今月を視る (「むすぶ」2023年9月号より)2023/09/24 18:03

軍拡か軍縮か? 市民社会のあたりまえの論議を要求しよう!

■なぜ「防衛費」あげるの?
「私たちは、社会科や総合学習で、沖縄のことや戦争のことを学んできました。戦争は遠い昔の話だと思ったのに、今も苦しんでいる人がいることや、今にも続く問題であることがわかりました。」
 「戦争は怖いし、絶対にやってはいけないと思っていたのに、ニュースで防衛費をあげようとしていることを知りました。そこで岸田首相に『ぜひ聞いてみたい、伝えたい』という声があがって、クラスのみんなで手紙を書きました。」
東京都世田谷区の私立和光小学校6年の36人が、今年初めに書いた手紙の始まりである(毎日新聞 8/15)。そして、率直な疑問を伝え、岸田首相から直接答えを聞きたいと思いをつづっている。
「今、北朝鮮が日本にミサイルをうってきていますが、うってきているから軍事費を増やすのはダメだと思います。> <逆に中国などが怒って、攻撃してくるかもしれないと思いました。」「なぜ自衛隊が、国を守る以外に攻めてもいいというルールになったのですか?」 等々。
さらにある児童は、沖縄で見聞きしたことを踏まえ、全員で書いた手紙に加え、こんな思いをつづったとある。
 「平和は自分だけの意見ではなく、人の意見もちゃんと聞き、いろいろな意見があることを理解しないと平和にはならないと思います。なので沖縄の声も聞いてください。それとも何か聞かない理由があるのですか?」
この小学生の率直な疑問は、実は多くの市民の疑問である。政府の強引な軍拡は、こうした疑問や市民の率直な論議を排除して成り立っている。国会審議すらまともに行わず、空前の軍拡政策を推し進める政府に対し、今当たり前の疑問をぶつけ、まともな論議を要求することは極めて重要だ。

■最高裁の政治的判決に委縮などしない
9月4日、辺野古新基地建設を巡る訴訟で最高裁は県の主張を退ける不当判決を行った。県が不承認とした理由(軟弱地盤やジュゴン保護の不備)には一切触れないだけでなく、「法定受託事務を巡って国が知事の処分を取り消す裁決をした場合、『知事は裁決の趣旨に従って処分をすべき義務を負うべきである』と述べ、地方自治法違反だとした。」「これでは、国と対立した場合、自治体は国に従うしかないということになる。」(琉球新報9/5)ように、国と地方自治体は対等とうたった地方自治法の精神を真っ向から否定する時代逆行の判決と言わざるを得ない。
 メディアの多くは沖縄県が新たな裁判を起こせないように言うが、そんなことはない。玉城デニー知事は新たな法廷闘争も視野に入れながら、国内外の世論に訴えるため、9月18日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた国連人権理事会に出席し、「米軍基地が集中し、平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害されている沖縄の状況を世界中から関心を持って見てください」と訴えた。
沖縄の闘いがそうであるように、平和を求める闘いは今回の最高裁判決で萎縮などしていない。
8月29日、陸上自衛隊のオスプレイを佐賀空港に配備する計画に対し、漁師ら地元の人々が、建設中の佐賀駐屯地(仮称)の工事を差し止める仮処分を佐賀地裁に申し立てた。9月8日には東京電力福島第1原発で8月に始まった“処理汚染水”海洋放出の差し止めを求めて、福島、宮城県などの住民ら約150人が、国と東電を福島地裁に提訴した。
裁判闘争含め、一切あきらめのないこれらの平和の闘いを支える取組みを全国に広げよう!

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