今月を視る (「むすぶ」2023年11・12月号より)2023/12/04 14:09

恒久停戦を!
封鎖、占領、アパルトヘイトを国際連帯の力で止めよう!

◆イスラエル軍による休戦破棄糾弾
イスラエル軍は世界の「休戦延長から恒久停戦へ」の声を踏みにじり、12月1日午後(日本時間)、ガザへの攻撃、空爆を再開し(400か所以上)、新たにガザ住民193人を虐殺した。ガザ保健当局によれば、ガザの死者は15000人超(12月1日現在)で瓦礫に埋もれたままと思われる行方不明者を含めて2万人をはるかに超える住民が犠牲になっている。停戦を求める国際世論に対して暴力の拡大で応えるという許しがたい犯罪である。だが、イスラエル政府と米国政府、日本政府を含む一部の「西側」大国政府は明らかに孤立している。その焦りが、「休戦」破棄という暴挙に他ならない。「一時休戦」に彼らを追い込んだ国際連帯の力を持続させ、再びの休戦から恒久停戦へ、封鎖と占領、暴力による抑圧を止める声と行動を世界に響かせるときだ。
「ハマスの奇襲攻撃は何もないところから生まれたのではない。根源にあるイスラエルによる占領・封鎖・入植こそが問題にされなくてはならない」(岡真理 京大・早稲田大教授)。「ハマスによる攻撃は理由もなく起きたわけではないことを認識することも重要だ。パレスチナの人たちは56年間、息苦しい占領下に置かれてきた」(グテーレス国連事務総長)。これが世界の共通認識だ。日本政府をこの世界の共通認識に立たせることが求められる。日本の市民にとって、最優先課題である。

◆「戦争前夜」演出し、戦争準備すすめる政府
11月23日、那覇市の奥武山公園で「11・23県民平和大集会」が開かれ、1万人を超える県民らが参加し、「沖縄を再び戦場にさせない」「対話による信頼こそ平和への道」と声を上げ、軍縮を求めて行動することを力強く発信した。この県民平和大集会に連動する全国各地の集会、行動も10か所以上で取り組まれた。
その2日前の0時近く、朝鮮がミサイル(「軍事偵察衛星」)を発射、沖縄上空を通過するという事態が発生した。朝鮮の度重なるミサイル発射は、軍事緊張を高めるものとして非難されるものだが、これに対する日本政府の対応は極めて異常であった。あたかも戦争の危機が間近に迫っているかのようにJアラートを発令し、沖縄県全域に「堅固な建物への避難」を呼びかけた。だが、ミサイルは沖縄を狙って発射されたものでもなく、通過高度も数百キロ上空であり、部品の落下等による被害の可能性は、通常の民間飛行体よりもはるかに低い。まして、米軍や自衛隊の軍用機による超低空飛行の危険性に比べれば取るに足りない程度である。実際県民の多くは、「アラート(警報)の音が何よりも怖かった」と答えている。「戦争前夜」を演出する政府のJアラート発令は極めて悪質である。

◆オスプレイ墜落 安全より軍事、訓練優先の米軍
はるか上空を通過するミサイルどころではない沖縄の空を覆う脅威が現実のものとなった。11月29日午後、横田基地所属の米軍輸送機「CV22オスプレイ」が岩国基地から嘉手納基地に向かう途中、陸地に近い屋久島の東約1キロの海上に墜落した。沖縄県は、少なくとも事故解明までオスプレイの飛行停止を求めたが、米国防総省はこれを無視、「安全性に問題はない」、県民の懸念は「承知していない」
と運用継続を強行。日本政府の要請に対しても、「正式な運用停止要請は受けていない」と「安全よりも訓練優先」の強硬姿勢を露わにしている。戦争準備のためには住民の安全など眼中にないことがはっきりした。 沖縄の人々の苦しみと怒りを自らに引き寄せ、自分が暮らす地域で、地域を変える持続的な取り組みが求められている。
 今、世界で起きている対立は、民族や宗教ではない。平和と人権の確立を求めて暴力的抑圧と闘う人々と軍事力でそれを抑圧し支配しようとする者との対立である。支配者の軍事力は強大だが、世界の民衆の闘いの広がりが戦争勢力を包囲し、一歩ずつ追い詰めている。スペインとベルギーの首相は、イスラエルの戦争犯罪をはっきりと非難した。核兵器禁止条約第2回締約国会議には、NATO加盟国であるドイツ、ノルウェイ、ベルギーがオブザーバー参加した。核抑止論は、「核軍縮を阻害している」と非難、否定した。闘いを持続させよう。

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