今月を視る (「むすぶ」2021年11・12月号より)2021/11/30 13:39

変わらぬ軍拡、沖縄切り捨て路線に地域から対抗
「遺骨土砂を埋め立てに使うな」自治体意見書運動を広げよう!

“改憲勢力”が4分の3(75.7%)
10月31日投開票の衆議院選挙は、私たちが期待した結果にはならなかった。とくに改憲勢力を3分の2以下に抑え込むことができず、それどころか「与党である自民党(261議席)、公明党(32議席)、右翼性向野党の日本維新の会(41議席)、第3野党の国民民主党(11議席)など、憲法改正に肯定的ないわゆる“改憲勢力”が衆議院の全465議席で75.7%に当たる352議席を獲得した」(読売新聞11月3日)。とんでもない状況だが、それだけで恐れをなさなければならないわけではない。何よりも、“改憲派”に投票した人々が「改憲」を期待して投票したわけではないからだ。現状は、上からの「改憲」推進でしかなく、下からの「改憲」期待やその気運などほとんどない。維新が、アドバルーンとして打ち出した来夏の「参院選挙と国民投票の同時実施」は、単独では国民投票など到底できないからだ。調子に乗った改憲派の暴走に重大な警戒心を払いつつ、政府、改憲勢力が改憲の内実化として打ち出してくる一つひとつの課題に対決し、しっかりと抵抗の陣形を整えよう。そのうえで、なぜ、今回の衆議院選で前進できなかったのか?私たちも平和、民主主義勢力の一翼として、率直な論議をすすめていきたい。

「防衛費2%以上」計画が浮上
岸田新政権の安保・外交政策は、安倍・菅路線をそのまま継承するもののようだ。当初の「ハト派」色は一切消えた。東アジア平和構築に向けた軍縮ではなく、対中国軍拡一辺倒である。
 岸田政権が初めて手がける来年度予算編成では「防衛費」が特別扱いされ、予算編成作業が進められると報道されている。現在、国内総生産(GDP)比で1%程度の防衛費を「2%以上に」という方針をねじ込ませようというものだ。国会でも、国民の間にもほとんど知られていないのに「2%以上に」は事実上の対米公約になっているという。防衛費のGDP比は総額の目安として使われてきた。1976年に三木内閣は「1%以内」と閣議決定。86年に中曽根内閣が1%枠を撤廃したものの、その水準を大きく超えることはなかった。安倍政権によって、毎年増額されてきたが、現在の「防衛費」は約5兆3千億である。1%から2%に引き上げるとすれば、単純に2倍として10兆円を超える。10年後計画だとしても毎年、0.5兆円以上の増額が必要だ。予算面から見て、この「防衛費」増大は国民生活破壊を伴うことは明らかだ。この事実を「見える化」し、この無謀で無茶な計画をストップさせなければならない。

自治体意見書-12月議会以降もアプローチを!
 辺野古新基地建設については「辺野古が唯一の解決策」を繰り返し、宮古島では、住民の反対の声を無視し、抗議行動を暴力的に排除して、ミサイル弾頭、弾薬の搬入を強行。沖縄・南西諸島での大規模な軍事演習を実施、石垣港など民間港や民有地を使用して輸送演習を強行実施している。岸田新政権に安倍・菅政権からの変化は一切ない。
 この戦争路線に対抗する方途は、現地での闘いを全力で支援するとともに、全国に反対の声と行動を広げる運動だ。「遺骨土砂を埋め立てに使うな」自治体意見書運動はその一つである。6月議会では、5議会だったものが、9月議会では20倍以上の130以上の議会に広がった。沖縄県内では26議会が、県外では長野県の14議会、大阪府の11議会など31都道府県、133の自治体議会で可決採択された。大阪市、堺市、福岡市の政令市でも、採択されたことは特筆すべきことの一つである。
大阪「団結まつり」に沖縄からかけつけてくださった「ガマフヤー」具志堅隆松さんらは、『12月議会以降も「遺骨土砂問題」意見書の運動を継続し、例え「辺野古」「基地」に踏み込まないものであっても、とにかく一つでも多くの自治体で意見書可決という「実」を取って欲しい。そもそもこの意見書は全会一致採択されなければおかしいものなので、まだ意見書を上げられていない自治体へのアプローチを強め、意見書可決の事例を増やし、国への圧力を強めたい。』と訴えられている。この訴えを受けとめ、一人ひとりの具体的取組みで応えたい。

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