今月を視る(「むすぶ」 2024年10月号) ― 2024/10/21 17:08
「国防」の名による戦争にNO! 全国の地域から声を!
「武力による威嚇」の共同軍事演習
映画「戦雲(いくさふむ)」(三上智恵監督)に登場する「国境の島」与那国の糸数健一町長の言動には嘆息しか出ない。「北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備える」と称して、自衛隊が地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を与那国島へ初めて展開した際、PAC3を「撤収しないでほしい」「常駐を望む」、県に対しては、港湾や空港の「使用許可を速やかに出してほしい」と発言。PAC3「受け入れ」表明をいち早く行った石垣の中山義隆市長と同様に、先島への自衛隊配備、増強の水先案内人として振舞っている。糸数は、東京で開かれた改憲集会に招かれ、声高に「9条廃棄、自衛隊明記」を訴えたり、対中国を念頭に「全国民がいつでも日本国の平和を脅かす国家に対しては、一戦を交える覚悟が今、問われているのではないか」と発言したりしている。「糸数町長と同じ考えの人は与那国に1%もいない」(映画中での同町議の証言)のは確かだろうが、防衛庁・自衛隊にとっては、住民の「安全」「自治」を気にもかけない糸数や中山のような首長の存在は、どれほどありがたい存在なのかは想像に難くない。
防衛省・自衛隊はこんな「とんでも」首長を最大限に利用しながらミサイル基地をはじめ琉球列島全域の軍事要塞化を強引に進めてきた。基地建設と並行して年々強化してきたのが演習(軍事訓練)だ。
特に日米共同統合演習は、回を重ねるごとに大規模化、実戦化させてきた。最近では、仮想敵国を「中国」と明示し、シナリオの柱を「台湾有事」としている。まさに「実戦間近」を想起させる日米共同統合実働演習「キーン・ソード25」が、10月23日~11月1日に実施される。過去最大規模で自衛隊、米軍のみならず全国の空港や港湾など民間施設が、この軍事訓練に動員される。これは、「演習」名目の武力による威嚇に他ならない。明らかに挑発であり、際限のない軍拡と一発触発の緊張激化を招く危険極まりない「演習」である。
沈黙する自治体
この危険な動きについて、大手メディア(新聞、テレビ等)はほとんど報道しない。それ以上に危惧するのは、この「演習」に直接組み込まれている全国の自治体が沈黙していることである。北海道から沖縄まで、日米基地はもとより、空港、港湾など「演習」に使用される民間インフラ施設が所在する自治体はかつてなく多い。自治体は住民の安全と平和な暮らしに直接責任を負っている。にもかかわらず、「防衛、外交は国の専管事項」との政府の「解説」に従うのみかのように、防衛省の「お知らせ」をホームページ等で広報しているだけである。
戦争準備へ突き進む政府の暴走を止めるのは、戦争で最大の犠牲を強いられる住民の声である。全国の地域、自治体から大きく声をあげることが必要だ。与那国、石垣の「とんでも」首長はもちろん、沈黙しかしない首長は、変えなければない。
映画「戦雲」で、与那国に駐屯する自衛隊の幹部が、ミサイル配備に関する説明会で「住民は逃げられない」と懸念することに対して、「沖縄戦の教訓も踏まえ、自衛隊は真っ先に住民を守る」と強調する場面がある。この幹部にとって、その言葉は単なる詭弁ではないかもしれないが、彼個人の「願望」に過ぎない。沖縄戦を深く知り、学ぶなら、軍事作戦と住民保護が決して両立しえないことは明確だ。事実、自衛隊は、沖縄戦当時の旧日本軍の行動が「間違いだった」と公式に認めたことは一度もない。
また、これほど大規模で綿密な共同演習であれば、そのシナリオには、この事態で何人の日米軍人が死に、何人の住民、民間人が死ぬのかを想定しているはずだ。だが、それは決して公表されない。
沖縄戦の実相を多くの全国の市民に知らせること。軍拡と戦争挑発に対抗する確かな手だてである。
「自衛戦争」「防衛のための武力行使」の正体
国連の独立調査委員会は10月10日発表した報告書で、医療従事者や医療機関に「容赦なく意図的な攻撃」を続けるイスラエル軍の行為は、戦争犯罪と特定の集団を絶滅させる人道に対する罪にあたると非難。イスラエル軍はガザの医療関係者を故意に殺害、拘束、拷問しているとも指摘した。
米国など一握りの大国だけが擁護する「テロに対する自衛戦争」の正体がここにある。その米国とともに「国防」の名で戦争が行われることになれば、どれほどの住民の死が待ち受けているのか。世界の人々とむすんで「自衛」戦争も「防衛」戦争も拒否しよう。抵抗の声を強める時だ。
「武力による威嚇」の共同軍事演習
映画「戦雲(いくさふむ)」(三上智恵監督)に登場する「国境の島」与那国の糸数健一町長の言動には嘆息しか出ない。「北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備える」と称して、自衛隊が地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を与那国島へ初めて展開した際、PAC3を「撤収しないでほしい」「常駐を望む」、県に対しては、港湾や空港の「使用許可を速やかに出してほしい」と発言。PAC3「受け入れ」表明をいち早く行った石垣の中山義隆市長と同様に、先島への自衛隊配備、増強の水先案内人として振舞っている。糸数は、東京で開かれた改憲集会に招かれ、声高に「9条廃棄、自衛隊明記」を訴えたり、対中国を念頭に「全国民がいつでも日本国の平和を脅かす国家に対しては、一戦を交える覚悟が今、問われているのではないか」と発言したりしている。「糸数町長と同じ考えの人は与那国に1%もいない」(映画中での同町議の証言)のは確かだろうが、防衛庁・自衛隊にとっては、住民の「安全」「自治」を気にもかけない糸数や中山のような首長の存在は、どれほどありがたい存在なのかは想像に難くない。
防衛省・自衛隊はこんな「とんでも」首長を最大限に利用しながらミサイル基地をはじめ琉球列島全域の軍事要塞化を強引に進めてきた。基地建設と並行して年々強化してきたのが演習(軍事訓練)だ。
特に日米共同統合演習は、回を重ねるごとに大規模化、実戦化させてきた。最近では、仮想敵国を「中国」と明示し、シナリオの柱を「台湾有事」としている。まさに「実戦間近」を想起させる日米共同統合実働演習「キーン・ソード25」が、10月23日~11月1日に実施される。過去最大規模で自衛隊、米軍のみならず全国の空港や港湾など民間施設が、この軍事訓練に動員される。これは、「演習」名目の武力による威嚇に他ならない。明らかに挑発であり、際限のない軍拡と一発触発の緊張激化を招く危険極まりない「演習」である。
沈黙する自治体
この危険な動きについて、大手メディア(新聞、テレビ等)はほとんど報道しない。それ以上に危惧するのは、この「演習」に直接組み込まれている全国の自治体が沈黙していることである。北海道から沖縄まで、日米基地はもとより、空港、港湾など「演習」に使用される民間インフラ施設が所在する自治体はかつてなく多い。自治体は住民の安全と平和な暮らしに直接責任を負っている。にもかかわらず、「防衛、外交は国の専管事項」との政府の「解説」に従うのみかのように、防衛省の「お知らせ」をホームページ等で広報しているだけである。
戦争準備へ突き進む政府の暴走を止めるのは、戦争で最大の犠牲を強いられる住民の声である。全国の地域、自治体から大きく声をあげることが必要だ。与那国、石垣の「とんでも」首長はもちろん、沈黙しかしない首長は、変えなければない。
映画「戦雲」で、与那国に駐屯する自衛隊の幹部が、ミサイル配備に関する説明会で「住民は逃げられない」と懸念することに対して、「沖縄戦の教訓も踏まえ、自衛隊は真っ先に住民を守る」と強調する場面がある。この幹部にとって、その言葉は単なる詭弁ではないかもしれないが、彼個人の「願望」に過ぎない。沖縄戦を深く知り、学ぶなら、軍事作戦と住民保護が決して両立しえないことは明確だ。事実、自衛隊は、沖縄戦当時の旧日本軍の行動が「間違いだった」と公式に認めたことは一度もない。
また、これほど大規模で綿密な共同演習であれば、そのシナリオには、この事態で何人の日米軍人が死に、何人の住民、民間人が死ぬのかを想定しているはずだ。だが、それは決して公表されない。
沖縄戦の実相を多くの全国の市民に知らせること。軍拡と戦争挑発に対抗する確かな手だてである。
「自衛戦争」「防衛のための武力行使」の正体
国連の独立調査委員会は10月10日発表した報告書で、医療従事者や医療機関に「容赦なく意図的な攻撃」を続けるイスラエル軍の行為は、戦争犯罪と特定の集団を絶滅させる人道に対する罪にあたると非難。イスラエル軍はガザの医療関係者を故意に殺害、拘束、拷問しているとも指摘した。
米国など一握りの大国だけが擁護する「テロに対する自衛戦争」の正体がここにある。その米国とともに「国防」の名で戦争が行われることになれば、どれほどの住民の死が待ち受けているのか。世界の人々とむすんで「自衛」戦争も「防衛」戦争も拒否しよう。抵抗の声を強める時だ。