今月を視る(「むすぶ」2024年6月号より) ― 2024/06/24 06:47
「自分たちのことは自分で決められる沖縄にしていきたい」
早々に辺野古着工の暴挙
6月16日投開票の沖縄県議選は私たちにとってなんとも重苦しい結果となった。
今後、玉城デニー県政に対する激しい攻撃で、県政に様々な困難を強いられることになることが予想される。軍事化に向けた政府のより強硬な姿勢も露骨になることも予想される。
早速、県議選2日後の6月18日、沖縄防衛局は、辺野古新基地建設を巡り、8月1日、大浦湾側の軟弱地盤に杭を打ち込む本格工事に着手することを県に通告した。これまで、当然の正式手続きとして続けていた県との事前協議を、事実上打ち切る暴挙だ。
「デニー与党」候補の得票は大きく減った?
それにしても、自民やメディアの多くが「これで潮目が変わった」と盛んに宣伝することは実態を表しているのか、注意深くみる必要がある。議席数の大きな変化はそのとおりであり、得票率も2020年の県議選から野党(自民党)・中立(公明・維新)が大きく増加している(46・47%→53・76)ことは地元紙を含むメディアによって公表されている。だだし、得票率は、前回無投票の選挙区が4(名護、うるま、浦添、石垣、今回は石垣のみ)あったことから、得票合計数による単純比較は支持率の増減について正確な実態を表していないこともあることを前提に見ていかなければならない。
実際、各選挙区の落選者を含めた「デニー与党」候補の得票を細かく見ていくと、ほとんどの選挙区で前回と比べて大幅に合計得票数が減少しているケースは見られない。例えば、立憲と社民の調整ができず競合した結果、ともに落選した宜野湾選挙区でも前回(2020年)17633票から今回18366票へと増加、共産党現職を失った沖縄市区でも前回23716票から23510票とほとんど変わらず。自民新人の当選で自民が2になったと騒がれている中頭郡選挙区では、前回34955票から37454票へと逆に増加している。しかも、これらは投票率が低下した中での得票である。また、多くの選挙区で「デニー与党」候補が軒並み上位当選していることも今回選挙の特徴の一つということができる。
では、得票率の大きな変化の要因は何だろうか。要因の一つとしてあげることができるのは、公明党が前回から10000票余を増加させていることだ。公明党は前回候補者を2に絞り(コロナ禍で公明が得意とする個別訪問等の組織戦が十分できないためと言われる)、今回元に戻す形で4の立候補者を立て全員当選させた。つまり、公明党の10000票余の増加は「劇的な変化」ではなく、元に戻したという話だ。
こうして見ると、数字に表れた「得票率の減」とのマイナス印象にかかわらず、県民の多くがデニー玉城県政を「見放し」たり、「離れた」という実態は見られないのではないか。
とはいえ、相手側の自失状況(裏金問題など)の中でなぜ得票に大きな変化(大幅増)につなげることができなかったのかをはじめ課題は山積だ。
展望と希望はしっかりとある
今は、落ち着いて状況に向き合い、ともに考え、しっかり話し合ことが求められている。
議席を奪われたことで、「デニー県政」の運営は極めて困難になることは明らだが、今後の展望で希望がないわけではない。それは「デニー与党」の女性候補者7人全員が、しかも上位当選したことだ。 反基地、平和を含め、環境問題、人権、ジェンダー平等、福祉、そして新自由主義に対抗し、「公共」を取り戻す地域の諸課題を地域に密着しで取り組みながら、女性候補者を住民の取り組みの中からつくりあげることができるなら、「オール沖縄」を立て直すことができるのではないかと思える。自戒を込めてそう思う。なぜなら、この課題は、自らの住む地域を含む全国共通の課題に他ならないからだ。
国頭郡区(名護市を除く県北部町村 定数2)で、トップ当選を果たした玉城知事を支持する無所属新人の儀保唯さん(39)は、「弁護士として10年以上働き、住民の貧困や福祉、医療、子育て支援不足などの問題を目の当たりにしてきた。こうした課題解決に取り組み、女性や多様な人材が力を発揮できる社会をつくる-などとした訴えが、女性や若い層を中心に浸透し」(沖縄タイムス)勝利をつかみ取った。
「自分たちのことは自分で決められる沖縄にしていきたい」。彼女のこの決意を私たちみんなのものとしていこう。困難をはね返す基盤はここにある。
早々に辺野古着工の暴挙
6月16日投開票の沖縄県議選は私たちにとってなんとも重苦しい結果となった。
今後、玉城デニー県政に対する激しい攻撃で、県政に様々な困難を強いられることになることが予想される。軍事化に向けた政府のより強硬な姿勢も露骨になることも予想される。
早速、県議選2日後の6月18日、沖縄防衛局は、辺野古新基地建設を巡り、8月1日、大浦湾側の軟弱地盤に杭を打ち込む本格工事に着手することを県に通告した。これまで、当然の正式手続きとして続けていた県との事前協議を、事実上打ち切る暴挙だ。
「デニー与党」候補の得票は大きく減った?
それにしても、自民やメディアの多くが「これで潮目が変わった」と盛んに宣伝することは実態を表しているのか、注意深くみる必要がある。議席数の大きな変化はそのとおりであり、得票率も2020年の県議選から野党(自民党)・中立(公明・維新)が大きく増加している(46・47%→53・76)ことは地元紙を含むメディアによって公表されている。だだし、得票率は、前回無投票の選挙区が4(名護、うるま、浦添、石垣、今回は石垣のみ)あったことから、得票合計数による単純比較は支持率の増減について正確な実態を表していないこともあることを前提に見ていかなければならない。
実際、各選挙区の落選者を含めた「デニー与党」候補の得票を細かく見ていくと、ほとんどの選挙区で前回と比べて大幅に合計得票数が減少しているケースは見られない。例えば、立憲と社民の調整ができず競合した結果、ともに落選した宜野湾選挙区でも前回(2020年)17633票から今回18366票へと増加、共産党現職を失った沖縄市区でも前回23716票から23510票とほとんど変わらず。自民新人の当選で自民が2になったと騒がれている中頭郡選挙区では、前回34955票から37454票へと逆に増加している。しかも、これらは投票率が低下した中での得票である。また、多くの選挙区で「デニー与党」候補が軒並み上位当選していることも今回選挙の特徴の一つということができる。
では、得票率の大きな変化の要因は何だろうか。要因の一つとしてあげることができるのは、公明党が前回から10000票余を増加させていることだ。公明党は前回候補者を2に絞り(コロナ禍で公明が得意とする個別訪問等の組織戦が十分できないためと言われる)、今回元に戻す形で4の立候補者を立て全員当選させた。つまり、公明党の10000票余の増加は「劇的な変化」ではなく、元に戻したという話だ。
こうして見ると、数字に表れた「得票率の減」とのマイナス印象にかかわらず、県民の多くがデニー玉城県政を「見放し」たり、「離れた」という実態は見られないのではないか。
とはいえ、相手側の自失状況(裏金問題など)の中でなぜ得票に大きな変化(大幅増)につなげることができなかったのかをはじめ課題は山積だ。
展望と希望はしっかりとある
今は、落ち着いて状況に向き合い、ともに考え、しっかり話し合ことが求められている。
議席を奪われたことで、「デニー県政」の運営は極めて困難になることは明らだが、今後の展望で希望がないわけではない。それは「デニー与党」の女性候補者7人全員が、しかも上位当選したことだ。 反基地、平和を含め、環境問題、人権、ジェンダー平等、福祉、そして新自由主義に対抗し、「公共」を取り戻す地域の諸課題を地域に密着しで取り組みながら、女性候補者を住民の取り組みの中からつくりあげることができるなら、「オール沖縄」を立て直すことができるのではないかと思える。自戒を込めてそう思う。なぜなら、この課題は、自らの住む地域を含む全国共通の課題に他ならないからだ。
国頭郡区(名護市を除く県北部町村 定数2)で、トップ当選を果たした玉城知事を支持する無所属新人の儀保唯さん(39)は、「弁護士として10年以上働き、住民の貧困や福祉、医療、子育て支援不足などの問題を目の当たりにしてきた。こうした課題解決に取り組み、女性や多様な人材が力を発揮できる社会をつくる-などとした訴えが、女性や若い層を中心に浸透し」(沖縄タイムス)勝利をつかみ取った。
「自分たちのことは自分で決められる沖縄にしていきたい」。彼女のこの決意を私たちみんなのものとしていこう。困難をはね返す基盤はここにある。