今月を視る (「むすぶ」2024年4月号より)2024/04/21 20:47

「軍事強化で住民守る」のウソ見抜き
沖縄、日本列島軍事要塞化に反対する闘いで国際連帯を!

今すぐ停戦を!
2022年2月から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻からすでに2年以上経過した。2023年10月から始まったイスラエルによるパレスチナ・ガザへのジェノサイド軍事攻撃も、6カ月が経過した。いずれも停戦が実現せず、この間、兵士、住民を問わず夥しい犠牲者が生み出された。とくに、ガザの惨状は飢餓が進行する地獄の状況である。これ以上の犠牲を食い止める。それが停戦だ。
 なぜ、停戦が実現しないのか。停戦を拒み、戦争継続することを望む勢力が、今なお一定の影響力を失っていないからだ。イスラエルのシオニスト政府は「停戦はハマスの生き残りを許す」と言い、ウクライナ政府は「ロシアの占領地が拡大している中での停戦はロシアを利するだけ」と言う。だが、停戦は和平でもなければ、根本解決でもない。停戦は双方の「撃ち方やめー」の暫定措置であり、それ以上の犠牲を防ぎ、そこから国際社会を舞台に「非暴力不服従の交渉」が始まるのだ。
 ガザをめぐる戦争とウクライナをめぐる戦争は同じではない。ガザへの攻撃はイスラエルの植民地戦争であり、「非対称戦争」(圧倒的な軍事力の差)の典型である。ウクライナ戦争は、もはやロシアと米欧の代理戦争の様相を呈している。和平や解決の方向性は異なるが、これ以上の犠牲を食い止め、国際法に基づく外交交渉の環境をつくり出すことが、ともに緊急で、最も重要な課題だ。
 
地域ぐるみの闘いが陸自演習場を阻止
「武力こそが平和をつくる」という「防衛政策」は、日本政府も同じである。イスラエル政府にも、ウクライナ政府にも、交渉、停戦を強力に要求し、働きかけることをしないのは、この「防衛政策」と矛盾するからだ。
 自国において、中国との戦争を想定し、軍事力強化を急ピッチですすめるのも、この「防衛政策」に他ならない。沖縄、南西諸島で急ピッチにすすめられる大軍拡、ミサイル基地建設強行は「抑止力」を建前とするが、実態は「反撃力」「先制攻撃能力」そのものである。だが、この軍事力増強による実際の戦闘では、より多大な住民犠牲を伴うことを多くの市民が気づき、見抜き始めている。
 沖縄県うるま市に、陸上自衛隊の新たな訓練場建設を強行しようとしたことに対して、地元住民が「住宅地や青少年教育施設のそばに、危険な軍事施設はごめんだ」と地域ぐるみで抗議し、計画撤回を要求した結果、木原稔防衛相は4月11日、予定地の取得を断念し、計画を白紙に戻すと表明した。しかし、「県内で別の候補地を探す」とする一方、3月31には、うるま市勝連の陸自分屯地に地対艦ミサイル連隊を沖縄島で初めて配備、始動させ、沖縄全島でのミサイル部隊配備による軍事要塞化を強行しようとしている。ミサイル基地などによる軍事要塞化は沖縄だけではない。京都や大分でもミサイル弾薬庫増設計画が強行されようとしており、これに対して地元住民による反対運動が広がっている。
 こうした住民の反発の広がりに慌てたのか、自衛隊は「先の大戦で沖縄の住民を守り切ることができなかったという反省に立ち、南西地域の国民保護は極めて優先順位が高い任務と考えている」(吉田統幕長)と取り繕い始めた。だが、これらが批判をかわすための単なる方便に過ぎないことは明らかだ。自衛隊が、沖縄戦で旧日本軍がなぜ住民犠牲を防げなかったのか詳細に分析し、今日の状況で住民犠牲を最小限に抑える方策を公的に示した形跡はこれまでにない。「自衛隊、米軍一体化で住民を守る」もでたらめだ。そもそも、米軍はいくつもの戦争を行い、関与しているが、国際法(ジュネーブ条約等)に示された軍民分離や住民保護の規定を遵守してきた験しはない。さらに、自衛隊幹部は国民保護法の住民保護に関して「戦闘中の自衛隊に余力なく、国民保護の役割は自治体に丸投げせざるをえない」旨を度々公言してきた。
 軍事と住民の安全は両立しない。軍事を排除することが住民の安全を保障する。日本国憲法やジュネーブ条約など国際法はそのことを高らかに謳っている。無防備・平和こそが一番であることを堂々と主張し、その声を広げるときだ。

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