「むすぶ」目次(2026年5月号)2026/05/17 22:01

■ 今月を視る /「自衛隊明記」の改憲を阻止する取組みをあらゆる領域で!
■ 報告 / 結成から1年「東大阪でヘイト問題を考える会」 東大阪市 桐生隆文
■ 沖縄レポート / 沖縄恨之(ハンノ)碑(ヒ)建立から20年 読谷村でシンポジウムと追悼会
                     沖縄国際大元講師 西岡信之 
■ 映像あんない / 映画『医の倫理と戦争』 山本草介監督  堺市 桐生一章
■ 読者つうしん / 米大リーグ人気と「いまいち」人気の日本プロ野球
      事務局 豆多敏紀
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年5月号)2026/05/17 21:59

「自衛隊明記」の改憲を阻止する取組みをあらゆる領域で!

改憲発議へスピード・アップ
「時は来た。改憲に向け総力を挙げ、国会で議論を進める。発議に何とか目途が立ったと言える状態で、来年の党大会を迎えたい」。高市首相は、4月12日の自民党大会で改憲への意気込みをこうぶち上げた。ゴールデン・ウイーク中には、小泉防衛相とともに、アジア太平洋地域の国々をそれぞれ歴訪(高市はベトナム、オーストラリア、小泉はインドネシア、フィリピン)し、中国に対抗する軍事的連携強化と、武器供与、売り込みの「トップセールス」を精力的に行った。この歴訪に向けて、政府は、すでに4月21日の閣議と国家安全保障会議(NSC)で、武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定。完成品輸出を非戦闘目的に限る「5類型」を撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出をほぼ全面解禁。「死の商人」国家たることを堂々と宣言している。そして、この歴訪で、フィリピンに海自の中古護衛艦(駆逐艦)を武器輸出解禁第一号として供与することを発表した。
さらに、高市首相は憲法記念日の5月3日、改憲派の集会にビデオメッセージを寄せ、「議論のための議論であってはなりません。私たち政治家が国民の皆様の負託に応えるために行うべきなのは、決断のための議論です」、「憲法は、時代の要請に合わせて本来、定期的な更新が図られるべきだ」など、いつものとおり何の根拠も示さず、説明もなしにさらりと改憲に向けてスピード・アップすることを訴えた。「決断のための議論」とは、条文の改変で社会や市民の生活がどう変わるのかという具体的論議はもはや必要ではなく、どの条文をいつ変えるのかの論議だけでよいということだ。いわば改憲そのものを目的とする論議でよいと言っているに等しい。すでに、高市は来年春までに改憲発議の目途を立てたいと明言し、国会での「決断に向けた議論」のスピード・アップを求めている。
改憲派の集会には、改憲へのアクセル役を自認する日本維新の会の議員や、野党から国民民主党の玉木代表らも出席し、与野党一体となった改憲布陣を整えようとしている。
現状では、「どの条文をいつ」については一様ではないらしい。自民党は9条の1項・2項を維持しつつ自衛隊を明記する案を掲げるが、日本維新の会は9条2項削除と「国防軍」明記を主張。国民民主党は緊急事態条項や合区解消を優先課題とし、参政党は国際情勢を踏まえた改憲(国益や反グローバリズムの観点から一つひとつ判断)を支持するとしている。
何を優先すべきかの多少の違いはあるにせよ、これら改憲派は「9条」の改変と「改憲そのもの」で一致していることは確かだ。

自衛隊を明記しても何も変わらない?
2月の衆議院選挙での自民大勝の結果、衆議院議員の90%が改憲に賛成、反対はわずか4%という恐ろしい状況がつくられ、メディアの世論調査でもあらかた改憲に賛成が反対を上回るという懸念すべき状況も生まれている。「緊急事態条項」は23年、24年の調査とは逆の結果となっているが、「自衛隊明記」に関しては、23年、24年に続いて今回も賛成が反対を大きく上回っており、安定した支持が維持されているとされる(5月3日毎日新聞)。当然、世論誘導も周到に行われているはずだが、中でも「自衛隊明記」で現状がどう変わるのかの具体的論議も見せない中、安倍晋三が主張した「自衛隊を憲法に明記しても、『現状を認める』だけで『何も変わらない』」に世論が大きく誘導されていっていることが調査結果に表れていると考えられる。
事実は大きく異なる。憲法9条に「自衛隊明記」の条項が加えられれば、社会の状況は、『何も変わらない』どころか一変する。そのことを具体的に明らかにし、世論に働きかけることが求められる。

「自衛隊明記」で「徴兵制」も合憲
実際に、憲法に「集団的自衛権行使」や世界中での戦闘を可能にした安保法制を前提とした自衛隊明記が実現した場合、「戦争放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」を内容とした従前の9条は死文化し、自衛隊が世界中で戦闘を行うことも憲法上問題なしとなる可能性は高い。
最も悪影響が懸念されるのは、徴兵制に関する問題である。憲法に自衛隊が明記された場合、「憲法上の組織である自衛隊の維持は政府の憲法上の責務」という理屈で、政府が徴兵制を実施しても、「それは違憲だ」という法理が簡単に排斥される可能性が高くなる。「まさか徴兵制までは」との見方もあるが、ウクライナ戦争などを背景に世界で一旦停止していた徴兵制が次々と復活、再開している世界の実例をみれば、あながち「日本ではありえないこと」とは言えない。リトアニア(2015年再開)、スウェーデン(2018年再開)、オーストリア(2013年の国民投票で継続決定)、ラトビア(2023年再開決定、2024年1月から実施)、ノルウェー(2024年4月、募集人数拡大を発表)、デンマーク(2026年から女性に対象拡大)、ドイツ(2026年1月復活)というのが世界の現実だ。
「憲法9条に自衛隊が明記され、合法化したら徴兵制を導入しやすくなるでしょう」、「かつて私は隊員募集の幹部自衛官から『昔の日本みたいに赤紙1枚で徴兵ができればよいのにな~、いずれ近い将来、隊員不足を補うために徴兵する時代が来る』と聞いたことがあります」と、元自衛隊員の実名での証言もある。
もし自衛隊が実際に戦闘に参加するようになれば、真っ先に取りかかるのは隊員の補充ということになる。命を落とす危険な業務には、補充できる人を使うのが軍隊の常識。お金をかけて、十分な訓練をした隊員は温存しておくというのが軍隊組織の鉄則でもある。実際の訓練でも、自衛隊の車両が走行しているのを見ればわかるように、大抵、曹士隊員(旧軍で言えば軍曹以下の下級兵士)が乗った大型トラックが先頭を走り、幹部が乗った小型車(ジープ等)はその後を走る。これは、危険な場所を走行するときには、まず補充が容易にできる兵士を先に行かせる、つまり曹士隊員を盾にして幹部が生き残れるようにするという軍隊の基本的な作戦である。
また、自衛隊明記の改憲は、民間人(医師・看護師・薬剤師・建築・土木・運送・通信・港湾・空港に関わる民間業者等)の戦地派遣が憲法上も正当化される可能性が高くなる。
社会の軍事化に拍車がかかるのは必至だ。自衛隊が地域行事や学校行事に「普通」に参加するようになるだけでなく、学問の軍事利用が常態化することになる。
すでに、『「戦う」自衛隊』へのアピール活動が頻繁に行われている。2月27日、陸自第32普通科連隊(大宮駐屯地)が埼玉県内(吉川市)で行進訓練を実施。地元自治体がHPで「隊員への激励、声掛け」を促し、保育園での園児とのふれあいを演出。5月30日には、兵庫・加西市で県内初の陸自の市中パレード(陸自青野原駐屯地創設50周年祝福)が予定されるなど、各地で基地外での活動が活発化。
さらに、政府は、自衛隊の階級名の変更(1佐→大佐、2佐→中佐等)や、職種の呼称変更(普通科は「歩兵科」、特科は「砲兵科」、施設科は「工兵科」など)を方針化している。

現場自衛隊員と家族の悲痛な声
世論調査で、自衛隊明記の改憲に賛成が反対を上回るという状況がある一方、当の自衛隊員や家族の切実な声に耳を傾ける必要がある。元海上自衛隊員であった西川末則さんは、「9条があったおかげで、私たち自衛隊は戦争に行かずに済みました。日本は憲法の平和主義に基づき、戦争している国々の調整役になるべきです」、「自衛隊を憲法に明記する憲法改正には反対です」と述べている。幹部自衛隊員以外の実際に戦場に行かされる曹士隊員たちの多くは、「自衛隊の海外派兵」や「自衛隊明記の改憲」に反対しているのが実態ではないだろうか。公然とは声をあげ難いが、高市が首相になったことを悲しんでいる隊員や家族がかなりいることは間違いない。

世界中での自衛隊の武力行使を可能にし、「徴兵制」、「民間人の戦地派遣」なども可能にする「自衛隊明記の改憲」に反対する主権者は、「不断の努力」(憲法12条)でもって、国内外のあらゆる領域に取組みを広げ、「戦争する国」に日本を変える高市自民党の改憲を必ず阻止しよう。

「むすぶ」目次(2026年4月号)2026/04/13 20:09

■ 今月を視る / 停戦遵守こそ、世界に「平和と繁栄をもたらす」第一歩
■ 解説 / 海中に潜む破壊兵器「機雷」      事務局 岡本 誠
■ オピニオン / 核のゴミを無責任に生み出し続ける原子力政策  
サヨナラ原発福井ネットワーク 山崎隆敏  
■ 沖縄レポート / 辺野古沖転覆事故-最大の責任は工事強行する自民党政治
          沖縄国際大元講師 西岡信之  
■ 読者つうしん / 対馬丸と安仁屋宗八    広島市 日南田成志
■ 読者つうしん /「しゃべり」にも役目が    堺市 渕上經子
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年4月号)2026/04/13 20:07

停戦遵守こそ、世界に「平和と繁栄をもたらす」第一歩

イスラエルは停戦破壊に狂奔
昨年10月にガザで停戦発効してから4月10日で半年が経過した。しかし、パレスチナ・ガザでイスラエル軍による住民虐殺、暴力抑圧、占領は止まない。6日には、世界保健機関(WHO)職員だったパレスチナ人男性がイスラエル軍の銃撃で殺害された。医療機関のマークが入った車両を運転してガザを南北に結ぶ幹線道路走行中にイスラエル軍に銃撃され殺されたのだ。イスラエル軍が占領し、居座り続ける「イエローライン」付近での発砲であった。
9日には、小学3年の女児が授業中にイスラエル軍の銃弾を受け殺された。女児はガザ北部の仮設テントで他の児童と共に授業を受けていたところだった。
ガザ保健当局は9日、イスラエル軍の攻撃で過去24時間に2人が死亡し、21人が負傷したと発表。停戦発効後の死者は738人、2023年10月の戦闘開始後の死者は7万2317人になった。
ヨルダン川西岸でも、イスラエルによる暴力と急激な植民地拡大の攻撃が繰り返されている。
昨年3月、ドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』の共同監督の一人ハムダーン・バラールさんが、武装したイスラエル人の入植者数十人に襲撃された後、イスラエル軍に拘束され、一晩中手錠をかけられて軍事基地の中でも暴行されたという事件は記憶に新しい。
今年に入っても、違法な入植者とイスラエル軍によるパレスチナ住民への襲撃は頻発、拡大の一途だ。
3月21日にはユダヤ人入植者の過激派がパレスチナ人の複数の集落を襲撃。住宅や車、農地に火を放った。国連によると、米国とイスラエルがイランを攻撃して以来、ヨルダン川西岸では入植者による暴力が急増しているとのこと。3月1日以降、入植者によって殺害されたパレスチナ人は6人に上る。
欧州連合(EU)とイギリスは、入植者によるパレスチナ人への暴力急増を食い止めるようイスラエルに求めている。また、国連は3月17日、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの急激な入植地拡大を直ちに停止するよう求め、1年間で3万6000人以上のパレスチナ人が避難を強いられたとして、「民族浄化」の懸念を表明した。
パレスチナ保健省の統計に基づくAFPの集計によると、2023年10月のガザ戦争開始以降、西岸地区ではイスラエル軍や入植者によって少なくとも1045人のパレスチナ人が殺害された。国連は調査期間中、死傷者や物的損害をもたらした入植者による暴力行為を1732件記録した。前年の1400件から大幅増となった。報告書は「入植者による暴力は、組織的かつ戦略的で、ほとんど阻止されることなく継続しており、イスラエル当局が中心的な役割を果たしている」と指摘している。
国連のボルカー・ターク人権高等弁務官はイスラエルに対し、「即座に入植地の設置と拡大を完全に停止」し、「すべての入植者を撤退させ、パレスチナ領土の占領を終わらせる」ことを求めた。
さらに3月30日、イスラエル国会(クネセト)は、殺人を伴うテロ攻撃で有罪となったパレスチナ人を原則死刑とする法案を可決。同法は、イスラエルの軍事法廷において、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区のパレスチナ住民がイスラエル人を殺害する「テロ行為」と見なされる攻撃を実行した罪で有罪となった場合、最大90日以内に絞首刑を執行するよう定めている。もはや、ナチス同等の凶悪犯罪国家イスラエルである。

トランプ、ネタニヤフは速やかに退場を
4月8日朝(日本時間)、米国とイランが即時停戦で合意した(イスラエルも合意)にもかかわらず、直後にイスラエルがレバノンに大規模攻撃を行い、多数の市民を殺傷した。ネタニヤフもトランプも、「レバノンは停戦合意の対象外」(仲裁国パキスタン政府はレバノンを含むと明言)とうそぶき、戦争で支配することしか考えない彼ら「戦争屋」の無軌道ぶりを露呈させた。
3月19日、高市首相は日米首脳会談で「平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」とトランプを持ち上げたが、それはすなわち「トランプとネタニヤフが退場するしかない」を意味するとあらためて理解しなければならない。そのように理解できないなら、今後「国論を二分する」政策に狂奔する前に、速やかに退陣してもらうしかない。

「むすぶ」目次(2026年3月号)2026/03/15 20:31

■ 今月を視る / 違法不法のイラン攻撃にNO! 世界の市民は黙らない
■ オピニオン / 発効から5年の「核兵器禁止条約」   
   市民の国際ネットワークに依拠、連帯し、さらなる前進を! 豆多敏紀
■ 沖縄レポート / 1400年前から続く他国侵略の基地はいらない   西岡信之             
■ アピール / 朝鮮半島から動員された戦没者遺骨を家族の元へ   古川雅基 
■ エッセイ / ヘミングウェイ作『清潔で、とても明るいところ』
ゴッホの『夜のカフェテラス』に触発されて    若谷政樹
■ 読者つうしん / 次代を脅かす宝塚のPFAS汚染-より広範な公的検査を!
加納健次 
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年3月号)2026/03/15 20:30

違法不法のイラン攻撃にNO! 世界の市民は黙らない

「悲しい出来事」などではない
米国、イスラエルが「力による現状変更・支配」の軍事力を勝手気ままに、振り回している。米国支援の下、イスラエルによるパレスチナ住民虐殺、植民地支配の攻撃は止まず、米国は1月にベネズエラに軍事侵略し、2月末には米国とイスラエルがイランを大規模に軍事攻撃し、中東全体に戦火を広げている。これらの全てが国際法違反であり、歴史を何世紀も前に巻き戻す「野蛮」以外に言いようのない振る舞いである。
2月28日の攻撃では、イランの最高指導者ハメネイ師ほか多数の政府要人を殺害しただけでなく、女子小学校をミサイル攻撃し、160人以上の児童(教職員含む)を虐殺した。トランプは当初、この攻撃を「イランの仕業」と強弁していたが、事実は米軍による「誤爆」であり「過去数十年で最も壊滅的な軍事的過ち」(ニューヨーク・タイムズ)ということが暴露されている。すでに米国とイスラエルの攻撃により、イラン国内での死者は1332人に上っている(3月6日時点)。
かつて、アフガニスタンやイラクで米軍は同じ「過ち」を何度も繰り返し、イスラエルはガザで「承知の上」でこの「過ち」を今も行っている、自らの犯罪であるにもかかわらず「悲しい出来事」で済ませ、「最小限の必要な犠牲」と居直る傲慢な態度を改めようとはしない。米国やイスラエルのこんな非道な行いに一片の大義も常識もないことは、世界のだれの目にも明らかだ。

黙る世界の「民主主義国家」
ブッシュのイラク攻撃を知るものなら、トランプの今回のイラン攻撃にだれもが「既視感」を感じている。だが、違いもいくつかある。その一つは、欧州の大国、G7などの国々がトランプの国際法違反の暴挙に口を閉ざしていることだ。ブッシュのイラク攻撃の際には、米国は「国連決議による行動」の体裁を目論んだが失敗し、米英を主とした「有志連合」の行動として攻撃を強行した。そのため、フランスやドイツは国際法違反の違法な戦争として厳しく批判した。
今回のイラン攻撃は、「国連での合意」など最初から眼中にない行動であるにもかかわらず、大方の大国は、「国内の米軍地使用に同意しない」と毅然とした態度を示したスペイン政府を除いてほとんどが黙ったままだ。「国際法に反する先制攻撃への批判を棚上げし、激化する戦争の責任をすべてイランに押し付ける。不誠実だと言わざるを得ない」(3/13毎日新聞社説)。
こんな常識すら即座には通用しなくなった世界の「民主主義国家」の現実に、市民の憤りが向かう。

日本はすでにこの戦争に関与している
 日本の高市政権も不誠実さは変わらない。イラク戦争では自衛隊を派遣し、戦争に加担したが、今回も国際法については一切語らない。イランへの攻撃には何も語らないが、イランの反撃についてははっきり非難する。米海軍横須賀基地を母港とするイージス艦ミリアスがホワイトビーチ(うるま市)に寄港した後、イラン攻撃に参加し、巡航ミサイル「トマホーク」を発射していたことが明らかになっても、その事実さえ米軍に確認しようとしない。
日本はこの戦争で石油など経済的影響を受けているのではなく、すでにこの戦争に関与しているのだ。

市民は黙らない
 市民はイラン攻撃に対する高市政権の対応に共感していない。時事通信の世論調査によれば、イラン攻撃を「支持しない」が75%、「支持する」は7%にすぎない。当の米国でも、59%がイラン攻撃の当初の決定に反対し、賛成は41%だった(CNN調査)。世界の市民は、黙っていない。
 「摂津市議会と日野市議会は、米国とイスラエルによるイラン攻撃を国際法違反と非難し、即時中止を求める決議を可決した。いずれも国政与党の自民党、日本維新の会系の会派を含む全会一致」(産経新聞3/10)。
世界から、全国から「国際法違反のイラン攻撃NO!」の声を高め、行動を強めよう!

「むすぶ」目次 (2026年2月号)2026/02/16 15:36

■ 今月を視る /「戦争止めてくるわ」の声合わせ、もう一度踏み出そう!
■ オピニオン / プルトニウム生成保管・核保有に執着-高市政権の原発推進政策  
                           東京 山根昭平
■ 沖縄レポート / 不幸な分裂を乗り越え、高市戦争政権を
         反ファシズム統一戦線で倒そう  沖縄国際大元講師 西岡信之                      
■ 報告 / 自前のBDS運動 in 広島 
イスラエル協力企業への抗議行動の拡大を!  広島 日南田 成志
■ 映像あんない /『在日ミャンマー人 -わたしたちの自由-』 事務局 岡本 誠
■ 読者つうしん / 少女たちの叫び 就学を禁じられたアフガニスタン
子どもの絵画展 in 大阪   RAWAと連帯する会 桐生佳子 
■ Information & Editorial Peace Note

今月を視る(「むすぶ」2026年2月号)2026/02/16 15:34

「戦争止めてくるわ」の声合わせ、もう一度踏み出そう!

「国論を二分するような改革に挑戦する」
「選挙に勝つ方法:はっきり話せ、しかし何も言うな」(英紙『タイムズ』)。衆議院選挙は自民党単独で3分の2の議席を獲得するなど改憲、軍拡勢力にフリーハンドを与えてしまう悪夢のような結果となった。
具体的内容は語らず「国論を二分するような改革に挑戦する」と謳ってきた高市。大勝後の会見で3点の重点政策を語ったが、「安全保障とインテリジェンスの強化」が本命であることは間違いない。トランプが「“力による平和”という保守的政策の実現において大きな成功を収めることを願っている」とエールを送ったように、高市政権が本当にやりたいことは、「軍事強国日本」である。

「帝国憲法」へのシナリオ
「安全保障とインテリジェンスの強化」とは何か。「安全保障の強化」とは「敵を殲滅できる軍隊」として、自衛隊を現代版「大日本帝国軍隊」にすることである。「インテリジェンスの強化」とは戦争を行うための諜報活動を合法化すること、日本版「CIA」づくり、現代版「特高警察」をつくることである。手始めとして内閣調査室 や公安調査庁を統括する「国家情報局」の創設を打ち出した。さらに現代版「治安維持法」である「スパイ防止法」がセットとして加わる。CIAや「治安維持法」がそうであるように「国家情報局」も「スパイ防止法」も「外国の諜報活動取り締まり」を口実に、国内の言論弾圧を行うことが真の目的である。
フリーハンドを得た高市政権がまず取り掛かるのは、(1)軍事費(「防衛費」)を3.5〜5%に引き上げることで「未来の軍事増税」へレールを敷く。(2)武器輸出を全面解禁して「普通」の「死の商人」国家になる。そのために、「経済成長」の柱の一つとして国内軍需産業への官民の「大胆」な投資を促す。(3)非核三原則の「見直し」(「持ち込ませず」を廃止)から将来的な「独自核武装」への道を形づくる。これらに国会審議は不要である。
法律の制定が必要なのは「スパイ防止法」と「国旗損壊罪」だが、すでに射程に入っているとみていい。並行して、選択的夫婦別姓は投げ捨てられ、外国人排除が当たり前のように行われ、原発推進を加速させる。そして、主権在民・人権第一・平和主義の日本国憲法を、国家第一の「帝国憲法」にとって変えるための国民投票を強行するというシナリオが描かれている。

運動が国会を変える
もはや国会の中ではほとんど期待が持てないことは確かだ。だが、国会の外では、やれること、やらなければならないことが山ほどある。国会のとんでもない状況を変えることができる本当の力は市民運動である。運動の力で与党の政策を変えることは可能だ。
遺骨の収集、DNA鑑定を政府の責任で行うことを求めて一貫して取り組んできた「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」などの市民運動が、長年の粘り強い取り組みによってこれまで拒み続けてきた政府、厚労省の現地調査をついに実現した(1月30日)。運動が政策や国会を変える実例の一つである。
投開票日を間近に控えた2月、SNS空間を「ママ戦争止めてくるわ」という言葉が席巻した。この言葉は瞬く間に「パパも止めてくるわ」「おじさんも止めてくるわ」に加工されたものを含め拡散され、最初の投稿の翌日にはX(旧ツイッター)のトレンド1位を記録。表示回数は数百万回に達したという。
「高市圧勝」を知って「もうこんな国出たい」とつぶやいた青年もいる。彼は3歳の男の子を育てる30代の父親である。「この子が徴兵されて戦争にいくなんて耐えられない」という。彼は、自分で探したガザで殺された小さな子の動画を私に見せながら、自分の子と重ね涙した。「自分で考えようとしない」若者ばかりではない。事実に向き合おうとする若い人も少なくないはずだ。
もう一度、一からのつもりで、草の根の運動に取り組み、広げよう。

「むすぶ」目次 (2026年1月号)2026/01/19 06:43

■ 今月を視る / 弱肉強食の野蛮な社会を拒否する市民の声と行動を!
■ アピール / 東大阪市・大阪市の中学校で「自衛隊職場体験」多数実施  
       学校に再考を迫る運動スタート  大阪市立中学校元教員 松田幹夫
■ 沖縄レポート /「二度と戦場にしないで」県内新聞・声欄の沈痛な訴え
         今こそ武力なき平和を    沖縄国際大元講師 西岡信之                      
■ 読者つうしん / 金儲けしか考えない介護事業所“ビーナス” 
さかいユニオン 美佐田 和之
■ 読者つうしん / 平和な社会を近所から、粘り強い運動で  富田林市 中條千尋 
■ Information / 2025年会計報告 / Editorial Peace Note

今月を視る (「むすぶ」2026年1月号)2026/01/19 06:41

弱肉強食の野蛮な社会を拒否する市民の声と行動を!

周到に準備、計画されたベネズエラ侵攻
年明けから耳を疑うようなことが起こされた。1月3日、トランプの命令で米軍がベネズエラの首都カラカスなどに大規模に空爆などの攻撃をかけ、「電撃的な地上侵攻」によってマドゥロ大統領夫妻を拘束・拉致し、ニューヨークに連行した。この攻撃で、約半数に上る民間人含め100人以上のベネズエラ側の人々が殺された。すでにトランプ政権は9月以降、ベネズエラ周辺で「麻薬運搬船」と勝手に決めつけた船に対する攻撃を繰り返して120人以上を殺害してきた。民間機に偽装して攻撃する国際法違反、戦争犯罪のケースも暴露されている。今回の攻撃は何カ月も周到に準備、計画されたものだと言われる。「反体制派指導者」マリア・コリナ・マチャド(彼女は米軍の介入を叫び、イスラエル支持を公言する)のノーベル平和賞受賞も米トランプ政権の暗躍の結果との疑念も「周到な準備」の一つだろう。
CIA(米中央情報局)などを使って資金をばらまき、対政府批判活動の組織化やスパイ工作も大規模に展開されたことは容易に想像できる。大統領警護支援に派遣されていたキューバの戦闘員がほぼ皆殺しにされたのも、警護隊や軍の一部が買収されていたとの疑いもある。いずれにせよ、今回の侵攻作戦は最初から最後まで謀略そのものであり、国際法違反、戦争犯罪の蛮行である。

中南米での米国による血塗られた歴史
トランプは、ベネズエラの土地も埋蔵量世界一といわれる石油も「開発したのは米国であり、もともと米国のものだ」と当たり前のように言う。ベネズエラでは長年、こうした米国資本とそれに結託した国内の大金持ち勢力が富を独占し、大多数の民衆が貧困に苦しめられてきた。そうした極端な貧富の格差をなくし、石油をはじめとした社会的な富を貧困にあえぐ民衆に取り戻そうと改革を目指す反米左派政府を誕生させた。20数年前から今日に至っている。キューバ革命以来、中南米諸国では同様の改革が多くの国、地域ですすめられた。米国は、利権を失うことを恐れ、嫌い、これら反米左派政権に対しては経済制裁などを通じて経済を混乱させ、社会不安を煽り、時にはクーデターを起こさせ、時には、「低強度紛争」と呼ばれる軍事戦略で内戦を起こさせ社会改革をつぶし、体制の転覆を繰り返してきた。
1954年、米国が画策したクーデターにより、土地改革を進めていたグアテマラのアルベンス政権が崩壊。61年には、CIAが支援した亡命キューバ人部隊がカストロ政権の転覆を試みた「ピッグス湾事件」が発生。70年代以降は左派勢力の台頭を阻止する名目で、アルゼンチンやチリなどで軍事クーデターを起こさせ軍事独裁政権を擁立した。81年、レーガン政権はニカラグアに左派政権が誕生すると、軍事介入。エルサルバドル内戦でも軍事支援を行い、左翼ゲリラの封じ込めを図った。83年のグレナダ侵攻では、東カリブ海諸国軍を従えた米軍部隊が上陸し、短期間で反米政権を崩壊させた。89年、ブッシュ(父)政権はパナマに侵攻し、(米国が麻薬取引の罪で起訴した)最高実力者ノリエガ将軍(米国が育てたとされる)を拘束し、失脚に追い込んだ。
これらいずれの米軍侵攻の背景には、自ら「米国の裏庭」と位置づける中南米での石油やパナマ運河の権益など米国を拠点とする多国籍企業(グローバル資本)の利権を維持する狙いがあったことは明らかである。これらの蛮行に対して、国連総会などで「国際法の著しい違反」と非難する決議を可決したが、米国は、今回のトランプのように口にはしなかったが「国際法は必要ない」という態度に終始してきた。
「第2のキューバ」を阻止し、今やほとんど左派政権となっている状態にくさびを打ち込むこむことが、石油以上に大きな狙いと言える。中南米だけではない。「大量破壊兵器を保有している」(デタラメであったことが後に判明)ことを口実に大規模に軍事介入したイラク戦争は記憶に新しい。そして今また、イランに対する軍事介入を窺っている。
トランプ政権や多国籍企業のこんな好き勝手な振舞いをこのまま放置すれば、世界と「99%」の人々は弱肉強食の野蛮な時代に引き戻される。トランプのこのギャングでしかない強欲な野望と野蛮な行いに反対の声をあげ行動することが緊急に求められている。この当たり前の行動に背を向け、トランプ政権の野蛮な行動に明確に反対しないことは、加担でしかない。プーチンのウクライナへの軍事侵攻や中国の台湾への「圧力」を「力による現状変更」として威勢よく非難してきたものの多くが、トランプのこの行いには黙っている。中には「『力による現状変更』そのもので、中露を非難する論拠と矛盾する」(小野寺五典・安全保障調査会長)と発言するものはいるが、高市首相は「在ベネズエラ日本人の安全確保」を言うだけで黙ったままだ。

「死の商人」国家へまっしぐらの高市政権
その高市政権が、1月23日召集の通常国会冒頭で衆院解散を宣言し、総選挙実施の挙に打って出る意向を示した。「支持率が高い」うちに不安定さを突破しようという党利党略そのものである。高市政権の「成長戦略」の一つは「防衛産業」(武器商売)の成長、拡充である。それを梃に「日本経済を成長させる」というもの、つまり「死の商人」国家づくりである。
与党時代の公明党斉藤鉄夫代表は「死の商人化だけは避けなければいけない」と言ったが、現在の高市政権にとって「死の商人」はそれほど忌み嫌うものではないらしい。それどころか「防衛産業」(軍需産業)こそ「日本経済成長の要」と言って憚らない。
 日本の軍需企業の筆頭は三菱重工や川崎重工だ。防衛省によると24年度の調達品契約実績は、三菱重工が1兆4567億円、川崎重工が6383億円。武器輸出の完全自由化が未だの日本でこの売り上げ実績は相当なものだ。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が今年発表したデーターによれば、24年度の軍事関連販売額のトップ10は、ロッキード・マーチン(米国)を筆頭にBAEシステムズ(英国・4位)、ロステック(露・7位)、中国航空工業集団(8位)、中国電子科技集団(9位)と続く中(他はすべて米国企業)、三菱重工が32位、川崎重工が55位、富士通が64位、三菱電機が76位、NECが83位と百傑入りした。
 つい最近までは大ぴらに営業できなかった「死の商人」たちが、大手を振るうようになった。家電や自動車よりも消耗、消費の激しい兵器の方が儲かるのだ。しかも軍需産業のすそ野は広い。国内では、上記以外に、東芝、IHI(旧石川島播磨)、SUBARU、日立、沖電気、コマツ、ダイキン、ENEOS、出光興産など、多種、多様な業界が群がっている。
 これら日本の軍需業界はさらなる高みを目指す。世界のトップ10はともかく、ドイツなどのヨーロッパの兵器輸出国や最近ポーランドと147億6000万ドル(約2兆470億円)の兵器輸出契約を締結した韓国を意識して、「追いつけ追い越せ」の勢いである。すでに政府は、「防衛費」を国内総生産(GDP)比2%に増額する数値目標を2年早める「前倒し」で、2025年度の「防衛費」と関連費の総額が約11兆円になる補正予算を成立させた。次の一手は「防衛装備移転」の大幅緩和に踏み込んだ5類型(救難、輸送、警戒、監視、掃海に限定)の撤廃だ。5類型が撤廃されれば販路は海外に広がる。すでにオーストラリアなどいくつかの国との間で武器完成品や受注や新たなステルス戦闘機の共同開発を進めている。これら、すでに決まっている武器輸出をスムーズに進め、販路を拡大するために、あっという間に「5類型」も投げ捨てる。また、ウクライナへの武器輸出を念頭に紛争中の国への輸出を禁ずる「3原則」の見直しも口にしだした。中国との軍事を含む緊張激化が止まらない。否、止めようとしない。この緊張状態でこそ武器商売にとって増殖できるもっとも都合の良い環境だからだ。
 死の商人が大手を振るう社会であっていいのか。日本に住む市民の一人ひとりに、問い続けなければならない。総選挙の結果がどうであれ、弱肉強食の野蛮な社会を拒否する市民の声と行動を、間断なく続けよう。ニューヨーク市長選が示したように、『時には「善き者」が勝つ』のだから。