今月を視る(「むすぶ」2026年6月号)2026/06/22 16:05

米・イラン戦争の停戦から中東の平和・安定構築へ前進を!

ようやくの停戦
 「もうこれ以上関わっても大きな得はない」。トランプ大統領の本音がそこにあることが透けて見えるこの間の動きであった。6月16日を前後して、米イラン両政府が戦闘終結に向けた覚書に合意し、署名するとそれぞれ発表した。ようやくにである。ホルムズ海峡問題や核開発問題などは60日程度の間に協議が行われるとのこと。先往きはなお不安定との情報が多いが、しばらくは少なくとも大規模な住民虐殺が止まる。これは何よりも歓迎されるべきことである。
 だが、ありもしない「差し迫った脅威」を口実に、一方的に、しかも停戦協議中に大規模攻撃を行ったトランプとネタニヤフの国際法違反の犯罪行為は決して「無かったこと」にしていい問題ではない。
イラン側の死者は小学校爆撃事件を含め3千人以上、イスラエルは「ヒズボラ殲滅」を叫んでレバノンに侵攻し、3700人以上を虐殺した。いずれの犠牲者もガザと同様に武器を持たない子供を含む住民が大半であった。今後の協議では、これらの人的、経済的被害の回復、正当な補償に加えて、再び今回の戦争のような無法を繰り返させない保障が国際監視のもと話し合われることが求められる。
 イスラエルは覚書合意発表前、レバノンを空爆し、停戦妨害の挙に出たが、イスラエルが、今後も停戦妨害の挑発を繰り返すことも予想できる。ネタニヤフは自らの汚職裁判を引き延ばし、政権を維持するためには、戦争を続ける以外ないからだ。
トランプは失敗した
 イランへの攻撃で体制転覆、中東支配権を強くしたいというのがトランプの本当の狙いであったが、それに失敗し、得るものがなくなったイランから早く手を引きたいと考えたトランプにとって、自分の意向に従わないイスラエルのこの間の動きは、目に余るものになっていた。
 トランプの苛立ちがついに爆発。トランプ米大統領がネタニヤフ首相との電話協議で、「今や誰もがお前を嫌っている」「完全に狂っている」など、ネタニヤフを罵倒したことが報じられた。さらに「俺がいなければ、お前は刑務所に入っていた」と強い不満をあらわにしたとも。
 ネタニヤフは、収賄や背任などの罪で2019年に起訴され公判中。トランプがイスラエルの司法に圧力をかけたのは事実で、米国の庇護がなければ、パレスチナでの蛮行などイスラエルの無法はここまでひどいものにはならなかったのだ。
世界は終わってなんかいない
米国とイスラエルの無法がまかり通っている現状を見て、「世界は終わっている」と感じてしまう人も多い。だが、「世界は終わっていない」と思えるニュースもある。国連安全保障理事会(15カ国)の非常任理事国のうち5カ国を選ぶ選挙が6月3日、国連総会で行われ、ドイツが敗れる波乱があった。 非常任理事国は地域ごとに選出され、西欧その他枠(2カ国)では、ドイツとオーストリア、ポルトガルが立候補。結果はポルトガルとオーストリアが選ばれ、ドイツが落選となった。欧州で国連分担金を最も支払い、安保理の常任理事国入りも狙っているドイツにとって、「異例」の敗北となったという。
敗因の一つに、パレスチナ・ガザへの攻撃で、国際法違反が指摘されるイスラエルを正しく批判しなかったことが、他の欧州諸国からの信頼を失っていたとのこと。ヨーロッパを含む世界の大多数は、米国、イスラエルの行いに一つの正当性もないとみているということだ。不正義を容認する国は、圧倒的に少数派だ。
高市政権の一日も早い崩壊めざして
日本も、米国、イスラエルの無法に口をつぐみ、まともな批判をしない圧倒的少数派の一員でしかない。国際社会で繰り返される無法行為に口をつぐむだけでなく、陰でイスラエルと武器取引を行うなど、無法行為の加担を行っている。日本社会をあらゆる領域で徹底的に軍事化し、ついには、憲法9条の破壊に向けて改憲への道を整備する「国民投票改正案」を可決させた。「公職選挙法に規定をそろえるだけ」だというが、公職選挙(国政選挙や自治体選挙)並みに、改憲のハードルを下げるという危険な狙いを覆い隠した暴挙だ。
 個人の「人権と平和」最優先の社会ではなく、「国家と力」が最優先の社会へと一目散の高市政権の一日も早い崩壊に、あらゆる努力を集中して取り組まなければならない。

「むすぶ」目次(2026年6月号)2026/06/22 16:06

■ 今月を視る / 米・イラン戦争の停戦から中東の平和・安定構築へ前進を!
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