部は、緊急事態条項の創設と自衛隊の明記について検討する二つのワーキングチーム(WT)を新設することを決定した。岸田首相は「論点整理は8月末を目指して議論を加速していただきたい」と語り、退陣後も改憲の「着実な前進」に期待を表明している。自民党政治を変えるのは、総裁選後の衆議院解散、10月末から11月はじめとされる総選挙がその重要な一歩となる。軍拡と改憲を止める平和運動構築で総選挙に臨もう。

辺野古大浦湾側杭打ち工事着工を許さない
 総裁選が賑やかに報じられる裏で、政府・自民党の傲慢さが極みに達している。8月20日には辺野古大浦湾側杭打ち工事着工を強行し、8月22日には安和桟橋の事故で54日間停止していた辺野古への土砂搬出を再開した。悲惨な事故がなぜ発生したのか、再発防止には何が必要なのかなど、真摯な議論や話し合いを欠いたままの強行だ。いずれも増強した機動隊の暴力によって住民の合法かつ正当な非暴力による抗議活動を制限、排除するという違法行為を伴って強行された。
 また、沖縄県が「事前協議は継続中」であるとし、協議に応じるよう再三要請していることに対して、沖縄防衛局は8月28日、「事前協議は十分に尽くした」と県に回答、一方的に協議の打ち切りを通告した。水質汚濁による生態系への影響など、県が求めるデータ提供にはまともに応じていない。
 県は今年2月以降、防衛局に環境保全などについて計7回、290項目にわたって質問したが、疑問点が解消されていないことから、事前協議が調うまで工事を中止するよう8月22日に防衛局に行政指導していた。防衛局はこれ以上の協議継続を否定し「環境に配慮しながら工事を進める」と県に通告、「問答無用」の傲慢な姿勢を露わにした。

真っ先に踏みにじられる沖縄
辺野古だけではない。南西諸島をはじめ、自衛隊ミサイル基地問題でも住民無視の強行姿勢が目立つ。
政府・自民党の住民無視の軍拡強行政治と対決する多くの地域での闘いが求められている。最前線の沖縄で、米軍基地撤去の闘いの中心として存在する「オール沖縄」の立て直しに関し、指導者の一人である山城博治さんはこう述べる。「辺野古が一丁目一番地であることは間違いない。だが、既に二丁目にも三丁目にも自衛隊増強という火が燃え広がっている。この問題を放置するならオール沖縄は大衆運動からも見捨てられてしまうだろう。逆に、もう一度思いを共有できれば前進できる」。
8月11日に沖縄市で開催された、『台湾有事NO ! 沖縄・九州・西日本から全国に広がる戦争準備 報告意見交換会』で、映画『戦雲』の監督である三上智恵さんは「全国を回っていて『何かあるとしても沖縄でしょう』といわれることが多かった。沖縄が先に踏みにじられて、軍事要塞化されているだけです。戦場になるのは日本全体です。そのことがだんだん明らかになってきた。沖縄、西日本の人々がまず立ち上がって、関東、東北や北海道へと運動が広がっていく。」と発言した。

「防衛」と「攻撃」はセットというまやかしを拒否
 「攻撃は最大の防御なり」という言葉がよく使われる。この理屈を軍事に当てはめれば、必ず「防衛」と「攻撃」の境目がなくなってしまう。イスラエルは「自衛」と称してガザ住民虐殺を行い、ロシアはNATOからの脅威を口実にウクライナに軍事侵略を行った。今度は、ウクライナが「防衛のために」ロシアへの越境攻撃に踏み切っている。「専守防衛」の日本も「敵基地攻撃能力」保有を宣言した。これは、軍事による「防衛」が「攻撃」とセットであることを暴露している。軍事を拒否することが、人間の安全保障であることをはっきりと宣言しよう。日本国憲法が77年前にすでに宣言しているように。

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