今月を視る(「むすぶ」2014年7・8月号より)2014/08/13 12:03

いつでもどこでも、あらゆる抵抗の嵐を!
集団的自衛権行使と一体の名護・辺野古新基地建設は絶対に許さない!
安倍内閣が「集団的自衛権行使解禁」の閣議決定を強行した7月1日、政府の指示を受けた沖縄防衛局はキャンプ・シュワブ内の飛行場建設予定地にある既存の兵舎や倉庫などの解体工事に着手した。調査や設計業務などでなく、具体的な工事の着手は今回が初めてである。これは、安倍政権にとって、「集団的自衛権行使」体制=「いつでもどこでも武力行使」体制の欠かすことができない重要な柱として名護・辺野古新基地建設が位置づけられていることを明確に示している。

民主主義の形式、手続きすら無視してすすめる安倍内閣の手法は、沖縄においてはいっそうなりふり構わぬ強引さを際立たせている。地元名護市民はもちろん、沖縄の住民意思は、安倍政権にとって、全く政策判断のらち外である。自治体は、国の出先機関に過ぎない存在であり、「国益」、「公益」のためには、躊躇なく切り捨て、抵抗するなら、徹底的に弾圧する。「自民党憲法改正草案」の先取りである。

安倍内閣にとって、工事強行の唯一の「合法性」は、仲井眞県知事の「埋め立て承認」だけである。すでに3選を狙って立候補を表明し、賭けに出た仲井眞県知事は、「これまで『県外移設が早い』などとしてきた発言から一転、普天間の危険性除去策として辺野古移設推進の立場を明確にした。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古沖の埋め立て承認については『普天間飛行場の問題を解決する最短の方法だと私は信じている。早く終わりにする』」(琉球新報)と居直り、安倍政権との心中の道を選んだ。これが、「沖縄防衛協会会長」の本質であり、県民を裏切る者の末路として歴史に記さなければならない。

県知事を完全屈服させ、手中に収めた安倍政権の既成事実づくりが急ピッチにすすめられている。「近く実施される浮標灯(ブイ)設置や海底ボーリング調査に関し、26日も作業開始に向けた動きが加速化した。県警は27日にキャンプ・シュワブのゲート周辺に新たに鉄柵を設置する方針だ。海上保安庁は26日、海上での抗議行動を排除するためとみられる巡視船4隻を初めて辺野古沖に投入した。ブイ設置に向けた作業は28日にも開始される見通し」「キャンプ・シュワブ沿岸部で27日午前、桟橋の設置作業が行われた。沖合約50メートルの距離まで浮桟橋が整備されており、浮具(フロート)などの設置作業の準備がほぼ整った」(琉球新報)と連日、地元紙が報道している。秋の知事選を待たず、既成事実化によって「新基地建設方針は不変」を印象付け、県民世論に「あきらめ」を植え付けようとするパフォーマンスである。「勝負どころ」は、秋の名護市議選、沖縄知事選を新たな出発点に、連続して訪れる。安倍政権のパフォーマンスに動じることのない腰を据えた、持続的な闘いが準備されている。

普天間基地のKC130空中給油機(全15機)の岩国基地への移駐(厚木基地の空母艦載機59機も移駐する予定で、米軍の拠点化がすすむ)、さらに、陸自に導入するオスプレイの佐賀空港への配備計画(普天間基地のオスプレイの移転も視野に入れている)は、名護・辺野古新基地建設に向けた「工事着工」に完全に連動したものである。これらの動きは、名護・辺野古新基地建設と引き換えの「5年以内の普天間基地返還」を演出するものであるが、これ自体、普天間基地はすでに不要であることを示しているにすぎない。だが、安倍政権の狙いは、もっと深い。これらは、名護・辺野古新基地を拠点とする南西緒島自衛隊大増強計画に加え、西九州における自衛隊の「海兵隊機能」を備えた前線基地(佐賀空港と佐世保の米軍、自衛隊基地の一体化)、さらに、岩国の巨大な航空基地をむすぶ大軍事増強計画である。

「いつでも、どこでも武力行使」のための拠点基地づくりは、絶対に阻止しなければならない。

「むすぶ」目次(2014年7・8月号)2014/08/13 12:22

■ 今月を視る/ いつでもどこでも、あらゆる抵抗の嵐を!
集団的自衛権行使と一体の名護・辺野古新基地建設は絶対に許さない!
■ 寄稿/ 緊迫する普天間・辺野古の今、つづく闘いとこれから  沖縄国際大 西岡 信之                
■ 平和と生活をむすぶQ&A/ 集団的自衛権 安倍7月1日の閣議決定 強行
私たちは戦争への道を許さない!
■ 映像コーナー/『語られなかった悲劇~沖縄・対馬丸撃沈から70年』を観て思う
■ 読者つうしん/「日の丸・君が代」攻撃に地域から反撃したい  堺市 大町 英三
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