今月を視る(「むすぶ」2020年3月号より)2020/03/20 21:06

 自粛強要はねのけ、「改憲実験」許さず
 国内外ですすむ核・軍拡競争に反対の声と行動を!

どさくさ紛れの「改憲実験」
「新型コロナウイルス問題」一色の状況が続く。3月13日には「非常事態宣言」が最大の狙いである「新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案」がいとも簡単に成立させられた。どさくさ紛れの「改憲実験」に他ならず、次々と打ち出される強権措置の頂点である。この「特措法」の法的、政治的問題点以上に危惧されるのは、共産党とれいわを除く野党の振舞いである。改正や新法に根拠がなく、「非常事態宣言」にあたっては国会の事前承認を要求していたにもかかわらず、何の歯止めにもならない国会への「事前報告」であっさりと手を打ち、賛成に回ったことだ。情けないことに、これらの党で、明確に反対票を投じたのは、立憲の山尾、無所属の寺田議員のたった二人にすぎなかった。「挙国一致」体制を思わせる気味悪さである。
メディアは、安倍首相が会見で『現状は「非常事態宣言」を出す状況にはない』、『慎重姿勢を貫く』との発言に「安心」を植え付けようとするが、すでにいくつかの地域で、「非常事態」を先取りするような動きが現れている。大阪豊中市では、「森友学園問題追及!4年目集会」が当初使用許可の出ていた市中央公民館が臨時閉館となり、公園での集会に切り替えたところ、一旦使用承諾されていたにもかかわらず、使用承認が取り消されるという事態に至っている。これは、全く根拠を欠いた学校一斉休業と同様、社会的、政治的活動を自粛させようとする不当な措置である。今必要なことは、このような政府の根拠のない自粛強要に従うことではなく、自治体が科学的根拠に基づいて市民の基本的人権を尊重し、健康を守る医療体制と予算を確保するよう要求することである。自粛強要は許してはならず、大事なことは、科学的根拠に基づいて市民の自主的判断と自発的行動を確保することである。

感染スピード上回る軍拡競争
 新型コロナウイルス感染が世界に広がる中、その陰に隠れてウイルス感染を上回るスピードで軍拡競争がすすめられている。コロナウイルス問題で唯一の「不幸中の幸い」といえるのは米韓合同演習の延期(事実上の中止。2月27日発表)ぐらいだが、それ以外では、国内外を問わず、「自粛」どころか以前にも増して活発な軍備強化が展開されている。
沖縄・辺野古では90㍍地点の軟弱地盤を示すデータを無視し、「追加の調査をする必要がない」と居直り、新基地建設工事作業を中断なく続行。米軍は演習など全国各地で住民生活への影響を無視、地元との「約束」に違反して傍若無人な活動を強行している。
 自衛隊は、日本版海兵隊といわれる陸上自衛隊の水陸機動団と米軍との共同訓練を米軍の演習場「金武ブルー・ビーチ訓練場」(沖縄県)で実施(1月25日~2月13日)。水陸機働団の沖縄での訓練は初めて。住民自治破壊の中山石垣市政を利用した南西諸島での自衛隊ミサイル基地建設強行と合わせ、沖縄・南西諸島全域での対中国軍事拠点化が急ピッチですすめられている。
 一方、世界では、米露中などの新たな核軍拡競争が再燃しつつある。米国の一方的な離脱を契機に昨年8月、中距離核戦力(INF)全廃条約が失効し、唯一残る新戦略兵器削減条約(新START)も、期限切れまで1年を切った。4月下旬には核拡散防止条約(NPT)再検討会議の開催が予定されているが、「コロナウイルス感染拡大の影響」を理由(口実)に来年3月への延期が調整されているとの報道が出ている。こうした中、米国は「使いやすい核兵器」とされる小型核を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を配備するなど、軍拡に拍車をかけている。トランプ政権は、ロシアが保有する小型核や中国が条約に入っていないことなど核削減条約の不備を指摘し、これを口実に条約離脱を合理化しているがこれはとんでもない欺瞞だ。いずれにせよ、米露中のボスたちに交渉を任せていては何も進まない。新型コロナウイルスはいずれコントロールできるかもしれないが、核戦争による汚染と破壊は、コントロール不可能である。
世界の人々とともに、核軍拡を止め、核軍縮に誠実に取り組むよう迫る行動に「待った」はない。

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