今月を視る(「むすぶ」2015年1月号)2015/01/26 08:51

集団的自衛権行使が柱の大軍拡に対決!
平和運動の広がりを全国につくりだそう!

政府の2015年度予算案の防衛費が4兆9800億円(14年度補正予算費で、与那国島の部隊拠点整備費や装備品の調達費として計上した2110億円含め実質5兆2000億円)と過去最高になることが明らかにされた。第二次安倍政権発足以来、3年連続の増加で、14年度当初予算から約1000億円増。安倍政権にとっては、かつての「1%枠」など「どこ吹く風」のやりたい放題の状況である。

増額の中味は、「離島防衛」と称する九州・沖縄・南西諸島への自衛隊配備、大増強である。すでに新たな中期防(2014年から5年間)で明確に位置づけられている「離島防衛作戦」、その軸となる陸自の「水陸機動団」(米海兵隊がモデル)編成(18年度までに新設予定)にむけた予算が具体化されている。「水陸機動団」は、現在、佐世保の相浦駐屯地にある陸自の西部方面普通科連隊(700人)を母体に3000人規模の大部隊として増強される。オスプレイ(15年度から17機導入予定)の一体運用も視野に入れた飛行部隊(佐賀空港への配備予定)には700人から800人が投入される。空自那覇基地には、F15戦闘機の飛行部隊が1個から2個に増強、機数も倍の40機となり、すでに14年春に発足している早期警戒機E2C部隊も併せて250人から450人程度の増強となる。沖縄本島以外では、与那国島に150人規模の沿岸監視部隊を配備、宮古島、石垣島、奄美大島にも各350人規模の監視部隊を配備する計画だという。ほぼ4000人もの自衛隊員が増強され、九州・沖縄・南西諸島は「最前線」とされる。

装備では、MV22オスプレイ5機(1機100億円)、水陸両用車30両、国産新型哨戒機「P1」20機、最新鋭ステルス戦闘機「F35」6機など米軍に劣らぬ装備が整えられることになる。さらに、海上自衛隊が2015年度予算で建造を計画しているイージス艦に共同交戦装備(「共同交戦能力」と呼ばれ、敵ミサイルをの位置情報を味方同士で共有し、即座に迎撃する先端システム)を搭載することも明らかにされた。米軍との共同運用が狙いであり、集団的自衛権行使のための装備であることは明らかである。もはや、兵も装備も臨戦態勢の軍国予算である。

他方、政府は名護辺野古新基地建設拒否の県民意志を明確にした沖縄に対しては、報復があからさまな予算措置を打ち出している。沖縄振興予算を14年度の3460億円から減額して3300億円台とするとの政府方針が固められたと報じられた。その一方で、名護辺野古新基地建設のための経費として、14年度の2倍に当たる1500億円を計上する方針という。おまけに、この新基地建設工事に関する政府調達では、知事選で翁長氏を支援した県内業者を排除すると言い出す始末である。翁長知事をはじめとした陳情のための上京団に対して山口沖縄・北方担当相以外、安倍首相はおろか閣僚の誰一人として会おうとしなかったことは、前代未聞の破廉恥行為である。翁長知事は、安倍内閣のこの前時代的で子どもじみた対応について、「県民のみなさんや国民のみなさんには、ありのままを見ていただいて判断してほしい」と冷静にコメントしたが、安倍政権の焦りと動揺をこの子どもじみた対応と姿勢の中に見出すことはだれにとってもさほど難しくはない。焦る安倍内閣は、今年に入ってからも辺野古現地で、執拗に「工事強行」パフォーマンスを繰り返すが、新基地建設問題を今年で終わりにする確固とした流れは存在している。この流れに全国から合流し、強めよう。名護辺野古新基地建設阻止は、安倍政権の大軍事化政策、とりわけ、「南西シフト」増強計画の屋台骨を突き崩し、軍拡予算を無効にすることができる。

沖縄では、2月にも1万人規模の県民大会が準備されている。「南西シフト」の最先端、与那国町でも陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の賛否を問う住民投票が2月22日に実施されることが決まった。安倍内閣は、5月の国会で集団的自衛権行使のための関連法上程を目論んでいる。一つひとつの闘いを押し上げ、5月関連法上程を阻止する平和運動の広がりをつくりだそう。

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