今月を視る(「むすぶ」2019年2月号より)2019/03/14 13:13

沖縄県民投票が鮮明に示したもの  
力強く変わり続ける沖縄! 全国で闘いが続くときだ! 

県民投票結果は反基地運動の確実な前進を示した
 2月24日、投開票された「辺野古埋め立ての賛否を問う沖縄県民投票」。投票率52%、反対は全投票数の72%にあたる43万強。最多得票として日米両政府に通知される29万(全投票数の4分の1)はもちろん、昨年の県知事選で玉城デニー知事が獲得した史上最多の39万をも上回った。民意を示すうえで、立派な数字である。この結果を受けて、大手新聞社も初めてはっきりと「もはや埋め立てはやめよ」「政府はただちに埋め立てをやめ、沖縄県と真摯(しんし)に解決策を話し合うべきだ。」(毎日新聞)と社説で主張した。極めて常識的と言える評価だ。
 一方、最初から県民投票の意義を認めず、県民投票の結果が及ぼす影響を低く抑えようと必死に策動してきた政府・自民党や御用メディアは、県民投票結果に一斉にケチつけを行っている。「半分が投票しなかった」「反対は全有権者の37%にすぎず、民意とは言えない」「37%以外は反対には投票しない人」等々。自民党は国政選挙において全投票数の3割しか得票していないし、全有権者数の比率でいえば3割の半分以下である。どの口でそんなケチつけが言えるのか。へ理屈にもならない。
 菅官房長官は、期日前投票も始まっていない告示日の2月14日に「結果にかかわらず、工事は進める」と断言、「投票など無駄」と言外に言い放った。自民党は、県民論議の高まりを避けるため、「賛成」や「容認」「仕方ない」を呼びかける運動をほとんどせず、表向き「自主投票」、裏では「投票するな」を指示していたことが暴露されている。それでも、自民党支持者の半数以上が反対票に投じたというのが、今回の県民投票の実態だったのだ。また、「投票に行かなかった全ての人は『反対』ではない」などあり得ず、都合の良すぎる曲解である。むしろ、一切の経済的利害や社会的なしがらみを乗り越えて、確固として反対を意思表示する県民が全有権者の4割弱も存在したことは、現在の「日本社会」では驚異と見るべきではないか。
 辺野古埋め立て反対の民意はいっそう明確になった。これが、県民投票結果をめぐる正確な評価だ。

「沖縄はとても強いところだ」
県民投票は辺野古埋め立て反対の民意をあらためて政府に突きつけただけではない。沖縄が力強く変わり続けていることをこの国の内外に鮮明に照らし出した。
名護市長選挙や県知事選挙で自公候補支援の青年選対の先頭に立った青年(24歳)は、今回の県民投票でも埋立て賛成の投票をしたが、県民投票結果への感想を求められ、「これだけ工事がすすめられ諦めるしか仕方のない状況にもかかわらず、それでも反対が大多数となった。沖縄はとても強いところだと感じた」と感想を述べた(2/24報道ステーション)。彼のあまりにも率直な感想を通して、今回の沖縄県民投票が明らかにしたことは、「沖縄は強く、もはや一切の後戻りはない」という沖縄の前進し続ける姿である。
 この「沖縄の強さ」を芥川賞作家の大城立裕さん(93歳)は「県民は歴史的な大成長を遂げたと感じる」と述べ、「政府に対し県民投票という大げんかを売るまで成長した」と現在の強さを表現した。沖縄反戦、反基地運動の根源的な在り方を熱く提示する琉球大学の新城郁夫教授は、「日本という国家の枠組みから離れつつ、沖縄が自律的な運動体へと変わりつつある」、「(勢いを増していく県民大会や各種デモなど)、それらイヴェントを日常のレベルで下支えし続けている辺野古ゲート前での連日の集会や海上でのカヌー隊による抵抗運動に明らかなように、沖縄において新基地反対の動きの勢いは一過性のものではなく、持続性と拡散性を帯びた流れになりつつある」(世界3月号)と、県民投票を非暴力抵抗運動へつなぎ、さらに強化されると展望している。

「埋め立てやめろ」を全国で圧倒的な声に!
安倍首相は「真摯に受け止め」をはじめ、発する言葉の全てがウソの会見で工事続行を断言し、投票期間中から開票翌日にも工事を強行した。だが、超軟弱地盤問題を含め、辺野古新基地建設の行き詰まり状況はだれの目にも見えるものになった。沖縄では、3月16日に、那覇で県民大会が取り組まれ、新たな闘いが始まる。今こそ、全国で沖縄の闘いに応え、続くときだ。

「むすぶ」目次(2019年2月号)2019/03/14 13:14

■ 今月を視る / 沖縄県民投票が鮮明にしたもの
力強く変わり続ける沖縄! 全国で闘いが続くときだ!
■ 解説 / 馬毛島-種子島の軍事基地化計画の驚くべき全容  事務局 豆多敏紀
■ Q & A <NO.98> / 新防衛大綱・中期防の「多次元統合防衛力」のねらい
■ BOOK CORNER / 「宝島」 真藤順丈 著 講談社  事務局 湯川 恭              
■ 読者つうしん / 今、なにをなすべきか?    河内長野市 小田伸也 
■ 連続学習会・第4回 案内、おしらせ & 編集後記