今月を視る(「むすぶ」2013年8月号)2013/08/20 15:31

「国家安全保障基本法」―「秘密保全法」を秋の国会提出画策
    安倍戦争政権の改憲先取り攻撃に正面から対決を!

8月5日、住宅地から2キロしか離れていないキャンプハンセン内に嘉手納基地所属の空軍ヘリが墜落、炎上した。オスプレイを含む軍用機の事故がいつ起こっても不思議ではないことを物語る事故だ。犠牲になった米兵を含めて、これ以上の悲劇は二度と起こしてはならない。だが、米軍と日本政府にとってはそうではないらしい。沖縄中が不安と怒りが渦巻く中、米軍は形だけの「配慮」の後、わずか1週間で岩国からのオスプレイ追加配備を強行した。普天間基地に24機ものオスプレイがひしめくことになる。米軍のこんな「好き放題」がなぜ許されるのか。日本政府が「弱腰」だからではない。オスプレイ導入も辺野古新基地建設も日本政府にとって既定路線であり、日本の「防衛計画」の一環として青写真に入れているからだ。小野寺防衛相は、「普天間が辺野古に移転されれば、(米軍機は)訓練場まで海上をずっと飛び、市街地を通らなくていい」と、事故さえ利用して、「辺野古新基地建設の必要性」を強調した(8月10日、読売TV)。地元自治体の調査によるオスプレイの「飛行ルール」違反が2ヶ月で318件にものぼるとの指摘に対して、「合意違反の確証はなかった」と住民の不安と疑念をばっさり切り捨て、愛媛県上空も含まれる「オレンジルート」などの本土での訓練においても、米軍からの日程や飛行ルート等の情報提供の途絶えを放置しているのは、「オスプレイ沖縄にありき」の日本政府の意思によるものである。辺野古新基地で自衛隊がオスプレイを活用し、海兵機能を獲得するというシナリオがほぼ明らかになってきた。オスプレイ沖縄配備撤回、辺野古新基地建設阻止の闘いは、日本政府の軍備拡張、改憲路線との正面からの闘いである。

参議院選で96条先行改憲をめざすための3分の2を確保できず、改憲日程を当面先延ばしせざるを得なくなった安倍内閣は、改憲の先取りとして、これまでのように(違憲の)立法措置によって、集団的自衛権の行使の「合憲」化に乗り出した。この秋の国会に提出するとされている「国家安全保障基本法」と「秘密保全法」がその軸である。

現在の自民党作成の国家安全保障基本法(案)は,内閣法制局がコミットする「閣法」ではない。従来、内閣法制局は集団的自衛権の行使は違憲としてきたからだ。そのため安倍内閣は、内閣法制局長官を集団的自衛権行使容認派の外務省出身者に首をすげ替えた。

「国家安全保障基本法案(概要)」(2012年7月6日発表)は、「我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態」に自衛権を行使するとし(案第10条)、これまでの「4類型」(①公海上で攻撃された米軍艦船の防護②米国を狙った弾道ミサイルの迎撃③国連平和維持活動(PKO)に参加中に攻撃された他国軍の救援④戦闘地域での他国軍への後方支援)に限らず、憲法9条違反の集団的自衛権行使を全面的に解禁し、これまでアメリカが集団的自衛権を口実に行ってきた他国への違法な侵略戦争や干渉を、今後は日米が一体となって行うという平和主義を完全に死滅させる内容である。また、「国家安全保障基本法」は、その実効のため法律を次々と整備することを定めている。秘密保全法、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法、集団自衛事態法、自衛隊法における集団自衛出動任務規定・武器使用権限に関する規定、国際平和協力法案などが列挙されている。

「秘密保全法」の骨格が明らかにされた(8/8毎日新聞)。軍事機密保全、具体的には米軍との共同作戦を実施するために必要な情報保全体制を構築することが目的とされ、政府が勝手に「秘密」と指定したものに、規制対象者を広範囲に広げ、罰則規定の重罰化を重ね、国民の知る権利を封殺するファシズム的内容である。

こんな違憲法の「成立」は、沖縄県41自治体の抗議声明、決議など完全に封殺されることを意味する。オスプレイ沖縄配備撤回、辺野古新基地建設反対を沖縄の人々とともに闘い、安倍戦争内閣の改憲先取り策をつぶす取組みを全国に広げよう。

「むすぶ」目次(2013年8月号)2013/08/20 15:32

■ 今月を視る/「国家安全保障基本法」―「秘密保全法」を秋の国会提出画策
 安倍戦争政権の改憲先取り攻撃に正面から対決を!
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