今月を視る(「むすぶ」2026年10月号) ― 2026/10/22 10:00
「沖縄の心」を蘇らせる運動を内外から再構築しよう!
玉城3選を願った一人ひとりが「なぜ?」を考える時
9月13日投開票の沖縄県知事選挙から1か月が経過した。「沖縄だけは」と期待を寄せた多くの人々にとって、「ゼロうち」(開票前の20時に出口調査の結果から当確を出すこと)ともなった「大敗」の結果は痛恨であった。それにしても、政策も人柄も熱量も申し分なく、選挙期間含めて「命どぅ宝」を軸とした主張のブレもなく、最後は負けてもカッコよくカチャーシーで会見場を去った玉城デニーを、なぜ勝たせることができなかったのか。運動の内から現実に向き合った真摯な討論と分析作業が求められる。支援、連帯を含め沖縄知事選に関わった一人ひとりが、自ら考え、率直な論議を深める時だ。
前回玉城へ投票の30%が古謝に投票
まず、データーから見ていこう。4年前(22年)の得票は、玉城デニー候補が339,767票、佐喜眞候補が274,844票、下地候補が53,677票だった。今回は、玉城デニー候補が276,060票、古謝玄太候補が423,124票。票差14万7千票余り。この差はどこから出てきたのか。単純化してしまうと、玉城が減らした票は6万票余り、投票率アップ分28,000票余り(全部古謝に行ったとして)、下地の5万票あまり。これらを合算すると14万余りとなり。数字の辻褄が合う。下地票の行方はどうしようもない。もっとも重要で、深刻な問題は、前回は玉城デニーを支持していた6万人余りの人が、今回は古謝に投票したと考えられることだ。この問題を掘り下げて考え分析しなければ、課題克服の道へは進めない。また、出口調査で玉城県政を「評価する」と答えた人が62%いて、そのうち約4割が古謝に投票している。この事実が、今回の選挙の性格を凝縮した形で表している。
沖縄社会が抱える深刻な「貧困問題」
今回の争点は「経済か平和か」という抽象的なものではない。何しろ、玉城県政下で観光など沖縄経済の好調(毎年3~4%の成長率)が続いているのだから。
沖縄社会に横たわる深刻な問題の一つは、沖縄経済が他府県に比べても順調かつ好調なのに、なぜ自分たち県民の生活や懐(所得)が潤わないのかというところにあった。実際、沖縄の一人当たりの県民所得は全国最低が続き、東京の半分をはるかに下回っている。一方、もう一つの深刻な問題である辺野古新基地建設については、県と県民が何度NO! を示しても政府は工事強行を続けている。「沖縄の貧困」は変わらず、基地建設を止められない状況が続く現状の中、若い層に限らず多くの人が「変化」を求めたのは自然であった。これまでも「県政不況」(県が「基地問題」ばかりに集中し、経済政策を疎かにする)というほとんどデマに近いネガティブキャンペーンが繰り返されたが、今回、古謝陣営は「10年間で所得倍増」という具体的な「貧困対策」を公約として打ち出した。「(沖縄の貧困を)誰かのせいにせず、自分たち(県政)で解決する」とも言った。この公約が、本当に「手取り2倍」への確実な経路を持っているかは疑わしいが、この公約を選択した有権者が多かったのは事実だ。玉城県政が「沖縄の貧困」に対して何もしなかったというのはウソだ。玉城県政の「貧困対策」は、子ども医療費の中学卒業までの医療費無償化、給食費の無償化など実績を築いてきた。だが、それは貧困の結果を「和らげる」施策であって、貧困を生み出している「所得構造」(低賃金のサービス産業への特化、観光収益の域外流失、非正規と低年金の集積など)に切り込み、変革に手を付けようとする施策ではなかったともいわれ、実績をいくら強調しても「貧困対策」として有権者には届かなかった。さらに、この「所得構造」と関係が深い沖縄の自治体の財政依存(政府からの補助金・交付金の比重が極めて大きく、国策ごり押しの手段として使われる)の問題も重く横たわっている。
これらの課題は知事一人で担えるものではない。4年後の知事奪還をみすえた運動の再構築が求められている。辺野古新基地建設を許さない現場での闘いを粘り強く闘うとともに、一人ひとりが率直な意見を交わしながら課題克服の道筋に参画しよう。
玉城3選を願った一人ひとりが「なぜ?」を考える時
9月13日投開票の沖縄県知事選挙から1か月が経過した。「沖縄だけは」と期待を寄せた多くの人々にとって、「ゼロうち」(開票前の20時に出口調査の結果から当確を出すこと)ともなった「大敗」の結果は痛恨であった。それにしても、政策も人柄も熱量も申し分なく、選挙期間含めて「命どぅ宝」を軸とした主張のブレもなく、最後は負けてもカッコよくカチャーシーで会見場を去った玉城デニーを、なぜ勝たせることができなかったのか。運動の内から現実に向き合った真摯な討論と分析作業が求められる。支援、連帯を含め沖縄知事選に関わった一人ひとりが、自ら考え、率直な論議を深める時だ。
前回玉城へ投票の30%が古謝に投票
まず、データーから見ていこう。4年前(22年)の得票は、玉城デニー候補が339,767票、佐喜眞候補が274,844票、下地候補が53,677票だった。今回は、玉城デニー候補が276,060票、古謝玄太候補が423,124票。票差14万7千票余り。この差はどこから出てきたのか。単純化してしまうと、玉城が減らした票は6万票余り、投票率アップ分28,000票余り(全部古謝に行ったとして)、下地の5万票あまり。これらを合算すると14万余りとなり。数字の辻褄が合う。下地票の行方はどうしようもない。もっとも重要で、深刻な問題は、前回は玉城デニーを支持していた6万人余りの人が、今回は古謝に投票したと考えられることだ。この問題を掘り下げて考え分析しなければ、課題克服の道へは進めない。また、出口調査で玉城県政を「評価する」と答えた人が62%いて、そのうち約4割が古謝に投票している。この事実が、今回の選挙の性格を凝縮した形で表している。
沖縄社会が抱える深刻な「貧困問題」
今回の争点は「経済か平和か」という抽象的なものではない。何しろ、玉城県政下で観光など沖縄経済の好調(毎年3~4%の成長率)が続いているのだから。
沖縄社会に横たわる深刻な問題の一つは、沖縄経済が他府県に比べても順調かつ好調なのに、なぜ自分たち県民の生活や懐(所得)が潤わないのかというところにあった。実際、沖縄の一人当たりの県民所得は全国最低が続き、東京の半分をはるかに下回っている。一方、もう一つの深刻な問題である辺野古新基地建設については、県と県民が何度NO! を示しても政府は工事強行を続けている。「沖縄の貧困」は変わらず、基地建設を止められない状況が続く現状の中、若い層に限らず多くの人が「変化」を求めたのは自然であった。これまでも「県政不況」(県が「基地問題」ばかりに集中し、経済政策を疎かにする)というほとんどデマに近いネガティブキャンペーンが繰り返されたが、今回、古謝陣営は「10年間で所得倍増」という具体的な「貧困対策」を公約として打ち出した。「(沖縄の貧困を)誰かのせいにせず、自分たち(県政)で解決する」とも言った。この公約が、本当に「手取り2倍」への確実な経路を持っているかは疑わしいが、この公約を選択した有権者が多かったのは事実だ。玉城県政が「沖縄の貧困」に対して何もしなかったというのはウソだ。玉城県政の「貧困対策」は、子ども医療費の中学卒業までの医療費無償化、給食費の無償化など実績を築いてきた。だが、それは貧困の結果を「和らげる」施策であって、貧困を生み出している「所得構造」(低賃金のサービス産業への特化、観光収益の域外流失、非正規と低年金の集積など)に切り込み、変革に手を付けようとする施策ではなかったともいわれ、実績をいくら強調しても「貧困対策」として有権者には届かなかった。さらに、この「所得構造」と関係が深い沖縄の自治体の財政依存(政府からの補助金・交付金の比重が極めて大きく、国策ごり押しの手段として使われる)の問題も重く横たわっている。
これらの課題は知事一人で担えるものではない。4年後の知事奪還をみすえた運動の再構築が求められている。辺野古新基地建設を許さない現場での闘いを粘り強く闘うとともに、一人ひとりが率直な意見を交わしながら課題克服の道筋に参画しよう。
「むすぶ」目次(2026年10月号) ― 2026/10/22 10:02
■ 今月を視る /「沖縄の心」を蘇らせる運動を内外から再構築しよう!
■ 解説 / 再エネは邪魔! 原発まっしぐらの高市政権 東京 山根昭平
■ 沖縄レポート / 巨星堕つ 山内徳信さん逝去 沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 映像あんない /『東京上空300メートル』 大墻 敦 監督 事務局 岡本 誠
■ 映像あんない /『ヒンド・ラジャブの声』 K. B. ハニア 監督 事務局 岡本 誠
■ 読者つうしん / 斎藤兵庫県知事を許さない市民運動に参加 堺市 木南晴義
■ Information & Editorial Peace Note
■ 解説 / 再エネは邪魔! 原発まっしぐらの高市政権 東京 山根昭平
■ 沖縄レポート / 巨星堕つ 山内徳信さん逝去 沖縄国際大元講師 西岡信之
■ 映像あんない /『東京上空300メートル』 大墻 敦 監督 事務局 岡本 誠
■ 映像あんない /『ヒンド・ラジャブの声』 K. B. ハニア 監督 事務局 岡本 誠
■ 読者つうしん / 斎藤兵庫県知事を許さない市民運動に参加 堺市 木南晴義
■ Information & Editorial Peace Note