今月を視る(「むすぶ」2017年11・12月号より)2017/12/19 10:46

平和解決への道壊す朝鮮への「テロ支援国家」再指定
「制裁と圧力」の先にあるのは戦争だけ! 今、批判の声を広げるとき!

緊張激化と不安定化が目的の「テロ支援国家」再指定
朝鮮政府による核実験もミサイル発射実験もない「小康状態」が2か月以上続いていた。一方で、米政府が「北朝鮮に核関連の動きが60日間以上なければ交渉も」と示唆していただけに、この状況は対話による解決に向けた環境整備として世界の大方にとっては歓迎すべき状況だったが、トランプ政権と安倍政権にとっては、いかにも都合の良くない状況だったに違いなかった。だからこそ、11月20日、米政府による朝鮮の「テロ支援国家」再指定がこの状況をぶち壊すために強行されたことは疑いない。
明らかに、朝鮮の「対抗行動」を引き出すためのものであり、これほど明確な挑発はない。安倍首相は、この悪質な挑発である「テロ支援国家」再指定を「英断」と評価し、「北朝鮮への制裁と圧力を最高度のレベルに高める」と宣言した。憂慮すべきは、政府のこの危険な動きだけではない。こと「朝鮮対応」に関しては、この国のメディアの大方が安倍政権に追従している。政府広報紙と呼ばれる読売、産経、NHKはもとより、「リベラル」を自認するメディアでさえも「そんな経緯(『金正男暗殺』と『拘束された米国人大学生の意識不明での帰国と死亡』)を思えば再指定は異とするに足りない」「トランプ氏は関係国に北朝鮮への圧力強化を改めて求めるとともに、北朝鮮にはもうだまされないという強い姿勢を示したのだろう」とトランプの「大きな決断」を評価し、「北朝鮮の脅威にどう対処するか。手詰まり感がある中で、『テロ支援国家』再指定を新たな足場として活用したい」(毎日新聞10月22日社説)と積極支持を打ち出している。国会内においても野党の一部は「遠くは抑制的に、近くは現実的に」(希望の党)と「朝鮮対応」に関しては日米の軍事対応を含む安保政策を「現実的対応」と評価する立場を鮮明にし、安倍政権の外交による解決放棄への明確な批判はほとんどない。

対話と交渉によるアプローチ以外に道はない!
 トランプ・安倍の計算通り朝鮮が11月29日未明、弾道ミサイルを発射した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)を高い角度で打ち上げ、青森県の西方約250キロの日本海域に落下させたという。米日のあからさまな挑発にこれほどやすやすとのり、核ミサイル競争に狂奔する金正恩政権には、もはや怒りと失望以外何もない。だが、金正恩政権に対する攻撃で2500万人の朝鮮市民を犠牲にしてもよいなどという法も大儀もあるはずはない。かつて石川県の知事が「北朝鮮の住民は飢え死にさせる必要がある」と発言して物議を醸したが、戦争屋たちのこんな本音発言は今日の世界では犯罪として裁かれる。
今、日本社会で何よりも求められなければならないのは「北朝鮮にも多くの一般の人たちが毎日の日常を送っているわけで、金正恩氏が2500万人いるわけではありません。『あんな国はアメリカの軍事攻撃でやっつけてしまえ』と簡単にいう人たちは、そこで暮らす人たちのことを考えたことがあるのだろうか」(蓮池透氏・北朝鮮による拉致被害者連絡会{家族会}元事務局長)という視点と想像力だ。
安倍は、「北朝鮮への圧力をかけることで拉致被害者を救出できる」と「制裁と圧力」一辺倒を正当化するが、実際には何の根拠もない「作り話」である。これまで、安倍政権による「制裁と圧力」で拉致被害者問題が「1ミリ」たりとも動いた形跡は一切ない。安倍は、拉致被害者問題は「最優先課題として取り組む」と枕詞のように繰り返すが、全て口だけである。「最優先に取り組む」とは、できることは何でもするということだが、安倍政権の具体的行動は「制裁と圧力」以外何一つない。安倍自身が水面下を含めて交渉に関わったことはただの一度もないし、省庁や各機関に交渉への動きを指示した形跡もない。安倍政権にとって「拉致問題」は、改憲、大軍拡のための利用材料にすぎないことを具体的な実態を通して暴露しなければならない。2500万人の中に拉致被害者の生存者がいるとすれば、「あらゆるオプションがテーブル上にある」と平気で言えるはずはない。万が一、戦争にでもなれば、拉致被害者の救出など永遠にできなくなる。それだけではない。戦争は、朝鮮市民と拉致被害者だけでなく
日本と韓国の市民に計り知れない被害が及ぶ。
 今こそ、「制裁と圧力」の先にあるのは戦争だけだということを粘り強く、徹底的に暴露しよう!対話と交渉による解決以外に北東アジアの平和を築く道はないことを広く訴えていこう!

コメント

トラックバック