今月を視る (「むすぶ」2015年4月号より)2015/05/27 05:00

【統一地方選後半戦】― 争点明確に! 一人でも多く
辺野古新基地建設、戦争法絶対許さない議員をつくりだそう!

統一地方選挙前半戦(4月12日投開票)は、戦争する国づくりに暴走する安倍政権に即座にストップをかけるには至らない残念な結果となった。政府・自民党は、戦後最低の投票率に加え、「いつでもどこへでも自衛隊を派兵し武力行使する」ための「安保法制の整備」を選挙争点から徹底的に隠したにもかかわらず、「自民議席増大」をもって「安倍政権は国民の信任を高めた」とうそぶき、憲法違反が明確な集団的自衛権行使の関連法づくりへの暴走を加速しようとしている。安保法制の自公与党協議会で合意した(3月20日)関連法の「骨格」をもとに、恒久派兵法、自衛隊法改定、武力攻撃事態法改定などの法案を自公合意という体裁を整え、5月法案国会提出、40日程度延長するという今国会中(6月24日期限)の成立を目論んでいる。
 
早速、4月14日には安保法制の自公与党協議会を再開し、安保法制全体像(骨子)として(1)昨年7月に閣議決定した集団的自衛権行使をめぐる新3要件(①密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命などの権利が根底から覆される明白な危険がある②国民を守るために他に適当な手段がない③必要最小限度の実力行使)を満たす事態を「存立危機事態」とし、武力行使が可能な事態を定義する武力攻撃事態法を改正して盛り込む(2)新たな法律名を「重要影響事態安全確保法」とし(3)他国軍を後方支援するため、随時自衛隊を海外派遣する新たな恒久法の名称を「国際平和支援法」とする方針を明らかにした。これらは地理的制約とされてきた「周辺概念」を撤廃し、「日本に重要な影響を与える事態」と政府が判断すれば、自衛隊は世界中どこでも後方支援が可能とするものであり、米軍以外の他国軍隊の支援も可能となる。さらに、「後方支援」の中味もこれまで禁止されてきた弾薬提供なども可能とし、文字通り「いつでもどこへでも自衛隊を派兵し武力行使する」ための戦争法となる。高村自民党副総裁は、毎度のごとくポーズとしてだけ「歯止め役」を演技する公明党の本音を見透かしたように与党協議会の冒頭で「5月中旬には法案提出の方向で進んでいる」と述べ、驕り高ぶった構えを見せた。

だが、「順調」なのは「国会周辺」だけであることを示す闘いが厳然として続いている。その中心は、辺野古新基地建設を絶対に許さない沖縄の闘いである。

「政府はあまりにも傲慢」との世論を受けて、ついに「世間体」を配慮せざるをえなくなった政府は、西普天間住宅地区(キャンプ瑞慶覧)の返還式典に出席した菅官房長官を翁長知事との会談にようやく応じさせた。「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返す菅官房長官に対して翁長知事は、「辺野古新基地は絶対できないという確信を持っている」と断固とした態度で応じた。政府が、「軍事技術上は噴飯物の理屈」(琉球新報社説)であり、もはや沖縄には通用しない「辺野古への移設が唯一の解決策だ」との虚言を繰り返すのは、沖縄県民に対してではなく、情報が制限された中で、まだこの問題の事情を十分に飲み込めていない本土の住民に「唯一」という誤解を刷り込むためである。少しでも軍事知識を持てば海兵隊の存在が「抑止力の維持」にあたらないことはすぐわかる。近代戦において『「抑止力」があるとすれば空軍や海軍による制空権・制海権がそれであって海兵隊ではない。』(琉球新報社説)

沖縄では、4月28日の「屈辱の日」に県庁前(那覇)で3000人規模の県民大集会、5月17日には沖縄セルラースタジアム那覇で、万人規模の県民大会を取り組む。さらに、国内外に辺野古新基地をつくらせない行動を広げるために「辺野古基金」(共同代表 金秀グループ・呉屋守将会長、故菅原文太さんの妻・文子さんら6氏)を創設した。本土でも大江健三郎さんら学者、弁護士が「辺野古の埋め立て即時中止を求める」緊急声明を発表、賛同が短時間で大きく広がっている。

これらの闘いに応え、統一地方選後半戦でも辺野古新基地建設、戦争法反対の訴えを広げ、辺野古新基地建設、戦争法反対を明確にする議員を一人でも多くつくりだそう。

「むすぶ」目次(2015年4月号)2015/05/27 05:01

■ 今月を視る/ 【統一地方選後半戦】― 争点明確に! 一人でも多く
辺野古新基地建設、戦争法絶対許さない議員をつくりだそう!
■ ミニ解説/ 安倍の戦後70年談話に歴史の真実を突きつける{過去清算}の運動を!
                     日鉄裁判を支援する会 中田光信
■ Q&A/ 「日米防衛協力指針」~安保法制の根こそぎ改変NO!
■ Book Corner/『電力改革と脱原発』 熊本一規 著    事務局 岡本 誠
■ 読者つうしん/「君が代」不起立処分撤回の闘いにご支援を!
                       大阪市立中学校教員  松田幹雄
■ 第10回ガレキ広域処理差し止め裁判 & おしらせ